探偵士、少年探偵団と出会う。   作:ummt

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第七話 探偵士、眠りの小五郎と接触する。

 

「おはようございます!」

 

「おはようございます。」

 まさか沖矢さんが朝から居るとは。

 彼方此方を歩き回って忙しいのだとばかり思っていたが。

 朝食は鱈と大根のサラダ、里芋の煮っころがしと蒸した鶏肉、味噌汁に米が用意されていた。

「沖矢さんって朝は和食派なんですか?」

 沖矢さんは頷いてダイニングチェアに着席した。

 ……一緒に食事を取れ、ということか。

「日によりますね。」

 無難な回答が返ってきたので同じく着席して手を合わせた。

「「頂きます。」」

 その後は特に会話することなく、各々で食事を済ませた。

 ただ、食事をしながら彼が読んでいる新聞の背にある記事が長い時間視界に入ったため、早々に食用が失せてしまっていたのもあって完食する迄に時間を要した。

「長く続いていたハリウッドでの映画続編に関する訴訟問題が、解決したらしいですよ。」

 彼は記事を食い入る様に見つめてしまっていた自分に投げかけた。

「へぇ……そうなんですか……。」

 何も言える立場にない。

 僕は監督でも主演俳優でも観客でもないんだから。

 

「キャストを一新して撮影を再開するそうです。」

 

、、、

 

「おはようございます!デイヴィスさん。」

 

 梓さんの明度が高い明るさに目が眩みそうだ。

「おはようございます。梓さん。」

 今日も安室さんは居ないみたいだ。

 安室さんだけはシフト表とは違う動き……突発休が許されているらしい。

 これでは梓さんの負担が大きくなってしまうだろうに……店長はホール業務をあまりしないし、早めに人材確保をした方がいいだろう。

 ……ただ、過度に混雑をする訳では無さそうなので、これでいいのかもしれない。

 半人前が出しゃばってはダメだ。

「デイヴィスさん、気を張ってませんか?」

 ボーッと考え事をしていたせいで、いつの間にか梓さんに顔を覗き込まれている。

「いえ、調理方法をイメージトレーニングしただけです。」

 マニュアルをめくりながら頭で手順を再現しよう。

 パンの次にレタスで、マスタード……の前にハム。

「頑張り屋さんなんですね。」

 ……人並みの行動を称賛されてもな……。

「あはは……一人前になれるように頑張ります。」

 頭を掻くと梓さんはフフッと笑みを零した。

 するとドアベルが鳴ってスーツ姿の男性が怒鳴り込んできた。

 

「安室!!安室は居るか!?」

 


 

「すみません毛利さん、安室さんは今日はお休みです。」

 

 と言うことは彼が『毛利小五郎』か。

「何だよ……チッ。バンド関係なら安室も連れて行ってやろうと思ったんだがな。」

 バンド関係?安室さん、バンドをやっているのか?

「あ!それなら丁度いい人をご紹介します!!彼が記憶喪失の探偵士、デイヴィスさんです!」

 梓さんが腕を引いて毛利さんの前に引き合わせた。

 丁度いい人ね……。

「ああ、アンタが……ウーム……仕方ない。一緒に来てもらおうか。」

 また梓さんをワンオペにしてしまう。

 彼女の顔色を伺うと満面の笑みで背中を押された。

 

「すみません梓さん、行ってきます。」

 

、、、

 

「で、今回の依頼人の志度さんだ。」

 

