私は自称この店の常連客。お昼時なのに相変わらず人はおらず、珍しくくだんの少女も来る気配はない。
───ので、自然と話題は少女の話へ。
話を聞くにどうやら最近も来ていて、相変わらず空回りしているらしい。どう考えても前の店主の言葉が原因だと思うが、それを指摘するのは野暮であろう。
まぁ表情には出さまいとはするが、嬉しさを隠しきれていないこの店主を見れば、あの少女が通い、そして空回るのも無理はない事ではある。
そんな折、ふと目線を落とすとカウンターの中チケットが一枚。
書いてあるのは聖グロリアーナ女学院と...あとの文字は見えなかったが、戦車道の試合のチケットのようである。
「実は、あの子から招待を受けまして。来週はお休みさせていただきます」
もうそんなに進んでいたとは...。最近の恋愛は戦車道でいう、電撃戦。なのだろうか。
そう感嘆しつつ、お祝いの言葉を店主に伝えると、
「そんなんじゃないです。ただ誘われただけですよ」
と、言われてしまった。
しかし、チケットに書かれているのは関係者用の席で、どう考えても特別待遇なのは間違いないのである。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
「いかなる時も優雅たれ」
「いや、間違ってコーヒー飲むのは浮かれすぎだと思うわ」
「ゴフッ」
「きたなっ!」
「アッサム様。ダージリン様は浮かれているのもそうですが、ついに意中の殿方が来てくださって緊張しているんですよ」
「ゴフッ!」
「見てたらわかるわよ。というか、ダージリン。間違いにしろ、じゃないにしろコーヒー飲むなら飲み慣れてから飲みなさいよ。苦いの無理して飲むからそうなるんでしょ」
「ゴフッ!!」
「だから!!!」
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
⊿⊿⊿⊿⊿ ⊿⊿⊿⊿⊿ ⊿⊿⊿⊿⊿ ⊿⊿⊿⊿⊿ ⊿⊿⊿⊿⊿ ⊿⊿⊿⊿⊿
◯◯◯「隊長」
△△「ん?なんだ?」
◯◯◯「先程、聖グロのテントの中でコーヒーのドリッパーを見つけてしまったのですが...。しかも結構良さそうなの」
△△「確かに、らしくもなくいい香りがしたな。大方、いい豆を使っているのだろう」
◯◯◯「最初は我々への心遣いかと思いましたが、出てきたの結構紅茶でしたし...。もしかして聖グロの中で革命でもおこってるんじゃ...?」
△△「だったら今日の試合も出場してないだろう」
◯◯◯「で、ですよね」
△△「聖グロの隊長の中で何か変わった事でもあったんじゃないか?あいつのカップにしかコーヒーは入ってなかったようだしな」
◯◯◯「さ、流石隊長。よく見てますね」
△△「たまたまだ。というかどう見ても挙動がおかしかったからな」
◯◯◯「確かに...。誰か意中の人が観に来るような───あっ。そういえば今朝、暇だから視察がてらあいつが試合観にくるって言っ「なにっ!1番重要な事じゃないか!早くテントに戻るぞ!兄さんのコーヒーが飲みたい!」...てました」
⊿⊿⊿⊿⊿ ⊿⊿⊿⊿⊿ ⊿⊿⊿⊿⊿ ⊿⊿⊿⊿⊿ ⊿⊿⊿⊿⊿ ⊿⊿⊿⊿⊿
実は同じ世界線