ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
フリーダムフリートによる介入により、混沌を極めるバトルトーナメント決勝の舞台。囚われのリリンとクレールの傍で佇むカオスのブラックロータスが状況を静観するなか、ツムギとマイスター達がフリーダムフリート四天王と戦闘を繰り広げている。
カオスは戦闘に参加していない為、数の差で言えばツムギ達が有利の筈なのだが、いまだフリーダムフリート四天王を1人も撃破できず、戦闘は膠着状態に陥っていた。
「リリーンッ!」
だが今はフリーダムフリート四天王に構っている暇はない。目的はリリンの救出なのだ。フレールは咄嗟にブラックロータスと拘束させるクレールの元へ飛び出していくが……。
「──攻撃っ!? どこから……」
その瞬間、フレールにビームが襲いかかってきた。咄嗟にシールドで防げたは良いものの相手は誰だ? 少なくともツムギ達と戦闘中のフリーダムフリート四天王ではない。
「私は顔が広くてね。一声かければ、すぐに助けが来てくれるんだよ」
ビームの射撃元はクラン・ブレイカーズでもアルティメイトフォースゼロでも、ましてやフリーダムフリートのガンプラでもなかった。全くの第三者のカスタマイズされたガンプラがバトルフィールドに現れ、フレールを襲ったのだ。それを皮切りにどんどんバトルフィールドに現れるカスタマイズガンプラ達。アレもカオスが手を引いているのだろう。
「他のプレイヤーのガンプラ……!? アレもカオスがウイルスの力で操っているのか!」
「GBV……。蔓延を許した結果がこれとは……ッ!」
しかしどうにもカスタマイズされたガンプラ達に意志を感じられない。まるで操り人形のようだ。ライムの言葉にマイスターは悔しさを滲ませる。このような無法など何より望んでいないからだ。
「最早、君達には事の成り行きを見守ることしかできないのだよ。かつての私がそうだったようにな……」
どんどん現れるガンプラ達。それはブラックロータスに近付けさせない為のものだろう。最後に含みを持った発言を残してフリーダムフリート四天王を含めてカオスはバトルフィールドから姿を消す。
「もうっ邪魔過ぎ! こいつらに構ってる暇はないのに!」
「リリンのところに行かないと……! でもキリがない!」
カオスを追おうにも操られたガンプラ達がその行く手を阻む。性能に差はあれど操られている為、そこまで手こずる事なく撃破は出来るが、それでも数は多く、劣勢に追いやれている。あまりの状況にリンもツムギも苦虫を噛み潰したような表情を見せる。
「俺達がギブアップすることでバトルを終了させられないか?」
「それは不可能だ。勝利条件が全ての敵機体の殲滅に変更され、途中終了も無効化されている……。奴ら全てを倒さない限り、このバトルからは離脱できないということだ」
「なんと用意周到な……!」
フリーダムフリートがいない今、ここでバトルを続ける理由はない。ライムは素早く提案するも同じ事を考えていたのか、既に確認していたアータルの返答に戦慄する。
「……システムに介入できるのであればミッションルールの改竄も可能か。これまで起こっていた不具合も恐らく……。しかし今はそんな事を考えている場合ではないか!」
とはいえそれ自体は不思議なことではない。今までマイスターが調査していた件も全てフリーダムフリートが裏で糸を引いていたのだろう。しかし今考えても仕方ない。マイスターはガンダムルークと共にその圧倒的な機動力を持って流星のような光と化し、次々にガンプラ達を撃破していき、それに続くようにストライクブレイザー達もガンプラ達を撃破するのであった。
・・・
「はあ……はあ……何とか倒せたかな」
それから数分後。粗方、操られたガンプラ達殲滅できただろう。しかし元々はアルティメイトフォースゼロとの決勝、そしてフリーダムフリート四天王とのバトル、そして今の殲滅戦。あまりに連戦続きの状況に流石のリンも疲労感が滲む。
「早くリリンを助けに行かなくちゃ!」
それよりも今はリリンのことが心配だ。すぐに動き出そうとするリンであったが……。
「えっ!?」
