探偵士、少年探偵団と出会う。   作:ummt

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第三章
第二十話 探偵士、首の皮一枚繋がる。


 

「近松、新しくルームシェアする林太郎だ。」 

 

 警察から帰宅許可が降りたので、工藤邸戻って自室にいるヤマカガシの近松とは反対側の窓の辺りにハンギングスタンドを組み立ててサシバの林太郎を吊り下げた。

 爬虫類と猛禽類では相性が悪い為威嚇し合うかと思えば、二匹とも互いに興味が無いようで初顔合わせは静かに終わった。

 林太郎は不審者の侵入検知に使えるだけでなく、狩猟免許を保持しているから第一種動物取扱業の訓練業として申請すれば宇宙を飛ばせる。

 これで小型ドローンと組み合わせての偵察の目眩ましや簡単な荷物の運搬、取り付けたカメラによる監視や調査が可能になった。

 スーツケースの荷解きを終えたタイミングで自室のドアが2回ノックされた。

 

「イザラ、少し話そう。」

 

、、、

 

「君が記憶喪失を騙る際に服用した薬剤について、情報を共有してくれないか。」

 

 言われるがままにリビングの大きなソファに座り、静かな尋問は始まった。

 記憶が定かならば、沖矢さんには薬剤の話はしていない。

 ただ、ライは自分が組織に所属している事実、ライである事を認識している事、その上で麻取の採用試験を受験したこと、何より工作物や重火器を所持している実態を知っている。

 ……記憶喪失は演技だと、普通ならば推測する筈。

 安室さんと犬猿の仲に見えて、やはり連絡を密に遣り取りしているのか?

「薬剤……ああ、薬剤ですか。元々自分は役者志望だったので記憶喪失を演じきる自信はありましたから、補助的に使っただけです。」

"君は――について忘れる。"

 はい。RAM。

「単刀直入に問う。……TLMA0181ではないか?」

 ……何の話だろうか。

「……すみません……聞いたことがない名称です。……それは、一体どんな薬剤なんですか?」

 TLMA……テルマ……宝……聖典……。

 力無く項垂れると沖矢さんは手に持っていたコーヒーカップをテーブルに置いた。

「知らない。とするのであれば、此方からも情報を提示できない。」

 暫く沈黙が続き、自分が先に口を開くことになった。

「自分が飲んだ薬剤は『思い込み』をする為のプラシーボ。本当に記憶を一次的に消し、再度トリガーによって消した筈の記憶を引き戻すなんてこと、出来るはずありませんから……。」

 アルツハイマー病でもそうだが、脳の記憶情報を薬剤の力で任意に読み取り消去等を何度も何度もしていたら神経細胞を損傷する事になり、最悪は廃人と化してしまう。

 沖矢さんは特に反論や意見を出すことは無く、代わりにこ告げて部屋に戻っていった。

 

「悪いことは言わない。早いうちに病院で再検査を受けるべきだ。……それがお互いにとって最良の結果になる。」

 


 

「おはようございます、安室さん、梓さん。」

 

 事件の後、初めての出勤は足が重くなるものだった。

 警察関係者以外には『犯人は自殺した』とだけ伝えられ、余計な詮索や不安を抱かないような措置や組織に関する事件である為に報道規制が講じられたものの……自分は『第一発見者』であり『重要参考人』であって……。

