俺とバカたちと召喚獣   作:無津伊

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《前回のあらすじ》
クラスメイトが個性的すぎました。


第5問

城「よっこいしょっと」

零斗は全く綿の入っていない座布団に腰をおろした。

福「おや、姫路さん。来ていましたか」

姫「すいません、保健室に行ってたので遅れてしまいました……」

福「そうでしたか。では自己紹介をしてもらえますか?」

姫「はい、わかりました!」

そう言って姫路はピシッと起立した。

姫「え…えっと…………ひ、姫路瑞希といいます!これから一年間よろしくお願いします!」

そのあと姫路はペコッと90度のお辞儀をした。

『あの!質問いいですか?』

Fクラスの誰かが挙手をしてそう言った。

姫「あ、はい!なんですか?」

『なんでFクラスなんかにいるんですか?』

聞きようによっては失礼な質問だがFクラスの全員(零斗、明久、雄二以外)が疑問に思っていることだろう。

姫「そ、それが……テストのとき熱が出て途中退席してしまって……」

そう、文月学園ではテストの途中退席は0点扱いとなってしまう。なので途中退席してしまった姫路は点数を取れなくてFクラスになってしまったのである。

『そういえば俺もテストの時熱が出て……』

『どうせ微熱だったんだろ?』

『俺、その時実は病気で入院してて……』

『お前、テストが終わったあと俺と一緒に遊ばなかったか?』

『テストの前の夜、彼女が寝かせてくれなくて……』

『嘘つくな、彼女いない歴16年と8ヶ月野郎』

うわっ、予想以上にバカばっかりみたいだ。

姫「あ……えと……と、とりあえずよろしくお願いします!」

福「はい。姫路さん、ありがとうございました。次はーーーー」

姫「はふぅ……緊張しましたぁ~……」

そう言いながら姫路は座ろうとする。

雄「姫路、気をつけろよ。座る時スカートの一瞬のひるがえしを見逃さずにその中を覗くムッツリスケベがいるからな」

ム「…………っ!(ブンブン)」

姫「は、はうあっ!(バッ)」

姫路はとっさにスカートを押さえた。

秀「……ムッツリーニよ……そんなに全力で否定しなくてもいいじゃろ?」

明「それに頬に、畳のあとがついてるよ?」

ム「……これはさっき畳の上で寝たから」

島「土屋はさっきからずっとカメラの手入れをしてなかったっけ?」

ム「…………」

康太は何もしゃべらない。

城「(よし、それなら……)なあ、康太。聞きたいことがあるんだけど」

ム「…………何?」

城「………………何色だった?(ボソッ)」

ム「みずいろ」

確信犯じゃねーか。

城「……康太のあだ名が何故ムッツリーニなのかわかったような気がする……」

島「……ウチも……」

明「やっぱり覗いたんじゃないかムッツリーニ!」

ム「…………っ!(ブンブン)」

秀「いや、もうさすがに否定せんで良いのではないか?ムッツリーニ?」

ム「…………っ!(ブンブン)」

雄「もうここまで否定したら逆に尊敬しちまうぜムッツリーニ……」

確かに呆れを通り越して尊敬してしまう。

福「ーーーーございました。では吉井君、自己紹介をお願いします」

明「あ、僕の番だ。はーい」

明久はよいしょっ、と言いながら立った。

明「(……うーん……やっぱり自己紹介はつかみが大事だよねー)」

自己紹介は漫才ではないのだが。

明「(……よしっ……だったら……)……えー……吉井明久と言います。みんな気軽にダーリンって呼んでね♪」

『『『『ダァーリィーン!!!』』』』

 

 

…………ヤバい、予想以上に不快だ……

 

 

明「……コホン、失礼、やっぱり普通に呼んでください。とにかくよろしくお願いします」

そう言って明久は座った。

城「……明久……さっきのは予想以上に不快だったんだが……」

明「……僕もだよ零斗……あぁ、吐きそうだった……おえっ……」

どんだけ不快だったんだ。

福「はい、ありがとうございました……次で最後ですね。では代表の坂本君、前に来て自己紹介をしてください」

……と、いつの間にか自己紹介は最後になってしまっていた。

雄「うーい。……んじぁいってくるな」

そう一言いい残して雄二は黒板の前に立った。

雄「えー、俺がこのクラスの代表の坂本雄二だ。まあ代表か坂本かどっちかで呼んでくれ」

明「雄二~、クソ野郎って呼ぶ選択肢が無いよ~♪」

明久が冗談めかしにそう言うがーーーー

雄「黙れ明久。後でシバくぞこのバカ野郎」

明「…………」

ーーーー雄二は言葉の暴力で敵(明久)を一掃した。

雄「……気を取り直して聞くが…………ボロい畳みに脚の折れた卓袱台、綿の入っていない座布団に汚い黒板…………この設備に不満はないか?」

『『『『………………』』』』

Fクラスが一瞬静かになる。そしてーーーー

 

