「美味しかったな……。いい人達だ。」
毛利さん宅で夕飯をご馳走になった後、いつもの公園でギルテスターに火をつけた。
……四本目。
"……お前は陰の存在なんだよ……"
遠い昔に吐き捨てられた言葉がイヤーワームとなって脳内を這いずり回る。
……そうだ、最初から僕はただの影に過ぎない。
周囲の光が強すぎて逆説的に色濃くなり、実体化してしまった存在しないもの。
やるべきことをしよう。
「あ……明日着ていく服……作業着しかないな。」
、、、
「お、探偵士くんは1時間前行動するタイプなのかい?」
たっぷり睡眠を取り身支度を整えて、指定された公園に出向くと世良さんがジーンズにシャツ姿でベンチに座っていた。
腕時計を確認すると待ち合わせをした時間より1時間以上早い。
「世良さん、早起きなんですね。」
距離を置いて声をかけると、世良さんはムッとした顔でベンチを叩いた。
「隣に座るくらいしなよ!!失礼しちゃうな!!」
仕方がなく一人分スペースを開けて腰掛けた。
あまり接触したくない、余計なトラブルを起こしてしまうかもしれないから。
「……僕個人にだけ話したい内容があるんですね?」
すると彼女は腕を組んだ。
「……探偵士くんの所属はなんだい?……公安?FBI?CIA?MI6?CSIS?BDN?……ゲリラ部隊と紛争地帯の傭兵ではないだろ?身体に傷跡が見受けられないし重心が傾いたり動きに怪我による遅延が見当たらない。諜報作戦をするような戦闘員を有するものが今の日本を破壊工作なく標的にはしないだろうから。それに他の警察組織だったら日本の警察組織に水面下で協力を要請しているはずだ。」
……ヒントを出して泳がせるつもりか。
つまり、毛利 小五郎そして工藤 新一とシェリーの周囲には公安、FBI、CIA、MI6、CSIS、BDN等の諜報機関が潜伏していてもおかしくない、または『既に潜伏している』可能性があるということ。
「例えばゲリラ部隊が日本の政界の情報を握るため僕の他にも複数人を配置しており、秘書室に忍び込んで情報、もしくは大物の命を人質にして身代金や支援金、革命に対する軍事武器支援を要求するパターンもあるのでは?」
ボーッと宇宙を見ながら適当に話した。
「それにしてはのんびりしすぎじゃないかい?小さな組織に潜り込んでから徐々に藁しべ長者のごとくコネクションを作って侵入するのは長期戦がすぎるし、ゲリラ部隊なら鉄砲玉としてそのまま単身で事務所に自決覚悟で乗り込ませたほうが情報も命も確保できるだろ。」
この娘も映画の観すぎみたいだ。
「スパイがのんびり『リアル体験型推理アドベンチャー』のテストプレイヤーになっている方が不自然じゃないですかね。」
「わぁ……目隠しされるとドキドキしちゃいますね。」
梓さんが言い方に気をつけてほしい発言をしながら右腕を掴んだ。
「どんなプレイになるのかな?探偵士くん?」
世良さんが本当に言い方を気をつけてほしい発言をしながら左手を組んだ。
『そのままゆっくりと前にお進みください』
係員の指示に従って足元を踏み外さないように進むとパッと視界が明るくなった。
『それでは目隠しを解いてください!!』
両腕が塞がっているので目隠しを取るのが一番最後になってしまった。
腕が離れたのを確認して目隠しのハチマキを取ると自分は黒、梓さんは青、世良さんが灰色に分かれていた。
『プレイヤーの方はハチマキを腕に巻き付けてください!』
言われた通りに腕にハチマキを巻き付けて部屋を見回した。
入って右側に絵画や時計にホワイトボードが壁にかかり一人用の脚付きソファが二脚設置され、正面にアンティーク調の重たそうな机と革張りのチェア、そして上げ下げ窓とブラインドカーテンがあり、左側に水槽と金庫、本棚がある洋風の書斎だった。
『制限時間は2時間!!7つの謎を解き明かせたら出口が開きます!!』
後ろを振り向くと扉がカチッと閉まった。
「脱出ゲームですね!!楽しそう!!」
梓さんが世良さんとイチャイチャしているよりも、入り口の扉の上に書かれている格言ならぬ部屋のタイトルにツッコミを入れてしまった。
