ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
誰もが圧倒されたアルティメイトフォースゼロとベクルックスのバトル。ロビー広場ではその激闘で話題が持ちきりだ。
「お疲れ、シオン姉」
「申し訳ありません。皆を決勝戦の舞台に連れて行く事は出来ませんでしたわ」
一人、ロビー広場に戻ってきたシオンをベクルックスのメンバーとツムギとユウヒが出迎える。ソフィーの労いの言葉にシオンは申し訳なさそうに目を伏せる。
「そんなの誰も気にしてませんよ! それよりもすっごいバトルでした!」
「私達はベストなメンバーで臨んだと思います。後悔はありませんよ」
シオンを気遣いながらも先程のバトルにどこか興奮気味に話すナギサ。アオバはナギサに頷きながらも冷静に分析する。仮に先程のメンバー以外の誰かが出たとしても勝てたとは思えない。
(……まだ覚醒する者全ては倒せないか)
そんな中、アオバは覚醒を発現させ、死闘を繰り広げたマイスターとウィルのバトルを振り返る。覚醒する者を打倒する目的を持つアオバだが、まだあの二人を倒せる程の実力はないと判断しているのだろう。その点で言えば、どこか悔しそうだ。
「そう言えばユカちゃんは?」
「ウィルさんもいませんね」
いつまで経ってもユカやウィルが戻って来る気配がない。その事に気付いたユウヒとツムギがその事に触れるが……。
「ユカは何やら用があるそうですわ。あのパツキンは……意地っ張りですから負けた姿は見せたくないのではないでしょうか」
ユカに関しては話は聞いているが、ウィルはバトルを終えた後、人知れず行動しているようだ。その理由までは分からないが、何となく今までの付き合いからその理由を答える。
・・・
「……で、わざわざ人を呼び出すだけの価値があんだよね」
ユカはアルティメイトフォースゼロのクランルームにいた。目の前にはマイスターがおり、他のメンバーは二人に気を使ってか、この場にはいない。バトル前にマイスターが耳打ちしたのはバトル後に二人だけで話の場を設けるというものだった。
「……そうだな。何から話したものか」
「その前にさ」
いざ話そうにもどこから切り出すべきか。マイスターが悩んでいると、歩を進めたユカはふとマイスターの目の前に立ち、その顔に手を伸ばす。
「こんなもの外しなよ」
何とマイスターのバイザーを外したのだ。露わになったマイスターの素顔。思わぬ行動に驚いているなか、ユカはその素顔を見て、ふと笑みを零す。
「……お前には敵わないな。とりあえず俺がここにいる理由を話すか」
ウィルとのプライベート回線の時と同じようなどこか気だるい雰囲気を見せるマイスター。いや、マイスターとして話してはいないのだろう。観念したように首を横に振ったマイスターは少しずつ自分がGBBBBにいる理由を話し始めるのであった。
・・・
ウィルは1人、人気のないGBBBBの通路を歩いていた。今頃、シオンはベクルックスのメンバーと談笑しているようだが、生憎、そんな気分にはなれずにいた。
「──ウィル」
そんなウィルに声をかけた人物がいた。チラリと見てみれば、そこにはアフロ頭が特徴的なミスター・ガンプラの姿があった。
「また君がガンプラバトルの大会に出てくれて嬉しく思うよ」
「……チャンプ。本物のようだね」
よくクラン・ブレイカーズと絡んでいるミスターのような、なりきりかと思ったがミスター・ガンプラの口ぶりから自分がよく知る本物のミスター・ガンプラである事を悟ったウィルは向き直る。
「マイスターとの……“彼”とのバトルの為に来たのだろう?」
「チャンプにはお見通しか。というより彼の正体を知っていたのかい?」
「これでも私は長くガンプラバトルと向き合ってきた。マイスターのバトルを見ていれば重なる部分も出てくるさ」
マイスター……というより仮面の奥の素顔の人物と戦う事が目的だったのはとっくにミスター・ガンプラにはお見通しだったようだ。思わず肩を竦めるウィルに現役を引退したとはいえ、長い時間をガンプラバトルに費やしてきたミスター・ガンプラだからこその観察眼でマイスターの正体を察したようだ。
「これからもGBBBBは続けるのかい?」
「今までのような頻度では来れないだろうね。僕も大分無理をしてログインしていた。暫くは会社の方に専念させてもらうよ」
「そうか……。君程の腕を持つファイターならばよりGBBBBを鮮やかに彩ってくれるだろうに」
かつてバトルトーナメントに参加する為、碌に休まずに参加枠を勝ち取ったウィル。プライベートを犠牲にして行った事で無理もあったのだろう。今後のGBBBBへの参加はより限られたものになってしまうようだ。いまだβテスト中のGBBBB。正式サービス開始ともなればより盛り上がる事は間違いないであろう事は分かっている為、そこにウィルがあまりいられないのはミスター・ガンプラとしても残念ではあった。
