ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
バトルトーナメント二回戦、そして二度目となるクラン・ブレイカーズとニシワキエンジニアリングのバトルが始まった。バトルの舞台となったのは月面基地だ。
「……」
「マシマ、いつになく真面目な顔してるね」
まだニシワキエンジニアリングとは接敵していないなか、マシマは妙に神妙な面持ちを見せている。その珍しい姿にリンが思わず声をかける。
「……ああ。ちょっと考え事してたんだ」
「マシマが考え事? もしかして相手がユーキさんだから緊張してるとか?」
マシマの考え事。状況を考えれば相手がユーキである為、意識してしまっているのだろうか。
「前の時はリリンちゃんと出撃できて、今回はリンちゃんと出撃できた……。この調子でいけば、次はいよいよお嬢と出撃できるんじゃねえかと思ってよ」
「そういうところは全然変わらないんだねー……」
「当然だぜ、リンちゃん。これが本来の俺だからな!」
心配して損したとはこういう事だろうか。バトルとは関係のない明後日の方向への考え事に思わず呆れてしまうリンにマシマはグッと親指を自身に指しながら眩しい笑顔を見せる。
そんなやり取りをしていると意識をバトルに向けさせるようにアラートが鳴り響く。見れば統一感のあるカラーリングのニシワキエンジニアリングのガンプラが迫ってきていた。
早速、交戦が始まる。ニシワキX-1を筆頭にかつて戦った経験のあるニシワキサバーニャやニシワキジンクスが迫る。
・・・
「何の因果か、またニシワキエンジニアリングと相見える事になりますとは……」
クラン・ブレイカーズとニシワキエンジニアリングのバトル。すぐに激しさを増していき、苛烈な様相を見せていく。一瞬の油断が命取りとなる状況でロビー広場で観戦していたシーナは二度目となるニシワキエンジニアリングとの戦いの様子を見守る。
「……確かにニシワキエンジニアリングは前に戦った時より強くなってる」
以前、ニシワキエンジニアリングとの戦闘経験のあるリリンは客観的に見て、ニシワキエンジニアリングのバトルの腕が成長しているのを感じ取る。
「けど、それはウチも同じやで! 絶対に負けへん!」
しかしタオが言うようにニシワキエンジニアリングだけが成長した訳ではない。クラン戦を経て、そこから多くの経験してきた。それら全てが糧となり、勝利への道を作ってくれているのだ。
・・・
そのタオの言葉が事実である事を示すようにクレインクインの放ったフィンファンネルが縦横無尽に駆け巡り、四方八方からニシワキジンクスの四肢を撃ち抜くと、急接近したクレインクインがビームサーベルを引き抜く、すれ違いざまに切り裂いて撃破する。
「マシマさん、昔の切れ味が完全に戻ったようですね」
「戻っただけじゃないぜ。俺の進化は止まらねぇからよ!」
かつてのマシマの実力を知るユーキからすれば、仲間の一人がやられてしまった事は不利に思うことはあれど、同時に相手がマシマともなれば驚くことでもなかったようだ。
以前は足踏みをしていたマシマだが、彼の中でかつてのニシワキエンジニアリング戦が踏み出すきっかけになったようでかつての腑抜けたような反応が嘘のようにユーキのニシワキX-1を相手取る。
「それは楽しみです。ですが、こちらも負ける訳にはいきません。全力で行かせていただきます!」
ユーキ達はプロチームの看板を背負っている。だからこそ敗北が齎すその意味はとてつもなく大きいのだ。だからこそ2連敗などする訳にはいかない。クレインクインとニシワキX-1は近接戦に持ち込んでいき、プロ同士の技の応酬が続いていく。
「2人共、凄いプレッシャー! これがプロのビルダーなんだ……」
一方、ニシワキサバーニャの弾幕を掻い潜りながらリンはマシマとユーキの激しい攻防に唖然としてしまう。
「ツムギ、アタシ達も行こう! マシマに負けてられないんだから!」
「勿論だよ!」
だがそれだけで終わらないのがリンの良いところだ。刺激を受けたリンは共にニシワキサバーニャと戦うツムギに声をかけると、ストライクブレイザーは飛び出し行く。
ストライクブレイザーとニシワキサバーニャ。どちらも銃火器を多数装備するガンプラだ。激しい弾幕が繰り広げられる。
「っ!」
だがその中で展開していたガンバレルの内の一基のケーブルが撃ち抜かれ、ストライクブレイザーとの接続を失ってしまう。
「まだまだ!」
だがそれで終わらない。素早く宙に漂うガンバレルを回収したフレールはニシワキサバーニャに投擲したのだ。
思わぬ攻撃にギリギリで回避するニシワキサバーニャ。しかしその通り過ぎたギリギリのタイミングでストライクブレイザーがガンバレルを撃ち抜き、爆発させ、その余波に巻き込まれる。
その隙で十分だった。ストライクブレイザーはフルバーストの要領で残った全ての銃火器を解き放ち、フレールは胸部のカリドゥス複相ビーム砲とヴェスバーを放ち、ニシワキサバーニャは全てを避けきる事が出来ずに撃破されてしまう。
「訂正するぜ、ユーキ」
残ったのはニシワキX-1のみ。そのニシワキX-1と戦うクレインクインはフィンファンネルをすべて避けながら迫るニシワキX-1に対して真っ向から立ち向かっていく。
「"俺達"の進化は止まらねぇ!」
クレインクインとニシワキX-1がビームサーベルを振るい、すれ違う。ツムギやリンを含めてバトルを見ていた者全てが一騎打ちの勝敗の行方に息を呑む
「──ふっ、流石はマシマさんだ。今のあなたは昔を遥かに上回っている」
すぐに結果は分かった。クレインクインはバックパックに損傷は受けたものの、ニシワキX-1は胴体からバッサリと両断されていたのだ。その事実にユーキは不意に笑みを漏らす。
「……俺一人じゃ到達できなかったさ。こいつ等と一緒に戦ってきたからこそここまで来られたんだよ」
マシマは言った。俺達の進化は止まらないと。もう昔の自分は破壊し、新たな自分を創造しているのだ。マシマの言葉に満足そうに笑ったユーキのニシワキX-1は爆発し、クラン・ブレイカーズは二度目のニシワキエンジニアリングからの勝利を勝ち取るのであった。
・・・
ニシワキエンジニアリングとのバトルを終えて、戻ってきたツムギ達。勝利を喜ぶなか、ふとリンは唖然とした様子でマシマを見ていた。
「ん? どうした、リンちゃん。もしかして俺に惚れちまったか?」
「それはないから大丈夫」
リンの視線に気付いたマシマはすぐさま気取った様子を見せるも、残念ながらリンは即答してしまう。
「でも凄かった! プロ同士の戦いって熱いだけじゃなくて……こう、なんて言ったら良いんだろう……?」
「ははは! 言葉にできなくても感覚が掴めたならイイ感じじゃねえか」
マシマとユーキの戦いに何か深く感じるものがあったのだろう。しかし中々言語化が難しいようで困っているリンにマシマは大らかに笑う。ナンパ癖こそあれどこういった兄貴分のような振る舞いこそマシマの良さだ。
「そうだね! お陰で何か成長できた気がする! その……あ、ありがと!」
「良いってことよ! リンちゃんに礼を言われるなんて、今日はイイ日だぜ!」
そんなマシマの言葉は決して邪険にすることなく、素直に受け止めるリン。感謝の言葉を伝えるリンに一転してマシマは浮かれた様子を見せ、そういうところだよ! とリンのツッコミがロビー広場に響くのであった……。
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