「おはようございます、梓さん。」
梓さんが自室に訪れてから意識がフワフワしている。
「おはようございます!デイヴィスさん!」
眩しい笑顔に虹彩が彼女の形に焼き付いてしまったようだ。
まるで虹の女神アイリスのように清らかで美しい……。
「おはようございます、デイヴィスさん。色々と誤解がありましたが、これからも宜しくお願いしますよ。」
安室さんが同じくらい爽やかな清涼感を携えてほくそ笑んだ。
……誤解も何も無いだろうに。
諜報員として無能かつ、一般人である従業員にセクハラを働いたとしてクビを言い渡したに他ならない。
「明日の海、初めてのお泊りなので楽しみですね!」
言い方に気をつけてほしい発言を無邪気にする梓さんにグッと堪えるように唇を噛み締めた。
「……楽しみですね……。」
腕を指で抓りながらニヤけそうになるのを止めると安室さんがフッと笑みを零した。
「今は勤務中ですから、楽しみは明日に取っておきましょうね。」
鼻で笑われた事に言いようない感情が湧き上がったが、それを意識する前にドアベルが鳴った。
「ここが有名な美人店員とイケメン店員がいる所?あんましパッとしてなくない?実鳥くん。」
入り口に目をやると茶髪に巻き髪、ギャル服に長い付け爪にデコレーションをふんだんに散りばめた若い女性と黒いボサボサ髪に大きなウッドボタンが目立つオーバーサイズのカーディガンを身に着けた男性が立って雑誌を手に持っていた。
「あー……写真詐欺じゃない?やっぱり盛ってるんだって。花実ちゃんのが百倍可愛いよ……。」
どうやらアベックのようで、手元からチラリと雑誌の中身を覗かせると『美形店員がいる注目の喫茶店』という取材許可を取ったのか怪しい企画に喫茶ポアロの名前が見えた。
「いらっしゃいませ。二名様で宜しいでしょうか?お好きな席へどうぞ。」
二人に近づいて案内をすると花実という女性は大声を上げた。
「うちイケメン店員さんに接客されたいんですけど!!」
その声を聞くと安室さんがカウンターから身を出してにこやかに答えた。
「申し訳ありません、うちは指名制ではありませんので。」
花実は不満げな顔をしたが、実鳥という男を引っ張ってソファ席に座った。
「接客態度最悪じゃん!!後でレビューに書いてやるから!!」
お冷の水とピッチャーをテーブルに配置し、メニューと注文の説明を一通り済ませると、自分に用はないようなのでカウンターに戻った。
「女性店員は結構可愛いかも……あ、花実ちゃんには劣るよ?」
「ねー季節のパフェまだー!?」
注文では食後にお持ちする事になっていたが、今まさに二人はランチメニューを食している最中だ。
「ちょっとトイレに行ってくるね……。」
実鳥がソファから立ち上がると、ダルダルになったカーディガンの裾がコーヒーカップの中に落ちてボタンが濡れた。
「大丈夫ですか!?コーヒー、交換しましょうか?」
梓さんが声をかけるとニヤケ顔でヘラヘラと笑った。
「大丈夫です……コーヒーより、連絡先交換しませんか?」
それを見た花実がテーブル下で実鳥に蹴りを入れるとスゴスゴと手洗いに向かった。
「うちはイケメン店員さんと仲良くなりたいなー。連絡先交換しない?」
花実は身体をカウンターに向けながら長い付け爪で自分のコーヒカップの縁を触った。
「僕は店員ですので、お客様との連絡先交換は控えさせて頂きます。」
ニコニコと微笑みながら安室さんが話題を交わすと、実鳥が手洗い場から戻った。
「じゃあ、うちもトイレに行くからそれまでにパフェ出してよねー。」
入れ替わるように花実が席を立つと、実鳥は神妙な顔をしてコーヒーカップを見つめた。
「……パフェ、お願いしますよ……。」
そして二人が一度も口にしていなかったコーヒーの花実の席にあった方のカップをこちらを気にしながら入れ替えて一口だけ口に含むと突然立ち上がり叫び声を上げた。
「あのクソアマ!?苦っ!!ギイイッ!!」
