「あ!いたいた探偵士くん!!動物園は楽しかったかい?」
工藤邸に戻る前に、いつもの公園のベンチでギルテスターに火をつけて一服していると私服姿の世良さんに声をかけられた。
「楽しかったです。……世良さん、しょっちゅう会いに来ますけど……僕のこと、好きなんですか?」
紫煙が夜風に流されて吹きかからぬよう、下に向けて吐き出した。
「Yes。と言ったらどうするつもりだい?」
世良さんは隣に座って出方を伺っている。
「なら一回僕と寝てみますか?」
爪先が動いて踵が土をジャリッと踏んだ。
流石に動揺するか。
「……その後はどうするのさ。交際するって話かい?」
……意外と粘るな。
「さぁ……相性がよければ『そういう友達』になれば良いんじゃないですか?……友達は多ければ多いほどいいんで。」
ベンチにつけた手がギリッと握られて、軋む音がする。
彼女に手を出すなど、法律的にも倫理的にもあってはならない。
「君に遊び人役は出来な」
タバコを指で挟み、両手で顔を包んで額を合わせた。
「役かどうか試しますか?」
瞳が揺れ動いて緊張を隠そうとしているのが分かる。
「……女性達の嫌われ役になる必要があるんだろ?それも急ぎ見境ない手段を取るくらいの緊急事態。」
暫く見つめ合って、手を離した。
「いえ、個人的に世良さんが苦手なので。周りにチョロチョロ付き纏われてうっとおしいなと……あ、はい。お土産のキーホルダーです。」
東都動物園で買ったフェネックの10cm程のぬいぐるみキーホルダーを胸ポケットから出して彼女の手の平に乗せた。
「……実際に面と向かって言われると……はは……堪えるな。苦手な理由を聞いてもいいかな。今後の人間関係の参考にする。」
……そう言われても、理由が思い浮かばない。
彼女は敏く聡明で正義感があり自立している。
嫌う要素がない。
「……なんとなくですかね。……世良さん、いつか悪い男に引っ掛かりそうなので、気をつけたほうがいいですよ。」
世良さんは顔を上げずに肘鉄を打った。
「なら、君は悪い男じゃないんだな。……君は今『君に執着する女性』からの視線を女性達から離したい。その女性の名前は……熊津さん……で、合っているかい?コナン君から事情を聞いたよ……どうして正直に話してくれないんだ。」
名も言えぬ組織の諜報員にも関わらず矢鱈と惚れっぽく、しかも恋敵として周りの女性を殺害するイカれ女が自分を新たなターゲットにして周りを殺害し始めたなど、どう説明すればいいんだ。
「ああ……言ってませんでしたね。彼女と付き合い始めたんですよ。……なので、あまり会いに来ないで頂きたい。……お願いします。」
「……誰か訪ねて来ているのか。」
黒の軽トラを車庫に停めると見知らぬ車が車庫の中に停車していた。
車庫の中と言うことは沖矢さんの知人か工藤家に尋ねてきた者であろうが、車内はいやに整然としており、乗車していた者は固い職業に就いていることを示している。
車両ナンバーを記録した後、忍び足で玄関先に向かうが人の話し声が聞こえてこない。
S&W M360Jのグリップを握りながら玄関の扉を身を隠しながら開くと、鍵がかかっていなかった為ゆっくりと空気が漏れた。
背を壁につけながら足元を見るが、沖矢さんの靴ではない男性用の靴が二足と女性用の靴が一足揃えてあった。
……組織にこの場所がバレたのか?
血の匂いや硝煙は感じられないが、眠らされたり拘束をされていた場合、三対一ともなれば流れ弾を考慮しなければならない。
まず何処に沖矢さんが居るかだ。
「イザラ、拳銃をしまえ。彼らは味方だ。」
リビング内から声がしたが……彼らが『どの組織』なのかが分からない以上、拳銃をしまうことが出来ない。
いつでも警告の一発を撃てる状態で手鏡をリビング内に差し込み、銃を持っていない事を確認して半身で中を覗いた。
「身分を明かして貰わないことには……。」
中には老齢の男性、体格のいい男性、眼鏡をかけた女性が此方を真っ直ぐに見て手持ちの銃を平手に出してみせた。
「秀……彼に何も話していなかったの?」
秀……?
沖矢 昴ではない、本名か?
「ああ。必要無いとの判断だ。」
必要無い……そうか。
「赤井さん、しかし同居しているなら身分を告げないと不要な軋轢を生みますよ。」
赤井 秀……?