「せ……『セイカイしないと出られない部屋』って何だよ……。」
ガックリと肩を落とすと世良さんに肘鉄を食らった。
「残念だったね!……梓さんと二人きりでセ……しないと出られない部屋じゃなくて。」
流石にイラッとしてしまい顔をズイッと近づけた。
「……そうですね。あなたと二人きりでセ……出来なくて残念です。」
すると彼女は赤面してバシバシと体を叩いた。
「ばっ……バカじゃないのか!?探偵士くんは不潔だ!!」
煽られ慣れていないなら人をおちょくるんじゃないよ。
「デイヴィスさん!制限時間が無くなっちゃいますよ!」
「机の上に宝石箱みたいなものがありますね。」
確かに宝石箱のようなものがあり、蓋には6つの菱形の窪みが作られており、左から順に黒赤黄青のビジューが嵌っていたが残りの2つは空いたままになっている。
そしてビジューがピンク、水色、オレンジ、白、緑、紫の色が散らばっている。
その下に紙切れがあり、黒赤色の菱形の絵の下にパスポートの絵、黄青色の菱形の絵の下に立ち入り禁止テープの絵があり、その次に点が10個の絵、さらに次に考える人の絵が描いてある。
序盤だけあって簡単だな。
「梓さん、解いてみてください。」
梓さんは腕を組んで悩み始めた。
「パスポートが黒赤、ブラックレッド……」
惜しい、後少し。
「あ!分かりました!コクセキ……国籍ですね!それなら次の黄色と青は……キセイ!なら10個は……ジュウ、テン……トウ!!桃でピンクですね!!……次は……うーん……」
世良さんがコソコソと耳打ちした。
「考えるを言い換えるんだ。」
それ正解を教えているだろ。
「考慮、思考……思案……うーん……。」
答えを言ってるよ。
「そうです。思案、シアンで水色ですね。」
パアッと笑顔になった梓さんが残りのビジューをピンクと水色を選んではめるとカチッと音がして宝石箱が開いた。
「なんですかねこれ……磁石?」
、、、
「では次、僕が金庫の鍵を開けますね。」
金庫は円型の時計回り12目盛りのダイヤル錠で上を向くと小さな縦長の額縁に絵画が飾ってあり、蝶の絵が8つ描かれ『by Munsell Hue』と筆記体でサインされていた。
「えっ!?もう開けちゃうんですか?」
蝶の絵は上から黄、紫、赤、紫、黄緑、緑、深緑、青の単色で描かれている。
「はい。これはマンセル色相環を表しています。3、9、0、9、4、5、6、8……開きました。」
カチッと音が鳴って金庫が開いた。
「……地図みたいですね。」
地図は日本中心の一般的なものに見え、裏には何も記載はない。
「ふーむ、どれどれ?」
世良さんが地図を取って1人掛けソファに腰掛けると、梓さんも隣の1人掛けソファに腰掛けた。
「私にも見せてください!」
仲がいいようで何よ………り。
「すみません梓さん、世良さん、体重は何kgですか?」
「「レディに体重を聞くなんて!!」」
「失礼ですよ!!」
「本っ当に無神経だね!!」
「すみません、言い方が……お二人は似たような体型なのにソファの座面の沈み方が明らかに違うんですよ。梓さんの方が深く沈み込んでいる。……つまり、仕掛けがあるかもしれません。」
女性陣は溜息をつくとソファから離れて座面を触ろうとするのを制止した。
「もしかしたら単純に家具の歪みかもしれません。危ないですから下がっていてください。」
無理に座面を外そうとしてバネ部や板が迫り出して怪我をされたら困る。
梓さんが座っていた方を先に確認したが異常は見当たらず、更に確認しようとするとソファを破壊してしまうため、取り敢えず止めた。
次に世良さんの方を確認すると座面が取り外し出来るようになっており、外すとカチッと音がして鉄板に挟まれたレシートのように長い紙が現れた。
「紙……?穴がたくさん開いていますね。」
今は使いそうにないので机に置いた。
そして時計を確認すると時刻が到着した時間と乖離していることに気づいて隣に立てかけられている額縁を見る。
そこにはカードサイズの窪みがあり、トランプの束が時計の下の飾り棚に置かれていた。
