ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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策謀の宙域

 

《バトルトーナメントも三回戦に突入しているなか、やはり残っているのは名立たるクランばかりですね》

《だけど、そんな中で一際健闘している新星クランがいるね》

 

 バトルトーナメントも佳境。今日もバトルトーナメントを振り返りながらレコとミスター・ガンプラによるGBBBBニュースが生配信されている。

 

《例の奇跡のチーム……クラン・ブレイカーズですね!》

《そして、彼らの前に立ちはだかる対戦相手はフリーダムフリートだ!》

《わぁ、有名クランとの対戦ですね!》

 

 クラン・ブレイカーズはそれまでの経歴から奇跡のチームという二つ名で呼ばれているらしい。そんな奇跡のチームが三回戦目にぶつかるのは因縁のあるフリーダムフリートである。

 

《実力と知名度は一致しないこともあるが、彼らは実力派としても知られているクランだ。この強敵を相手にどんな戦いを見せてくれるのか……。注目したいところだね!》

《どんな戦いになるか楽しみです! 引き続きトーナメントの情報をお伝えしていますので皆さん頑張ってくださいねー!》

 

 ツムギ達もフリーダムフリートの……特にカオスの実力は知っている。そう簡単に勝てる相手ではないだろう。どんな戦いになるか想像を膨らませるようにGBBBBニュースは配信を終えるのであった。

 

 ・・・

 

「フリーダムフリート……。アイツ等も参加してたんだ!」

「前にも戦って、勝った相手だね」

 

 ロビー広場で三回戦目を待つクラン・ブレイカーズ。GBBBBニュースを見て、知っている名のクランにリンが反応するなか、勝利を収めた経験のあるリリンは特に焦る様子もなく淡々と答える。

 

「そうやけど、今回はそう簡単には勝たせてくれへんやろね……」

「どうして?」

「実はあの時、カオス以外、主力メンバーがおらんかってんな。フリーダムフリートはカオスの他にも有名な人らがおって……」

 

 しかしタオは今回のバトルはそう上手くはいかないだろうと難しそうに眉を顰めながらその理由を尋ねるリリンに答える。今、思い返しても確かにフリーダムフリートの初戦はカオスとそれ以外のメンバーでは実力に大きな差があった。

 

「──カオス、あの坊やが前に言ってた奴かい?」

 

 そんな会話の中、クラン・ブレイカーズを……いや、ツムギを指した会話が聞こえてきた。

 

「ああ。私に覚醒を見せてくれた子だよ。こちらのクランに引き入れたいと思っている」

 

 何かと思い、見てみればそこにはカオスがおり、その近くには2人の男女の姿もある。

 

「ふぅん……。私は別に構わないけどさ。ねぇ、グスタフ?」

「……ドーラが良いなら、俺も良い」

 

 そこには思わず見惚れてしまうような美しいスタイルを持つ緑髪の女性……ドーラと物静かな雰囲気を持つ褐色肌で筋骨隆々な男性……グスタフの姿があった。

 

「ドーラとグスタフ……! やっぱりフリーダムフリート四天王が出てくるんか!」

「……四天王?」

「さっき言うてた主力メンバーの事でな。フリーダムフリートの中でも中心になってる4人のビルダーやねん。動画配信とかもやってるから、それなりに有名やねんで」

 

 見知ったカオスは兎も角、ドーラとグスタフに大きく反応するタオ。その際に口に出したフリーダムフリート四天王の単語にリリンが反応するなか、タオが説明してくれる。配信活動でいえば、少なくともナギサ達の方が詳しいだろうが生憎、ツムギ達はまだそちらには疎く、あまり反応出来ていない。

 

「坊や……。“それなり”は余計なんじゃないかい?」

「す、すんません……! ……やっぱり生で見ると迫力があって怖いわ……」

 

 しかしその説明が癪に障ったのか、タオに向かって鋭く目を細めて凄むドーラ。元々の性分もあってか、タオは震えあがって縮こまってしまう。

 

「何言ってんだ、タオ。だからこそ良いんじゃねえか」

 

 しかしここで安定のマシマが発動してしまった。

 

「ウチのクランメンバーが失礼した。俺は芯のある強い女性が好きでね。もし良かったら──」

 

 決め顔でじりじりとドーラに向かっていくマシマ。しかしマシマとドーラの間にズゴズゴとグスタフが割り込み、なにも言わないものの両腕を組んでマシマを見やる。ある種の警告のようだ。

 

「アハハ、お兄さん悪いね。ナンパはグスタフがガードしちまうのさ!」

「おっと、ナイトのご登場って訳か……。だが、俺だってこのクランのナイトなんだ! てめぇには負けないからな!」

 

 愉快そうに笑うドーラ。グスタフがいなくても簡単にあしらわれていそうだが、マシマは諦めず、グスタフに向かって戦意を燃やしながら鼻息を荒くする。

 

「そのナイトが何でナンパしに行ったの!」

「ナンパはアカンって前にも言うたやろ!」

 

 百歩譲ってナイトを気取るのも良いが、だとしたら何でナンパしに行くのか。リンとタオのツッコミが響く。これにはマシマも言い返すことが出来ないのか、気まずそうに「いや、まぁ……スマン」と謝っていた。

 