 案内された毛利探偵事務所のソファには革ジャンにジーンズ、ショートブーツ姿の男性が手紙を手に持ちながら座って待っていた。

「俺のバンドに殺害予告がありまして……。せっかく復活ライブをするのに……。」

 志度が手にしている手紙には『お前をShineしてやる』という馬鹿馬鹿しい内容が何行にも渡って記載されていた。

「悪戯なのではないですか?」

 紙質が和紙か……指紋が取りにくい物を選んだか……。

 インクも市販のマジックペンの可能性が高い。

 ただ、便せんに封筒はあるが……封筒の糊付けが綺麗に剥離されている。

「な!?うちのバンドは十年前にオリコンチャートの1位にもなったことがあって再結成を待ちに待って涙を流すファンが大勢居るんですよ!?」

 それに封筒に宛名書も差出人も無い……のは脅迫状では当たり前だが、この封筒がどうやって志度の元に渡ったかだ。

 ポストへの投函か、他の郵便物に紛れたか、カバンや服に忍ばされたか。

「それで、この封筒はどこで?」

 取得方法を確認すると志度は真顔で答えた。

「は?ポストですよ!!きっと足を引っ張ろうとする昔の界隈が妬んでるんですよ!!」

 ならば地域の防犯カメラに映っている可能性があるな。

「探偵士くん、それがだな……防犯カメラに映ってないらしいんだ。まるでゴーストだ。」

 いや、それはありえないだろ。

「防犯カメラに映ってないというのは、一部のカメラが録画出来ていない時間帯があった……マンションならUPSすら持たない大規模かつ長時間の停電があったんですか?それかカメラに工作物が仕掛けられていた、または録画データが改竄されていた?」

 志度は苛立ったように声を荒げた。

 

「ゴーストですよ!!何も映ってなかったんですから!!」

 


 

「ではスタジオのあるビルに行きましょうか!!」

 

 志度が駐車場に停めてあった車に向かう途中でコナンくんが駆け寄ってきた。

「探偵士さーん!事件でもあったのー?」

 手を振りながら車に乗り込もうとするコナンくんを毛利さんが腕で制止した。

「だからガキは事件に首を突っ込むんじゃねーっつうの!!」

 それはそうだ。

「えー?ボク、高木刑事や目暮警部から『探偵士さんを見守っててね』って言われたんだよー?」

 要するに公的なお目付け役となったから同行を許可しろということか。

 

「ハァー……仕方ねぇな。探偵士!!お前が面倒見ろよ!!」

 

、、、

 

「この4階建てのビルの2階が俺たちの砦です!!」

 

 車は普遍的な雑居ビルの隣に隣接している砂利が敷かれた駐車場に進入し、ゴトウサイズの敷鉄板の上に停車するとパチンという小砂と石同士が擦れる音とは異なる破裂音がした。

「オイオイ、パンクか?大丈夫なんですか志度さん!!」

 車が完全に停車した後に志度さんが降車してタイヤを軽く確認した。

「大丈夫です。敷鉄板は古いですから変な音を出すんですよ。」

 屈んだ志度さんのズボンが少しずり落ちた。

「志度さん、ズボンが緩くなってますよ。」

 敷鉄板の下を確認しようとしたが、車の重みがあるため移動しないと無理そう……でもないな。

 ラテックスの破片がチラリと隙間から見えた。

「あ!あはは!お恥ずかしい、前カンが外れてしまいまして!!」

 志度はどう見ても中肉中背で肥満には見えないが。

 2階に目をやると閉まりきっていない上げ下げ窓からキラリと糸が光って見えた。

「あれれ〜?クモの巣があるよ!お掃除してないんだね!」

 ……もう事件は起こってしまっているらしい。

 手厚く饗される毛利さんの後ろに黙ってついて行くとコナンくんが袖を引いた。

「探偵士さん……あのさ、もしかしたら小五郎のおじさんがワザと間違えて探偵士さんの実力を試すかもしれないから、その時は探偵士さんが軌道修整してくれないかな……。」

 そう言われても……まだ事件現場を確認したわけではないからな。

「そっか……。」

 気乗りしない返事をすると先に応接室に向かった二人から声が上がった。

「開かない!!」

 成る程、そう言うことか。

「探偵士!!扉を開けろ!!」

 内開き戸のようでガツンガツンと壁に当たったように開かない。

 

「器物損害で訴えないでくれますか?」

 


 

「どうかしたんですか!?」

 

 騒ぎを聞きつけてワンピースにハイヒール姿の女性が慌てて現れた。

「美空!!扉があかないんだ!!中に浮網はいるか!?」

 女性は怯えた顔をして頷いた。

「もしかして……脅迫状の……」

 あの文面についてはどうでもいいが、今は扉を開けなくてはならない。

 片開き戸ならばドアボルトを……。

 いや、ここでピッキング技術を見せるのはマズイな。

 

「すみません、ノコギリはありますか?無ければ紐をください。」

 

、、、

 

「せえええい!!」

 

