ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
ツムギは1人、夕暮れ時の公園内にあるブランコに揺られていた。ここは初めてユウヒと出会った場所。ツムギは何か思い悩む度にここに訪れていた。
「──やっぱりここにいたんだ」
ふと声をかけられて声の主を見てみればユウヒであった。少し驚いたような反応を見せるツムギにクスリと笑いながら隣のブランコに腰掛ける。
「ツムギ君と初めて会った時もこんな時間だったね」
「……そうですね」
ふとブランコに揺られながら空を見上げるユウヒ。鮮やかな茜色の空は幼かったツムギと出会った時の事を思い起こさせる。ツムギも同じ事を思ったのか、同意はするもののGBBBBやブレイザーのこともあってか表情は暗い。偶然にも初めての出会いと今とで似たような暗い表情を見せていた。
「……俺、初めて人が憎いって思いました。フリーダムフリートもブレイザーを傷つけたあのビルダーも。叶う事なら報復してやりたいって」
フリーダムフリートによってGBBBBを奪われ、ブレイザーもまたターンΩとの戦闘以降、反応がなくなってしまった。理不尽な現実を前に普段は穏やかなツムギの中でどす黒いまでの感情が芽生えているのだろう。ブランコのチェーンを掴む手に力がこもる。
「……でも、その選択肢を取った瞬間、ブレイザーはもう二度と応えてくれないんじゃないかって思ったんです」
ツムギがそう思ったに過ぎない。だが今まで我武者羅なまでの真っ直ぐな想いに応えてくれたブレイザーが誰かを傷つけるような選択肢を取った者に応えてくれる気がしなかった。だからこそツムギも心の中で芽生えた感情に対して踏みとどまっていられた。
「ブレイザーがどうなるかは俺には分かりません……。でも、せめてGBBBBは取り戻したい。色んな人に……何よりブレイザーに出会えた場所だから」
ブレイザーはあの後、ツムギがいくら呼び掛けても応えなかった。既に存在そのものが消えているのかすらも分からない。それでもツムギはGBBBBを取り戻したいと思った。自分とブレイザーを繋いでくれた場所でもあるからだ。
「……ユウヒさん。俺、新しいガンプラの名前、決まりました」
ふと以前、作っていたガンプラの名前が浮かんだようだ。ユウヒが視線を向けるなか、ツムギはユウヒを通してある人物に連絡を取る。
・・・
「急に押しかけてしまって申し訳ありません……」
それから数十分後、ツムギとユウヒはとあるマンションに訪れていた。案内されて、椅子に腰かけたツムギは向かい側に座る人物を見やる。
「それで話とはなにかな?」
ショウだ。飲み物を人数分用意しつつ、ラグナを抱えたまま応対するショウ。突然の連絡にも関わらず、快く受け入れて部屋に案内してくれた。
「ガンダムブレイカーの名前を……使わせてもらえませんか?」
ツムギの新しいガンプラの名前。それはガンダムブレイカーの名前を冠したガンプラにしようと思っていたようだ。だからこそ始まりのガンダムブレイカーであるショウに許可を取りに来たのだろう。
「良いぞ」
「……俺はまだキサラギさんやユウヒさん、タツヤさん達には遠く及びません。烏滸がましいお願いだとは分かってますが、それでも俺は……って、え……?」
「良いと言ったのだが」
無邪気にショウへ手を伸ばして構ってほしそうにしているラグナへ笑いかけるショウは二つ返事で了承する。それに気づいていないのか、己の想いを吐露しようとしていたツムギだが、ショウからの返答を頭で認識したのか、呆気に取られていると、ショウはあっけらかんとした様子でツムギを見やる。
「えっと……良いんですか?」
「君が頼んできたのに何をそんな」
「いや、こんなにあっさり許可がもらえるなんて思ってなかったので……」
あまりにあっさりとガンダムブレイカーの名前を使わせてもらえる事になったのでどこか拍子抜けしたようなツムギに何を言ってるんだとどこか呆れ交じりなショウ。とはいえ駄目元での頼みでもあった為にここまであっさり許可が下りるとは思っていなかった。