 それはリキュールのスーズ……玄地シュザンヌと深い仲であったから、という認識になってしまっている。

「おはようございます、デイヴィスさん。」

 安室さんは何事もなかったかのように挨拶を返してくれたが、梓さんは失望に似た暗さをまといながら苦々しく笑顔を浮かべた。

「……おはようございます、デイヴィスさん。」

 無理もない。

 会って間もない女性と真夜中に二人で抜け出して森に入り、如何わしい事をしていたらしいともなれば軽蔑されて当然だ。

 もう二度と笑顔を向けられることはないな。

 事務的な挨拶を済ませて開店準備をしていると、ドアベルが勢い良く鳴った。

「おい安室の兄ちゃん!探偵士!居るか!?」

 目線を上げると毛利さんがポストカードを提示しながら見知らぬ若い男性と共に立っていた。

「毛利先生、どうなされましたか?」

 安室さんがツカツカと歩き寄ってテーブル席に二人を案内すると、毛利さんはいつものコーヒーを注文して話始めた。

「こちらが依頼人の江洲さん!!郵便ポストに脅迫状が届いたっつーことで依頼されたんだ!!お前たちにも経験を積ませてやらなきゃならねぇからな!!」

 自分はお呼びで無いようなので、いつものコーヒーを淡々とドリップしてコーヒーカップに注ぎ淹れた。

「脅迫状……?『透明なバッター達が観客席を埋め尽くす過去になった球場が赤く染まる時、お前を見下ろす場所で待っている』……確かに伝統的な新聞紙によるコラージュですね。……犯人は随分と几帳面な性格らしい。」

 コラージュならば新聞紙の材質と配分からどの工場ラインで作られたものか、日時も切取られた文字のポイント……つまりサイズがロングプライマーかパイカまたはイングリッシュかグレートプライマーかで分かる。

 犯行予告に使う大きいサイズの記事は絞られる。

 入手先が特定可能で糊付け面からの作成時期の推察、仮にゴミ捨て場所から拾ってきたものであれば付着物からも……そもそも指紋が付きやすい素材だ。

 ……いや、疲れているな。

 現段階でDNAと指紋が分かった所で、よくて犯人の居場所だけが推察できる。

 消印がないのだから、以前と同じく防犯カメラを確認すればいい。

 

「実は……会社の帰りにカバンを電車に忘れまして……その中に入っていたんです……。」

 


 

「それで、犯人に心当たりは?」

 

 電車内で差し込まれたとなれば追跡は難しくなり、愉快犯の可能性も出てくる。

「……俺、賭け事で結構な額を借金していて……元カノにも親にも友人にも同僚にも大金を借りているので……心当たりがあり過ぎて、犯人が誰が誰だか見当もつきません……」

 なら自己責任だな。

「あのー……どうして脅迫状なんですか?『透明なバッター達が観客席を埋め尽くす過去になった球場が赤く染まる時、お前を見下ろす場所で待っている』なら『害する』とも『脅かす』とも書いていませんよね?」

 梓さんの正論に依頼人の江洲は目を丸くした。

「は、はあ!?犯行予告みたいなことをされたんですよ!!被害妄想みたいに言わないで下さい!!」

 ドンッとテーブルを叩くと激しく苛立ち、呼吸を荒げた。 

「すみません、出しゃばりました……。」

 ……梓さんが謝る必要は無い。

 皆が雑談する喫茶店で会話しているんだから。

「ところで江洲さん、思い出の球場に心当たりはありますか?」

 安室さんが脱線した話を戻すと、ぽつりぽつりと語り始めた。

「思い出の球場なら……地元のPP球場があって……。」

 期日、対象の明確化、金品の要求等がまるで無いんだ。

 虱潰しでPP球場に行けば……。

 ……あ、そうか。

「ならPP球場に行きましょうか!!なあ安室の兄ちゃん!!探偵士!!」

 行ってらっしゃい、安室さん。

 はぁ……気不味い職場になってしまったな……。

 

「何ボーッとしてんだよ探偵士!!オメーも行くんだよ!!」

 


 

「別に自分が居なくても……。」

 