 結局ノコギリが無く、ドアノブを外側に向けて無理矢理引く力技でこじ開ける方法になってしまった。

 それでも歪んだ程度だったので面倒くさくなり、かかと落としでドアノブを破壊して中を蹴り、鍵部を落として手を突っ込んで板を剥がしながら扉を開いた。

「キャアアア!!浮網さんが……浮網さんが死んでるっ!!」

 扉を引っ剥がすように開けると扉を塞ぐように幅120cm高さ200cmほどの本棚が書類を散らばらせながら倒れており、部屋の真ん中で中年男性がうつ伏せの状態で倒れていた。

 ……血痕が飛び散ってもいないのによく死んでいるとわかったな。

「落ち着いてくださいお嬢さん!!この眠りの小五郎が居るからには必ず犯人を確保してみせます!!」

 毛利さんが美空に声をかけている間に上げ下げ窓に向かうとクレセント錠の隙間にシアノアクリレートに包まれたカギホックと合成板の表皮部分が7mm以下の木片と共に挟まっていた。

 そしてカギホックの先には太さ0.4mmの釣り糸が切れて垂れ下がって地上に垂れていた。

「僕はマスターオブディテェクティブ、探偵士です。現場保存のために遺留品に触れたり遺体に触れたりしないでください。エドワード法により検察及び警察より72時間優先して捜査ができますので。」

 ポケットから白い手袋を取り出して手にはめるとカギホックを回収して周囲を見回す。

 兎に角やたらとハンギングプランツが多い。

 ビカクシダ、ウスネオイデス、チランジア、コルチカム、ポトス……。

「はあ!?エドワード法!?まあいい、探偵士もいるだけマシだ。」

 毛利さんは遺体に近づいて死体の状態を調べているようだ。

 首には紐で縛られたような跡が赤く残っている事から死亡して間もないのだろう。

 手元には紙切れがあり『493.88 523.25』『GM2-31』となぐり書きしてある。

 ただし、握られている形から零れ出ているので他にも紙切れが握られていた可能性が高い。

「毛利さん、ご遺体の顔はどうなっているのでしょうか。コナンくん、現場の写真を撮ってほしい。」

 複数人に踏まれて倒れたままになっていた本棚の背面を確認すると天板にあたる部分が剥げていた。

「なんで……浮網……。」

 志度と美空は肩を寄せ合って泣いている。

 浮網の遺体がひっくり返されると目立った外傷は無いものの顔は鬱血しており泡を吹き舌を出して絶命していた。

 それと同時にジャガイモのような欠片が口内からポロリとこぼれ落ちた。

 

「事件は解決しました……これは、手の込んだ自殺です。」

 


 

「自殺……!?た、確かに作曲が上手くいかないと悩んでいましたが……。」

 

 ……とりあえず、話を聞いてみよう。

「まずあの封筒です!あれはゴーストではなく浮網さんがポストに入れたんでしょう。自作自演ってやつですよ。防犯カメラにバンドメンバーが映ったところで犯人とは成りませんからね!!」

 それについてはおおむね同意する。

「次に首の絞殺跡ですが……彼は『ループタイ』を身に着けている。これで自分自身を絞めて本棚を倒して密室を作り出した……すべては『バンドが悲劇的な未来から輝く』為に!!要はメディアの注目を浴びたかったんでしょう。」

 一部、同意する。

「これで事件は解……つぅ!!」

 毛利さんの首に糸のようなものが走ったが、視線を移すとコナンくんが腕時計の盤カバーを上げており、毛利さんが室内にあった応接用のソファに座るとその陰に隠れた。

「……ではありません。ここまでの推理をベースに探偵士が代わりに解説します。」

 ……そうか、阿笠博士の技術力はここまで高いのか。

 単純なピッチ変更ではなく低レイセンシで再現をするリアルタイムのモーフィング技術を小型化している。

「はい。代わりまして探偵士のデイヴィスが事件解決まで承ります。」

 

 彼らの話をまとめるとこうなる。

 亡くなっているのは作曲家でDTMと電子ピアノを担当する浮網(53)。

 ループタイに白シャツにジャケット、スラックスを着用している事から毛利さんを待っていたのだろう。

 既に亡くなっているが、顔を見ただけでは心肺蘇生法を試す人間もいるだろう。

 なにより同じ2階に美空が居たのだから、死後から時間が経っているとは考えにくい。

 口元から落ちた欠片は植物片で埃やゴミが付着しており、口内にもゴミが入っている。

 それにおかきの食べかすも口内や指に付着している。

 足元を見ると革靴に角片で押されたような凹みが付いており、靴下を脱がせると赤らんでいた。

 

