探偵士、少年探偵団と出会う。   作:ummt

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第二十八話 探偵士、依頼をする。

 

「英知さんか……」

 

 あの女性を爆発事故から救い『警察協力章』を受けたことが契機になり、結果として公安に転がり込む事になった。

 さらに言えばスーズとヴェルヴェーヌとの接触の機会に同席した人物だ。

 ……まさか組織の手先か? 

「……学歴職歴を洗ったが普通の中年女性。配信者としての経歴が長いく米花町に定住していて郊外に転居した……事件に関わった一般人を一人一人洗っていったら全員の経歴が埃にまみれた人物像に見えてくるな……」

 ネームドでなくとも末端の構成員か、水面下で横の繋がりがある闇に片足を突っ込んだ危険人物の可能性も捨てきれない。

「7人……先ずは目的を達成しなければならない」

 僕には先も後も次の指標もないけれど。

 ベット脇に吊り下げたドリームキャッチャーのタッセルに向かって尖らせた鉛筆を投げた。

 6つのタッセルには1つだけ鉛筆が刺さったままで、投げた鉛筆は弧を描いてドリームキャッチャーを外して壁にぶつかり、涅槃図の掛け軸を掛けた壁に跳ね返って落下し床に転がった。

 ……英知さんの連絡先を知っているのは梓さんだけだ。

 彼女に『交友関係を見直せ』『信頼足り得る人物か』等と問える立場にないからな。

『夜分遅くにすみません。英知さんに画像の黒いワンピースを再現して頂くことは可能でしょうか。配達員が女性に届けられなかった贈り物を再配達したいとの要望があり、代理としてお願いしたく存じます』

 昼間あれだけあむあず過激派怪文書を述べて不愉快な思いをさせた相手にお願いのメールをすることになるとは……。

 因果は必ず回ってくる。

 いつか蒔いた種を自分で刈り取らなければならない時が来る。

『いいですよ! 明日一緒に頼みに行きませんか?』

 ……返信が早い。

 あんなに激怒していた相手に対して対応が軽すぎる。

 ということは、明日は安室さんも休みになるのか。

 彼氏が居れば不安など無いのだろう。

 嫌な奴と過ごすことになっても隣に理想の王子様が居れば何も怖がる事はないからな。

 ……そう言い聞かせても、彼女を傷つけてしまった事実が変わることはなく、罪悪感として脳と心の片隅に横たわっている。

 

『はい。明日の10時にポアロの前で待ち合わせましょう』

 


 

「おはようございます! デイヴィスさん!」

 