実鳥は身体を引っ掻きながら引き攣るように痙攣し、身体を反らせて恐怖に慄いたような怯えと笑いという相反する形相をして苦しみだした。
「梓さん!!救急と警察に連絡を!!」
安室さんが叫び、花実が手洗い場から出てくるなり絶叫し始めた。
「きゃあああ!!実鳥くんが死んじゃう!!」
花実の付け爪は手洗い場から戻ってきたため全体的に濡れているが、黄色い五枚の花弁を有した小花……いちごの花のようなパーツのコーティングが1枚溶けている。
「実鳥さん!!貴方は自身で解毒剤を持っているはずだ!!」
実鳥はポケットから錠剤の入った瓶を取り出したのでそれを受け取り、彼の口を水で濯ぎ安室さんと二人で担ぎながら食糧庫近くの暗く静かな場所に移動させた。
「医療従事者が到着次第この鎮静薬は渡して判断してもらいます。気道の確保を優先しますからね。」
「彼のカーディガンのウッドボタン……ホニカの種子を乾燥させて穴を空けたもので間違いないと思います。」
駆けつけた救急隊員に事情を説明すると、実鳥は救急車で運ばれていった。
「ホニカはインドールアルカロイドを有し、アガサ・クリスティが取り扱って有名になった猛毒とアレクサンドル・デュマの『モンテ・クリスト伯』で言及のある猛毒を含んでいますから……。」
安室さんが説明し終わると花実が抱きつくように擦り寄った。
「えー!?もしかして花実、馬鹿な彼氏に殺されそうになったってことー!?怖いー!!」
確かに実鳥はコーヒカップを入れ替えた。
「貴方も実鳥さんを殺そうとしていましたよね。その付け爪で。」
コーティングが剥がれた付け爪を指差すと花実は顔を真っ赤にして震え出した。
「はあ!?実鳥がよく分かんない毒でできたボタンをコーヒーに入れて、うちを殺そうとした時に交換したカップを自分で飲んじゃっただけじゃん!!」
場には目暮警部と千葉刑事が到着していたので確認を取った。
「彼女の付け爪、生花のキツネノボタンだと思います。それを湯で溶けるゼラチン質でコーティング加工をしてコーヒーに溶かし手洗い場で洗った。まず貴方が先にコーヒーカップを入れ替えていた。それを知らずに実鳥はカップを交換した為に自分が入れた毒を飲んでしまった。」
千葉刑事が花実の手を掴んで付け爪を確認すると声が上がった。
「確かにコーティングと花弁の一部が崩れている爪があります!!」
花実は地団駄を踏みながら絶叫した。
「違うし!!キツネノナントカじゃなくていちごの花に黄色く色付けしただけだし!!」
仕方が無いので鑑識に頭を下げて花実の方のコーヒーカップを持って口に含もうとすると花実は慌てて暴れ出した。
「だめ!!それ飲んじゃ……」
コトリとカップをソーサーに置くと疑問を投げつけた。
「何故飲んではいけないのですか?確かに店員がお客様に提供したものを口にするのは問題ですが……今は有毒か無毒かの議論の最中ですので……。」
すると花実は安室さんにしがみつきながらワンワンと泣き始めた。
「うぅー……うちも毒を入れたんだよ……まさかあっちも毒を入れてくるとか思わなかったから……。」
「あの……初めまして……。私は熊津 来縁と言います。郵便局で働いてて、クエンさんって呼ばれてるんです……。クエン酸みたいで変なあだ名ですよね……?」
翌日、熊津は特急の乗り場で沖矢さんと安室さんを見つけるなり距離を置いて立っていた二人に絡んでいった。
「彼女が例の……君の彼女かい?フラフラしているし、手綱を握っていた方がいいんじゃないか?」
逆に公安とFBIという諜報員のプロにフラフラと付き纏うような誘蛾灯に飛び込む蛾、跳んで火に入る夏の虫になってくれればいざという時に取り押さえやすくなる。
「あはは……そうですね。」
結局、海に行くメンバーは以下の通りになった。
子供組
阿笠博士(引率)、コナンくん
光彦くん、元太くん
哀ちゃん、歩美ちゃん
女性陣
蘭さん、園子さん