「じゃあ次も梓さんが解いてみてよ!」
絵画の窪みには『死の13、愛の12、金の1、知の11』とだけ書かれたラベルが貼ってある。
「うーん……。」
トランプの束をこれ見よがしにシャッフルしてみせる。
「探偵士くんは梓さんに甘いよなぁ。」
自分が甘いのではなく、主催者が甘いんだ。
これではただのなぞなぞじゃないか。
「あ!わかりました!!トランプの柄を言ってるんですね!死はスペード、愛はハート、金はダイヤ、知はクラブ……!」
梓さんにトランプを渡し、スペードのキング、ハートのクイーン、ダイヤのエース、クラブのジャックを額縁嵌め込むとカチッと音がして、時計盤の下から針がアルミホイルに包まれて落ちた。
「やったね梓さん!!」
「はい!!」
女性陣は手を叩いてはしゃいでいるが、早めに解かないと時間がない。
4つを解くのに20分も経っている。
「探偵士くんが社会性のある人間で良かったよ。『脱出ゲームが面倒だから爆破させて終了』とか過激な事を言い出さないよういで安心した。」
そりゃこの狭い部屋で爆破させたら自分にも被害が及ぶし、機材を破壊したら賠償責任が発生するから。
「まあ爆破はコンドームと板チョコとアレがあれば出来ますが……あ、手元にあるもので既に材料が」
「探偵士くん!!」
「デイヴィスさん!!」
「すみません……デリカシーに欠きました。」
顔を真っ赤にして睨んでくる女性陣を尻目に本棚に目をやると背表紙が一冊だけ飛び出ていたので手に取るとカーター・ディクスン・カーの『時計の中の骸骨』で、栞には『Pink Flush』と記載がされていた。
パラパラと速読していると単語が初登場するページが66ページかつ7行目8段であったため『66、7、8』を覚え置く。
再び時計の前に戻り、時計を壁から外して裏面を見ると菱形の窪みがあった。
「あ!この形……宝石箱と同じ!!」
「梓さん、ピンク色のビジューを外してくれますか?」
宝石箱からピンク色のビジューを取り外して時計裏に嵌め込むとカチッと音がしてムーブメントとは関係のない余白の部分の蓋が開いた。
「骸骨マークのピンク色の石鹸?毒だったりしますか?」
、、、
「流石に毒ではないと思いますよ。その前に庶務机の中を確認しましょうか。」
上段には『L 一番手.王 L ジャック.クイーン』と書かれた紙きれが出てきたので世良さんに渡した。
「じゃあ僕が解くね!これはさっきのトランプのスートに次いで『L 1.13 L11.12』とする。これをさっき手に入れた地図に合わせると……ここだ!赤道ギニアになる。」
指を差した所に合わせてパンチ穴が開いた紙の左端にある十字が引かれた部分を合わせた。
「あ!国の名前が重なりますね!」
合わせたところで『ココス ウケエ イネチブミチラベ』となるが。
「次に使う鍵だと思うね。」
そうだと思うが、暗号化方式が何かによるが流石に共通認識だろう。
中段を開くとねじ巻きがついた小型の器械が現れた。
「このオルガニートに紙を挟んで巻いてみてください。」
梓さんがオルガニートに紙を挟んで取っ手を回すと『ララシ ララシ ラシドシラシラファ』に近い音が鳴ったが『ラシドシラシラファ』は不自然に高くなっている。
「……『さくらさくら』ですかね?」
演奏が終わるとカチッと音がすると、オルガニートの隙間から小さな鏡が突き出てきた。
「次は鏡かぁ……結構時間を食ったね。」
「この絵画に桜がありますよ!!」
2脚あるソファの上には大きな額縁があり、桜、槿、紅葉、柊が1本ずつ描かれ上には空が描かれている。
「ちょうど揃いましたし、合図をしたら電気を消して庶務机のバンカーズランプを点灯してください。」
水槽に近づくと観賞魚はなく、ティッシュとタオルが置かれているので間違いないだろう。
骸骨マークの石鹸をティッシュで泡立てて鏡を濡らし、合図をして部屋の電気を消灯するとバンカーズランプが反射する位置を探し、絵画の『桜の上の左側の空』に光を当てた。