 8時にポアロの従業員駐車場に停車すると水色のワンピース姿をした梓さんが手を振って駆け寄ってきた。

「おはようございます、梓さん。……服」

 可愛い……ただただ可愛い。

 普段は喫茶店の店員としてパンツルックばかりだから……。

 ……安室さんとの博物館デートでも目一杯おめかししたんだろうな。

 ……その姿を見てみたかった、と思うのは無いもの強請りの浅はかさ。

 彼女の愛らしい姿を見られるのは恋人の特権なんだから。

「服……変でした? 一番かわいい服を選んだつもりだったんですが……」

 ……なら、博物館デートで着た服の流用か。

「いえ、かわいい服ですね。そういう服はデートで着たほうがいいですよ」

 待ち合わせの時間より2時間以上早く来たのも、きっと時間を勘違いしたんだ。

「もー!! そこは『服も君もかわいいね』って言って下さいよ!! ほんっとうに意地悪なんだから!! せっかくのデートなのに……」

 梓さんが腕に縋り付くように寄り掛かって来たため慌てて後退りした。

「……梓さん、小悪魔みたいな事言いますね。デートという単語は彼氏の安室さんにだけ使って下さい。誤解を招くことをしたら『浮気してる』って言いつけますからね」

 すると梓さんは腕を掴んで駅まで走り始めた。

「どうぞ!! 安室さんに言ってみてください!!」

 ……そこまで言うのなら。

「はい。後で浮気デートしたっていいますからね。どうなっても知りませんよ」

 彼女が駆け足になるのを諌めながら、半歩後ろを歩いた。

 ……浮かれてはいけない。

 幸せなひと時を積み重ねれば重ねるほど、計画遂行に踏み出せなくなり必ず二の足を踏む。

「デイヴィスさん、特急は一時間に一本なんですよ? 早く行きましょう!!」

 長い髪を揺らして前を捉えて突き進む彼女の後ろ姿を直視できない。

 このまま流れに身を任せてしまったら、早いうちに後ろ髪を引かれて任務をしくじってしまう。

 真綿のような純粋過ぎる白に染まりきってはいけない。

「……大丈夫ですよ、指定席ですから。すでに道は決まっている」

 そう答えると梓さんは振り返って眉をハの字に曲げた。

 

「帰りは自由席にしませんか? ……寄り道するのも楽しいですから」

 


 

「窓の外を見てください! ……景色が変わっていきますね」

 

 窓際の席に座った梓さんは車窓を眺めて目を細めた。

「そうですね……」

 肩と腕が触れる距離で、普段よりも顔つきが穏やかに見えるとプライベートな一面を垣間見えたという錯覚を覚えて、胸がざわめく。

 このまま、平凡な日常が続いたら……。

 彼女と過ごす日々が延びたのかもしれない。

 そもそも組織なんてものが存在せずに、自分もただの青年だったなら……。

 彼女と出会うことすら無かった。

「変わり続ける空とこの日の景色を見られるのは今日限り、一度きりしかないんです。……そう思えば、なんてことない景色も大切なひと時に感じませんか?」

 やっぱり僕は……。

 ……彼女を愛している。

 

「はい。……僕もそう思います」

 

 、、、

 

「あらぁ! 梓ちゃんに梓ちゃんの王子様じゃない!! わざわざ来てくれたの!? 嬉しいわ〜」

 

 久々に会った英知さんは相変わらずといった様子で、猫のボンは足の周りを八の字に歩いている。

 今更気づいたが、オスのサビ猫だったのか……。

 あの時は緊急事態だったから頭に血が上っていたのもあり、そこまで意識していなかった。

 ……悪い兆候だ、細部に目を配れずに重要なものを見逃す……気付いていない見落としがあるのかもしれない。

「梓さんの王子様は別にいますので……画像のワンピースを制作していただけますか? 代金は払いますので、ご都合が宜しければお願いします」

 ガラケー改に画像を表示して頭を下げると明るい声が響いた。

「王子様の頼みごとなら聞くわよ〜! それでも一週間くらい制作時間は貰うわね? 画像は梓ちゃんから貰ってるから型紙を作り始めてるから安心して!!」

 心強い言葉に胸をなで下ろした。

「ありがとうございます。見ず知らずの他人に此処まで良くしてくださって……」

 頭を掻きながら苦笑いをすると背中を思い切り叩かれた。

「何言ってんの!! アナタはボンちゃんの命も救ってくれたじゃない!! 他人じゃなくてお友達!! せめて親交のある知人って言いなさいよ!! 失礼しちゃうわ……梓ちゃん、彼氏の人見知りは直したほうがいいわよ!!」

 話題を振られた梓さんは苦笑いして僕の腕を引っ張った。

「彼、勝手に周りとの境界線を引いて閉じこもっちゃうんです。駄目ですよ? デイヴィスさん」

 ……梓さん。

 貴方を組織のターゲットにはさせない。

 徹底的に貴方の期待を裏切り続けますから。

 

「それなら完成品を渡すときに泊まりに来なさいよ!! 水着と浴衣を持ってね!! この辺の宿は安いからオススメよ!!」

 


 

「一週間後かぁ……皆さんを誘うとして……宿、先に下見していきませんか?」

 

