ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
GBBBB全体に緊急配信が行われていた。レコ達運営側のものではない。カオス率いるフリーダムフリートによるものであった。
「GBBBBにいる全ての者へ告ぐ。私の名はカオス……。GBBBBのシステムは全て私が掌握している」
空に浮かぶは不気味なまでの赤い月。フリーダムフリート四天王のガンプラが立ち塞がる中、その後ろで地面に埋まる巨大なガンダムヘッドの上で拘束したクレールを傍に置きながらカオスはGBBBB全域へ配信を始める。
「今すぐにGBBBBを壊すこともできる。たが、このまま壊しても面白くはない。折角作り上げた舞台だ。貴様らにチャンスをやろう」
GBBBB、そしてそこにいる者達への宣戦布告。GBBBBの全てを掌握したカオスから一体、どのような話を持ちかけられるのか、誰しもが固唾を呑んで見守る。
「これはゲームだ。私がシステムを書き換えて構築したこの要塞……。ここまで辿り着き、私を倒すことができたならばGBBBBは元に戻すと約束しよう」
あくまで言葉通りゲームを行っているのだろう。GBBBBの破壊を第一にするのではなく、カオスの言葉を信じるのであればこのような形でチャンスを与えようとしているようだ。
「それが出来ぬならばこのAI諸共、GBBBBは消え去ることになるだろう! 貴様らがその意志と行動でどのような決断を下すのか、結果が見物……だな」
もしもGBBBB側がカオス撃破を失敗すればGBBBBのみならず、AIと呼ぶリリンまで消し去ろうというのだ。カオスの高笑いが響くなか、配信は終了するのであった……。
・・・
「おいおい、なんだよこれ」
「もしかして、新しいイベントとか……? いや、それにしちゃ冗談キツいよな……」
突如として行われたカオスによる宣戦布告。運営側は兎も角、それはGBBBBのプレイヤーにとってはまだ現実味がなく、混乱と困惑がロビー広場を支配していた。
「しっかし、とんでもないことになったな……。あの連中、マジでGBBBBを乗っ取ったってのか?」
配信を見ていた者達の中には操られたガンプラ達を撃破して戻ってきたタオ達やユカ達の姿もあった。そんな中、マシマは苦々しい表情を見せる。GBVによるチート疑惑程度に考えていたフリーダムフリートがよもやここまでの行動を起こすとは流石に予想していなかったからだ。
「嫌な予感が当たってしまいました……。どこかきな臭いところはありましたが、まさかここまでの事態を引き起こすとは」
「リリンやタツヤさんは攫われてまうし、その上、AIがどうとか……」
前々からフリーダムフリートを危険視していたシーナ。とはいえここまでの事態は誰にも予想できなかったろう。しかもリリンやタツヤが攫われ、その上、カオスはリリンをAIとまで言っていた。混乱は広がるばかりだ。
そうしているとタオ達の下へ決勝のバトルフィールドから戻ってきたツムギ、リン、マイスター、そしてミスターに扮していた女性がやってくる。
「あのミスターの中身がこんな美人とはね。アンタ、一体何者だ? リンちゃんと知り合いみたいだが……」
女性に声をかけるマシマ。状況が状況の為、普段のナンパのような軽々しさはみせず、どこか警戒したような視線を送る。
「私の名前はミサ。リアルではリンの従姉で、保護者なんだけど……。詳しいことはまたの機会にね。今はこの騒ぎの話が先だよ」
女性ことミサは素性を明かす。やはりツムギと2人で話していた時もリンとは親族の関係であるのは察していたが事実だったようだ。タオ達も話だけ聞いても複雑な関係であるのを察し、リアルに関しては追求はしない。何より今はミサの言うようにこの事態の方を優先するべきだろう。
「ごめん、みんな……。リリンを助けられなくて」
「うん、目の前で逃げられるのを見てるだけだった……」
「ツムギやリンのせいやないよ! 悪いのはリリンを攫ったアイツ等や!」
リリンの件が尾を引いているのだろう。暗い表情を見せるリンとツムギ。しかし2人が悪いわけではない。タオがフォローするようにフリーダムフリートが悪いのだ。
「なあ、攫われたって言ったって、そりゃゲームの中の話だろ? あんな事をされたって、ログアウトなり、強制終了なりすれば、それで済む話だよな……本来は。それがああなってるっことは……もしかしてリリンちゃん、本当にAIなのか?」
「タツヤさんのことも気になります。タツヤさんは少なくともリアルに存在していましたから」
とはいえマシマの言うように本来ならばいくらでもフリーダムフリートから逃れる術はある。しかしそれが出来ないともなれば、リリンがAIである事を裏付ける証拠になるのではないか。しかし問題はそれだけではない。ここに戻ってくる途中でタツヤの件は聞いていたが、仮にリリンがAIだとしてもツムギはタツヤと現実で会っている。タツヤはAIであるのはあり得ないことだ。