「そうだな。彼も組織の人間であったならば、話が通じるだろろう。我々はFBI。連邦捜査局の者だ。」
老齢の男性が手帳を見せると他の二人も続いた。
ジェームズ・ブラック、アンドレ・キャメル、ジョディ・スターリング……警察組織からの通達がない現状が理由の証明であるのなら、やはり国に断りなく捜査をしているのか。
「申し遅れたな。俺は沖矢 昴もとい赤井 秀一。FBI捜査官だ。」
「FBI……。」
バーボンだけでなく、ライまでもが裏切り者として潜伏していたのか。
「それで?アナタが名乗る番でしょう。」
スターリングさんが腰に手を当ててせっついたが、情報の自発的な開示で相手の情報を対価にするには条件が悪すぎる。 「僕はデイヴィス 阿笠、麻薬取締官です。以前はエルダー・ブルドンとして……スタントマンをしていました。」
これ以上の情報は出せない。
「それでだ、デイヴィス君。君はどのような作戦で記憶喪失等を演じてみせたのか、我々に教えてほしい。」
……尋問、聞き取りの為に態々大所帯で訪ねてきたのか?
争いになると見越しての人数か?
「何故FBIに事情を話さねばならないのか?と問うたら家を失い兼ねませんね……。」
ガラケー改に付けたラジオボタンを摘み、風見さんへの一方向音声通信のボタンに軽く触れて話を始めた。
「記憶喪失として米花町で発見されれば警察に保護され、毛利探偵事務所に身元調査の協力依頼が行くと踏み、協力依頼が無くとも警察に保護された段階で工作物を仕込み、その後保護施設から星雲センターに向かい組織の人間を始末または拘束することで『アイツこそが組織の工作員』とされ『上と交渉の場を設ける』か『命を絶つ』か『逃げ延びて地下に戻るか』の三択を選ぶものです。」
虚偽は働いていない。
自分が組織の人間だと明らかになるのは規程コース、それがまさか内部に入り込めるとまでは考えてはいなかったが。
「あら、ならゼ〜ンブ作戦通り、トントン拍子に進んだって事ね〜?」
スターリングさんは手を広げて鼻を鳴らした。
「じゃ、じゃあ組織の思惑通り……警察組織の情報を流す役目なら『本当に組織を裏切っているのか、カムフラージュなのか』が分からないじゃないですか!!」
キャメルさんがオーバーリアクション気味に反応した。
二重スパイなんて、最終観測地点が『どの組織で誰が観測した』かによって変わる。
僕は最後の時、誰に観測されて、何処にいるんだろうか。
録音を停止して送信リューズに軽く触れた。
「デイヴィス君、今君が掴んでいる情報を共有してくれるか?」
FBIの目的は組織に接触することであって、アイリッシュの潜伏情報やNOCリストの確保ではない。
「イミテーション……。」
すると沖矢さんは何かに勘づいたらしく、スターリングさんに指示し、警察組織の顔写真付き所属情報リストの有無を確認し始めた。
「此方からもいいですか?……昨日、僕の部屋に侵入しましたか?これだけは明らかにしないといけません。」
昨晩、確実に天井の蓄光ステッカーの光が強まっていた。
「……いいえ。室内には誰も入っていないはずよ。」
『探偵士くん!!明日、蘭君達と一緒に謎の小島に行かないかい!?』
……さっき迄、あれほど憎まれ口を叩かれ心無い対応をされた相手によく連絡を取れるな……。
「謎の小島って……何ですかそれ……。」
FBIでなければ、侵入して来たのはヴェルヴェーヌだろう。
監視カメラやサーモセンサーを潜り抜けての侵入、それが可能なのはメカトロニクスを駆使して小型マシンを偵察に使う彼女か、それ以上の技術者だ。
確実にこの室内に新たな監視カメラと盗聴器が仕込まれている。
『もう君の上司から許可は取ってるし、彼も来るみたいだ。……いいのかい?梓さんが盗られてしまうよ?』
盗られるも何も、所有権は彼女自身が持つもので……。
「……分かりました。行きます。住所を送ってください。」
少なくとも捜査本部から彼女たちを遠ざけ、アイリッシュの計画を邪魔をさせず、ヴェルヴェーヌの注意を引く事ができるか。
『そう!行くのは確定だね!じゃあまた明日。……おやすみ、探偵士くん。』
小島という表現で何泊という指示がないならば、近くの離島に行くだけだろう。
「おやすみなさい、世良さん。」
、、、
『ねぇ……どうして彼女の私を差し置いて出かけるの?……やっぱり榎本 梓が好きなの?それとも毛利 蘭?鈴木 園子?……世良 真純?イザラはロリコンなの?……ねえ、なんで?』
