ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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Mirrors

 

 アルティメイトフォースゼロとベクルックスのバトルの舞台に選ばれたのは空を覆う不気味なまでの暗雲立ち込める市街地ステージ。

 

 ガンダムルークを筆頭にソラーレ・ロッソとルーナ・ブルがバトルステージに降り立つ。

 

「……2人共、わかっていると思うが油断はするな。今度の相手は一筋縄ではいかないぞ」

 

 周囲を警戒しながら、マイスターは注意を飛ばす。タツヤやアヤトからすればユカ達がどういう相手なのかは分からないが、それでも準決勝戦まで勝ち上がったのだ。元よりタツヤ達は油断するつもりはない。

 

 ──建造物の隙間から何かがキラリと光った。

 

 次の瞬間、近くのビルを切り裂き、斬撃波が飛んできたではないか。まるでバターのように滑らかに切り裂かれるビルの残骸を見てもまともに受けたらひとたまりもないだろう。咄嗟のことながら素早く避けたガンダムルーク達であったが……。

 

「見ーっけっ」

 

 ガンダムルークの真横の建造物を突き破ってバルバトスルプスノームが奇襲を仕掛けてきたではないか。超大型メイスを振るうバルバトスルプスノームに対してガンダムルークは紙一重で避けて反撃に転じようとするも、それを見越していたのかテイルキャノンが放たれた事ですぐに距離を取る。

 

 それで攻撃の手が緩まる訳ではない。トールギスリンクから放たれたFファンネルが四方八方から襲いかかってくる。

 

「ユカ、参りますわよッ!」

「ついてきなよ、シオンッ!」

 

 Fファンネルの回避しているガンダムルークに対して、真正面に躍り出たトールギスリンクとバルバトスルプスノームはそれぞれドッズランサーと超大型メイスを構えて突撃していく。

 

 機動力はGBBBBにおいてトップクラスと言っても過言ではないガンダムルーク。避ける事は出来るだろう。しかしガンダムルークは両腕部のガントレットを展開してマニピュレータを覆いバルバトスルプスノームとトールギスリンクへ真っ向から対峙する。

 

「見せてもらおうか、新しいバルバトスの性能とやらを」

 

 ──ハイパースターバーニングナックル。

 

 マニピュレータを中心に三つの煌めく光のエフェクトが発生する。爆発的な加速と共に突撃したガンダムルークは真正面からバルバトスルプスノーム達とぶつかり合い、大爆発を起こし、周囲の建造物を崩壊させる。

 

「……一日の長って奴かな。舐めてた訳じゃないけど」

 

 カスタマイズされた二機のガンプラを相手にガンダムルークは圧し勝ったのだ。反動で大きく仰け反るバルバトスルプスノームとトールギスリンク。ユカは目の前でツインアイを輝かせ、こちらを見据えるガンダムルークに思わず笑みを見せる。

 

 そんな矢先、ガンダムルークとバルバトスルプスノーム達の間にソラーレRが割り込み、その身を駆使して怒涛の拳法によってバルバトスルプスノーム達を弾き飛ばす。

 

「マイスター、大丈夫ですか?」

「ああ。良いタイミングだ」

 

 ガンダムルークを守るように立ちふさがるソラーレR。バルバトスルプスノーム達が反撃に転じようとするも四方八方からビームが襲い掛かる。

 

「こっちは任せても良いですよ」

 

 ルーナBによる援護射撃だ。そのまま肩の高性能センサーにビームライフルを直結させ、バルバトスルプスノーム達の動きを牽制するように狙撃を始め、その間にソラーレRが突撃し、バルバトスルプスノーム達を相手にしていく。

 

「さて……」

 

 バルバトスルプスノーム達はソラーレRに任せて良いだろう。気を取り直すようにGNソードⅡロングを装備し直したガンダムルークはその切っ先を振るいながら空を見やる。

 

「──ユカ達には悪いが、僕の目的は最初から君だけだ」

 

 そこにはウィルのセレネスノーヴァの姿が。ユカからすればガンダムルークとバトルしたいところだろうが、ここだけは譲る気はない。同時に飛び出したガンダムルークとセレネスノーヴァはぶつかり合う。

 

「凄いスピードだ。止まって見えたよ……なんてもう言えやしない。だがッ!」

 