世良さん、梓さん
男性陣
安室さん、沖矢さん
アベック組
自分、熊津
ただし、座席については熊津が「男性陣に花を」と言って沖矢さんと熊津、安室さんと梓さん、自分と世良さんに無理やり変えた。
「君の彼女、沖矢さん狙いなんじゃないか?」
まあそうだろう、ヴェルヴェーヌは背が高く顔立ちが整った男と見れば直ぐに関係を持ちたがるからな……。
「困るなぁ……僕が彼氏なんだけど……。」
この調子なら自分に飽きて関係を解消し保護だけを求めるようになるか、女性陣に対するジェラシーを拗らせて凶行に及ばなくなるかもしれない……。
いや、対象が沖矢さんだと女性陣に対する嫉妬の炎を消しきれず、安室さんであれば余計に状況が悪化してしまう。
ただただ座席に座って窓側で此方を覗き込む世良さん越しに移り変わる景色を見ていた。
「デイヴィスさん!!しっかりしなさいよ!!相手が沖矢さんだといくら何でも厳しいんだから!!簡単に彼女を寝取られちゃうわ!!」
言葉の選択が不適切だ。
「あー……沖矢さんは貞操観念がしっかりしているので……。」
対面する園子さんのアドバイスを右から左へ受け流すと、蘭さんも身を乗り出して真剣な顔をして拳を握った。
「相手は花の東都大学大学院生なんですよ!?頑張って良いところを見せなきゃ!!」
もし仮に沖矢さんが恋敵なら大惨敗が目に見えている。
「はい……尽力はしてみます。」
「よく来たわねえ!!梓ちゃんと梓ちゃんの王子様!!」
主目的である依頼物の確認をしに訪れると、英知さんは相変わらずのテンションで出来上がった黒いワンピースを見せてくれた。
「すごいですね……あの写真一枚から此処まで再現出来るとは……。」
特殊なパフスリーブにフリルと絞りが完璧に再現されているように見える。
「なんたって手芸配信者ですもの!!今日中に配達員のお兄さんに直接渡すわ。今度こそちゃんと届けてあげてねって!!」
そうか……女性に直接手渡さないのか。
製作依頼したのは荷物の紛失をした配達員だから、妥当ではある。
「きっと喜ばれますね!良かった……。」
安堵したように目を細める梓さんの横顔に、胸がざわめく。
「宿は香月旅館にしたんでしょう?そこの女将と顔見知りだから後でスイカを持って行ってあげるわね!!」
、、、
「げ……探偵士もおるとか聞いてないで!!」
先に旅館に向かった一団に合流すると『ワープターミナル東都』で出会った西の高校生探偵である服部 平次と遠山 和葉の姿があった。
「こんにちは!!蘭ちゃんから誘って貰うたから、平次を引っ張って来ました!!」
人数に関しては梓さんに一任してしまったし、人が多ければ多いほどヴェルヴェーヌが不審な動きをしたら把握がしやすい。
「こんにちは。宜しくお願いします。」
ならば部屋割りは子供組と大人組の二棟に分かれるな。
……どうせヴェルヴェーヌの事だ、メールを三人に誤送信された腹いせに女性陣に見せつけがましい事を要求してくるだろう。
子供達が巻き込まれないのなら、如何なる理不尽でも受け入れよう。
「アンタんとこの彼女、何なんや?『西の高校生探偵くん、私の身体を隅から隅まで荷物検査してみる?』とかキッショい事を言いよってからに……。」
それに関しては大変申し訳ないとしか言えない。
「あはは……僕が彼氏だと満足出来ないのかな……無礼を働いてしまって、不快な思いをさせて申し訳ない。」
頭を深々と下げると和葉さんが背中を軽く叩いた。
「大袈裟やわ!!平次も胸を押し付けられて嫌な顔すらせえへんかったし、満更でもない顔してデレデレしとったやないの!!ほんまにカッコつけしいなんやから!!」
顔を上げるとバツの悪そうな顔をした服部さんが手を叩いた。
「うっさいわ!!早う荷物を置いて海岸に行くで!!」
「どうしてデイヴィスさんは一人で居るんですか?」
梓さんが砂の城を作っている自分を屈んだ姿勢で覗き込んだ。
