ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
《アルティメイトフォースゼロ、準決勝への駒を進めましたー!》
夜も更けてきた頃、店舗兼住宅であるセレクトM。その一室では作業机に向かってガンプラ製作に勤しむアヤトの姿がある。パーツの表面処理を行いながらテレビ代わりに先日のアルティメイトフォースゼロの第三回戦の映像を見ていた。そこにはドムをベースにカスタマイズしたガンプラを司令塔にソラーレとルーナの姿もあった。
しかしソラーレとルーナは見慣れた姿は異なっていた。
──ガンダムルーナ・ヴィオラ
紫色を基調にしたカラーリングが特徴的なガンプラだ。バックパックに翼のようなスーパードラグーン、両腕にはパルマフィオキーナ。そして主武装はGNソードIIIと高速近接特化型の印象を受ける。それもそのはず。ヴィオラはアヤトが考案したビルドチェンジシステムの一つであり、その元ネタになったのはアマミヤ・イチヤのガンダムブレイカーだ。
──ガンダムソラーレ・アンブラ
そして橙色か特徴の両腕にはシグマシスライフルを装備し、全体的に重武装な印象を受けるアンブラの名を持つパックはユウヒのガンダムブレイカーを元にして作成している。三回戦ではこの装備をしたソラーレとルーナ、そしてドムのカスタマイズ機と共に相手のクランを打ち破ったのだ。
「──アヤト、入るぞ」
不意に扉の外からタツヤの声が聞こえてくる。アヤトが意識を向けるように扉の方へ目を向けてみれば何やらトレーを持ったエプロン姿のタツヤが室内に入ってくる。
「お疲れ様。夜食持ってきたぞ」
「……ありがと。でも、そんなわざわざ」
「そんな事言って、たまに夜中にカップラーメン食べてるだろ。兄ちゃんは知ってるんだからな」
トレーの上にはサンドイッチとホットミルクが。わざわざ自分の為に作ってきてくれたタツヤに気が引けてしまうが、知られていないと思っていた事実を突きつけられてそれ以上何も言えなくなってしまう。
「そう言えば次の試合、俺達とマイスターで出るって」
「もう準決勝かぁ……。相手も相当に強いんだろうなぁ」
ベッドに2人で腰掛けながらタツヤが作ってくれたサンドイッチを頬張りつつ、アヤトが見ていた三回戦目の映像を見て、次の準決勝に出場するメンバーについて触れるタツヤ。マイペースなアヤトも大なり小なり緊張は感じているようだ。
「大丈夫だって。1人じゃ無理でも兄弟なら何でも出来るさ」
「父さんと母さんが昔、よくそう言ってくれてたよね。何だかそう思えば何でも出来る気がした」
アヤトの緊張を和らげるように肩に触れながら笑いかけるタツヤ。その言葉にかつての両親の教えを思い出して、アヤトも釣られて笑う。
「どうだ、進捗は」
「ボチボチかな。まあ、納期には間に合うよ」
「そうか。やっぱりアヤトは凄いな。俺には作れそうにない」
ふとタツヤは作業机の上の模型誌の為の作例を見やる。全体的にディティールアップされており、元のキットよりも情報量が格段と上がっている。バトルでは天才的な実力を持つタツヤだが、ガンプラ製作においては人並みなのか、羨望の眼差しを送る。
「……それはタツ兄が」
その賞賛の言葉にふとアヤトは複雑そうに顔を伏せる。そのまま何か言いかけた瞬間、タツヤは立ち上がる。
「っと悪い。ちょっとGBBBBでバトルのコツを教えてくれって頼まれてるんだ。そろそろ行ってくる」
話を遮るように立ち上がってしまった事を詫びながらタツヤはGBBBBへ向かうため、自室へ向かう。アルティメイトフォースゼロのメンバーの一人であるタツヤ。天性のバトルの才とその性格から師事を受けたいというプレイヤーは多いようだ。
「……また誰かの為にそうやって」
エプロン姿だったのも直前までセレクトḾの業務を手伝っていたのだろう。その上で自分を気遣い、更にはGBBBBにまで行ってバトルの手ほどきをするというのだ。どこまでも誰かの為に動いているタツヤにアヤトは物悲しそうに視線を伏せる。
・・・
「いよいよ準決勝だね! ヒマリも全力で応援してるよ!」