倒したと思っていたガンプラの一機が立ち上がり、ビームライフルの引き金を引いたのだ。連戦の状況下の中で集中力も散漫となってしまったのだろう。フレールは貫かれ、大破状態に陥ってしまう。
最早、身動きも満足にできないフレール。トドメとばかりに更に引き金が引かれた。
「──危ないっ!」
まっすぐ伸びたビームはフレールを貫こうとする。誰しもがフレールの撃墜を予感するなか、フレールの前に割って入ったものがいた。
ミスター専用ゲルググだ。両腕を広げてビームを受けてしまうなか、状況に気づいたツムギのストライクブレイザーがリンを襲ったガンプラを撃破する。
「ミスター!? 大丈夫!?」
「はっはっはっ! 心配には及ばないよ! リン君が無事で何よりだ!」
自分を庇ってくれたミスターを心配するリン。丹精込めて作られたミスターのガンプラといえど直撃を受けてしまったのだ。しかしミスターは気にするなとばかりに高笑いする。
「ありがとう、ミスター! でも、どうしてここに? 決勝のフィールドに入ってくるなんて……」
「ある意味、カオス達のお陰と言うべきかな。彼らが乱入した時にこのフィールドへの参戦条件が変更されて、誰でも入ってこられる状態になっていたんだ」
感謝もそこそこにそもそもなぜ、ミスターが決勝のバトルフィールドにいるのか。その疑問に答えるミスター。確かにルールを書き換え、バトルフィールドに乱入したのならば、その道を通ってフリーダムフリート以外のプレイヤーが参戦するのはおかしな話ではないだろう。
「そうだったんだ……。じゃあ、タオやシーナも来てるの?」
「いや、彼らは別の場所で戦っている。カオスに操られたビルダーが暴れていてね」
ならばミスターだけではなく、タオ達だって来ているのではないか? そう思ったリンだが事態は思っていた以上に複雑になっていて、タオ達はそちらの対処に当たっているようだ。
「大変じゃない! それじゃ一刻も早くみんなのところに──!」
リリンの事も気掛かりだが、今、戦っている仲間を放っておくこともできない。すぐにでもタオ達の下へ向かおうとするリンではあったが、不意にモニターが揺れる。見てみればミスター専用ゲルググが膝をついていた。
「ミスター!? ひょっとしてさっきのが効いてるんじゃ……」
「はっはっはっ! 私のことは心配無用だ。あの程度でダメージを受けるほどヤワではない」
当たりどころが悪かったのだろうか。リンに心配をかけさせないためか口ではそうは言うミスター。しかひ精巧に作られ、それだけ堅牢な筈のミスター専用ゲルググだが、至る所からスパークが走っている。
「──な、何この揺れ!?」
目に見えて危険な状態であるのは間違いないミスター専用ゲルググ。心配無用とは言ってもそうは思えないリンではあっだが不意に画面が今までの比でないほど揺れる。
「カオスが乱入した影響だろうな。フィールドが崩壊する予兆だ。アレに巻き込まれるとデータが破損……“隴? 縺檎クイ“最悪、消失するか“竏オ? カ莠・? 、? ”もしれない! “ア邵コ蜷カ? 狗クコ荵晢”急いで脱出す“スらクコ蜉ア? 檎クコ? ェ邵コ? ”るぞ!」
バトルフィールドの崩壊……。初めての出来事に動揺するリンだがその崩壊に巻き込まれればデータが危険にさらされる可能性がある。一刻も早くバトルフィールドからの離脱を推奨するミスターだが、その声の中にノイズが入り、聞きなれたミスターの声の中に女性の声が混じって聞こえてくる。
「分かった! ……ってあれ、ミスターじゃない……!?」
「何を言っているんだい。私はミスターじゃないか」
「いやいや声まで変わってるし!」
通信越しにミスターを見てみれば、あのアフロのアバターではなく、ヘアピンが印象的な長髪の女性の姿があった。とはいえ、リンの指摘に女性は何のことか分かっていないのか、ミスターの口調で話している。
「っていうか、その声、その姿……。ひょっとして……お姉ちゃん!?」
これもバグか何かなのか。しかしリンにはその女性の姿と声には覚えがあったようで驚いて様子で女性を姉と呼んだのだ。
「な、な、何を言っているんだい。私は、って、声が……? ウソッ、ミスターのアバターじゃない!? さっきの攻撃で剝がれちゃったのー!?」