駄目だ……好きな人の水着姿は直視できない。
「……デイヴィス城を作っているからです。」
理由のわからない理屈を述べて砂を固めた。
一応本来の目的は男性陣に絡むヴェルヴェーヌの動向を見届けるための位置取りではある。
「なら私もお手伝いします!!寝室を作りましょうか。」
梓さんは膝を付いて砂の塊を台形になった砂場に四角形を作り始めた。
「寝室……。」
思わず水平線を見つめた。
「どうしたんですか?海に何かありました?」
意識をしてはいけない、波に流されて来たヒトデの死骸を掴んで砂場に乗せた。
「このヒトデが城の主です。」
兎に角、この場をやり過ごそうと意味の無い言葉を述べると梓さんも小さいヒトデを両手で掬い砂場に乗せた。
「子供部屋も必要になりましたね。」
そう言って梓さんはニコニコと枠を作り始めた。
心臓が保たない、破裂する。
目線をヴェルヴェーヌに戻すとグラビアアイドルが撮影の為に身につけるようなビキニ姿で安室さんと沖矢さんと腕を組んでご満悦といった表情をしながら二人を見せつけるように海岸を闊歩している。
梓さん……少なくとも安室さんの事情を汲んで自分に声をかけてきたのか。
「安室さん達、熊津……彼女の機嫌を損なわないようにしてくださって……申し訳ないです。」
溜め息交じりに反省を述べると梓さんは眉をハの字にして微笑んだ。
「色々と……事情があるんですよね。」
コクリと頷くといきなり手を叩かれた。
女にだらしない罰か?
差された指の方向を見ると園子さんと世良さんがナンパに遭っているようだった。
世良さんなら容易くあしらえる……が、状況が悪いな。
「すみません、城を頼みます。」
明らかにナンパ目的であろう4人組の男に囲まれた世良さんと園子さんの間に割って入った。
ソフトクリームの両手6個持ちなど無茶なことをしたせいで手を塞いでしまっている。
「姉ちゃん達、ソフトクリームが大好きなの〜?可愛いね!オレ達にも分けてよ!!」
自分の金で買え。
「彼女、僕の可愛い人。この人は友達。僕の連れ。さよならしてクダサーイ。」
頭を掻きながらぎこち無い笑みを浮かべると一人に肩をどつかれた。
「あ?なんだよ彼氏、外国人?真面目そうに見えて意外とやることやっ」
「それ以上はいけません。不適切です。謝罪をしてもらえますか?」
「グギ……力強え……。」
肩を叩いてきた男の喉仏に触れるように手をかざし、男の腕を引くと首に置かれた手から逃げるように払いのけようと藻掻いた。
「デイヴィスさん!!暴力はいけない……暴力?」
園子さんが首を傾げるが、肩をどつくのも腕を引くのも暴力行為に値する。
「あー!!はいはい謝るよ謝る!!あんたのスケに手を出して申し訳」
「言葉遣いが不適切です。迷惑行為に対して真面目に謝罪してください。」
周りにいる3人の男達は顔を見合わせて頭を下げた。
「す、すみませんでした……もうしません。」
腕を引いている男は頑なに頭を下げようとしなかったが、後ろから安室さんと沖矢さんの声が掛かると腕を無理やり振りほどいて二の一番に走り去っていった。
「うわー……デイヴィスさん、頑固っていうか……ちょっと融通が利かないみたいね……。普通、ナンパを追っ払うならボコボコにして終わりじゃない?」
いや、ナンパをボコボコにしてしまったら僕が塀の中に行くことになるよ。
「どうかされましたか?あ……ソフトクリームが……。」
安室さんが駆け寄って来ると世良さんの両手のソフトクリームが溶け出していた。
その溶けてしまった部分を舐め取り、世良さんの両手から奪った。
「僕はソフトクリームが大好きなので買い取ります。」
すると園子さんからツッコミが入った。
「はあ!?アナタ、甘い物が苦手だって言ってたじゃない!!まったくもう、新しいソフトクリームを買いに行きましょ!!……世良さん?」
世良さんは顔を真っ赤にして下を向いていた。
「デイヴィスさん、あまり女性を誑かすのは感心しませんが……。」
