俺とバカたちと召喚獣   作:無津伊

20 / 21
《前回のあらすじ》
願いは不可能を可能にする。
(※場合によって恐ろしいセリフになります)


第19問

カチッカチッとAクラスに備え付けられた電子黒板の上にある時計が時を刻む。

 

……そして時計の短針が2を、長針が0を指した時、黒板の前でパソコンを操作していた学年主任の高橋が口を開いた。

 

 

 

高「……それでは時間になりましたので今からFクラス対Aクラスの試召戦争を始めます。両名共、準備はよろしいですか?」

霧「……大丈夫です」

雄「………………」

高「…………Fクラス代表の坂本君?」

雄「………………」

霧「…………雄二?」

雄「…………はっ!」

ーーーーと、ようやく雄二が二人の呼び掛けに気付いたようだ。

高「大丈夫ですか坂本君?なんだか顔色が悪いですよ?」

雄「……いや、問題無い……大丈夫だ……」

高「……それに後ろにいるFクラスの生徒たちも体調が優れて無いように見えますが……」

全『『『『…………(グタッ)』』』』

高橋先生が言った通り雄二の後方に待機しているFクラスの野郎共は地面に倒れ込んでいた。

島「……ねぇ瑞希……ウチがFクラスを出ていった後何かあったの?」

姫「いえ、別に何も無かったんですけど……皆さんどうしたんでしょう……? 」

その野郎共を見ながらFクラスの女子二人は首を傾げていた。

……彼女たちや高橋女史は知る(よし)もない……10分前、零斗たち5人がクラスメイトたちの努力(その半分は秀吉の人工呼吸狙い)によってこの世に生還したことは……

雄「……高橋教諭に翔子……すまないが一分だけ時間をくれないか?」

高「私は全然かまわないのですが……霧島さん、大丈夫ですか?」

霧「……大丈夫……かまわない……」

雄「……すまない、直ぐに済ませる」

そう言ってからクルリとFクラス陣営の方に体を向けた。

雄「……ムッツリーニ!ちょっといいか?」

ム「…………何?(グタッ)」

雄「ちょっと頼みがある。この試召戦争が終わったらーーーーーーーーしてくれないか?」

ム「……面倒くさい……」

雄「……んじゃあ報酬は聖典(エロ本)三冊でーーーー」

ム「任せておけ(キリッ)」

雄二が報酬の話をしたとたん、ムッツリーニは目を光らせてグッと親指を突き出した。

雄「交渉成立だな。……お前ら!頑張って立ち上がってくれ!このままじゃ試召戦争が始まらないぞ!」

ーーーーと、雄二がクラスメイトにうながすがーーーー

明「……うう……無理だよ……体が痺れて立てないし……」

城「……ああ……やべぇ……少し吐き気が……」

秀「ワシも結構……キツイのじゃ……」

『『『『…………(グタッ)』』』』

ーーーー誰一人立ち上がる者はいない。

雄「……ったく……分かった分かった。んじゃあ今頑張って立った奴にはーーーー」

明「……何かくれるの?」

城「いやいや、それは無いだろ」

須「物で釣っても俺たちは立てなーーーー」

雄「ーーーームッツリーニ特製、秀吉のブロマイドをやろう」

『『『『おっしゃあ!やるぞぉ!(ガバッ)』』』』

秀「ワシは一言も了承してないのじゃが!?」

さすが秀吉のブロマイド……Fクラスの野郎共に効果は抜群だ。

島「……コイツら本当に……バカね……」

姫「ははは……」

それを見ていた島田はため息をつき、姫路は失笑していた。

雄「……待たせたな、高橋教諭に翔子。準備万端だ!」

高「……分かりました……それでは……」

高橋先生がパソコンをカチカチと操作すると、パッと天井にあるスポットライトに明かりが灯った。

高「……一回戦を始めます。両代表、前へ!」

そう高橋先生が言うとAクラス陣営からゆっくりとした足取りでボブカットに眼鏡を掛けた女子生徒が出てきた。

……そしてFクラスからはと言うとーーーー

雄「よし!明久、行ってこい!」

明「ええっ!?ぼ、僕!?」

ーーーー明久が指名されていた。

雄「ああ、そうだ。行ってこい」

明「行ってこいって簡単に言ってるけど僕のテストの点数はーーーー」

雄「あのなぁ明久」

雄二は明久の肩にポンッと手を置いてから言葉を続ける。

雄「確かにお前はテストの点数が悪い。……でもな、お前にだって一つぐらい得意な科目はあるだろ?」

明「……なんだそう言うことか……分かった、行ってくるよ」

雄「ああ、俺はお前のことを信じてるからな」

明久は雄二の言葉で何かに気付いたらしくスタスタとAクラス陣営の方へ歩いて行った。

『……ん?アイツ……誰だ……?』

『確か……吉井明久じゃないか?ほら、学園創立以来初の観察処分者で有名な』

『学校新聞にも取り上げられていたわね。……確かバカの極み……だったっけ?』

『なんでそんな奴が出てくるんだよ』

