ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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混沌

 

「──決着の時が来たようだ」

 

 決勝戦の舞台となったのは月面都市。ストライクブレイザー達の前に立ち塞がるように地面に突き刺されたGNソードIIロングの後ろで両腕を組んだガンダムルークが堂々たる姿を見せていた。

 

 その傍らにはフルアーマー騎士ガンダムをベースにカスタマイズされたアータルが駆るアータルナイト、そしてドムをカスタマイズした作られた堅牢なガンプラであるライムのドムストラグルの姿があった。

 

「成長した君達の実力、見せてもらおう」

「望むところ! マイスターも、手加減なしの本気で来てよね」

 

 気にかけていたとはいえ、初心者の集まりだったクランがここまで上り詰めてくるとは。マイスターもどこか嬉しそうに話すなか、リンは戦意を見せながらマイスター達との本気のバトルを望む。

 

「……本気、か。ならばまずはその気にさせてもらおうか!」

 

 若さを感じるその勢いにはマイスターも思わず笑みがこぼれる。しかしここからはGBBBBの頂点を決める戦い。マイスター操るガンダムルークはGNソードIIロングを引き抜くとその加速力を持って突っ込んでくる。

 

 ・・・

 

「いよいよ始まったね。この世界の頂点を決める戦いが」

 

 遂に激突するクラン・ブレイカーズとアルティメイトフォースゼロ。激しい戦闘が繰り広げられるなか、少しでも見逃さないようにとユカは映像から視線を逸らすことなく見つめ続ける。

 

「どうせならあのニューフェイス達に勝ってもらいたいもんだな」

 

 そんなユカ達に声をかけ、合流してきたのはロウヤとそのクランであった。少なくともユカとシオン、ユウヒにとっては知っている間柄なのでそのまま受け入れる。

 

「私達に勝ったんだもん! 優勝してほしいよね!」

「ふふっ、ですがマイスター達はそう簡単に勝てる相手ではありませんわよ」

 

 クラン・ブレイカーズには敗北してしまったが、今となっては思い出の一つとなっているのか、笑顔を見せるユウキに釣られるように笑いながら、シオンは決して油断できないバトルを続ける両チームを見やる。

 

「ノセなら……ノセ達ならきっと……!」

「うんっ! 絶対にマイスターにだって届く! ぜっったいに越えられる!」

 

 圧倒的な機動力を持ってストライクブレイザーを翻弄するガンダムルーク。一見すれば翻弄されているが、実際は違った。少しずつだがガンダムルークの機動力に対応しているのだ。その動きを見たソフィーはポケットに突っ込んでいた手を無意識に胸の前で手を組み、ツムギ達の勝利を祈ると、ナギサも精一杯の熱量で応援する。

 

(……本当に大きくなったね、ツムギ君)

 

 ストライクブレイザーから放たれるガンバレルでガンダムルークを追いつつ、しなやかな鞭のようにケーブルを動かし、それすらもガンダムルークの動きを阻害するトラップにする。マイスターを目指していたのはリンだけではない。ツムギとてマイスターを越えようと努力していたのだ。そのがむしゃらに食らいつく真っ直ぐな姿にユウヒは知らず知らずのうちに笑みをこぼす。

 

(……あの時の公園で蹲って泣いていた君は今は誰よりもその視線を追い越して前に走り続けている。あの時、孤独の中で見ていた滲んだ光景も、今、見ている眩しい世界も全部、君だけのものだ)

 

 かつての泣いていた少年は今や誰よりも充実しながら一つの世界のトップを競っている。よもやこのような現実が訪れるとは思ってはいなかったが、それでも疑問はない。ツムギは挑戦し続けていたのだから。

 

「頑張れ、ツムギ君。君が描いた軌跡は輝かしい未来へ繋がってるはずだ」

 

 だからこそ自分は見届ける。どのような結果になるかは分からない。それでもツムギならば、どのような結果になろうともそれを糧に強くなれる筈なのだから。

 

 ・・・

 

「……ほぅ」

 

 覚醒を発現させたストライクブレイザーから放たれる絶え間ない弾幕。その機動力で避け続けていたガンダムルークもやがては直撃を受け、マイスターは感心したような様子を見せる。

 

「凄い……。マイスター相手に押してる!」

「このままいけば……!」

 

 アータルナイトとドムストラグルと交戦しながらマイスターに直撃を与えたことを喜び、このまま戦えば勝てるのではないかとリンとリリンが確信を持とうとした瞬間……。

 