確か世良さんは沖矢さん……赤井 秀一の妹にあたる。
「え?はい……すみません。」
妹の側に工作員を寄り付かせたくないなら、事前に言ってくれれば自分が海に来ることは無かったのに……。
「フッ……沖矢 昴さん。アナタはデイヴィスさんの事を1ミリも理解出来ていなかったようですね……。彼はこういう男ですよ……。」
安室さんが腕を組みながら沖矢さんに向けて不敵な笑みを浮かべた。
「少々、認識が甘かったようだ。自己評価が低い事が他者に対するパーソナルスペースの無意識下での侵害に繋がっている……。」
「梓さん、戻りました。ソフトクリーム、食べますか?」
砂浜を走って梓さんの所に向かうと、長い髪を垂らしながら俯いて砂に文字を書いていた。
「すみません……お城を守れませんでした。」
視線の先にある城の跡地には新しいヒトデが一匹、蠢いていた。
そこまで真剣にならなくてもいいのに……。
「そうでしたか……砂の城とはひと時の儚い夢のような、不安定な脆い希望そのものですから……。」
梓さんにソフトクリームを渡しながら、自分で言っていて何を言っているのか分からないポエムを口走ってしまった。
どうも調子が狂ってしまうな。
「そうだ!一つだけ残ったものがありますよ!!」
梓さんはニコッと笑うと自分が拾った腕が7本あるゴトウサメハダヒトデを両手に乗せてみせた。
「ヒトデの死骸……標本にできますね。ありがとうございます。」
ヒトデは白く骨片が見えているから、アルコールの消毒等の漂白と防腐処理をすればすぐにでも標本になりそうだ。
「おーい探偵士くん!!スイカがきたぞー!!」
世良さんに声をかけられて海岸の一角に二人揃って走り寄った。
「まさか目隠しでのスイカ割りとか、本当にするんですか?」
スイカを持って来てくれた英知さんと女性陣、子供たちから笑顔が消えた。
「何言ってるんですか!!スイカ割りは海でするものですよ!!」
「兄ちゃんにはスイカ食わせてやらねーぞ!!」
「お兄さんも参加したいなら、スイカの下に敷くビニールの回収係をやってからだよ!!」
光彦くん、元太くん、歩美ちゃんからの猛攻に頭を掻いた。
「うん。じゃあビニールを敷くからね。」
その後は目隠しでスイカ割りをする彼らを眺めてはビニールを回収し、スイカを分配して新しいビニールの上にスイカをセッティングする作業を繰り返した。
「……探偵士もやれや。」
皆がスイカを食べるのに夢中になってきた頃に服部さんから無茶振りをされた。
「あー……僕はこういうの不得意なので……。」
頭を下げると目隠し用のハチマキを無言で渡された。
仕方が無く目隠しをして棒を取るとビニールが移動させた音が聴こえるのと同時に大量の野次が飛んできた。
「デイヴィスさん!!スイカは西や!!」
「違いますよ!!北東です!!」
「真っ直ぐ進んでください!!」
目の前が暗い状態で無数の声が聴こえると、あの日見た悪夢を思い出して不快感に苛まれた。
最短で行こう。
楽しむためのパフォーマンスの類を完全に無視して目的の方向までスタスタと砂にとらわれた足を上げながら歩き、棒を一振りしてスイカを割ると目隠しを外してビニールごと彼らの元に運んだ。
「はい。スイカ割りは終わりました。」
あとがき
セクハラです
改稿前「ホニカ……マチンはインドールアルカロイドを有し、アガサ・クリスティが取り扱って有名になったストリキニーネとアレクサンドル・デュマの『モンテ・クリスト伯』で言及のあるブルシンという猛毒を含んでいますから……。」
なかみについて(期間限定アンケ)
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ややこしい(かため)
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分かり易い(やわらか)