「別に俺が許可をするような話でもない。そもそもガンダムブレイカーの名前を使わせてくれなんて直談判してきたのは君位だぞ」
「まあ、ショウさんならそう言うよね。僕もガンダムブレイカーの名前を付けた時は願掛けだったし」
ガンプラバトルの世界において絶大な影響力を持つほどの存在であるガンダムブレイカー。しかしショウからすればわざわざ聞きに来るような話でもないようで一連の話を聞いていたユウヒはクスクスと笑う。
「でも、何でガンダムブレイカーの名前を使いたくなったの?」
いまだ拍子抜けしているようなツムギに対して、ガンダムブレイカーの名前を名付けるにあたって込めた想いを尋ねるユウヒ。ショウにわざわざ聞きに来るくらいだ。何かしらの想いはあるのだろう。
「……俺はGBBBBを取り戻したい。GBBBBを蝕む悪意や混沌を破壊し、皆が楽しんで輪を繋いだGBBBBをもう一度、創造したい……。そう思った時にガンダムブレイカーの名前を使いたいって思ったんです」
ガンダムブレイカーは破壊と創造を齎してきた存在だ。それを知っているからこそツムギもユウヒと同じく願掛けの意味を込めてガンダムブレイカーの名前を使いたいと思ったのだろう。
「ブレイズガンダムブレイカー……。それが俺の新しいガンプラの名前です」
混沌に支配されたGBBBBを燃え盛る炎のような眩しく強い煌めきのような光で照らす。それがツムギの新しいガンプラの名前に込めた願いだった。
「良い名前だな。君と肩を並べて戦う日はそう遠くないだろう。その時を楽しみにしているよ」
「ふふっ、ツムギ君も後輩かぁ……。何だか感慨深いねぇ」
新たなガンダムブレイカーの誕生に期待感からか笑みを見せるショウとユウヒ。ツムギも釣られて笑みを見せていると……。
「……ん?」
不意にスマートフォンの中のGBBBBのアプリが反応する。何かと思って、見てみたツムギは目を見開く。
「どうしたの?」
「マイスターからです。GBBBBを取り戻すために力を貸してほしいって」
驚いた反応を見せたツムギにその理由を聞いてみれば、どうやらマイスターからの協力要請であったようだ。断る理由はない。ツムギは即決でその申し出を受け入れる。
「……む」
程なくして今度はショウとユウヒのスマートフォンが反応する。ツムギと同じようにGBBBBのアプリの通知のようだが、内容を確認したショウとユウヒは鋭く目を細める。
「どうしたんですか?」
「……フリーダムフリート。カオス達からだ」
あまりの様子に思わず尋ねてみれば、相手はマイスターではなく、カオス達だったようだ。GBBBBを掌握しているからこそアプリを入れているショウやユウヒに直接連絡を取ってきたのだろう。
「マイスターの作戦は筒抜けみたいだね。僕達もGBBBBに来て、戦ってみろってさ」
「ガンダムブレイカーさえも倒せば、力の証明になるといったところか。タツヤ君を封じておいて、俺達にはこんな連絡を……。舐められたものだな」
ガンプラバトルにおいて影響力を持つガンダムブレイカーでさえGBBBBを取り戻せなければともなれば、それはカオス達の力の分かりやすい証明となるのだろう。とはいえ気分のいい話ではなくユウヒとショウは顔を顰めている。
「こんなのに乗るのは癪だけど僕も戦うよ。絶望を破壊し、希望を想像する……。それが僕のガンダムブレイカーに込めた願いだからね」
「……そういうことだ。ツムギ君、俺達も力を貸そう」
希望の守り手と呼ばれるユウヒ。そんな彼もまたGBBBBという希望を守る為に戦う事を選んでくれたようだ。ショウも同じようでツムギを見やると、心強い味方にツムギも力強く頷きつつ、詳しい内容の確認の為、マイスターと連絡を取るのであった……。
8/21はバニーの日。小話にバニーイラストが見たいのは(7月末まで)
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