 梓さんの目まぐるしく変化する表情に目が離せない。

 このままでは目と意識を囚われたままになってしまう。

「……二人きりでしっぽり……背徳の浮気お泊りデートですか」

 吐き捨てるように呟くと梓さんの顔はみるみるうちに真っ赤になり、下を向いてわなわなと震えた。

「わ……わ……わっ……ばっ……バカバカバカ!! デイヴィスさん意地悪が過ぎます!!」

 壊れた家電製品を叩くようにポカポカと叩かれた。

「意地悪なのは梓さんの方では? ……僕が熊津さんと深い仲だとご存じの筈ですよね」

 ピタリと手が止まり、涙が浮かんだ瞳が自分を映した。

「やっぱり熊津さんとお付き合いされているんですか……?」

 熊津……ヴェルヴェーヌと交際している。

 この都合のいい状況を使わない手はない。

 人間関係の導線上に一般市民は置かれていないと証明するために。

「……はい」

 手はゆっくりと引いて、両手が不安を確かめるように握られた。

「……そうだったんですね。……すみませんでした」

 喉につかえたような声を遮るように続けた。

 

「……下見だけはしましょうか。書き入れ時のシーズンですし、人数も多いとなると早いうちに予約をしたほうがいい」

 

 、、、

 

「デイヴィスさんって……誰にでも優しいんですね。……誤解されますよ、いろいろと」

 

 昼食として宿に近い蕎麦屋に立ち寄ると、ありがたいお言葉を頂戴した。

「梓さんも僕みたいなクズに優しくしない方がいいですよ。ストーカーにでもなったら大変ですからね」

 水をさすように風鈴の涼し気な音がカラカラと鳴り、それと反するように会話は続かなかった。

 

「……デイヴィスさんはクズなんかじゃありません」

 

 、、、

 

『デイヴィスさんに会わせたい人が居るんです!!』

 

 梓さんとの気不味い下見を終え、人が疎らな自由席に小一時間揺られ解散した後で探偵バッチが鳴った。

 会わせたい人……世良さんの時は酷い目にあったな。

「なんて人かな?」

 ポアロの従業員駐車場に向かいながら尋ねるとつい先日耳にした名前が放たれた。

 

『タクシー運転手の夏目さんです!! 今、阿笠博士の家に居るんで来てください!!』

 


 

「皆!!」

 

 阿笠博士の家に着くと真っ直ぐに窓側に向かって駆け寄ってリビングを確認した。

 中には歩美ちゃん、元太くん、光彦くんの他に……。

 金髪にグリーンのメッシュが入った夏目がテレビモニターに向かって顔を向けている。

 駐車場にはシャルトルーズが乗りそうにもないシルバーの軽自動車が停車しており、ナンバープレートと車体を撮影して発信機をフロントのフェンダー裏に取り付けた。

 車内にを見回すが銃火器を格納するアタッシュケースのものは見当たらない。

 ただし、助手席のローブボックスに二丁拳銃を隠すことも出来る。

 それにシートの下や荷台の隙間に仕舞い込んでいる可能性もある。

 ……まさか、携帯しているのか? 

「あ!! 兄ちゃん来てたのかよ!!」

 背後から声がして振り向くとリビングの窓から元太くんが手を振っていた。

「……うん」

 玄関から入っていったとして、三人が人質にでもされたら無傷では済まない。

 しかし、窓から入っても同じ事。

 このまま玄関から入り、出方を伺う他ないだろう。

 玄関で夏目と思わしき革靴のインソール下に発信機を差し込んでリビングにゆっくりと向かった。

「お兄さん!! 紹介したい人がいるの!!」

 三人が取り囲んでいる胡座をかいてテレビゲームをしている男のことは、自分が一番よく知っている。

「あー……お前、デイヴィス阿笠だろ? この間のドライランではどうも」

 何故、あの一件で阿笠博士の家に辿り着いた? 

 毛利さんやコナンくんが阿笠博士や少年探偵団について見ず知らずの第三者に話す理由が無い。

 工藤 新一と顔馴染みである服部さんが少年探偵団の存在を知り得ているとして、漏らすような人間ではないだろう。

 シャルトルーズの同僚であるタクシー運転手の石川さんという毛利さんの熱狂的なファンが認知していたのか? 