『吉井の奴、得意な教科でもあるのか?』

『さあな……まっ、多分いつもの冗談だろ』

明久が前に出てきた瞬間、Aクラス内がざわついた。ほとんどがAクラス生徒の声だが……何故かそこにクラスメイトの声も混ざっている。

城「……なぁ雄二……明久で大丈夫なのか?」

島「そうよ坂本。アキが行くよりウチが行ったほうがーーーー」

雄「まぁ落ち着けって城之一に島田。アイツを信じておけ」

城・島『…………』

ム「……そろそろ始まる……」

ムッツリーニが言った通り両陣営の間に明久と女子生徒が対峙していた。

 

 

 

佐「佐藤美穂と言います。よろしくお願いします」

明「僕は吉井明久。よろしくね。……早速だけど……降参してくれないかな?女の子を痛めつけるのは好きじゃないんだ」

 

ザワザワ……っと教室が雑音に揺れた。

 

佐「……(ムッ)……残念ながらそうにはいきません。私にもAクラスのプライドがありますから」

明「……それじゃあしかたがないね……本気でいかせてもらうよ」

明久はグッと両手を強く握った。

高「吉井君、科目はどうしますか?」

明「……家庭科でお願いします」

 

 

 

『『『『家庭科!?』』』』

明久が科目を選択すると教室にいるほとんどの生徒が驚いた。

城「……そ、そういえば忘れてたが家庭科もテストをしたな……」

島「坂本!アキは家庭科が得意なの!?」

雄「……実はそうなんだ。アイツは一年の頃から家庭科だけはーーーー」

……と、雄二は少し言葉を溜めてからーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄「ーーーー毎回150点以上取ってるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高「それではーーーー始めてください!」

明・佐『『ーーーー試獣召喚(サモン)!』』

二人は同時に召喚した。

まず姿を現したのは佐藤の召喚獣。ネイティブアメリカン風の服を来ており手には鎖鎌を持っている。

そして明久の召喚獣はーーーーいつも通り学ランに木刀だった。

気になる得点はーーーー

 

 

 

 

『家庭科

Fクラス・吉井明久 152点

VS

Aクラス・佐藤美穂 204点 』

 

 

 

 

 

『『『『152点!?』』』』

点数が現れた瞬間、更に大きく教室がざわついた。

『152点ってBクラス並の成績じゃない!?』

『アイツ本当に観察処分者か!?』

『なっ!?よ、吉井が152点だと!?』

『『『『そんなヴァカなっ!?』』』』

……なんだかAクラスの生徒よりクラスメイトの方が驚いている…………ってか『バカ』の発音めっちゃいいな。

雄「……予想通り……だな」

秀「やっぱりいつ見ても明久の家庭科は点数が良いのぉ」

ム「…………(コクコク)」

島「152点なんてすごいじゃないアキ!」

姫「明久く~ん!頑張って下さいっ!」

雄二たちもそれぞれの声をあげていた。

……ん?家庭科といえば……

城「……なぁ姫路。家庭科の点数はどんくらいだ?」

姫「え?家庭科ですか?」

姫路はキョトンとまばたきをしてからーーーー

姫「……確かいつも80点ぐらいです。……勉強は頑張っているんですけど全然点数が上がらなくて……」

全『『『『………………』』』』

……うん、なんか予想通りだ。

 

 

 

佐「……あなた……Fクラスですよね?」

明「そうだけど……家庭科だけは結構得意なんだよね……」

佐「……でもちょうど良いです……気が引き締まりましたから」

明「そっか……それじゃあ……始めよっか!」

佐「絶対に……勝ちますっ!(ダッ)」

ーーーーと、佐藤の召喚獣が走って勢いをつけてーーーー

佐「やぁっ!」

ーーーー手に持った鎖鎌を振るってきた。

明「よっ……と」

しかしそれを明久は難なく回避した。

佐「まだまだっーーーー!」

そう言って佐藤は何度も鎖鎌を振り回すがーーーー

明「残念だけど……っと……当たらないよ」

佐「……な、なんで……攻撃が当たらないの……?」

明「うーん……なんでって言われてもなぁ……観察処分者だからかな」

佐「ううっ!次こそ当てます!」

再度、鎖鎌を振り回しながら召喚獣がダッシュしてくるがーーーー

明「そろそろ……いきますかぁっ!」

佐「え?ーーーーきゃあっ!?」

ーーーー明久の召喚獣は鎖鎌を前に倒れるようにして避けると小手、胴、背中の順に木刀で叩きつけた。

明「まだまーーーーだぁっ!」

佐「あっ!?」

更にクルッと体を反転させ振りかえると怯んでいる佐藤の召喚獣の首に木刀を打ち込んだ。

 

 

『家庭科

Fクラス・吉井明久 152点

VS

Aクラス・佐藤美穂 163点』

 

 

