ガンダムビルドブレイカーズ ReBreak 作:ウルトラゼロNEO
「……ここはすでに相手の陣地。カオスは何をしてくるか分からない。十分に注意してくれ」
バトルフィールドは市街地ステージ。その上空を飛行しながらマイスターは注意を飛ばす。
「勿論。その上でマイスターには格好良いところを見せて欲しいなぁ」
「……善処しよう」
マイスターの呼びかけに対して頷きつつも、何処かからかうような物言いをするユウヒ。そんなユウヒにマイスターはどこか嘆息交じりの返答を返す。
「出てきたか。ならば……!」
そんな中、ブレイズブレイカー達を遮るように敵NPC機群が行く手を阻む。早速、マイスターがガンダムルークと共に先陣を切ろうとするが……。
「行きますっ!」
ツムギとブレイズブレイカーが動き出したのだ。舞うように軽やかに飛び上がったブレイズブレイカーはバックパックから全てのスーパードラグーンを解き放つ。縦横無尽に駆け巡るスーパードラグーン。それら全てはシステムの補助を受けながらツムギが操作していた。フルオートで動かすよりもその負担は大きい。しかし自分の意のままに動かすことによって無駄なく次々と敵NPC機群を撃破していった。
オールレンジ攻撃を避けようとした敵NPC機に対して両手に装備したビームライフルのビームが次々に貫いていく。一機のブレイズブレイカーを相手に瞬く間に殲滅させられたのだ。
「格好良いねぇ、ツムギ君」
「えっ!? あぁいや、そんなつもりじゃ……!」
元々の実力を更に活かせる程の性能を持つブレイズブレイカーはまさに圧倒的だ。その勇ましい姿にユウヒは称えるが、先程のユウヒとマイスターの会話もあってか、たちまち照れたように顔を赤くしながらアピールのつもりではないと訂正しようとするが……。
──青い閃光が走った。
敵NPC機群の第2陣が出てきた瞬間、目にも止まらない程の速度を持ってして、まさに一瞬のうちに撃破したのだ。
「マイスターも格好良いよ」
「……待て。それではまるで私がツムギ君に張り合っているみたいではないか」
ガンダムルークがGNソードIIロングの切っ先を払い、周囲を警戒している中、ユウヒからの賞賛が聞こえてくる。マイスターも先程の会話を覚えていたのか、途端に弁明しようとしていた。
「じゃあ僕も格好つけないとね」
ツムギとマイスターの弁明を心地の良いBGMのように笑みを浮かべながら、ユウヒはGNバズーカをエスペランサの胸部GNコンデンサーと直結させ、最大出力で解き放ち、どんどん現れていく敵NPC機群を呑み込んでいくのであった。
・・・
「何だか緊張感がありませんわねぇ」
バトルの様子はアルティメイトフォースゼロのクランルームで他の面々が見ていた。ユウヒのペースに振り回されるマイスターとツムギにシオンは呆れたようにため息をつく。
「あんなに楽しそうにしているユウヒは久しぶりに見たな」
「ノセっちとマイスターといるから、ですかね」
「そうだな。特にマイスターの正体を察しているし、マイスターもそれに気付いている事を分かっているから余計にだろう」
ショウとしてもユウヒが活き活きとしているのを感じているのだろう。その理由をユカが推測すると、ショウは思わずどこか微笑ましそうにクスリと笑う。
(何だかんだであの2人はよく一緒にいたし、お互いの存在が少なからず支えになっていた……。良かったな、ユウヒ)
やり取りその物に緊張感こそないが、ブレイズブレイカー達はどんどん現れる敵NPC機達を撃破していく。特にユウヒとマイスターはお互いに口に出さずとも意思疎通が出来ており、熟練の連携を見せている。その姿にショウはただただ我が事のように表情を綻ばせるのであった。
・・・
「やはり仕掛けてきたか……!」
いよいよ最深部に到着したツムギ達。そんなブレイズブレイカー達の前に立ち塞がったのはPGガンダム二機であった。簡単に終わると思っていなかったマイスターだが、PGクラスを同時に二機相手にするという状況、その圧倒的な巨躯に威圧感さえ感じる。
「……いけるな、ブレイカー」
動き出そうとしたガンダムルークとエスペランサの前にブレイズブレイカーが静かに宙に佇む。ツムギの呼びかけに応えるようにブレイズブレイカーのツインアイは一層煌めき、頭部額の装甲が展開され、主砲が露となる。
──ディスラプター
額に虹色のエネルギー波が集中すると主砲から極細のビームが放たれる。一見すればビームライフルから放たれたものと大差なさそうなものだが、シールドを構えたPGガンダムの内の一機はシールドごと横一文字に切断されたように分解され、撃破されたのだ。
「マイスター、後輩に負けてられないよねっ」
「元より後れを取るつもりはない!」
たったの一撃でPGクラスを撃破。その圧倒的な力を示すブレイズブレイカーにユウヒは触発されたようにマイスターに声をかけると、ガンダムルークとエスペランサは覚醒を発動させて飛び出す。
エスペランサの援護射撃を受けながら、まさに稲妻の如き光となったガンダムルークはPGガンダムを翻弄しつつ、各部分の装甲をどんどん損傷させる。いかに強大な敵であっても、彼らは臆することはないのだ。
「俺だって、先輩達の背中を見てるだけで終わらせるつもりはありません!」
雨のような射撃がPGガンダムを襲う。覚醒を発動させたブレイズブレイカーだ。ツムギの言葉にマイスター達が笑みを見せるなか、上空で三機は合流する。
「終わらせるぞッ!」