 ガンダムルークとセレネスノーヴァの鍔迫り合いから一転、激しい剣戟が繰り広げられる。まさに剣技とも言っていい技の応酬は準決勝の舞台に相応しい見応えのあるバトルを見せてくれる。

 

「そんな仮面をつけたままで僕に勝てると思うなッ!」

 

 つま先のビームクローを展開して、蹴撃を浴びせる。致命傷にはならなかったものの珍しくマイスターが被弾した事で観客達は息を呑むが、そのまま叩きつけるように放たれたシラヌイ、ウンリュウの一撃を咄嗟にGNソードⅡロングで防ぐも勢いまでは防げず、地面に叩きつけらてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──いってぇなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 土煙の中、GNソードⅡロングを支えに立ち上がったガンダムルーク。その際、発せられたマイスターの口調は紳士的に振舞おうとしている普段のものとは違い、どこか気だるいものであった。

 

「……プライベート回線?」

 

 セレネスノーヴァのコックピット内にガンダムルークからの通信が入る。その為、ここからの会話は同じバトルフィールドに立っているユカ達にも聞こえる事はないだろう。

 

「……相変わらず気に食わない奴だな。言われなくたって分かってるよ」

 

 ウィルにとって聞き馴染みのある気だるそうな口調。マイスターからの言葉の内容とは裏腹にウィルの口角はどんどん吊り上がっていく。

 

「だから今は1人のガンプラファイターとして戦ってやる。マイスター・アインとしてではなく、一個人のガンプラファイターとして」

 

 ガンダムルークは覚醒を果たす。噂でマイスターが覚醒を使えるという話は出回っていたが、直近でその赤い輝きを纏うことなかった。それだけウィルの実力は本物ということだろう。 

 

「その気になったか!」

 

 セレネスノーヴァはバックパックのプラウドディフェンダーのウイングを展開すると周囲に撒き散らすように高電圧の雷を放つ。

 

「──!」

 

 その無差別とも取れる電磁攻撃に対してガンダムルークは避けることなく真正面からセレネスノーヴァへ向かっていったのだ。破れかぶれの特攻紛いの行動ではない。雷を一つ一つを紙一重で避け、一気にセレネスノーヴァへ近付いたのだ。

 

「それでこそ僕のライバルだ!」

 

 神技レベルの回避技術を見せつけるガンダムルーク。見ている者が唖然とするなか、ただ一人ウィルだけは心の底から嬉しそうに口角を吊り上げるとセレネスノーヴァにも変化が起こる。セレネスノーヴァもまたガンダムルークと同じ赤い輝きを纏ったのだ。

 

 ・・・

 

「あれが覚醒する者同士の戦い……」

 

 元より凄まじい戦いを見せていたガンダムルークとセレネスノーヴァの戦いは覚醒を発現させた事により、より苛烈なものになっていく。その光景に誰しもが唖然とし、ツムギはポツリとこぼす。自分も覚醒の使い手であるが、果たしてあそこまでのバトルが出来るだろうか? 

 

(……まだまだ追いつけない。でも……!)

 

 覚醒が使えるから誰にも負けない訳ではない。覚醒を使える上で更にその実力が物を言うのだ。まだマイスターにもウィルにも圧倒的な差を感じてしまう。しかしツムギはそれでも諦めたくなかった。

 

 ・・・

 

「これでェッ!」

 

 トールギスリンクから放たれたドッズランサーを可動域を利用して大きく機体を捻らせて避けたソラーレRは膝で肘で挟み込むようにトールギスリンクの腕を粉砕すると右腕のマニピュレータを輝かせ、必殺のゴッドフィンガーを持ってトールギスリンクを撃破する。

 

「……やるねぇ、流石に」

 

 目の前のソラーレRとルーナBが新しいガンダムブレイカーの使い手であることはユカも知っている。だからこそシオンを打ち破った実力には驚かされつつも感心してしまった。しかしここで足止めを食らうわけにはいかない。バルバトスルプスノームは二対一の状況の中、阿頼耶識システムを発動させ戦闘を続ける。

 

 そしてガンダムルークとセレネスノーヴァはいまだ戦闘を続けていた。既に周囲の建造物は崩壊し、二人だけの世界を作り上げていた。

 