「いや、本当の勝負はこれからだ」

「あぁなったらアインも切り札を切るだろうな」

 

 だが、勝利を確信するにはまだ早い。アータルもライムも特に動揺することなく、冷静にマイスターのガンダムルークを見やる。

 

「……成程。確かに強くなったな」

 

 ツムギを侮っていた訳ではない。しかしここにきて、直撃が目立ち始める状況にツムギの成長を感じて、マイスターは不意に笑みを漏らす。

 

「……君という存在が現れた事は嬉しいよ。だからこそその強さに俺も全霊を持って応えよう!」

 

 ガンダムルークの周囲にいくつもの光が尾を引いて現れる。全力で倒さねばならない相手としてツムギを迎え撃つと決めたマイスターに呼応するようにガンダムルークは覚醒を果たしたのだ。

 

「っ!?」

 

 マイスターが覚醒を使えることは知っている。直近でもウィルを相手に覚醒した。分かってはいたが実際に目の前にした瞬間、ツムギの反応も追いつかないまま圧倒的な機動力で正面からストライクブレイザーの左腕を切り落としたのだ。

 

「だからこそ、君も……君達も全力で来い!」

 

 元々機動力を売りにしたガンプラであるガンダムルークだ。それが覚醒の力を上乗せしたことで更なる加速力を持ってしまった。覚醒という同じ土俵でもここからは実力が物を言う。

 

「そうだ。俺は……俺は1人じゃない。リンもリリンも……クランや他の皆……何よりここにはブレイザーがいる」

《──!》

 

 一転して追い詰められる状況だが、ツムギは冷静に自身の状況を振り返る。自分は1人で戦っている訳ではない。その言葉に呼応するようにブレイザーの気配を感じる。

 

「行こう、ブレイザー!」

 

 ストライクブレイザーのツインアイが煌めくと、まるで発火するようにブレイザーの蒼い光を纏う。その左顔に纏った揺らめく炎のような光と覚醒の赤き光を全身に纏っているストライクブレイザーはガンダムルークへ反撃に出る。

 

《互角、互角、互角です! 両者一歩も譲らない激戦となっております!》

 

 バトルトーナメント決勝戦もあって、レコとミスター・ガンプラによる実況と解説が盛り上げる。レコが言うようにクラン・ブレイカーズとアルティメイトフォースゼロは対等に渡り合っているのだ。

 

《我々は今、GBBBB史上最高のバトルを目撃している! 互いが持つ全てをぶつけ合う……。これこそがガンプラバトルだ!》

 

 一際、観客の視線を集めるのがストライクブレイザーとガンダムルークの激闘。輝きを纏う者達による戦いは見ている者達の心をも照らし、熱を生み出しているのだ。

 

《果たして、勝利の女神はどちらに微笑むのでしょうか!?》

 

 対峙するストライクブレイザーとガンダムルーク。緊迫感に思わずに手に汗握る中、ストライクブレイザーは真正面から突っ込んでいく。勝利の女神の微笑みが向けられる先はどちらか──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──そのどちらでもない。私に向かって、女神は微笑むのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勝利の女神の微笑みは混沌のよる介入によって曇らされてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フリーダムフリート!?」

「決勝の舞台に乱入してくるとは!」

 

 突如として決勝の舞台に現れたカオスのブラックロータス。それに続くようにフリーダムフリート四天王のガンプラがバトルフィールドに出現する。本来ならばありえない状況に流石のアータルやライムも驚きを隠せないでいた。

 

「嘘……。何であいつらがこんなところに!?」

「この決勝戦の舞台に乱入する事は不可能なはず!」

 

 リンやアータルの言うように本来ならば決勝の舞台に乱入しようなどやろうと思っていても出来ないはずだ。それが何故、目の前で現実となってしまっているのか? 