 彼らについて。

 彼らは同じバンドのメンバー。

 依頼主の志度(45)、エレキギターを担当している。

 女性は美空(36)、ベースとボーカルを担当している。

 

 現場について。

 応接室だが、内開き戸が本棚により開かずの扉となり密室となっていた。

 テーブルにはティーセットとポット、おかきがある。

 一部には資料とパソコンが設置してあることから浮網が作業しつつ説明するつもりだったのだろう。

 パソコンが待機画面になっている。

 窓は駐車場に隣接している上げ下げ窓と反対側にサッシ窓が二つ。

 サッシ窓は幅120cm高さ60cm程なので人が逃げられる余地はあるが、隣り合うビルとの間に足をかけられるものはない。

 

「すみません、志度さんは海釣りをしますか?」

 


 

「海釣りをしないのにPEライン5号サイズの釣り糸を使うんですね。カギホック……前カンを回収したら釣り糸を外してまたズボンに付ける気だったのでしょうけど……釣り糸はどう処分されるおつもりでしたか?」

 

 見立てについて。

 

 まず、本棚を倒した方法。

 これは単純にカギホックに釣り糸をくくりつけてシアノアクリレート……瞬間接着剤で天板に貼り付け、クレセント錠に引っ掛けて外に垂らした。

 そしてその先をゴトウサイズ……幅1500mm×3000mmの敷鉄板の裏につけた。

 その下に傾斜が出来るようにラテックス製のコンドー……ゴムを膨らませて下に置いた。

 これは素材がある程度強いために敷鉄板の片側を持ち上げられたのだろう。

 この上に大人3人……と子供を乗せた乗用車が乗れば流石に破裂する。

 その引かれる勢いで本棚がバランスを崩して倒れ、クレセント錠にカギホックが引っかかった。

 釣り糸が外に垂れるため頭上を注意深く確認しておかなければ密室に見えてしまう。

 PEライン5号ならば35kg程度なら動かせるため、合板の本棚を最大50kgと見積もっても一瞬傾かせる程度に動かすことは可能だ。

 

「だ、だったら何だよ!!殺してない!!釣り糸よりも太い跡が残ってるし釣り糸なら首が切れるだろ!!」

 殺害した凶器は釣り糸ではない。

「な、なら俺は犯人じゃねえな!!」

 植物片とハンギングされているコルチカムの抉れた球根を照らし合わせる。

「コルチカム……イヌサフランは毒性が強い。これを作業に夢中になっている浮網さんの食べているおかきに混ぜた。または無理矢理口に入れた。」

 ながら作業はしてはいけないな。

「は、はあ!?ハンギングの球根がポロッと取れた不注意による事故かもしれないじゃない!!」

 ハンギングは流石に応接テーブルとソファの付近にはなく窓側に集中しており、風で飛び込むようなサイズ感ではない、5cmはおかき誤認にギリギリのサイズだ。

 それに、口内にゴミが付着していることから一度口から吐いて床に出したもを再び詰められている。

「なら首の絞め跡はなんなんだよ!!」

 首の絞め後はギターの弦だ、なぜならループタイなら皮がめくれるようにはならない。

「美空さん、志度さん、ご自身が持つギターを弾いてみてもらえますか?あとはゴミ箱に整備棚に用具入れも見せてください。」

 二人はたじろいだが、まだ噛みついてくるようだ。

「第三者により犯行かもしれないじゃない!!窓から逃げたのかも!!」

 サッシのレールには靴による汚れがなく、サッシ窓は二重に施錠されている。

 上げ下げ窓は上半身から出れば頭から落下し、下半身からなら高所であるため怪我を負う。

「防犯カメラを見てみましょうか。」

 まだ意見があるようだったので続けた。

 

「美空さん、本棚が倒れると相当な音がしたはずで、それにコルチカムを誤食したら苦しみ叫ぶはずだ。同じフロアにいたのに気づきませんでしたか?」

 


 

「違う……私じゃない……」

 