後日、ヒマリが言うように遂に準決勝の時が来た。アルティメイトフォースゼロのクランルームでは準決勝を前にヒマリがタツヤとアヤトに激励を送る。
「じゃあ、相手のチームに挨拶に行きましょうか」
「えっ」
相手はベクルックス。このバトルトーナメントで名の知れたクランになった実力派のクランだ。何気なく挨拶を提案するタツヤにマイスターはぎこちない反応を見せる。
「なんでですか。いつもやってるでしょうに」
「そう……だが……」
マイスターは常にバトルの前に相手への挨拶を欠かさない。しかし今回に限ってはどうだろう。不思議に思ったアヤトが首を傾げているとマイスターは何とも歯切れの悪い反応を見せる。
「次の相手はナギちゃん達のクランだね! 行こう行こーうー!」
「……待て。待ってくれ。いや本当に待ってって」
相手がベクルックスである事を知ったヒマリは善は急げとばかりにマイスターの背中を押してベクルックスへ挨拶に向かおうとする。何とか踏ん張って抵抗しようとするマイスターだがお構いなしにタツヤとアヤトもその背中を押して他のアルティメイトフォースゼロのメンバーが苦笑するなかクランルームを後にするのであった。
・・・
「へぇ、皆、新しいガンプラ作ってるんだ」
一方、ロビー広場。ベクルックスとアルティメイトフォースゼロの試合が目前に迫るなか、ツムギとユウヒはベクルックスの応援の為、彼女達と共にいて何気ない雑談を交わしていた。
「うん。ユカさんとウィルさん以外はたまたま同じタイミング的で作ってたみたいでね。まだ誰も完成してないんだけど」
「アタシは前にセレナお姉様のバトルを見て、刺激を受けたからそこからちょくちょく作ってはいたんだ」
ベクルックスの一部のメンバーは新しいガンプラ作りに勤しんでいるらしい。とはいえバトルトーナメントには間に合わなかったようでその点で言えば残念と言えば残念だろう。
「そういうツムギ君も新しいガンプラを作ってるよね」
「はい。GBBBBでの経験を経た上でナギサのエアリアルソアーの作成に並行してボチボチ作ってはいたんです。まあ、俺もバトルトーナメントには間に合わなかったんですが」
新作ガンプラでいえばツムギも何やら作っているものがあるらしい。ユウヒに頷きながら、どうやらきっかけはエアリアルソアーの制作だったようで、エアリアルソアーは完成したもののツムギの新作ガンプラはいまだ完成まで程遠いようだ。
「ナギちゃーん! ソフィーちゃーん!」
そんなやり取りをしているとふと聞きなれた明るい声が聞こえてくる。見てみれば、ヒマリがブンブンと手を振りながらタツヤとアヤト、そして明らかに足取りの重いマイスターと共にやってきていた。
「「……」」
マイスターとユカの視線が重なる。心なしかどんどん場の空気が非常に重くなっている気がする。
「君達の活躍は知っているよ今日は素晴らしいバトルをしよう1人のガンプラファイターとして私も全力で挑ませてもらうそれでは」
「めっちゃ早口」
捲し立てるように言い放つマイスターはそのまま踵を翻して立ち去ろうとする。そのあまりに一方的な姿にナギサが唖然とするが……。
「……」
ユカが一歩踏み出したのだ。マイスターの表情が心なしか強張るなか、一歩、また一歩とユカはマイスターに歩みを進めていく。
「な、なにか?」
何も言わずにただこちらに歩いてくるユカ。しかしその表情は無表情に近く、にじみ出る迫力にマイスターは気圧されながら後ずさりする。
「……」
ユカは腕を組んだままマイスターの胸板に寄りかかる。身を預ける態勢になっている為、マイスターも迂闊に身動きできずにその場に留まってしまう。
「……も、もう少しだけ話をしよう」
──そう簡単に逃げられると思うなよ。
こちらに向けられるユカの鋭い眼光がそう物語っている。退路は塞がれたと思って良いだろう。マイスターは観念したように項垂れるのであった。
8/21はバニーの日。小話にバニーイラストが見たいのは(7月末まで)
-
ナギサ
-
ソフィー
-
ユカ
-
アオバ
-
シオン
-
セレナ