「どうも……今日は何用で?」

 目を合わせると冷たいハンターの瞳孔が縮小し、痙攣した。

「珍しい『キャット・ザ・リパー』のソフトが有るって聞いてよ……。来ちゃ悪かったのか? あ?」

 此処で否定してしまったら『少年探偵団』と『阿笠博士』が重要人物としてマークリストに入ってしまう。

 何よりも、シャルトルーズが動きを組織に報告していた場合、万が一自分がコイツを始末をしてしまったら『重要人物と接触したから消された』として導線上に浮かんでしまう。

 

「いや……別に……」

 


 

「そうかよ……」

 

 夏目はそのままゲーム画面に視線を戻した。

 画面の中ではピンク色のロボットがベヴァリー・ルイス女史の噂話をしている。

「夏目さん、『キャット・ザ・リパー』を知っていたんですよ!! ものすごい偶然じゃないですか!? デイヴィスさんと気が合うお友達になれると思います!!」

 違う、ニルズ・ファージング監督が休憩時間に起動しっぱなしだったゲームであって……監督と仕事を共にした者なら嫌でもあのBGMを聴いていて、タイトルを知っている。

「へえ……でも市販で流通していたタイトルだから知っていてもおかしくないよ」

 ただし、今の検索エンジンでは『NYの有名な私立探偵たちが集まる探偵倶楽部で起きた殺人事件により、13人の探偵のうち12人が命を落とし、生き残った13人目の名探偵は、謎の薬によって猫の姿に変えられてしまう。彼は人間の言葉を話せないながらも、持ち前の推理力と猫ならではの視点を駆使して真犯人に迫る』なんてトンキンならぬトンチキなハルシネーションが表示されてしまうが。

 否が応でもサーバーのデータを参照する人工知能は『データ化される前時代』のアナログデータに著しく弱い。

 データ化されていないものは『NIL』とされて、無かったことにされる。

 そこに確かにあったものが、存在を根本から消されてしまう。

「それによ!! タクシーの兄ちゃんもおんなじアニメが好きみたいだぜ!? 探偵士の兄ちゃんのガラケーに付いてるストラップのキャラクターの仲間だろ!?」

 元太くんが指差すのは夏目のスマホに付けられたケムンパスのストラップと、自分のニャロメのストラップだ。

 括り付けたのはたった一昨日前の事。

 つまりセレモニー予行演習の後、トラック運転手の荷物の事件を解決した直後に夏目と出会ってしまったのか。

「仲間あ!? ケムンパスはニャロメの仲間じゃねえから!! 冷静沈着で場を見極める……成虫になる可能性を秘めた青虫なんだよ!!」

 それを聞くと歩美ちゃんは此方を見上げた。

「探偵士のお兄さんはどうしてニャロメが好きなの?」

 ニャロメは主役のア太郎を食った。

 主役を差し置いて、人気キャラクタの座についた。

 そして多くの人々から愛された。

 

「ニャロメは女の人にだらしが無いけど、一途で人のために一生懸命になれるところかな……。誤解されても、めげずに自分の出来ることを全うするんだ……」

 


 

「あら、お客様かしら……」

 

 最悪だ、シェリーはラボに隠れていたわけではなく外出していたのか。

 玄関先の靴は日常的に普段使いするものとして置くのは普通であって、靴の有無で存在の可能性を確認できるのは訪問者のみ。

「男性の靴……訪問販売でも来てるんじゃねーか?」

 今、玄関に居るコナンくんとシェリーにシャルトルーズの来訪を知らせて、パニックになれば不自然さが疑われ『子供の姿になっている』までには辿り着かなくとも『組織に関係する人物』としてエスカレーションされてしまう。 

 星雲センターでのシャルトルーズは変声器で声を変え、女装をして化粧をしていた。

 ……組織の人間だと気づかれない可能性にかけるしか無い。

「あ、どーも。……って江戸川 コナンくんじゃないか!! 覚えてるか? タクシー運転手の夏目!! 夏目 安慈だよ!! セレモニーお疲れ様なー!!」

 夏目が手を差し伸べるとコナンくんは迷わずに手を握った。

「夏目さん!! お疲れ様でしたー!!」

 どっちなんだ、組織と把握している? していない? 

