探偵士、少年探偵団と出会う。   作:ummt

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File.03 タクシー運転手、少年探偵団を乗せる。

 

『夏目く〜ん!! 毛利小五郎大先生のセレモニーよかったよね〜!? 録画回したから送るから感想を教えて!!』

 

 殺人事件があったにも関わらず、それが悲劇のニュースとなって東都パーク……ワープターミナル東都のセレモニーの注目度は高まり、事件翌日にセレモニーは滞りなく行われ、取材陣が押しかけて報道が大々的に成される大盛況を見せた。

「うるせぇぞ石川 元気!! 推し活の布教は浸食するように静かにやるもんだ!!」

 あのドライランの場にまさか紛い物のカスゴミの裏方野郎が紛れ込んでいるとはな。

 毛利小五郎の事務所があるビルに構えている喫茶ポアロに勤めているらしいが、未だに盗聴機器を仕込んだり弱味を掴んだりといった報告が組織に上がったという話を聞かない。

 アイツの上の繋がりはベルモットだけだったはずだ。

 イザラは火災に巻き込まれた影響で記憶が曖昧なまま警察に潜入したが、組織に忠実であるから計画に手を出すな。

 だとしたら警察側に寝返る可能性もあるじゃねーか。

『だって〜思っていることをハッキリと具体的に話さないと分かり辛いとか察してちゃんっていわれるじゃない!!』

 こういう事は白黒ハッキリさせねーと……二重スパイはどの所属に帰属意識が強いか、忠誠心を持つかを確認しないと人間は簡単に土壇場で裏切るからな。

 結局自分に有利な方につく。

「そうだな……比喩や暗喩を理解できねぇ奴もいるからな……」

 それよりも何なんだよ『デイヴィス阿笠』って……。

 アイツの本名はエルダー・ブルドン。

 ……俺の本名がジェローム・デーヴス。

 俺のラストネームの『デーヴス』をファーストネームの『デイヴィス』として名乗っているなら気味が悪すぎる。

 幾らアクション俳優をしていた時代に俺の専属スタントマンをしていたからって……とんだ模倣者だ……気色悪いし気持ち悪い。

 ……なのに俺の方が眼球を損傷したせいで色素が抜けて奴と同じオッドアイになっちまうしよ……。

 あたかも俺が奴を真似ている模倣者みたいじゃねえか。

 こんなんじゃラムの腹心として名乗れねえ……。

 懐刀の座は甘んじてキュラソーに譲る他ない。

『ボクは裏の裏の裏も読めるよ〜!! 夏目くんはちゃんと感想をくれる人!!』

 ……はぁ、仕方ねえな。

 

「客を拾うから無線を切るぞ!! あとで話聞いてやるから仕事しろ!!」

 


 

「すみません!! 動物病院までお願いします!!」

 

 3人の子供達が手を挙げている所に停車し、後部座席の扉を開けると45cm程の正方形の段ボールを抱えた男子が叫んだ。

「あー……お客さん、ペットは予約して……」

 運転席から段ボール箱を覗き込むと小汚い黒い子猫が『親切な方へ』というメモの上で震えていた。

 段ボールの一部とメモがふやけているので、水に濡れていたのか。

「緊急事態なんだ!! 助けてくれよタクシーの兄ちゃん!!」

 猫の様子からして生後数週間、目ヤニも大量に出ているが、もとより左目が潰れている。

 カラスか何かに突かれたか……。

「分かった分かった、シートベルトを締めて下さい」

 3人らシートベルトを締めると女子がピンバッジに向けて何かを話し始めた。

「コナン君!! 緑の目の猫ちゃんが川に流されていの!!」

 ……驚いた、ちゃんと無線で通話できてやがる。

 超小型の無線機器かよ、流通品としても見たことが無い。

 自作品か……? 

 どちらにしろ子供がなせる技じゃねえ。

 それにコナンという珍しい名前……ドライランで毛利小五郎についてきた子供も『江戸川 コナン』だった。

 ……よく見ると、あの爆破事件の渦中にあった星雲センターにいた客の子供らか? 

 見覚えがあるし、偶然にしては出来すぎている。

 

「最速で病院まで送ります」

 

 、、、

 

「猫ちゃんが助かってよかったぁ……」

 

 子供達が段ボールを抱えて動物病院から顔を覗かせるとスタスタと歩み寄ってきた。

 タクシーの料金、払えるんだろうな……。

「運転手さん!! 猫を飼ってくれませんか?」

 ……はあ? 何言ってんだ。

「あのな、見ず知らずの人間に動物の命を委ねちゃ駄目だろう。……料金の支払いをお願いします」

 女子が渋々料金を支払うと大柄な男子が声を上げた。

「タクシーの兄ちゃんは探偵士の兄ちゃんと同じアニメのキャラクターが好きなんだろ!?」

 ……探偵士……イザラの奴と繋がりがあるのは確定か。

「同じアニメ?」

 薄笑いを浮かべると小柄な男子がバックミラーに下がったケムンパスのぬいぐるみを指差した。

 ……アイツ、ケムンパスが好きなのか? 

「タクシーのお兄さんも優しい人だとお見受けしました!!」

 アニメやらケムンパスやらはどうでもいいが、これは絶好の機会になる。

「仕方が無い……引き取るよ」

 すると女子が跳ねながら段ボール箱の猫を覗き込んだ。

「お名前は何にするの?」

 名前……名前か……。

「キッド。黒猫のキッド」

 3人は顔を見合わせ、口を揃えた。

「「「怪盗キッド!?」」」

 ……ハァ、最近の子供は怪盗キッドにご執心らしい。

 

「『キャット・ザ・リパー』に出てくるキッド・ピストルズからの拝借だ!!」

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