 PP球場は予想通り『芝のメンテナンス』期間により閉館していた。

「デイヴィスさん、ここの『芝改修』は定期的に行われていますが、アナタもご存知だったならアナタが先に言うべきでは?」

 そう言われてもな……スマホで調べれば分かる話で……。

「あちゃー!!閉館か!!しかし江洲さん、もしかしたら芝を引っ剥がすことを『赤く染まる』と言っているのかもしれませんよ!!」

 それならば、『見下ろす場所』が任意のスタンド席になる。

 周囲に高い建物は無いし……。

「じゃ、じゃあ……無理やり入場して、スタンドを見てみます?ちゃんと命を狙われたら守って下さるんですよね!?」

 安室さんがこちらに目配せするので、仕方が無く挙手をした。

「……江洲さん、ご実家の近くにダムはありませんか?」

 そう尋ねると、彼は再び目を丸くした。

「よ、よくわかりましたね!?はい!!ダムがあります!!……で?それが何か?……今は脅迫状をどうにかしてもらいたいんですよ!!」

 彼が怒鳴りだしたタイミングで毛利さんがまぁまぁと宥め仲裁に入った。

「探偵士!!何か掴んだんなら早く言え!!」

 チラリと安室さんの方を見るが、ただ此方を見ている。

「『透明なバッター達が観客席を埋め尽くす過去になった球場が赤く染まる時、お前を見下ろす場所で待っている』これを文字通りに捉えず比喩表現として、『透明なバッター』つまり人がいないがバットがある。つまり『バットが観客席を埋め尽くす』のは『バットの原材料であるアオダモが茂る場所』を意味している。」

 毛利さんは手のひらにポンと拳を叩いて声を上げた。

「そうか!!つまり山に居る!!……となると、なんで球場になるのか?だなあ。……アオダモなんざ何処にでも生えてんだろ?目標を絞り込めなきゃ『暗号』とは言えねえからな!!」

 すると安室さんがスマホで画像を表示させ、皆に見せた。

「『朝顔形排水吐』別名『グローリーホール』というダム穴です。円状であるグローリーホールを『球』と呼んだならこのダムには大きなグローリーホールがありますし、PP球場の敷地面積とほぼ同じです。」

 それに、ダムの周辺がなだらかな斜面になっていて球場の観客席同様にアオダモの樹林が広がっている。

「な!なら『赤く染まる時』は何なんですか!?ダムが赤くなるって何か薬品でも流し込むんですか!?不味いじゃないですか!!」

 捲し立てる江洲に、淡々と推測を説明した。

 

「ちょうどアカウキクサが異常発生してるってニュースでやってましたから。水面は赤錆のようになっていると思いますよ。」

 


 

「『過去になった球場』……このダムの下に何があったんですか?」

 

 単純に気になったので江洲に尋ねたが、空虚な答えが返ってきた。

「え……?知りませんけど?……ダムが出来たのなんて何十年も前ですし……」

 それもそうだ。

 新しいダムが短期に建設される訳もなく『何かがダムの下敷きになってしまった』というような問題は起きたりはそうそう無い。

「それで江洲さん!!『見下ろす場所』というとあの山間部になりますが、心当たりはありますか!?」

 毛利さんも薄々気がついているようで、返答を待った。

「あ……山小屋……死んだ爺ちゃんの住んでた離れがある場所だ……。」

 そう呟くと、江洲はその場で蹲ってしまった。

「爺ちゃんの亡霊だ……いい孫じゃなかったから呪い殺されるんだ……。」

 安室さんと毛利さんが顔を見合わせて江洲さんの腕を掴んで立たせ、山間部へと連れて行った。

 ……なんで自分は此処に居るんだろうな。

 暫く山道を歩いて行くと山小屋があり、扉が開いていた。

「これ、勝手に入ったら不法侵入になりませんかね?」

 まあいいか、依頼主の江洲の親族が所有しているなら……もし売却されていた場合は『依頼主が許可を取り付けていたと誤認した』そう主張すればいい。

「大丈夫でしょう。」

 安室さんが大丈夫と言うなら大丈夫か。

 山小屋に入ると室内の家具はある程度の手入れがされており、清掃管理されている事が伺える。

「また暗号だ!?やっぱり俺は殺される!!」

 木製のテーブルには、以下の文字が書かれたA4サイズの紙がぽつんと置いてあった。

 

 爪十一冂又力一口弓口口巨一工口乙口大

 