「ふっ、魅力的な相手を誘いたくなる心情は良く分かるよ。あれから移籍については考えてくれたかい? そろそろ色よい返事をもらいたいところなのだが……」

「まーた懲りずにスカウトする!」

 

 マシマの心情に理解を示しつつ、カオスはツムギを見やる。しかしツムギの中で終わっている話の為、流石に顔を顰めるなか、その隣でリンが呆れた様子だ。

 

「いい加減に諦めろよな。しつこい男は嫌われるって知らねぇのか?」

「……よう言うたね、それ」

「それはそれ。これはこれだ」

 

 カオスが再度勧誘してきた際は冗談でツムギを見送ろうとしていたマシマだが、流石にしつこさを感じたのか、ツムギを庇いながらカオスをあしらおうとする。発言だけながら真っ当なのだが、如何せんどの口が言うのかと呆れるタオにマシマはウインク交じりに返す。

 

「……何故、そこまで俺を」

「君の才能に私は心奪われた……。この気持ち、まさしく愛だ」

 

 しつこさは感じるが、何故そこまで自分に拘るのか。ツムギがその理由を尋ねようとすると、ふっと笑みを漏らしながら大胆な発言をする。これにはクラン・ブレイカーズだけではなく、ドーラも引きつった様子で驚く。

 

「カオス、アンタ……」

「……勘違いしてもらいたくはないが、彼に純粋な興味があるんだよ」

 

 今の時代。性別を問わずどのような想いを抱くのは自由だろう。そうだろうがと思ってはいるようだが顔を顰めているドーラに何やら自分の発言が語弊を招いているのに気付いたのか、すぐに訂正する。

 

「覚醒を使えるのは才能あるほんの一握りの者だけ……。それは君達も知っているだろう。中々巡り合えないからこそその存在には希少価値がある。興味を持つのは自然の事じゃないか?」

 

 ツムギが知り合った中で現状、覚醒が使えるのはツムギの他にもガンダムブレイカーの面々とウィル、そしてマイスターだ。偶然とはいえ、覚醒の使い手と知り合う機会は多くなってしまったがそれでもGBBBB全体で見れば、確かにほんの一握りだろう。だからこそカオスはツムギに興味を持ったのだ。

 

「それに興味があるのは彼にだけではないんだがね……」

 

 だが以前と違ってツムギだけに固執している訳ではないようだ。ふと視線をリリンに移すカオス。その視線に気付いたリリンだが、意図までは分からず、首を傾げてしまう。

 

「興味あるだけならそんなしつこくスカウトしやんでもエエやん!」

「貴重な人材を放っておけと言う方が無茶な話だ。だが今までと同じ方法では、同じ結果を繰り返すだけ……。ならばこの勝負、ひとつ賭けをしないか?」

 

 マシマのナンパもそうだが、何よりしつこいのはご法度だ。しかしタオの憤りに対してカオスはどこ吹く風か、それどころか何か提案を持ち掛けてくる。

 

「こちらがこの試合に勝ったら、私のクランに入ってくれないか? 反対にこちらが負ければ、こんな風に君を勧誘するのは止めよう。約束するよ」

「……良いですよ。どの道、俺達が目指しているのはバトルトーナメントの優勝です。ここで負けるつもりはない」

 

 まさかツムギを賭けたバトルに発展するとは。二つ返事で頷くツムギ。タオもリンも驚いてしまう。しかしここで躓くつもりはないツムギは真っ直ぐカオスを見据えていた。

 

「ははははッ、良い返事だ!」

「あーあ、カワイソウに。私らの力も知らないで……」

「……潰す」

 

 ツムギの返事。何よりその迷いのない姿に満足したのか、高らかに笑うカオスの横でどこか嘲笑交じりのドーラ。どちらにせよ、やる事は変わらないのか、グスタフは拳を鳴らしていた。

 

「それでは私達はこれで失礼する。バトルフィールドで会おう」

 

 三回戦も間もなく始まろうとしている。愉快そうに笑いながらカオスはドーラ達とクラン・ブレイカーズに背を向け、去っていった。

 

「おいおいおい、あんな簡単に受けちまって良かったのか?」

「そうだよ! 負けたらホントにあのオッサンのクランに入ることになるんだよ!?」

 

 カオス達が去り、マシマは苦い表情を見せたままツムギに声をかける。即答する威勢は評価するが、簡単に勝てる相手でもないだろう。万が一でもツムギのフリーダムフリート入りはあってはならないとリンは心配した様子でツムギの腕を掴む。

 

「……でも、そこに迷いがないというのは、それだけ私達チームを信じてくれている、という事ですね。今回のバトル、私に出場させてください。その信頼に応えて見せたいと思います」

「だったら私も出る」

 

 そんな中、ツムギの心境を悟ったのか、シーナは笑みを見せながらバトルへの参加を申し出て、間髪入れずにリリンも名乗りを上げる。2人とも先程の一件があったからか、やる気に満ちているようだ。

 

「ありがとう、2人とも……。俺達はここで躓くつもりはない。これを乗り越えられなかったらマイスターにも届かない。だから勝とう!」

 

 シーナとリリンの想いに嬉しそうに頷きながら、ツムギ、リリン、シーナはフリーダムフリートとのバトルに臨むのであった……。

8/21はバニーの日。小話にバニーイラストが見たいのは(7月末まで)

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