明「……急所に攻撃したのに……やっぱり木刀は辛いな……」

さっきの攻撃で補正された得点を見て明久はため息をついた。

 

 

 

『……お、おい……なんだか押されてないか?』

『アイツ……召喚獣の操作が上手いな……』

『こ、このままじゃ……』

『おっしゃ!いいぞ吉井!』

『『『『吉井ファイトぉ!(ドンドンパフパフ)』』』』

雄「よし……なんとかいけそうだな」

秀「結構押しているのぉ明久」

ム「……このままいけば……勝てる……!」

押している明久を見て三人はそう言った。

城「明久の奴、召喚獣の操作上手すぎだろ……」

島「よく避けきれるわよね……」

姫「明久君は本当にすごいです!」

……と、零斗たちが感心している間も戦いは続く。

 

 

 

明「よいしょとっ!」

右斜めから襲ってきた鎖鎌を後ろに流すような感じで木刀を振り、相手の攻撃をギリギリで避ける。そしてさっきと同じように小手、胴、背中の順に木刀で叩いた。

 

 

『家庭科

Fクラス・吉井明久 144点

VS

Aクラス・佐藤美穂 85点』

 

 

佐「……攻撃をかすめることしかできないなんてっ……!」

佐藤はくやしそうに歯をギリギリと噛んだ。

明「……どう?降参する気にはーーーー」

佐「なりません!……大体なんであなたはこんなに攻撃を避けることがてきるんですかっ!?」

少しヤケになっているのか人差し指をピッと明久に向けながら佐藤は質問した。

明「……だからそれは僕が観察処分者でーーーー」

佐「いいえ!それ以外に何か秘密があるんじゃないかと私は疑います!!」

明「うーん……秘密……ねぇ……」

明久は首を傾げて少し考えてからーーーー

明「……そう言えばまだ誰にも言ってない秘密があるなぁ」

佐「え!?そ、それは何ですか?」

……と、明久に問い詰める佐藤。

 

 

……ここで明久が『軽い冗談を言おう』なんて思わなければ普通に勝利していただろう……

 

 

明「……それがね……実は僕……」

佐「………………(ゴクリ)」

明久は左手をサッと持ち上げてから言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明「…………左利きなんだ(キラッ)」

 

 

佐「………………(イラッ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高「Aクラス、佐藤さんの勝利です」

高橋先生がそう告げるとAクラス陣営はドッと盛り上がった。

……明久が左利きだとカミングアウトした直後、激昂した佐藤は目にも止まらぬ早さで鎖鎌を振るい、明久自身と同じポーズをとっていた召喚獣の首を刈り取って決着がついた。

島「アキっ!何やってんのよアンタは!そのまま普通に戦ってたら勝ってたのにぃっ!」

明「み、美波!ただでさえフィードバックで傷ついて痛いのにさらに技をかけて関節を外そうとしないでぇっ!」

島田がぐぐぐっと両腕の間接を曲げている。……まぁそれも仕方ないだろう。勝てる試合を逃したのは本当に勿体無いのだから……

雄「……よし!勝負はこれからだ!本気でいくぞ!!」

明「ちょっと雄二!?僕を信じてるんじゃなかったの!?」

雄「勝つ方に信じていたわけじゃない!」

明「キサマを本気の右で殴ってやるっ!」

やっぱり右利きなんじゃねーか。

高「……次に二回戦を始めます。両代表、前へどうぞ」

と、明久が暴れているのを横目に高橋先生は言った。

雄「よしそれじゃあ……城之一、行ってこい」

城「ん?俺?」

雄二は二回戦に零斗を指名した。

……さて、俺の出番が来たようだ。

雄「……科目は……分かってるな?」

城「ああ、分かってる。……んじゃ行ってくるな!」

零斗は踵を返してAクラス陣営の方へ歩き出した。

姫「城之一君!頑張ってきて下さいっ!」

島「城之一!頼んだわよ!」

秀「応援してるぞい!」

Fクラスの女子三人の声が後ろから聞こえた。

城「おう!まかせとけ!」

それに零斗は左腕をぐっと上げて答えたのだった。

 

秀「……む……今一瞬、誰かに女扱いされた気がしたのじゃ……」

 

うし!コイツらのためにも勝たねぇとな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城「マジかよ……」

 

零斗は前方から歩いてくる女子生徒を見てそう呟いた。

何故ならーーーー

 

 

優「……まさか……私の相手がアンタだとはね……」

城「……ゆ、優子……」

 

 

ーーーーその女子生徒は零斗といろいろトラブルがあった(※第二問参照)木下優子だったからだ。

 




他の方の作品を読んでいて気付いたのですが……優子さんの一人称は私ではなくアタシでしたね……
……修正しようかな……どうしよう(迷)

それともし誤字、脱字がありましたらご報告よろしくお願いします。

※追記
こちらの事情でこの作品の明久は右利きになっています。オリ設定を急に増やしてしまい申し訳ございません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。