「それで、今日は何の日なんですか?」

 江洲は口をポカーンと開いて此方を見た。

「は、は、はあ?今日?」

 ポスターの向きを変えて示し見せると、毛利さんが呆れた声を出した。

「それにしても分かりずれぇ暗号だな!!『KONOHIWOOMOIDACITE』この日を思い出して……Sは流石に該当する漢字が無かったらしい!!」

 確かに右に90度向いたSは難しい。

 毛利さんがボールペンでそれぞれに対応するアルファベットを書いて見せた。

「ああーっ!?横向きの文字!?」

 江洲さんがポスターを掴んで上半身を曲げて確認している。

 

「で、今日は何の日なんですか?」

 


 

「爺ちゃんの……命日……。」

 

 そしてタイミングよく小屋の奥から中年の夫婦が現れた。

「ようやく思い出したのか……お前が連絡しても音沙汰ないからこうやって……」

 ……毛利さんは、もしかしてダブルブッキングしていて『江洲を捜索する両親』と『脅迫状を渡された江洲』を会わせるように仕立て上げたのか。

 脅迫状がカバンに仕込まれたタイミングに関しては、流石に両親が江洲の同僚に依頼した仕込みだと思いたい。

「金なら返せない!!その……今は……まだ……でも、ちゃんと返すよ。思い出したから……『時は金なり』っていう爺ちゃんの口癖を!!」

"Time is mommy."

 はい。RAM。

 

「これで一件落着っと……って、探偵士!?大丈夫か!?オイ!!」

 

、、、

 

「ようやく思い出したんですか、デイヴィスさん。」

 

 目覚めると、見覚えのある天井と見覚えのある医者が立っていた。

「何をですか?……頭が痛い。」

 頭が割れるように痛い。

 身体を無理やり起こすと、上半身が持ち上がった途端激しい目眩と吐き気に襲われた。

「その調子です。……あ、そうだ。私の名刺を渡していませんでしたね。……麻薬取締官のデイヴィスさん。」

 警察病院で最初に検査に携わった医者はコホンと咳払いをすると、名刺を手渡してきた。

 『東都警察病院脳神経外科 塞本 義(さいもと ただし)

 ……外科医のようなハードワークで拘束のきつい仕事をよく選べるものだ。

 裏には『150351522202432495』とだけ書いてあったので、自分も麻薬取締官としての名刺の裏に『1571142104624332044104』と書いて交換した。

「すみません……自分はどうしてまた入院なんて……」

 覚えているのは、山小屋で依頼主同士を引き合わせた所までの記憶しかない。

 其処まででいい、後は現段階では不要な情報。

「山小屋で倒れたと言って毛利探偵があなたの軽トラックですっ飛ばして来て救急に運び入れたんです。丁度救急車が出払っていたので不幸中の幸いでした。」

 そうだったのか……後でちゃんとお礼を言わないと。

 ……毛利さんが依頼主との引き合わせの場所を毛利探偵事務所ではなく、わざわざ喫茶ポアロにして『被疑者として負い目を感じて塞ぎ込んでいる』自分に発破をかけてくれたんだから。

 

「本当に……火中の栗を拾って下さる人格者……ですね。」

 


 

「大丈夫かねデイヴィス君!!」

 

 退院に掛かる書類にサインをし終えて精算所を後にすると、出入り口で息を切らした阿笠博士と哀ちゃんが駆け寄ってきた。

「すみません、毎回毎回……。」

 頭を掻いて苦笑いを浮かべ、地面に目を落として頭を下げた。

「余計な心配させないでくれる?……アナタも大人なんだから……。」

 哀ちゃんは目線を合わせずに上擦った声を出した。

「ごめん。……役に立ててないね。」

 シェリーとの約束『子供達の信頼を裏切らない』というのは、これからも何度も破ることになりそうだから。

 中身の伴わない謝罪を述べるしかできそうない。

「そこまで自己卑下をせんでいい!!あの時だってデイヴィス君は自分の職務を全うしただけだったんじゃろ!?」

 行き着く先は職務を全うすれば人でなし、放棄すれば人殺しになってしまうから。

 組織でも、警察組織でも、この構造に何ら変わりはない。

 

「いくら理由を並べたところで結果は変わらないですからね。……これからはもっと上手く演れるよう努めます。」

 

、、、

 

「自分は自分の役割をすればいい。」

 