「……ああ。リリン君に関しては間違いない」
「嘘やろ……。ちょっとふしぎちゃんなとこあったけど、まさかAIやなんて……」
一先ず順に説明する必要があるだろう。リリンに関してはAIであると他ならぬマイスターから知らされる。前置きがあったとはいえ、改めて知らされた事実にタオをはじめ、にわかには信じられないといった様子だ。
「元々、奴らはGBBBB内で活動するAIを探していたようだ。その為にスパイウェアを仕込んだコンピュータウイルスを作り、拡散することで各々のクランの情報を探っていたらしい」
「そうやってリリンさんを見つけ、決勝戦に乱入し、彼女を攫った……。そういう訳ですね」
GBVをばら蒔くような真似をしていたのも、リリンもといGBBBBで活動しているAIを探す事が目的だったようだ。マイスターの説明に合点がいったとばかりに頷くシーナ。
「あいつらの狙いは一体、何なんだよ! リリンちゃんを攫ってどうするつもりだ!?」
「……詳しい話はまたの機会に。いずれにせよ、カオス達が陣取る要塞は堅く守られていて簡単には近づけない。対策を立てる時間が必要だ。それに君達にも休息は必要だろう」
耐えきれず食って掛かるように尋ねるマシマ。マイスターも今、混沌とした状況と疲労感の中で迂闊に話すことは避けようというのだろう。
「……その前にタツヤ君のことも教えてよ。彼は逃げようと思えば出来るんじゃないの?」
「……確かにタツヤはAIではない。現実に生きる人間だ。だが、それも上手くはいかないのだろう」
解散の流れになる前にタツヤについて触れるユウヒ。少なくともツムギが言っていたように彼はAIではない。なのになぜ、フリーダムフリートから逃げる事が出来ないのか。マイスターは頷きながら説明を始める。
「……6年前、GBBBBの雛形とも言える新型シミュレータのαテスト中に発生したウイルス事件。君もよく知っている筈だ」
「まさか……」
「ああ。VRの中の特殊空間に3人のガンダムブレイカーがログアウトも出来ず、封じ込まれた事があっただろう。タツヤも同じような状況に陥っていると考えられる」
マイスターの言葉に何か察したように目を見開くユウヒ。6年前の事件はよく覚えている。なにせ、その事件はユウヒがガンダムブレイカーの名を受け継いで戦った初めての舞台だからだ。その際、メインディッシュと言わんばかりにキサラギ・ショウやシュウジ、アマミヤ・イチヤの3人のガンダムブレイカーは事件の黒幕により封印されていた事があったのだ。
「でも、一体、何のためにタツヤさんを……」
だとしても何故、タツヤを攫ったのか。AIではないタツヤをわざわざ攫う理由が分からず、ツムギは思考を巡らせていると……。
「──理由は様々あるがねぇ」
その時、ロビー広場全域に声が響き渡る。アナウンスのスピーカーなどからではない。もっと外部から……。一同、周囲を見渡していると、不意にロビー広場の天井が轟音を立てて崩壊する。
「諸君、ご機嫌麗しゅう」
崩壊した天井からはGBBBBを構成する無数のデータが表示される。そんな中、一機の暗色のガンプラがガンダムルーク立像を踏みつぶしながら降り立つ。∀ガンダムをベースにカスタマイズしたターンΩという名のガンプラだ。操るはゼノギア。モニター越しに唖然とするツムギ達を見て、不敵な笑みを見せる。
「マトイ・タツヤはGBBBBプレイヤーの中でも最強格だ。そしてそんな彼が歴代ガンダムブレイカーの中でトップクラスの性能を誇るというガンダムブレイカーエストレーモに乗れば、流石に厄介でね。なので先手を打たせてもらった。彼さえ封じれば、片割れの弟程度ではあのガンプラの真価は発揮できないだろうからね」
理由は様々あると言っていたが、ガンダムブレイカーエストレーモの無力化が理由の一つのようだ。確かに頻繁にガンダムブレイカーエストレーモの戦いを見ていた訳ではないが、それでも圧倒的な姿を見せつけていた。
「……フリーダムフリートの仲間か。こんな事をして……何をしに来た!?」
「今一、現実味を帯びていないと思ってね。カオス達がGBBBBの掌握が出来たことを見せるためのパフォーマンスだ」
表立って活動していた訳ではないゼノギアとターンΩは初めて見る。しかしその口ぶりからフリーダムフリートの仲間である事は間違いないだろう。バイザーの奥で睨みつけるマイスターの視線をまるでそよ風を浴びるように流しながら答える。確かにロビー広場で実物大のガンプラが破壊活動と共に現れるなど前代未聞だ。GBBBBのシステムを掌握していないとできない事だろう。