「美空さん、あなたは浮網さんが手に持っていた紙をいくつか取りましたね?犯人でないのなら証拠隠滅の罪になりますよ。」

 美空は紙を出した。

 『志度』『シド』『BC』

「……私、志度が犯人だって信じたくなくて……。」

 『BC』は音名で『シド』を表すと分かって持ち去った。

「『493.88 523.25』『GM2-31』の意味、わかりませんでしたか。不幸中の……」

 いけない、不適切な話をするところだった。

「知らねーよ!!」

 まあ、あまり馴染みがないだろうから。

「『493.88 523.25』は周波数で表す『シド』を意味するんですよ。とにかくわかる人間に伝えるべく苦しみながら必死に『あなたたちにはわからないダイイングメッセージ』を残そうとした。おそらくパソコンにも何かメッセージを残しているでしょう。」

 美空は膝から崩れ落ちてギャアギャアと泣き始めた。

「志度君が完璧な密室トリックっていうから安心してたのに!!浮網のヤツ全然即死しないから焦って弦で殺しちゃったぁ……志度君が適当な事言うから!!ばっちい欠片を押し込んでも全然死なないし!!」

 首を絞めてる最中に浮網の革靴をヒールで踏んだんだろう。

 すると志度も激昂し始める。

「お前が余計なことしなけりゃ重体になってやりようがあったろうが!!俺たち二人が死んだ不死鳥が蘇るための必要な犠牲だったんだぞ!?」

 気づいたら志度の胸ぐらを掴んでいた。

「『GM2-31』は『General MIDI 2』の『31番』『Distortion guitar』だ……歪んでんだよお前の音楽は……」

 志度の顔が真っ青になり足が浮いた時、階段を駆け上がる音が聞こえ、目暮警部と千葉刑事に警察官たちが乗り込んできた。

 いつの間にか下からサイレンの音が聞こえている。

 

「毛利君!!デイヴィス君!!事件はどうなった!?」

 

、、、

 

「いやー今回は探偵士に見せ場を譲ってしまいまして。」

 

 毛利さんが頭を掻きながらコナンくんと現場の説明をしている隙に首元を見たが、薄っすらとそばかすサイズの赤みがある。

 あれを麻酔によるものだと仮定して『揺すったら起きる』が暫くは目覚めない特殊な薬剤。

 これを量産したら対人戦だけでなく医療分野でも応用が効き一気に学術的価値あるものとして扱われるぞ。

「……探偵士さん、事情を千葉刑事たちに教えてあげて?」

 コナンくんにズボンの裾を引かれて目と目が合った。

 『信頼していいのかな』

 そう訴えているようで……。

 

「うん、うまく出来るか分からないけど……頑張るね。」

 


 

「探偵士!!よくやった!!褒美の代わりに飯を奢ってやろう!!……もしもし、蘭か?探偵士を連れて行くから夕飯を一人分増やして……そう怒鳴るなって!!」

 

 そんなこんなで毛利探偵事務所にお邪魔することになった。

「大したものはお出しできないんですが……」

 蘭さんが提供してくれたのはサメの煮付けにほうれん草のおひたしと豆ひじきにポトフスープと炊き込みご飯だった。

「すごいじゃないですか!!いいお嫁さんになれますね!……あ、すみません……不適切な単語を選んでしまいました。」

 頭を掻くと蘭さんは苦笑いを浮かべた。

「大丈夫ですよ!褒め言葉だと受け取ってますから。ふふ、本当に変わってますね。」

 ……気まずい。

 下を向くついでに家具の配置を覚えた。

 電話線も至って普通のものでパソコンなどの機器は一般的な範囲でシングルスターですらなく、専用線で機密を保っているわけでも無いようだ。

「蘭姉ちゃん!探偵士さん、すっごく頑張ってたんだよ!推理をスラスラ教えてくれた!!」

 コナンくんがニコニコと場を和ませるが、大した事件ではなかったろうに……。

 ただ、今までに集めた情報からして推測が立てられる。

 コナンくんは阿笠博士、工藤 新一、ライ、バーボン……シェリーとの接点があり、幼いながらも高度な機器を取り扱うことが出来、かつ今までも毛利さんの影となり推理を肩代わりしていた可能性が高い。

 シェリーが子供の姿でいる事実からして、彼も同様に成人から変質した可能性も考慮する。

 その場合、導き出される人物は……。

 

「東の高校生探偵……工藤 新一には劣りますけどね。」






 あとがき


トリックが簡単すぎる

なかみについて(期間限定アンケ)

  • ややこしい(かため)
  • 分かり易い(やわらか)
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