馬鹿としか言えない。
FBI捜査官がまだ潜伏していると把握している筈なのに連絡をしてくるとは……。
かえって組織のイカれ女が自室を盗聴しているとFBIに伝わっただろうが……。
「嫉妬してくれてるの?かわいいね……。」
……アイリッシュとNOCリストの件だけが現時点でのヴェルヴェーヌの保持情報なら、始末してしまいたい。
『他の女と寝たら……その女を殺すから。』
よかった……旅行に行くだけで殺害予告をしようものなら居場所を突き止めて殺しに行かねばならなかった。
「僕が好きなのはヴェルヴェーヌだけだよ。」
「どうよ!!鈴木財閥との互角と称される藤白財閥の独自研究施設!!浮世と完全に隔離された島……!!基地局もないから通信も通じない!!全て島内で完結しているからインターネットにも繋がらないのよ!!」
ツッコミを……入れていいのか……。
「すみません、今乗り込んでいる8人乗りのヘリが飛んでいる時点でそれはおかしいです。」
挙手をすると、園子さんが噛みついてきた。
「何がおかしいのよスケコマシ!!」
蘭さんが園子さんを宥めるように話を遮った。
「どうしておかしいんですか?デイヴィスさん。」
安室さんと、何故か同行している沖矢さんの顔色を伺うが、我関せずといった顔をしてそっぽを向いている。
「ヘリがブライトマネジメントシステムで気象確認と位置情報確認をしている。つまり最低でもGPS、衛星測位システムを拾っていて、そもそも航空管制通信をしているので無線局はありますし、研究施設ならば中継設備を使わない筈がない。PTPなり何なりのシステムの同期が必ず必要になりますから。」
そう話すと沖矢さんから肩を叩かれた。
「デイヴィスさんは女性にモテないようですね。」
、、、
「到着!!見なさいよスケコマシ!!電線がないでしょうが!!」
……多分海底ケーブルから地下洞道を伝わっているだけだと思う。
「もう園子ったら、あんまり強く言わないであげてよ……。デイヴィスさんは心に傷を負ったんだから……。その……反動で……。」
彼女達の間では自分が玄地さんに手を出して、彼女が亡くなれば熊津さんに鞍替えしたという事象をストレスによる反応と処理しているらしい。
「傷を負ったからといって別の女性に逃げるというのは、あまり褒められた事ではありませんが。」
安室さんが正論を吐く後ろで、梓さんが下を向いていた。
……バーボンは少なくともヴェルヴェーヌの悪評、だらし無さは理解しているはず。
「……確かに言い過ぎた。ごめんなさい。」
こんな人間に謝る必要無いのに、誠実な人だな。
「いえ……こちらこそ……。」
頭を掻いて下を向いた。
「あ!あの人じゃないか!?藤白財閥のご令嬢!!」
世良さんの声に顔を上げると、黒髪にショートカットの女性が手を振っていた。
「みなさーん!!こんにちはー!!藤白財閥の花子ですー!!」
「あなたがたが選ばれし者たち……どうぞわたくしの研究施設をご覧くださいまし!!」
選ばれし者達って何だよ。
「スマホを見てみなさいよ!!圏外になってるでしょう!?スケコ……デイヴィスさん!!」
確かにガラケー改の標準OSで捉える5Gは繋がっていないな。
「わー……インターネットが使えない……」
で、一体何を目的に連れて来られたんだ……。
「この研究施設は一体何をされているのですか?地図アプリに情報が載っていませんでしたが。」
沖矢さんが真っ当な疑問を直球で投げると藤白はタブレットを取り出してみせた。
「シャーロキアンのシャーロキアンの為のシャーロキアンの研究施設ですわ。」
……解散。
「へぇ……!ワクワクするな?探偵士くん!!」
しないよ……帰りたいよ……。
「わたくしは鈴木財閥からの援助を受け、みなさまに極上の推理体験をしていただく案内人なのです。」
そうか、ならば藤白財閥の令嬢というのは役名か。
暫く舗装された道路の歩道脇を歩くと真四角のガラス張りの建屋が見えてきた。
全面ガラス張り等光熱費がかさみ保守も費用がかかる上、自重により歪みやすく太陽光による家財や物品の劣化や消耗が激しくなるぞ……。
「比較的新しい建屋ですね。コンクリートのクリヤー施工がなされたばかりだ。」
安室さんが指摘した通り、外壁の艶あり加工は新しいように見える。
「はい!!あなたがたが記念すべき第一弾のお客さまですから!!」