女性は冷や汗を流しつつ誤魔化そうとするが、リンの指摘に対して自分の姿を見てみれば、ミスターのアバターでなくなっている事に気付き、慌てる。女性の言う通り、先程の攻撃が原因でデータが破損したのだろうか。
「な、なんでお姉ちゃんが……。ミスターがお姉ちゃんで、お姉ちゃんが……。あーもう、どういうこと!? リリンの事といい、お姉ちゃんといい、訳分かんないよーっ!」
「い、今はそれどころじゃないから! 行くよ!」
怒涛の混乱した状況に頭がパンクしてしまったリン。しかし今は悠長に話している時間はない。一先ずは脱出することが先決だ。女性の先導のもと、戸惑いながらリンはフィールドからの脱出を始める。
「──あれは……?」
その姿をマイスターが見ていた。女性に覚えがあるのだろうか。マイスターの視線はミスター専用ゲルググに注がれている。
「突っ立っている暇はないぞ、アイン!」
「我々も早急に脱出を!」
フィールドの揺れはどんどん大きくなっていく。このままではいつ崩壊してもおかしくない。足を止めてしまっているガンダムルークを見て、ライムとアータルが脱出を促す。
「……ああ、分かっている! ツムギ君も行くぞ!」
「はいっ!」
我に返ったマイスターもフィールドからの脱出を決める。近くにいたストライクブレイザーのツムギにも声を駆けつつ、マイスター達はフィールドから脱出するのであった。
・・・
「こんなところか……! アヤト、ヒマリ、離脱するぞ!」
別の場所で操られたビルダーの対処に当たっていたタツヤ達。バトルフィールドの崩壊を察知し、これ以上、長居するのは危険だろうと判断して近くにいるアヤト達に声をかける。
「──そうはいかない」
フィールド内のビルの屋上からその様子を伺っていた者がいた。ゼノギアだ。人知れず手を翳せばクレールの時同様、ソラーレRにスパークが走り、そのまま拘束されてしまった。
「タツ兄!?」
ソラーレRの状況に気付き、慌てるアヤトとヒマリだが、ソラーレRはゼノギアがいるビルの近くまで運ばれる。
「シキ……!?」
「悪いね、タツヤ。さて……」
ソラーレRのモニターからゼノギアを確認したのだろう。驚くタツヤにゼノギアは何やら通信を入れると、ゼノギアの隣にカオスが転移してくる。
「上手くやれているようだ」
「カオス……!? 一体、どういうことなんだ、シキ!」
拘束されているソラーレRを見て、ほくそ笑むカオス。しかしタツヤからすればこの状況を引き起こしたカオスの隣に何故、友人であるゼノギアがいるのか分からず、問いただすように叫ぶ。
「闇に墜ちろ、マトイ・タツヤ」
「──ッ!」
しかしゼノギアは何も答えない。カオスは一歩踏み出し、静かに呟くとタツヤは鼓動が跳ね上がる気がした。まるで内側から何かに浸食されるような……。そんな不快感が襲うなか、だんだんとタツヤの意識が朦朧としているのか、コックピット内のタツヤはふらつき始め、やがて意識を手放してしまう。
「どうしたんだよ、タツ兄! タツ兄ぃっ!」
「アヤ兄、これ以上は……!」
「データなんかよりもタツ兄の方が大事に決まってるだろッ!」
通信越しで意識を失っているタツヤを見て、普段の気だるそうな雰囲気とは打って変わって血相を変えてソラーレRの元へ向かおうとするアヤト。しかしフィールドはいつ崩壊してもおかしくない。ヒマリが止めようとするも、アヤトは聞く耳を持たなかった。
「そう慌てなくてもすぐに会えるさ。では、御機嫌よう」
そんなアヤトに不敵な笑みを見せたゼノギアは胸に手を当てて頭を下げると両手を大きく広げて、カオスとタツヤを乗せたソラーレRと共にフィールドから姿を消す。
「タツ兄ぃいっ!!」
「アヤ兄っ!」
「離せッ! 離せぇええ!」
錯乱したようにタツヤの名を叫ぶアヤト。当てもなくルーナBで追おうとするが、それをジーグリージョが羽交い絞めにして止める。何とか振りほどこうとするアヤトだが、殲滅ミッションの為、敵もいないこの状況の中ではミッションクリアの扱いとなり、強制帰還させられるのであった。
8/21はバニーの日。小話にバニーイラストが見たいのは(7月末まで)
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