「気に入らなかった! 卑屈で根暗な癖にガンプラバトルになれば真っ直ぐに進み続けようとする君が! その眩しさがッ! そしてそんな君に目を背けたくなる自分の弱さが!」

「ちぃっ……!」

 

 シラヌイとウンリュウは砕かれ、セレネスノーヴァはバックパックの対艦刀フツノミタマを装備してガンダムルークと切り結ぶ。今まで溜めに溜めてきた激情を吐き出すウィル。その熱を込めた一撃は遂にガンダムルークの左腕を切断する。

 

「僕は君に、君達に出会い失ったものを取り戻して強くなった! それでも君は僕よりも前に進み続けた! 気を抜けば君には追いつけない! そんな事、認められるものかッ!」

 

 だが負けじとガンダムルークも右肩からセレネスノーヴァを切り裂く。それでもセレネスノーヴァは引くことなくガンダムルークに食らいつく。

 

「そのスピードを、君を! 絶対に捉える! 君を倒すのはこの僕だァアッ!」

 

 セレネスノーヴァを突進を受けたガンダムルークは共に地上に落ちていき、轟音立てて周囲に土煙が舞う。果たしてどうなったのか、誰もが戦闘の行方を見守るなか……。

 

「生憎、俺もお前にだけは負けたくないんでなァ……ッ!」

 

 土煙が晴れた先、落下の衝撃で武装を手放してしまった状況の中、回収する暇も作らず、ガンダムルークはセレネスノーヴァを殴りつけていた。

 

「お前の事は気に入らないが、でもお前とのバトルは気に入らないけど楽しいんだよッ!」

 

 殴られた衝撃でセレネスノーヴァもフツノミタマを手放してしまうが、負けじとガンダムルークを殴り返す。殴って蹴って、GBBBBの絶対王者、マイスター・アインの姿とは程遠い泥臭い戦いの中、今まで歯を食いしばっていたマイスターの口元に笑みが零れる。

 

「だからこそ負けられないッ! お前というライバルにだけは負けられないッ!」

 

 いくら泥に塗れようと関係ない。その上で目の前の相手に勝つのだ。マイスターのバイザーの奥の真紅の瞳はセレネスノーヴァだけを見つめる。

 

「俺とお前の間に無責任で耳障りの良い言葉なんていらないッ! 例え傷つく事があったとしてもありのままの俺達だから高め合うことが出来る! だからこそ俺の誇り(プライド)の全てをお前にぶつけて勝つッ!」

 

 セレネスノーヴァがビームクローを展開し蹴撃を放とうとした瞬間、ガンダムルークもハイパースターバーニングナックルを展開して、ビームクローを粉砕しながらセレネスノーヴァを貫いた。

 

「……負けか。やっぱり君は凄いな」

 

 もう僅かにも動かないセレネスノーヴァ。悔しそうに顔を歪ませたウィルだが思わず笑みを見せながらも目の前のガンダムルークを確かに見据えると敗北を受け入れ、爆散するのであった。

 

「……」

 

 既に満身創痍のガンダムルーク。しかしセンサーが反応し、見てみれば同じくそこにはいつ爆発してもおかしくない大破寸前のバルバトスルプスノームの姿があった。

 

「……アタシはアンタを探すためにここに来た」

 

 背後には損傷の目立つソラーレRとルーナBの姿もあるが、マイスターとユカの関係を察してか、見守る選択を取ったようだ。フラフラとした足取りでバルバトスルプスノームはガンダムルークへ向かっていく。

 

「……帰って来てよ、イッチ」

 

 何かを求めるようにマニピュレータを伸ばすバルバトスルプスノーム。だが限界に達したのだろう。バルバトスルプスノームのツインアイから光が消え、崩れ落ちようとする。

 

 だがそんなバルバトスルプスノームを正面からガンダムルークが抱きとめたのだ。

 

「……」

 

 力尽きたバルバトスルプスノームを見下ろすマイスター。その奥の真紅の瞳はどこか複雑そうにしながらも、まるで労うようにガンダムルークはバルバトスルプスノームを撫でる。激戦の中、アルティメイトフォースゼロは勝利を収め、決勝戦へと向かうのであった。

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