ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak   作:ウルトラゼロNEO

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第6章 自由なる混沌への反抗
反撃の共同戦線


 

 マイスターからの連絡から数日後、GBBBBのアルティメイトフォースゼロのクランルームにはツムギ達クラン・ブレイカーズを始め、ベクルックスのメンバーが集まっていた。その殆どがマイスターの収集によって集められた者達であり、GBBBB奪還、ひいてはリリン救出作戦の目処が立ったという事だろう。 

 

「……しかしまだGBBBBがまともな状況じゃねぇな。緊急メンテナンスの後もサービスやログインに制限がかかったままだしな」

「ユーザーの皆さんの間にも不穏な空気が漂っているようですね。GBBBBのサービスが終了する、なんて根も葉もない噂も広まっているようです。宣戦布告なんてこともありましたし、先の見えない状況では、仕方のないことなのかもしれませんが……」

 

 窓から覗かせていた晴天の青空も今では毒々しいまでの不気味な瘴気に覆われてしまっている。見ているだけでも気が滅入ってしまう。それだけではない。現在でもGBBBBは多くの制限がなされており、マシマやシーナが話す通り、制限されている状況に噂は噂を呼び、GBBBBプレイヤー達の間では不穏な空気が流れているようだ。

 

「確かにGBBBBのこともリリンのことも心配やけど……。こんな大変な事態に僕らが関わるなんてもう心臓バクバクや。しかも上位クラン専用のVIPルームに呼ばれるなんてなぁ。僕なんかがここにいてええんやろか?」

「向こうから呼ばれて訪問したのですから、こちらが怖じ気づく必要はありませんよ。普段通りにしていましょう」

 

 上位クランに与えられるクランルームは最早、VIP待遇だ。室内の広さのみならず、設備も一般のクランのものとは違い、高級感さえある。自分を過小評価しているのか、あまりの事態に委縮してしまっているタオにシーナは笑いかける。

 

「お嬢は物怖じしないねぇ。それとも、こういう場所には慣れてるのかい?」

「そうなのかもしれませんね。GBBBBのVIPルームは初めてですが……。ところで、リンさんとあのミサさんという方はいらっしゃらないのでしょうか?」

 

 どこか茶化すように話すマシマに平然としたまま答えるシーナ。家柄もあってか、VIPルームの類には入り慣れているようだ。ふとシーナはこの部屋の中にリンとミサの姿がない事に気付く。周りを見渡しても確かにリンとミサの姿はなく、何も聞かされていないのか、一同、首を傾げていると……。

 

「──リン君とミサ君は遅れてくるそうだ。我々だけで始めるとしよう」

 

 クランルームの扉が開き、マイスターを筆頭にタツヤ以外のアルティメイトフォースゼロのメンバーとショウやユウヒが入室する。どうやらリン達は何か事情があるようだ。

 

「アヤトさん、大丈夫ですか?」

「俺自体は別に……。タツ兄を取り返すチャンスだって言うし」

 

 タツヤを攫われ、かなりのショックを受けていたと聞くアヤト。ツムギはすぐに声をかけると、ショック自体は受けたのは事実だが、タツヤを取り戻せる機会が出来たと聞いて立ち上がってくれたのだろう。

 

「……GBBBBの頂点にいるアルティメイトフォースゼロにガンダムブレイカー達。改めて凄いメンバーだね」

「気にすることはない。君達も結果は残し続けているし、同じビルダーだ。対等に行こう」

 

 アルティメイトフォースゼロのメンバーとショウとユウヒを見て、どこか緊張した面持ちを見せるアオバ。まさに錚々たるメンバーだ。だがマイスターも実際にバトルをしてみてクラン・ブレイカーズとベクルックスは引けを取らないという判断の元、招集したのだ。意識することはないとばかりに微笑を見せる。

 

「まぁ、まったく同じじゃあねえよな。リリンちゃん達のことを含めて、俺達の知らない情報を色々知ってるみたいだしよ」

「……確かにその通りだ。私は他のプレイヤーと少々違う立場にあると言える。GBBBBの運営側から意見を求められたり、様々な情報を得ることもあるからな」

 

 対等、と言われてもマイスターと他のプレイヤーではそもそも土台の立場からして違うというのは既にマシマに見抜かれていた。その事に関しては否定する理由はないのか、マイスターは頷く。

 

「運営と繋がりがあるってことだな」

「勿論、ガンプラバトルで便宜を図ってもらったりはしていない。私が臨むのは、全力を尽くせる公平な戦いだ。だからこそ今回のようにGBBBBそのものを揺るがす問題に対しては運営と共に対策に当たっているんだ」

 

 マイスターを信用しきれていないのか、どこか棘のある言い方をするマシマ。GBBBBプレイヤーの中で唯一、運営と繋がりのある人物ともなれば、そう思われて仕方ないだろう。それは他ならぬマイスター自身も理解しているのか、彼の想いを伝える。

 

「じゃあ、リリンやブレイザーのことも、それに関連してるっちゅうことですか?」

「ああ。順を追って説明しよう」

 

 運営と共に対策に当たるというマイスター。それが今回のリリンに関しても関連があるのか、タオの問いかけに頷きながらマイスターはクランルームにある大型モニターの前に移動するとデータを表示させる。

 

