ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「本来ならばビルダーを総動員してでも挑みたいところだが……」
未曾有のGBBBBの危機ともなればマイスターの言うようにビルダーを総動員してでも対処すべき事案であろう。
「クラッキングの影響でシステムに損傷が出ている。それにカオスの側から制限がかけられてもいる。作戦に参加できるのは、極少数のビルダーのみだ」
「だからこそ我々の他にリリン君に関わりが深いクラン・ブレイカーズと実力的にも申し分ないベクルックスにお願いしようと思ったんだ」
まるでGBBBBのプレイヤー全てに宣戦布告をするかのような物言いだったが、フリーダムフリートの規模感からか、フリーダムフリートに反抗できるのは限られたプレイヤーのみのようだ。だからこそGBBBBの頂点に立つ者としてマイスターは最善のメンバーにクラン・ブレイカーズとベクルックスを選んだようだ。
「そして、作戦遂行の期限は一週間。それが会社側と交渉して、何とか得られた猶予だ。それまでにこの件が解決できなければ、GBBBBのサーバーのAIは停止される」
図らずしもGBBBBの命運を賭けて戦うことになったツムギ達。しかもメンバーはほぼここにいる者達のみだ。GBBBBという広大な世界を賭けて、しかも一週間という短い時間で取り戻すという半ば無茶な状況にプレッシャーを感じてしまう。
「……無理な話で申し訳ないが、協力してもらえないだろうか」
マイスター自身、かなり厳しい条件のなか、GBBBBを取り戻そうとしている現状を誰よりも理解しているのだろう。それでもGBBBBを取り戻す為にツムギ達に対して深々と頭を下げる。
「──話は聞かせてもらったよ!」
GBBBBを救いたい気持ちは同じ。しかしかなり無茶な話だ。重々しい雰囲気が漂うなか、それを打ち破るように入り口から声が聞こえてくる。この声はミサのものだ。
「その作戦、アタシも協力する! ダメって言われても、勝手に参加するよ!」
そしてその隣にはリンの姿があった。リリンのことにショックを受けていたリンだが、リリンを取り戻す為に立ち上がってくれたのだろう。
「せやね! マイスターの話を聞く前から、僕らの心は一つや! みんな一緒に、リリンを助けに行くで!」
「おう! 囚われの仲間を助け出す騎士なんて俺にピッタリの役どころだぜ!」
「マシマさんの場合はどちらかと言うとネーデルガンダムに突撃しそうな騎士ですが……。それはともかく、リリンさんを助けたい意志はみな同じです」
暗い雰囲気を吹き飛ばしてくれるミサとリンの存在が追い風となったのだろう。タオやマシマ、シーナをはじめ、力強く参加を表明する。
「アンタが人に頭を下げるなんてねぇ。まあ、それに免じて最後まで付き合ってあげるよ」
「どの道、君に勝ち逃げさせる気はない。その為の舞台がなくなられても困るからね」
元より協力するつもりだったが、からかうようにマイスターを肘で小突くユカ。ウィルも多忙な身の上だが、合間を見てでもマイスターへのリベンジの為、協力してくれるようだ。
「GBBBBを……リリンを取り戻す為に俺達に出来る事がある……。そう思ったからここに来たんです。今更迷いませんよ」
「……君達ならそう言ってくれると信じていた。感謝するよ」
ツムギは改めてマイスターを真っ直ぐ見据えながら答える。どれだけ障害があろうと、どれだけ時間が短ろうと関係ない。自分達は大切なものを取り戻す為にここに来たのだ。そんなツムギ達の話を聞き、マイスターは満足そうに笑う。
「ミサ君も協力してくれるかな?」
「もっちろん! と、言いたいところだけど……今まで素性を隠してた私が今更仲間に加わってもいいのかな」
ふとマイスターはミサを見て尋ねる。この場に来ているということは協力してくれると思ってはいるようだが改めて聞いてみたのだろう。ミサも協力的ではあるのだが、ミスターとして素性を偽っていた負い目があるのか、少し迷うように視線を伏せる。
「気にすることはないさ。俺は女の嘘を笑って許せる男だからな!」
「……ちょっと、人のお姉ちゃんを口説こうとしないでくれる?」
いつもの調子でミサに声をかけようとするマシマ。とはいえ相手はリンの従姉だ。流石に見過ごせないのか、リンが鋭くツッコミを入れる。