 久しぶりにいつもの公園でギルテスターに火をつけた。

"お前はただの通行人役に過ぎない"

 そう言ったのは誰だったか。

 ……誰でもいいか。

 そんなことよりもヴェルヴェーヌが潜伏し、更にはアイリッシュ本人を人員として投入した計画が進んでいる。

 兎にも角にも阿笠博士や少年探偵団のみんな、梓さんや世良さん達、知り合った善良な人々を蚊帳の外に置き捨てて、全ての計画を成し遂げないと。

 必ず彼らを殺害し、必ず彼らを護らねばならない。

「何気取って黄昏てんだよ探偵士くん!!」

 振り向くと世良さんが制服姿でカバンを肩に掛けて笑っていた。

 あの日、現場検証の場にいて『被害者が護身用の武器を持っていた』理由を問うたのは彼女だ。

 そして僕が組織の人間であり、隠れ公安であることを知らない。

 ……麻取であると打ち明けたかどうか定かではないが、あの場で自分がしゃがんだ際にヒップホルダーにある拳銃を見た筈で、かつ刑事たちも同席を認めたのなら彼女自身も特別であって、光を浴びる事を許された存在なんだろう。

「世良さんこそ……容疑者になった不埒な人間に対して説法をすることで気を良く……」

 そこまで口から出して、取り返しのつかない事を言ったと悟った。

 彼女はまだ女子高生、子供の見え透いた挑発に乗せられて『軽口を言い合ってストレスを吐き出す』というカウンセリングを受けてどうする。

 

「そうさ!探偵士くんと一度二人っきりで話す機会が欲しくてね!!」

 


 

「その……彼女のことは残念だったね。……お悔やみを申し上げる。……思い出したんだろ?愛していた彼女の事だけは。」

 

 ……違う、ともそうだ、とも言えない。

 彼女の遺体は表向きは一般人として処置されたが、世良さんは人工皮膚やスカルペルナイフ、更には50kgはある鈍器を運搬出来た特殊な訓練を受けた者だと知っている。

 なら、隠し立ては不要……。

 ……何を考えているんだ。

 話したら、また火中に巻き込んでしまうじゃないか。

「……はい。初めて会った……いえ、再会した時に記憶が蘇って……。」

 思い出したくもない、不要な記憶。

「探偵士くんにも守りたい人や場所があったんだよな。」

 違う。

 あったんじゃない。

「そうみたいです……記憶を失う前の生活や人間関係があって……。」

 無かったんだ。

 ……あの日、みんなに会うまでは。

「そうだ探偵士くん。連絡先を交換しよう。コナン君達とだけ遣り取りするのは頂けないからな!」

 スマホをかざされて、代わりに麻取の名刺を渡した。

「……連絡はこのアドレスにお願いします。」

 ガラケー改に付与されたアドレスの通信履歴は公安に監視されている。

 何かあった時に『連絡していたが履歴にない』となれば、計画は霧散する。

「……それって『電話してくるな』ってことかい?」

 世良さんが腕組みをしながら此方を見上げるので、頭を掻いて苦笑いを浮かべた。

「いえ、この電話番号に掛けてもらって結構です。」

 すると軽い肘鉄を食らった。

「どうしてボクが一方的に連絡する流れになってるんだよ!!……探偵士くん、満月だったとか虹が出ていたとか、そんな他愛もない雑談でもいいから連絡してきなよ。……ボク以外もそうだ。君が本当に悪人だったら直ぐに離れていってるよ。」

 ……言葉が出ない。

「……す、みませ……か……帰ります。……帰り道、気をつけて帰って下さい。」

 頭を軽く下げて一目散に工藤邸に向かった。

 ……というよりも、ただただ逃げた。

 このままでは自分自身が崩壊しそうなくらい、情緒がおかしくなっている。

 ……自分は、絶対に見失ってはいけない。

 

「じゃあね探偵士くん!……また明日。」






 あとがき


 

なかみについて(期間限定アンケ)

  • ややこしい(かため)
  • 分かり易い(やわらか)
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