「さて……もしここで私の攻撃を受ければ、君達のデータはどうなるだろうね」
誰もがターンΩを睨み付けるなか、そんなツムギ達にビームライフルの銃口を構える。少なくとも命を落とす事はないだろう。しかしただの人間でしかないツムギ達にとってMSサイズのターンΩに銃口を向けられる事はそれだけで威圧感があり、多かれ少なかれ恐怖を感じてしまう。ビームを収束するように銃口が輝く中、その瞬間は訪れようとしていた。
──轟音
「ほぅ……!」
アバターが誰もいない壁の方から人型の何かが突き破ってきたのだ。そのままターンΩの頭部を掴んで近くの壁に押し付け、動きを止めようとする。
「ブレイザー!?」
ターンΩを襲った何者か。それはツムギのストライクブレイザーであった。その左顔にはブレイザーの力を意味する蒼い炎のような光が溢れており、ブレイザーが単独で動かしているのだろう。
「私が通ってきた転送ゲートを利用してきたか……」
そのまま空いたマニピュレータでターンΩのビームライフルを握りつぶすストライクブレイザー。ターンΩがロビー広場をやって来た際に残っていた転送ゲートを利用することでロビー広場の近くまで来れたようだ。周辺にいたアバター達が避難するようにログアウトするなか、そのままターンΩを拘束しようとするが……。
「AIのくせに随分と獣らしいじゃないか」
ターンΩを拘束する為に少しでもターンΩが動こうとすれば殴りつけるストライクブレイザー。それはまるで怒りを示すかのように荒々しく、ブレイザーをAIと口にするゼノギアからすれば油断できぬ状況ながら面白い光景のようで余裕のある笑みを崩さなかった。
「生憎、君に構っている暇はないのだよ」
何とターンΩは毒々しくも赤い輝きを纏ったではないか。その輝きはツムギやマイスターの覚醒の光と酷似しており、誰もが驚くなか、ストライクブレイザーを押し返し始め、やがては払いのけたのだ。
「こんな場所では君も満足には戦えまい」
ロビー広場はあくまで等身大のアバターが活動する場所。それがMSサイズのガンプラが戦うなど当然ながら考慮すらされていない。故に狭さすら感じ、オールレンジ攻撃や射撃兵装の多いストライクブレイザーでは寧ろその武装はデッドウェイトにしかならず、ましてや他のアバターを守るような素振りすら見せている為、動きも大幅に制限されてしまっている。
「ブレイザァア────ッ!」
しかしゼノギアには関係ない。ターンΩは一気にストライクブレイザーの懐に飛び込むと、そのまま覚醒の光を乗せたビームサーベルの一撃を持って、胴体から蒼い光を纏う左顔ごと切り上げるようにその凶刃を振るったのだ。たまらずツムギがブレイザーの名を叫ぶなか、ブレイザーの光は露散し、ストライクブレイザーは糸が切れた人形のように近くの壁に沈み込んでしまった。
「まぁ、良いパフォーマンスにはなっただろう」
周囲の制止も聞かず、ストライクブレイザーの元へ向かっていくツムギ。その姿を横目にゼノギアは自分が通ってきた転送ゲートを利用して、ロビー広場から離脱するのであった。
「ブレイザー! ブレイザーァアッ!!」
ツインアイから光が消え、意志を感じられないストライクブレイザー。そのコックピットに乗り込みながら必死に呼びかけるツムギ。しかし今まで物言わぬまでも己の存在を感じさせていたブレイザーの気配は感じられず、ただただツムギの悲痛な叫びだけが響くのであった。
ガンプラ名 ターンΩ
元にしたガンプラ ∀ガンダム
RIGHT LONG RANGE WEAPON ビームライフル(∀)
RIGHT CLOSE RANGE WEAPON ビームサーベル(∀)
LEFT CLOSE RANGE WEAPON マスタークロス
HEAD GQuuuuuuX(オメガ・サイコミュ起動時)
BODY ∀ガンダム
RIGHT ARM ∀ガンダム
LEFT ARM ∀ガンダム
LEGS GQuuuuuuX
BACKPACK ガンダムデスサイズ
SHIELD レギルスシールド
カラーリングはプリセットのケンプファーカラー
8/21はバニーの日。小話にバニーイラストが見たいのは(7月末まで)
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ナギサ
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ユカ
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アオバ
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シオン
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セレナ