ガンダムルークは覚醒の力を一か所に集中させるようにその輝きをGNソードⅡロングの刀身に集中させ、巨大な光の刃を形成する。マイスターに続くようにブレイズブレイカーは全ての武装を展開した一斉射撃であるハイマットフルバーストを、エスペランサはGNバズーカによる最大出力を放ち、PGガンダムは圧倒的な光の奔流の中で消滅する。
・・・
「これは……」
PGガンダムを撃破し、カオスの要塞へ通じるゲートへ向かおうとしていたマイスター達だったが、その行く手をまるでプラモデルのランナーのような門が阻んでいた。描かれたランナーを見てみると、四つの特徴的な六角形の窪みのようなデザインが目を引く。
「──そこはタダじゃ開かないようになってるよ!」
どうにも奥へ進める気がしない。試しに触れてみようとした瞬間、聞き覚えのある声が聞こえてくる。この声はフリーダムフリート四天王の1人、ドーラのものだ。それを皮切りに門の前にフリーダムフリート四天王のガンプラ達が現れ、ブレイズブレイカー達と対峙する。
「お出迎えしてくれるなんて律儀だね。それで? そちらの親玉さんは御大層な事言ってた割には引き籠って出てこないの?」
「フッ、見くびってもらっては困るな。そのような見苦しい真似をする我々ではない」
「何が気に入らないのか知らないけど僕からすればこんな事してる君達自体、かなり見苦しいけど」
明らかに棘のある物言いのユウヒ。6年前の新型シミュレータで似たような事件に巻き込まれた事もあってか、この騒動その物には特に不快感しかないようだ。しかしそんなユウヒの辛辣な言葉もクロカンテをはじめ、フリーダムフリート四天王は圧倒的優位の立場からか、軽く流す。
「まあ、焦るよね~。だってアンタ達、時間がないんでしょ? 確か期限は……一週間だっけぇ?」
「こちらの会話は当然、筒抜けか……」
逆に煽るような言葉を吐くカルパッチョ。マイスター達に与えられたタイムリミットは確かに一週間。しかしそれは関係者以外知らないはず。しかしGBBBBを掌握しているカオス達からすれば、その程度の情報は簡単に手に入るのだろう。
「あなた達は何がしたいんです……!」
「……これはゲームだ」
現状、GBBBBを乗っ取られ、カオスがその気になればすぐにでもこの場所は失われるだろう。しかしそうはしない。だからこそその目的が分からず、ツムギは苛立ちを見せるが、グスタフは静かに答える。ゲーム……。それはカオスも宣戦布告の際にも口にしていた言葉だ。
「カオスが作ったミッションが順に解放されていく……。それをクリア出来たら、カオスに近づくのさ」
「すべて攻略できれば、丁度一週間後にカオスの元へたどり着ける……。簡単なルールだろう?」
愉快そうに説明してくるドーラとクロカンテ。確かにその言葉通りに受け取れば、左程そのミッションの内容は友く、難しいことを要求されている訳ではない。
「……何故、わざわざそんなことを」
「どーでもいいじゃん。楽しかったら、それでいいんだし! ニシシシシシシ!」
しかしどうにも回りくどさを感じる。カオス達がなにをしたいのか、見えてこないのだ。困惑するマイスター達にカルパッチョはただ愉快そうに笑う。
「それではまず第一のミッションだ。この空間を封じている4つの錠前……」
「アタシ達四天王がその鍵を1つずつ持ってるってわけ!」
「私ら全員を倒して、全ての鍵を手に入れることでカオスの待つ要塞への扉が開かれるって仕組みさ。ま、アンタ達にゃ無理だろうけどね!」
クロカンテ、カルパッチョ、ドーラによる説明がなされる。どの道、どこかで打ち倒さなければならない相手だと思っていたが、カオスの元へ向かうにはフリーダムフリート四天王の撃破は必須のようだ。
「大した自信だな……。ツムギ君達クラン・ブレイカーズはバトルトーナメントで一度、お前達を倒しているんだぞ」
「──バトルトーナメントの時と同じだとは思わない方がいい」
妙な自信を見せるフリーダムフリート四天王。しかし彼ら全員、一度はクラン・ブレイカーズに敗北しているのだ。その事を指摘するマイスターだが、不意に通信越しか、カオスの声が聞こえてくる。
「そうさ! あの時は手加減してやったが、今回は違うよ!」
「もう手加減する必要なぞどこにもない! 真の実力をもって、貴様らを叩き潰そう!」
「本気のアタシ達を見て、腰抜かさないようにね! ニッシシシシシシ!」
カオスの言葉に乗り、ドーラ達は自信ありげに口角を吊り上げる。バトルトーナメントではやはり手を抜いていたわけだ。言葉はないもののグスタフも両拳を打ち鳴らし、戦意を示している。
「フリーダムフリートが誇る最強の四天王……。彼らが全力を持って、お前達を叩き潰す。覚悟しておくがいい」
最後に締めくくるようなカオスの言葉と共にフリーダムフリート四天王のガンプラ達はブレイズブレイカー達の前から転移して姿を消すのであった。
「……ゲーム、か。本当にウンザリする」
「……全くだね。嫌な人を思い出すよ」
ただでさえ時間がない中、とんだ小細工をしてくれたものだ。あくまでゲームだと語るカオス達。このような事態を引き起こした者達がゲームという言葉を使った事に対して、マイスターとユウヒは何か嫌な人物の記憶でもあるのか、露骨に不快そうに顔を顰めていた。
「……とはいえここは一度、引き上げる必要がありそうだ」
カオス達の言葉が本当ならば、今のマイスター達ではこれ以上、進むことは出来ないだろう。意識を切り替えるように一息ついたマイスターはツムギとユウヒに指示を出し、一度、帰還するのであった。