「前にも言ったはずだろう。やりたいこととやるべきことが一致する人間なんてそうはいないって。だからこそこれからも僕なりのバトルを続ける。それに二度とGBBBBに来ない訳じゃない。“彼”に負けっ放しなのは認められないからね」
マイスターとのバトル。負けてしまったが、不思議と晴れやかな気持ちもある。とはいえ負けたまま終わるのはウィルの性分ではないのか、まるで子供のような笑みを見せるウィルにミスター・ガンプラも「それでこそだ」と満足そうに頷くのであった。
・・・
「……成程ね」
一方、マイスターから知りたかった情報の全てを粗方聞いたユカはソファーに腰掛けながら頭の中の情報を整理する。
「……アンタ、ほんっっっっっとにバカだよね」
「自覚はある」
話を整理して放たれた第一声にマイスターは気まずそうに眼を逸らしながらも答える。
「……で、帰ってこれるの?」
「もう少しだけ時間がかかる……。この場で俺が出来る事……。それが終わるまでは」
「……ま、アンタがそう言うなら止めはしないよ。気持ちは理解できるしね」
ユカからすればマイスターがその仮面を外して自分たちの元へ帰って来るのが目的だ。だがどうにもその時はまだ実現しないらしい。残念とは思うが、マイスターがGBBBBにいる理由を聞いた上では少なくとも彼の心情は汲み取る事は出来る。
「お前はGBBBBにいるのか?」
「アンタの手がかりを求めて来たからね。まあ、目的を果たしたからもう来なくても良いんだけど……。でも、アタシももう少しだけいるよ」
マイスターに会うことが目的だったユカ。それを果たし、そのマイスターから話を聞いた以上はもうGBBBBに身を置く理由はないが、少なくともユカはまだGBBBBにいるようだ。
「アタシはアマミヤ・イチヤを取り返さなくちゃいけない。アタシにとってはその為の旅だったしね」
ふとユカはマイスターの目の前に立ち、先程外したバイザーをマイスターに装着する。彼が少なくともバイザーを自分の手で外し、マイスター・アインでなくなった時がGBBBBを引退する時なのかもしれない。
「迂闊に連絡できないのは分かったけど、ミサ義姉さんには心配かけないようにね。愛想尽かされても知らないよ」
「それは嫌だ……!」
用は済んだため、アルティメイトフォースゼロのクランルームから出ようとするユカは去り際に肩越しに振り返って悪戯っぽく笑う。その言葉に途端に慌てるマイスターの姿に可笑しそうに笑いながら去っていくのであった。
・・・
「……覚醒」
アルティメイトフォースゼロとベクルックスのバトルのリプレイが流れている。そんな中、人混みの中、一人の少女が覚醒を纏って戦うガンダムルークとセレネスノーヴァの姿を見ていた。熱狂する周囲と違い、少女はどこか複雑そうだ。
「おや、来ていたのかい」
そんな少女に声をかけたのはカオスであった。少女とカオスは見知った顔なのだろう。特に驚いた訳でもなく少女はカオスを見やる。
「マイスター達のバトルか……。あの力は確かに凄まじいものだが私と“友人”となった今の君なら何とかなるだろう」
少女が見ていたマイスターのバトルを見て、察するものがあったのか、少女の肩を触れながらまるで悪魔の囁きのように話すカオスに少女は顔を俯かせる。そんな少女を愉快そうに笑いながらカオスは去っていた。
「──アキナ?」
カオスが去ったのも束の間、少女は再び声をかけられる。視線を向けた先にいたのは集まりから解散したアオバであった。
「お姉。残念だったね」
アオバをお姉と呼ぶ少女ことアキナ。アキナの外見は青みがかった黒髪であり、その顔立ちもアオバの面影があり、アバターとはいえ、どこか姉妹のような印象を受ける。
「GBBBBに来てるのは珍しいね。またバトルしたくなった?」
「……まあ。覚醒する奴らと当たらなければそれなりには楽しめるもん」
かつて覚醒を使う者に立て続けに敗北し、バトルに冷めたというアオバの妹。それがアキナなのだろう。アキナを気遣いながら話すアオバの言葉に視線を逸らしながら答える。
「──そろそろ芽が出る頃か」
アオバとアキナはそのまま何気ない会話をしている。その姿を遠巻きに見ていたのはゼノギアであった。
「……タツヤ」
ふとゼノギアの視界の端で何やら囲まれているタツヤを見かける。聞けばバトルのコツを教えてくれたりするタツヤは多くのプレイヤーに慕われているのだろう。その姿を見ながらゼノギアはどこか眩しそうにしながらもただタツヤだけを見つめるのであった。
8/21はバニーの日。小話にバニーイラストが見たいのは(7月末まで)
-
ナギサ
-
ソフィー
-
ユカ
-
アオバ
-
シオン
-
セレナ