「そうだな。状況が状況だ。控えてもらおうか、なあ」
「お、おぉっ……そんなに凄むか……?」
リンだけではなく、マイスターがツカツカと歩いてきて、マシマの肩を掴みながら凄む。メタバースの為、痛みの類は感じないが、それでもマシマの肩を掴むマイスターの手が異様なまでに力が入っている気がする。普段は紳士然としているマイスターなだけにマシマは表情を引きつらせる。
「ミサ義姉さん、今更そんなこと気にする奴なんていやしないよ。素性を隠してる奴なんていくらでもいるしね。今はGBBBBとリリンを取り戻す。その気持ちがあれば十分だよ。ねぇ、マイスター?」
「う、うむ……」
ユカはミサをフォローするように声をかけながらチラリとマイスターを見やる。素性を隠している、という部分には思うところがあるのか、マシマの肩を掴んでいた手を放し、気まずそうに視線を逸らす。
「姉さん……?」
「あぁ、ミサ義姉さんはウチのバカ兄貴……アマミヤ・イチヤと付き合ってるんだよ。だからミサ義姉さんの取扱いは注意した方がいいよー? あのボッチがナンパされてるって知ったら末代まで呪いそうだしねー」
ふとユカの姉さん呼びが気になったナギサにユカはあっけらかんとした様子で答える。しかしその情報を知らないツムギ達は目を見開いて驚く。
「まあ、ナンパされたくなかったらさっさとミサちゃんの隣に戻って来いって話だけどね。ねえ、マイスター」
「……そぅですね」
ユウヒはチラリとマイスターを見ながらアマミヤ・イチヤを刺すような言動を吐く。ツムギ達からすればあまり聞かない強い言葉だが、ユウヒとアマミヤ・イチヤの間にはあまり遠慮というものはないようだ。とはいえ心なしか、どんどんマイスターが小さくなっていっている気がする。
「ふふっ、ありがと。そういうことなら、私も全力を尽くすから! ヨロシクね!」
ここに集まった一同、誰もミサを拒否するような事はしない。むしろ歓迎しているのだ。それを分かったからこそ、ミサは改めて挨拶をすると、ツムギ達は喜んで受け入れる。
「……君も来てくれるなら心強いよ。では、早速出撃しよう。一刻も早く、カオスのいる要塞を攻略しなくてはな」
「けど、どうやって要塞まで行くんですか? カオスのせいでGBBBBはメチャクチャやし……」
気を取り直してミサに対して、どこか柔らかい笑みを見せたマイスターは表情を切り替えてカオスの要塞攻略の為の出撃に意識を向ける。しかし問題はタオの言うようにどうやって向かうかだ。
「一か所だけ、要塞の入り口に通じるミッションが解放されていた。カオスからの挑戦状と言ったところだな」
「どんな罠が待ち受けているかは分からない……。だが行くしかない。入口を防衛する敵を排除し、要塞へ進攻する」
どうやらマイスターの説明ではあえて要塞へ通じるミッションがあったようだ。だが同時に罠が張り巡らされている可能性は高いだろう。しかしショウの言うように進むしかない。それがリリンを助けるための唯一の術なのだから。
「作戦に参加するメンバーは、まずは私……。それからツムギ君にお願いしたい。最後の1人は……」
「それなら俺が決めても良いですか?」
「そうだな。仲間の事は君が一番知っているだろう」
要塞の入口へ通じるミッションの攻略。重要な役目だ。出撃メンバーはマイスターとツムギ。そして最後の1人を選出しようとした瞬間、ツムギが手を挙げる。要塞攻略という重要な役割だ。単に強いだけでは務まらないだろう。だからこそマイスターはツムギに委ねる。
「ユウヒさん、一緒に行きましょう」
「光栄だね。それなら喜んで行かせてもらうよ」
ツムギが選んだのはユウヒであった。ナギサなど一部は複雑そうな顔をしていたが、ユウヒはガンダムブレイカーの1人、実力は問題ないし、何よりツムギとは気心は知れている。異論はなかった。
「ユウヒ君ならば私も安心して背中を任せられる。行こう」
「ユウヒ君、ね。むず痒いねぇ。まあ、任せてよ。君もツムギ君も僕にとっては希望の存在だからね」
マイスターもユウヒの参加には異論がなく、寧ろ快く受け入れている。マイスターからの呼称について肩を竦めつつ、笑顔を浮かべながら頼もしさを見せるユウヒ。こうしてツムギ、マイスター、ユウヒによるメンバーが決まり、出撃準備に移っていくのであった。