嫌な予感がしてきたが、鈴木財閥にまで侵食しているわけではあるまい……。
藤白が「ヘイ!ハル、扉を開けて」と鉄の扉の前で呼びかけると、ゴゴゴと音を立ててゆっくりと上に開いた。
オーバーヘッドドアなら感知システムがセンサー式か機械式であるはずだが、それにしてもAIに駆動させるのは恐ろしいな。
「それではみなさま、わたくしのいる部屋まで来てくださいまし!!」
藤白はよく創作で見る令嬢がワンピースの裾を持ち上げる仕草をして奥のエレベーターに駆けていった。
「え……?もしかしてイベントが発生したんですか?」
すると明かりがフリッカを起こし、停電した。
「きゃあ!!停電!?ヘイ!ハル、灯りをつけて!!」
停電なら点くわけ無いが。
『停電の為、実行できません』
電力、生きてるじゃないか。
「世良さん、梓さん、園子……一緒に固まって動こう?」
「はぁ……電源系統が違うんですかね……。UPSがあるなら復旧用にコマンド入れてみませんか?」
音声認識、或いは衝撃感知が生きているのなら。
①照明系統だけブレーカーが落ちた
②UPSでAIだけが稼働している
③非常用電源が生きているが優先順位的に実行できない
④やらせ
「デイヴィスさん、UPSは後何分持ちますか?」
沖矢さんに無茶振りを振られた。
「え……ええ……方式も分からないですし……常時インバータ給電方式でも型によってピンキリなんで……はぁ……700分にしておきます。」
蘭さん達がスマホの明かりを照らしてエレベーターに近づいた。
「バッテリーの劣化を考慮するべきでは?」
沖矢さんに横槍を入れられたが、それはそう、としか。
「はい……なら500分にします。電力が止まったのがエリア一帯か此処だけか確認しますので……。」
ガラス張りの窓から外を見て横断歩道のライトが点いているのを確認したが、どうせこの建屋だけだろう。
道路系統こそ内臓バッテリーがあり、別ではあるのだが。
「此処だけかと。」
報告を述べると世良さんの声が上がった。
「エレベーターが開いてる!!中に紙があるぞ!!」
安室さん、沖矢さん、梓さん、世良さん、蘭さん、園子さん、自分の7人でエレベーターに搭乗したが、ギリギリだったな。
中の紙にか記載されていたのは以下の通り。
Planets in the Solar System.Orbital Period.
Expressed as the integer closest to the number of days on Earth.
OEIS No.
最低な問題だなこれは。
88 225 36とエレベーターを押して続きを入力しようとすると『誤りです』との答えがあった。
誤りなことはないだろ。
「デイヴィスさん、最後の行を読み飛ばしていますよ。OEIS No.ですから『A116448』、116448を押すべきでしょう。」
安室さんがそう告げて入力を済ませるとエレベーターが動いた。
「凄いですね!!これは何の数字なんですか?」
女性陣が狭い箱の中で黄色い声を上げた。
「その名の通り、太陽系の惑星の公転周期を地球の1年に最も近い整数で表したものの『数列』の登録番号です。」
「エレベーターが開いたわ!!」
停電なのにエレベーターは動くんだ……設定を練るべきだが……。
「扉がありますね……あれ?この壁、タッチペンがくっついてませんか?」
梓さんが安室さんに向けて発言をしたので口を噤んだ。
「デイヴィスさん、『G.G 9.8 J.C.M ?』とありますよ。」
すると女性陣の視線が此方に集まった。
「……299,792,568」
適当に書き殴ると扉が開いた。
「これは簡単だったみたいだね?探偵士くん!」
世良さんの追い打ちに苦笑いを浮かべて先に進むと、屋上まで吹き抜けた中庭のような場所に出た。
その中央に場違いとも言えるフルフェイスヘルメットを被った黒いジャージ姿の男達が三人立っていた。
「アレ?こんなのプログラムにあったっけ?」
園子さんが首を傾げると男達達は女性陣を先に案内し始めた。
「探偵士くん!!次は猫の絵の隣に『FDVXVGGXXAA』だってさ!!」
それならば簡単だ。
「ADFGVX暗号!!DFVVXGXGXAAXです!!『Call me』!!つまり『ハル』を呼べばいいんです!!」
女性陣四人は先に室内に入ったが、大丈夫なのか?