「あら、江戸川君……知り合いなの?」

 シェリーの顔色が曇って声が低くなり警戒していることが伺える。

 ……警戒の色を強めたら『なぜ子供が警戒を?』という疑問から意図を探られてしまう。

「うん!! 『ワープターミナル東都』で一緒に謎を解いた探偵さんの一人だよ!!」

 コナンくんは卒なく出会いの説明を述べ、シェリーの手を引いてキッチンに歩いていった。

「夏目さんはコーヒーでいいよね? ミルクと砂糖は必要?」

 夏目は親指と人差し指、中指を広げて振った。

「別に無ければいいからなー!!」

 どうにかしてコイツの目から子供達を離さないと。

「そうだ夏目さん、ちょっとお話しませんか?」

 口角を上げて部屋の外を顎で示すと、露骨に嫌な顔をした。

「は? 此処ですればいいだろ? ……子供達に聞かせちゃ不味い話でもするのかよ」

 すると三人は此方に食って掛かってきた。

「僕たちに秘密は無しです!! 内緒話はよしてくださいよ!!」

 ……夏目の方が子供の扱いが一枚上手か。

 下手に事を荒立ててしまったら、なぜ庇い立てするのかといった憶測が浮かぶだろう。

 

「だって僕、コイツのこと嫌いだからさ……」

 


 

「何でだよ!? 知り合いだったのか!?」

 

 元太くんが驚いた様子で大きく口を開けた。

「『ワープターミナル東都』で同じ探偵グループになってさ……どこかいけ好かなくて……嫌いなんだよ。こういう奴」

 吐き捨てるように言葉を口に出すと歩美ちゃんが眉を怒らせて詰め寄ってきた。

「ダメだよ!! 相手のことを知らないのに悪口言っちゃ……悪口はいけないんだからね!!」

 この調子なら、まける。

「嫌いなものは嫌いだから仕方ないじゃないか。自信過剰で自意識過剰。自分は間違っていないと確信していて、有言実行もお手の物で常に光を浴びている。周りにいつも人がいる中心的な求心力がある人物。皆に好かれて文武両道……まるで優秀な兄のような……。吐き気がするくらい大嫌いなタイプた」

 すると三人の顔が引き攣り、幻滅した様子を見せた。

「……アナタに兄が居たなんて初めて聞くわ。……行き過ぎたカイン・コンプレックスとでもいいたいのかしら」

 いつの間にかシェリーがコーヒーを二つ分リビングテーブルに乗せていた。

「探偵士さん、コーヒーでも飲んで落ち着きなよ。夏目さんもコーヒーどうぞ!」

 コナンくんの勧め通りにブラックコーヒーを口に含んだ。

「おー砂糖ビタビタで助かる!! いきなり誹謗中傷された心に染み渡るなー!!」

 夏目は角砂糖が三つ入ったコーヒーを口にしながら笑った。

「お兄さん!! 夏目さんに謝って!!」

 歩美ちゃんがソファに座る自分の顔を覗き込んで説得を始めた。

 こうすれば夏目に対する敵意を隠さなくてもよくなる。

 後はどうやって子供達をリストから除外させるかだ。

 単なる喫茶店の店員と客の関係性に出来るか……阿笠博士には名字を貸してもらっている手前、無関係とはいかない。

「嫌だよ。嫌いなものは嫌いだから。夏目はいけ好かないから嫌い」

 すると光彦くんが大声を上げた。

「今日のデイヴィスさんおかしいですよ!! デイヴィスさんは人を悪く言ったりする様な人じゃありません!!」

 ……買い被り過ぎている。

 僕はただの芥。

「はぁ……これだから子供の相手は嫌なんだ……面倒臭い、疲れるなあ」

 溜め息を漏らすと元太くんが泣きそうな声で肩を揺すった。

「兄ちゃん!! オレ達のこと面倒臭い相手だって思っていたのかよ!!」

 三人の表情がどんどんと悲痛なものになっていく。

「うん。子供は嫌いだから」

 ……最初に泣き崩れたのは歩美ちゃんではなく、元太くんだった。

 続いて歩美ちゃんが泣き始めて、光彦くんが涙を一杯に溜めながら震える声で宣言した。

 

「……デイヴィスさんを少年探偵団見習いから外します。謹慎処分です。……暫く、会いに来ないで下さい」






 あとがき


 ケムンパスとニャロメのガチ勢

なかみについて(期間限定アンケ)

  • ややこしい(かため)
  • 分かり易い(やわらか)
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