 

 

『『『『おおありだぁーーー!!!』』』』

 

 

 

ーーーーFクラスのほとんどの生徒がそう叫んだ。

『大体、格差社会って言ってもこれはひどすぎるだろ!?』

『そうだそうだ!人間は皆、平等であるべきだ!』

『Aクラスの設備を見たか?俺たちの教室とは天と地程の差だったぞ!』

『なにぃ?Aクラスはシステムデスクだとぉ?うちは卓袱台だぞ!?』

……と、いろんな文句が出始める。

雄「……だが俺たちは所詮Fクラスだ。そのようなことを言っても負け犬の遠吠えにしかならないだろう」

『『『『た、確かに…………』』』』

Fクラスがもし設備の改善を要求しても絶対に先生たちは聞き入れてくれないだろう。

雄「しかしっ!俺たちの学校にはあるじゃないか!……試験召喚戦争というものがなっ!」

『『『『!!!』』』』

そうだ、まだ彼らに希望はあった。

『で、でも俺たちで他のクラスに勝てるのか?』

『もし負けてしまったら設備のランクが落ちてしまうぞ!?』

『こ、これ以上設備のランクが下がるなんて絶対に嫌だからな!』

『姫路さんがいれば何もいらない!』

所々から不安の声があがる。

雄「心配はいらない、勝算はある……それに俺にはAクラスに勝てる自信がある!」

『『『『おぉ!!!』』』』

雄二は力強くそう言い放った。

雄「まあ、このFクラスにはそれだけの人材がいるのだからな……早速紹介していこう……まずは島田美波!」

島「え?ウチ!?」

島田は驚きの声を出した。

雄「こいつはドイツからの帰国子女だ。それに明久を殺すことに関しては右に出るものはいない!」

明「ゆ、雄二!?何を言ってーーーー」

島「いやぁそれほどでも/////」

明「そこは照れるところじゃないよ島田さんっ!」

明久はツッコミを入れるのに一生懸命になっていた。

雄「さらに木下秀吉!こいつは演劇のメイクや声帯模写が得意だ。試召戦争に大いに役立ってくれるだろう!」

『木下秀吉と言えば演劇部のホープじゃないか!』

『男と女の垣根を超越した存在だと聞いているぞっ!』

秀「うーむ、酷い言われようじゃのぉ……まぁあまり期待せんでほしいのじゃがな……」

秀吉は複雑な表情を浮かべながらそう言った。

雄「そしてさらにーーーー……おい康太、姫路のスカートの中を頑張って見ようとしてないで諦めてこっちにこい」

姫「は、はうあ!(バッ)」

城「まだ諦めてなかったのか!?」

ム「…………っ!(ブンブン)」

康太は否定するがその右の頬にはくっきりと畳のあとがついている。

雄「皆驚け、この土屋康太の正体はムッツリーニだ!」

『『『『な、なにぃ!!!』』』』

雄二の言葉にFクラスはどよめいた。

『む、ムッツリーニってあのムッツリ商会を経営している奴か!?』

『彼はムッツリスケベなことを隠し続けている気になっているらしいぞ!』

『すげぇ!俺、初めて見たぞ!』

ム「…………っ!(ブンブン)」

明「ムッツリーニ!もう否定はやめてっ!なんだかすごく見苦しいよ!」

秀「ここまできても否定するのかの……」

ムッツリの名に恥じない否定っぷりである。

雄「ムッツリーニの成績は総合点数で見れば低いが保健体育だけは学年首席の霧島翔子をも圧倒する点数をとっている!ムッツリーニにはFクラスの瞬間火力になってもらうつもりだ。よろしくたのむぞ」