「みんなも知っているとは思うが、このシミュレータ……。GBBBBを運営、管理しているのはアウラと呼ばれるマザーAIなんだ」

「これは公表していない情報になるので取扱いには注意してもらいたいが……」

 

 モニターに表示されているのはマザーAIであるアウラ。マザーAIに関しては一般プレイヤーにも知られているが、マイスターの説明を引き継ぐように話し始めたアータルに一同、表情が引き締まる。

 

「アウラはユーザーの動向を探り、より理解を深める為、自ら調査用のアバターAIを生み出してGBBBB内に派遣してる。本来のアバターAIは決められた行動パターンで活動し、データを収集した後、アウラのもとへと帰還するとそのデータを吸収され活動を終了する。リリンも、ブレイザーもそのようなアバターAIのうちの一体として生まれた」

「調査用のアバターAI……。そんな噂は確かにあったけど、まさか本当だなんて全然気づかなかったね」

「運営用のAIが色んなデータ集めてフィードバックしてる、っていうのは前から言われていたから、その一環ということなんやね」

 

 プレイヤー達に紛れてGBBBB内で行動していたというアバターAI達。以前、アオバがツムギにそのような噂があると話してはいたが、実際、このアバターがAIだったなんて話は聞いた事はなく根も葉もない噂でしかないと思っていたが、実際は誰も気付いてはいなかっただけでGBBBB内で広く活動していたようだ。タオも噂では聞いていたようで納得したように頷いている。

 

「リリン君やブレイザーもアウラの指示の元、他のアバターAIと同じくGBBBB内で調査活動をする予定だった。しかし、何らかのアクシデントにより、リリン君達はアウラの管理下から外れてしまったんだ。その目的や知識を失った状態で」

「確証こそはないが、恐らくそのアクシデントはカオス達が以前から恒常的に仕掛けていたというクラッキングの可能性は高いだろう」

 

 AIだとしても一般常識に関しては無知のレベルであったリリン。その理由がアクシデントによって失われたものだったというのならば頷ける。マイスターの話に続きながらショウはアクシデントの可能性としてカオス達のクラッキング行為を挙げる。

 

「GBBBB内に蔓延しているコンピューターウイルス……GBVとやらもサーバーへの負荷を高めるのが主たる目的だったようだ。それだけに留まらず、ステータスを書き換えたり、ガンプラの制御を奪うなど、様々な害をもたらす厄介なウイルスだったようだが……」

「いずれにせよ、アウラの手を離れたリリン君とブレイザーはその際に偶然、リン君とツムギ君の登録データを得たことでガンプラもアバターも瓜二つの存在となり、そして君達の前に姿を現した、ということだな。最もブレイザーに関してはアクシデントもあってか、最終的にはツムギ君のガンプラその物に宿る存在となってしまったようだが……。アウラと運営陣、それを補佐する我々はGBBBB内の監視を行いつつ、行方不明となったアバターAIを捜索していたんだ。そしてそのアバターAIがリリン君とブレイザーだということが先日のトーナメントでの事件で分かった」

 

 アータルのGBVの説明。改めて聞いても厄介なウイルスだ。その後のマイスターの説明にストライクブレイザー同士の戦いなど疑問に思っていた事に一応の合点がいったのか、ツムギ達は多かれ少なかれショックは受けていたようだが一応の納得を見せる。

 

「現在、カオスはリリン君を介してアウラとシステムに干渉しGBBBBを掌握。ゲーム内を改変して自らの要塞を築き、リリンを幽閉しているらしい」

「つまり……カオスを倒してリリン君を開放しない限り、GBBBBは元の姿には戻らない。まともなプレイが出来ないということだ」

 

 宣戦布告でも流れていたフリーダムフリートの要塞。アータルが言うにはそれはリリンを介して行われているようだ。GBBBBを取り戻すためにはマイスターが言うようにカオス達の撃破とリリンの開放が重要なことのようだ。

 

「……会社側としては今回の騒動を受けて、GBBBBのサービス終了も検討していたようだ」

 

 マイスターの言葉に一同、衝撃を受ける。だがβテスト期間中にクラッキング被害に大規模な障害、トラブルの発生などその判断に至る理由は分かってしまう。

 

「このまま終わるなんて、そんなこと……!」

「安心してくれ。私や運営陣も同じ想いだ。このGBBBBの世界と、それを管理するアウラ……。そして君達プレイヤーの可能性を信じているからね。特に君達はこの短期間でバトルトーナメントの頂点の近くにまで昇りつめた実力は本物だ。それだけの評価に値する」

 

 確かにサービスその物を終了すれば、一応の解決にはなるだろう。しかしそれで大切なものを手に入れたこのGBBBBを手放すという選択肢は取れなかった。食って掛からんばかりのツムギを制しつつ、マイスターはクラン・ブレイカーズとベクルックスのメンバーを見やる。

 

「それに、ツムギ君の“覚醒”も……。そこで、だ。君達にもカオスからリリン君を奪還し、GBBBBを取り戻す作戦に参加してもらいたい」

 

 このクランルームに覚醒を使える者は何人かいるが、その上でマイスターの中で一番可能性を感じさせるのはツムギのようだ。改めて協力の要請をするマイスターに対し、集まった全員が頷く。この場に集まったのはその為なのだから。ここにGBBBBを取り戻す共同戦線が組まれるのであった。

8/21はバニーの日。小話にバニーイラストが見たいのは(7月末まで)

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