 

「……まさかシステムへの介入か! クラッキングを仕掛けていたのはお前達だったのか!」

「そんなことまで……!?」

 

 思い当たる節はあった。かつてマイスターも調査していたクラッキング問題。それが目の前のフリーダムフリートが引き起こしていた事なのだろう。GBVの使用疑惑があったフリーダムフリートだが、クラッキングまで仕掛けていたなどとは思わず、ツムギは信じられないとばかりにフリーダムフリートを見やる。

 

「この決勝の舞台……穢させるものか……!」

「決勝戦なぞどうでもいい。好きにやってくれたまえ」

 

 何か苦い思い出でもあるのか、決勝の舞台に乱入してきたフリーダムフリートに怒りを露にするマイスター。しかしフリーダムフリートの目的は決勝その物ではないようだ。

 

「じゃあ、何が目的……? まさかツムギ!?」

「無論、彼も興味深い存在だが……私の目的は──」

 

 ツムギに執着していたカオスだ。決勝が目的でないなら出場しているツムギなのか。リンの予想に対し、ストライクブレイザーを一瞥しつつも、どうやらツムギが目的という訳ではないらしく、ブラックロータスはおもむろに手を翳す。

 

「機体が……動かない……?」

 

 するとどうだろう。当然、クレールの機体はいくつもの茨のような光の輪によって拘束されたではないか。身動きの取れない状況にリリンは困惑するが……。

 

「弱き者……。汝の名は“AI”なり!」

 

 リリンをAIと口にするカオス。ブラックロータスのコックピット内で引き寄せるように指を引くと、拘束されたクレールはブラックロータスの隣まで移動させられる。

 

「フフフフフフ……。コイツの機体は私の制御下にある……。アバターを通じて感染したウイルスによってな」

「ウイルスって……まさかGBV!?」

 

 ウイルスによって制御下に置いたと語るカオス。ウイルスといえば、それこそシーナが語っていたGBVのことだろう。リンは信じられないとばかりにリリンを見やる。

 

「いったいどういうことなの、リリン!」

「ごめんなさい……。私……!」

 

 リリンがウイルスを使っていたなど考えづらい。しかしだとしても何故感染してしまったのか。問いかけるリンに対して、リリンは声を震わせる。リリンがGBVに感染したのはカルパッチョとの握手が原因だろう。話は聞いていたが、言い出せなかったことに後ろめたさと申し訳なさを感じてしまっていたようだ。

 

「ツムギ君、リン君。決着は一時、お預けだ。アータル、ライム、彼らの援護を!」

 

 GBVをGBBBBにばら蒔いていたのもフリーダムフリートによるものだろう。こうなっては決勝どころではない。フリーダムフリートを迎え撃つ為にマイスターは素早く指示を出し、アータルとライムは素早く頷く。

 

「おっと、邪魔はさせないよ!」

 

 が、その行く手を遮るようにフリーダムフリート四天王からの無数の射撃が襲い掛かり、アータルナイト達の行く手を阻んだのだ。ドーラはその姿に高らかに笑う。やはりそう簡単にはいかないようだ。

 

「先に進みたければ、我らを倒してからにするがいい!」

「倒せたら、だけどね! ニシシシシシシ!」

 

 クレールを拘束するブラックロータスの前に立ち、ストライクブレイザー達を阻むフリーダムフリート四天王。彼らも自信があるようで余裕のある態度を崩さない。

 

「リリンを返して! アタシの……アタシ達の大切な仲間なの!」

「返すと言われて素直に返すとでも?」

 

 咄嗟に飛び出すフレール。思わずリンの頬に涙さえ流れるなか、考えなしの感情に任せた動きは容易くフリーダムフリート四天王の集中砲火を浴びることなり、追い込まれてしまう。半壊状態に陥ったフレールにカオスは肩を竦める。

 

「こいつにはとても重要な役目があるのだよ。“鍵”としての役目がね」

「“鍵”……? 彼女に何をさせるつもりだ!」

「そう焦らずともすぐに君達も理解できるだろう」

 

 リリンを鍵とするカオス。GBVやクラッキングだけではなく、一体、なにを企んでいるのか、問いただすマイスターにカオスはくつくつと笑みを零す。どの道、禄でもない事が待っているのは間違いだろう。

 

「そんなこと分かってたまるかー!」

 

 だからこそリンはフリーダムフリートを睨みつける。フレールのガンプラはもう既にボロボロだ。それでもリリンを取り返さなければならない。

 

「2人とも、力を貸してくれ! 協力してここで突破する!」

「勿論です! リリンを助けないと!」

 

 マイスターからの要請に言われずともとツムギは頷く。混沌が齎した予測不能な状況のなか、ストライクブレイザーとガンダムルーク達はフリーダムフリートとの戦闘に突入するのであった。

8/21はバニーの日。小話にバニーイラストが見たいのは(7月末まで)

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