ム「…………(コクコク)」

首席を圧倒する点数か……ムッツリーニは意外とすごい奴みたいだ。

雄「そしてこのクラスにはなんとあの姫路瑞希だっている!」

姫「え?わ、私ですか!?」

姫路は照れながら驚いた。

『そ、そうだ!俺たちには姫路さんがいるじゃないか!』

『姫路さんがいれば俺は頑張れるぞ!』

『みんな!姫路さんのために頑張ろうじゃないか!』

『姫路さん、君を愛してる!』

まて、さっきから姫路に愛の告白をしているのは誰だ。

雄「姫路、お前はうちの大事な戦力だ。期待しているぞ!」

姫「は、はいっ!頑張ります!」

姫路は手のひらをぐっと握りながらそう言った。

雄「さらにさらにさらに!謎の転校生、城之一零斗だっている!」

『謎の転校生だと!?』

『なんか響きがいいな!』

『マンガとかで転校生が活躍するのはお約束だからな!』

城「……なんだ?謎の転校生って?……」

零斗は謎の転校生という言葉に疑問をいだいた。

雄「城之一には……………………まあ…………色々と頑張ってもらう!」

城「まてっ!なんだその妙に長い間はっ?それになんか適当だな!」

雄「…………気のせいだ」

城「いやいや!絶対に気のせいじゃーーーー」

雄「もちろんこの俺も全力を尽くす!」

城「無視すんなこのバカ野郎っ!」

雄二はあっさりと零斗を無視した。

『なあ……もしかしたらいけるんじゃないか?』

『ああ!なんだか勝てる気がしてきたぞ!』

城「……それにしても雄二はすごいな!クラスの士気が確実に上がってきているぞ!」

明「まあ、雄二は小さい頃に神童と呼ばれてたほど頭が良かったみたいだからね。さすが雄二だよ!」

島「やっぱり神童の名は伊達じゃなかったのね!」

零斗たちが雄二を感心しているとーーーー

雄「……だがな、このクラスにはさらに秘密兵器がいる」

ーーーーそんなことを言い始めた。

『秘密兵器だと?』

『まだすごい奴がいるのか!?』

またFクラスの士気が高くなりつつあった。

雄「そうだ!そいつの名前は…………吉井明久だ!」

 

 

『『『『………………(シーン)』』』』

 

 

あ、士気が一気に赤色の危険ゾーンにーーーー

明「ちょ、ちょっと!?何でそこで僕の名前を出すのさ雄二!一気に士気が下がっちゃったじゃないか!」

『……誰だ?吉井明久って?』

『……聞いた事がないぞ?』

明「ほら!誰も僕のことを知らないじゃないか!」

明久は雄二を忌々しそうに睨み付けた。

雄「誰も知らないのか?こいつが学園創立以来初めてのあれだってことを…………」

明「あっ!ゆ、雄二、その話はーーーー」

『そういえばこいつ、文月学園の新聞に出てなかったか?

【学園創立以来初!吉井明久、観察処分者になる~バカの極み~】

って見出しで』

明「(あ、言っちゃった)」

ちょっとまてなんだその見出しは。何故かすごく気になるぞ。

『あ!こいつ学園創立以来初の観察処分者だぞ!』

『何っ?観察処分者だとぉ!?』

『す、すげぇ……バカのオーラが回りに出てる!』

明「うわぁ!すごい言われ様!ひどすぎるっ!(泣)」

明久はしくしくと泣き始めた。

『なぁ、観察処分者ってバカの代名詞じゃなかったか?』

雄「あぁそうだ!こいつは観察処分者ーーーーつまり学園創立以来初の大バカ者ってことだ!」

明「うわぁっ!穴があったら入りたいっ!」

そして今度は頭を押さえながら恥ずかしがっている。

雄「でもな、そんな観察処分者にも利点はある!召喚獣で先生にこきつかわれているうちに操作技術が向上したり、普通の召喚獣にはない物理干渉能力があったり、召喚獣からのフィードバックがあることだ!」

『『『『おぉ!!!』』』 』

城「……だとよ明久!お前は自分の使命をまっとうして戦死できるらしいぞ!」

明「僕が戦死することは決定事項なのっ?っていうかそれはさっきの話と全然関係ないよね!?」

雄「……まあこれまでに話した明久のことは全部忘れてもいい」

明「だったらなんで僕のことを話したんたよぉっ!」

……ヤバい……明久がディスられすぎている……

雄「……お前らに沢山不満はあるか?あるなら総員ペンを執れ!出陣だぁ~!」

『『『『おぉ~~!!!』』』』

 

 

 

 

 

~試召戦争準備中~

雄「よし、明久。お前がEクラスに宣戦布告してこい」

Fクラス代表自らが明久に宣戦布告をお願いしていた。

明「……いや、でもさ、宣戦布告しに行った使者って普通、痛い目に合わない?」

明久の言う通りだ。下位クラスが上位クラスに宣戦布告する場合、使者に行った人はほとんどの場合で敵クラスの暴行にあう。

雄「何を言ってるんだ明久。イケメンのお前がそんなことされるはずがないだろ?それにEクラスにはイケメン好きが多いと聞くしな」

明「そうだよね!イケメンの僕がひどい目に合わされるわけないよね!じゃあ行ってくるよっ!(ダッ)」

そう言って明久は教室を出ていった。

…………本当に……なんて言うか……明久は……

城「あいつは…………やっぱり本物のバカだな……」

雄「確かに明久はバカだがな良いところもあるんだぞ?」

城「……ふーん……そうなのか?」

やっぱりこいつらの間には友情と言うものがあるのか……

雄「あぁ。あいつの良いところはなーーーー」

やっぱり優しいところか?それとも仲間思いなところとか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄「ーーーーバカの分、扱いやすいってところだ」

城「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……やっぱりこいつらの間に友情なんてひと欠片もなかった……

 




次回はいよいよEクラス戦がはじまります。
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