「へ、ヘルプミー……アイアム、夜兎……」
頭がクラクラする……陽に当たりすぎた。
もうだめぽ……。
「銀ちゃん!!なんか小汚い女が今にもゲロ吐いて野垂れ死にしそうアル!!」
女の子の甲高い声が耳元で聞こえ
「もしもーし!!月の裏側の人聴こえるアルかー!!」
耳をぐっと鷲掴みにされて大音量に脳みそを揺らされる。
「耳元でデカい声を出さないでェ゙ェ゙!!ブオェォ……」
あまりの衝撃に吐いてしまった。
「銀ちゃん!!万事屋の玄関ゲロまみれになったアル!!」
「オイイイイ!?何してくれてんだ!!」
、、、
「でー……お姉さん、名前、職業、種族について教えてくれるかな。」
ソファの上に座らされて圧迫面接が始まった。
目の前にはピンク色の髪の少女、白髪の死んだ男の目をした魚、眼鏡がいる。
「オイイイイ!!男の目をした魚って!!銀さん魚になっちゃってますよ!!というかなんで当たり前のように僕は眼鏡なんですか!?人間ボディを見てくださいよ!!」
時を戻そう。
「坂田銀時だけに?姉ちゃんに座布団1枚!ぱっつぁん座布団持って来るネ!!」
「僕は山田くんじゃねーから!!」
コホンと咳払いをした。
「私は
テーブルに肘をついて手を組み、鋭い眼差しを放った。
「シャガト?お姉さんシャカラビに許可取ってんの?あのねー使う名前にも気を使ってもらわないとさぁ。普通は『ミョウジ・ナマエ』なの。お姉さん『しきたり』って分かる?まーたゲンドウポーズなんか……『IT'S OR SECRET』が好き。」
銀時と呼ばれた男も同じように肘をついて手を組んで目線が交差する。
「睨み合ってるだけじゃないですか!!本題に入ってくださいよ!!」
眼鏡は絶叫した。
「だから眼鏡じゃねーって!!僕は志村新八!!この人は坂田銀時!!万事屋の銀さんね!!こっちが紅一点の神楽ちゃん!!」
神楽ちゃんは腕を胸の前で交差して髪を靡かせながら目を伏せた。
「私以外、私の代わりはいるアル……。たわし……。」
「アーッ!!めちゃくちゃだよ!!どうすんだよこれ!!」
新八が髪を掻きむしって絶叫したあと深いため息をついた。
「……それで、シャガトさんはなんで此処に?」
そしてお茶と羊羹を出してくれた。
「座右の銘は『革故鼎新』だ。……すみません、羊羹はモニョモニョしてるから苦手です。」
「あ、そっすか。」
「射干菟って小難しい名前ネ、ネーチャンは本当に夜兎族か?」
神楽ちゃんが白米をかき込む私を覗き込んだ。
「はふはひふひふふふ」
「食事中に喋ってはいけません!!義務教育で習わなかったんですかー!!」
銀さんに頭を軽くチョップされた。
「……。のみ込んだ。漢字なら『胡蝶花兎』という当て字も出来る。夜兎は多分本当。強いし、日光に当たれないから。」
「『胡蝶花兎』!?盛り過ぎアル!!蟲柱になれる要素……色白くらいしかないネ!!」
軽く頬を引っ張られる。
繊細な手つきだ。
「神楽ちゃん、別にこの人鬼殺隊じゃないですからね。」
あ……そうだ。
「私、鬼殺隊とかなんたら隊にいた気がする。」
よく覚えていないけど、何だったか。
「オイオイ、鬼兵隊所属とか属性の重量過多!!解散!!設定練り直して!!」
どうして私の服は黒焦げで破れている?
戦ったから、だろう。
どうして私の髪は海老色なんだろう。
「海老色ってなんアルか!?桜色とか言い方いっぱいあるネ!!」
思い出せない。
「所謂記憶喪失ってやつなんですかね。……銀さん、どうします?」
銀さんはソファに座り直して新聞を広げ始めた。
「……行くとこあんの?金、身分書、頼れる人間。」
……ない。
「ないです。あの……家事くらいは出来ます。雇ってください。」
「夜兎だけに?……はい、採用ね。仮、仮だから。」
新八と神楽ちゃんは顔を見合わせてニコっと笑った。
「仕方ないアル!!ネーチャンは神楽のアネゴと呼ぶネ!!子分にしてこき使って使い倒すアル!!」
「いやー雑用してくれる人が居ると助かるんですけど米を食べ過ぎないでください!!本当に食い尽くすのだけはやめてくださいよ!!」
二人がにじり寄った瞬間に真っ白い生き物に押しつぶされた。
「ワフッ!!」
大きな犬が舌を出しながら二人にじゃれついている。
「定春!!重い!!想いが重いって!!」
想い……。
『強いね、射干菟』
誰かの張り付いた作り笑いが脳裏に浮かんだ気がした。
「これから末永くよろしくお願いします。」
「嫁ぎ先じゃねーから!!勤め先だから!!」