「……どうやら闘わなければ先に行かせないつもりのようだ。」
……そんな、鉄の男版のシャーロック・ホームズをも想定した『探偵にも武力が必要』とするシャーロキアン施設だったとは。
「丁度三人ですから、デイヴィスさん……沖矢 昴さん。任せましたよ。」
つまり……自分は真正面の背の高い男を相手にしないといけないわけか。
男が手を曲げて合図をした瞬間に駆けてスライディングからの足払いをしたが動かない。
……対客だろ?
そのまま男に足首を掴まれ、肘を腹に食らった。
「痛ってえ!!責任者は誰だよ!!」
チラリと横を見るが、軽い臨戦態勢ではなく本気の攻防になりつつある。
「余所見していいのか?……星屑。」
……組織の人間か。
作業着のズボンにしまっていた十徳ナイフを開いて肘を斬りつけようとするが、手首を掴まれてしまった。
仕方が無い、正当防衛で殺すか。
脚を開いて胴体を掴み固定し、フルフェイスヘルメットごと思い切り頸部を圧迫した。
「お前……やはり裏切りったか……」
いきなり襲撃し、反抗されたら裏切にするなど殺害する結論ありきだろうが。
ヒップホルダーから拳銃を取り出し、宇宙に向かって発砲した。
「……ヴェルヴェーヌからの通達がなかったらしい……僕が裏切るわけないだろ。早く逃げろ。」
「今の銃声!?」
三人の男達はそれぞれから手を引くと、コンクリートの壁を鉤爪のような道具で這い上がり施設外へと飛び去っていった。
「すみません、園子さん。藤白さんに頼んでさっきの男達が映った防犯カメラの映像を見せて貰えるように出来ませんか?」
安室さんと沖矢さんを見たが、呼吸を荒げている様子はない。
「ウソ!?まさかトラブル!?」
二人と目配せして、苦笑いして頭を掻いた。
「いえ、三人で反省会したいだけです……情けない場面を見せちゃったなぁ……お二人に改善案を伺いたい……。」
情けないのはいつものことだが。
「それより、まだプログラムは続いているのでは?先を急ぎましょう。」
だから二人が来たのか……狙いは自分の裏切りの有無の確認と……毛利 蘭さんか。
元々、眠りの小五郎にマークがつけられていたことと、その周囲にいる武力になり得る者の洗い出し……。
バーボンが事前に知らされていたのか、FBIがどうやってこの情報を知り得たのかが不明確だ。
仮に組織がこの研究施設とグルならば、公安として事前に取り潰しすか警備を増やし、FBIとして警察組織に申告または警戒をして施設ごと封鎖する。
とすると、このプログラムの中間に外に繋がる中庭を挟むものあり、外部から侵入可能であった隙を突いたのか。
「はい!まだ先がありますよ。」
室内に入って火をつけられる可能性もあるが、自分は兎も角バーボンを殺害することになる。
なかに進むと、以下の看板とそのモチーフのマグネットがあった。
仲間はずれはどれ?
貝殻、パイナップル、猫、松ぼっくり、ヤギの角、ひまわりの管状花、蝸牛、わらび
問題が悪すぎる。
「デイヴィスさん、答えてください。」
……はぁ。
安室さんの冷たい目線が痛い。
「猫……としますが、猫だってフィボナッチ数列に当て嵌まっているかもしれないじゃないですか……。」
猫のマグネットを取ると扉が開いた。
そして、最終問題と記載された紙が掲示してある扉が現れた。
『慣習になった記憶……???』
下には0〜9までの数字をダイアルで動かすキーがある。
「これもデイヴィスさんが解いてください。」
沖矢さんに冷たく言い放たれて仕方が無くダイアルを回した。
6、4、0……鍵が開いたようだ。
「これはどんな意味なんですか……?デイヴィスさん……」
……何だか、梓さんとの会話が数年ぶりに思えて、声が上擦ってしまった。
「コ……ンベンショナルメモリーです。……自由を拘束されていた時の……与えられた余白。……その中で動かすしかなかったんです。……決して超えられない。……超えられない領域。」
あとがき
嘘を両方につき続ける任務って
頭おかしくなって当然だと思う
なかみについて(期間限定アンケ)
-
ややこしい(かため)
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分かり易い(やわらか)