するとピンク色に反射する蛍光塗料によって『N by Rails Fence』という文字と共に文字列が現れた。
「すごい!!デイヴィスさん!どうやって分かったんですか?」
すごいも何も……。
「『時計の中の骸骨』で『ピンク色の光を鏡に照らす』というくだりが出ていまして……そして『弥生の空に』つまり3月の空である部分に光を当てればいい。これで分からなくても鏡が出た時点で光を反射させてみれば色が違う事が分かったのではないでしょうか。」
文字列は以下の通り。
ベ
ケコヌタラ
ウエシルチ
スパイカミ
コアミネブ
コナンミチ
「さっき解いた鍵の予備だったかー……。」
世良さんが落胆しているが、まあ脱出ゲームだから複数の解決する余地を残さないといけないからな。
「次はどうするんですか?」
部屋の明かりをつけてアルミホイルで巻かれた針を磁石で一方向に擦り、そのままアルミの上に置いて水槽に浮かべた。
「基礎だね!針が方位磁針になるんだ。」
針はゆっくりと入り口の壁を指し示した。
「壁に何かあるんでしょうか……あ!切れ目があります!この壁紙、剥がせるみたいです!」
梓さんが壁紙を剥がすと図形問題と数式が現れた。
数式の方は『(page+line+paragraph)×?×(page×page)』と記載されている事から『32199552』だと分かる。
「デイヴィスさん、教えてください!」
キラキラした目を向けてくる梓さんに申し訳なくなってくる。
「さっきの本の頁と行段の数を入れて『(66×7×8)×2×(66×66)』です。後、図形の答えが②なので……」
しかし数値を与えられても入力するものがないな……。
「もしかして電話じゃないですか?かけてみましょう!!」
電話番号だとしたら桁数が足りないが、まあいいか。
梓さんが電話線に繋がっていない黒電話のダイヤルを『32199552』と回転させるとカチッと音がして、上げ下げ窓のブラインドカーテンではない暖簾が下がり落ちてきた。
「おお……これが今回の暗号表だね。」
「探偵士くん!!暗号表は復号化ではなく暗号化すればいいらしい。」
「そうみたいですね。『2121853375442283959395&404』……404?Not Foundかな?」
流石にこれをまた黒電話でかけたりはしないだろう。
「……もしかして、左側の数字を足していったら……100になりませんか!?」
おお、確かにそうだ。
「流石梓さん!!安室さんに推理を鍛えられたのかなー?」
世良さんが梓さんの脇を擽っているが、安室さんの推理能力は既に世間一般に知られているのか……。
「ちょ、違いますよ……安室さんが毛利さんの一番弟子だから話を聞く機会が多いだけで……。」
毛利さんの一番弟子……成る程な。
「そうだったんですね……へぇ……。」
それはひとまず置いておいて、100&404について考えよう。
あたりを見廻すが、本棚よりは水槽を調べたほうがいいだろう。
「探偵士くん!!磁石でのサルベージは任せてくれ!!」
世良さんが磁石を近づけると水の中から金属製の鍵が現れてガチンと引っ付いた。
「これ……庶務机の下段の鍵じゃないですか!?」
タオルで鍵の水滴を拭き取ると世良さんは下段を開いた。
「お!タイプライターだね!!」
タイプライターを取り出して机に設置した。
「では入力してみますね!えっと100……あれ?1と0がありませんよ?」
最新型のレプリカでは無いらしい。
「それは昔のタイプライターが数字キーを完全に備えてなかったから1をl、0をOで代用していたんだよ!打つなら『LOO&4O4』だね!!」
梓さんがカタカタとタイピングをするとカチッと音がしてタイプライターの脇から小箱が迫り出て、中にはマッチ箱が入っていた。
「……これで人類の三大発明『羅針盤』『活字印刷』『火薬』が手に入りましたね。」
……まさか本当に爆発して終了なのか?
既に7回以上カチッと音がしたはずだ。
「マッチ箱……?火をつけるものがありませんね。」
最後に見るのは水槽の下のラックと本棚の下段か。
目線をやると既に世良さんが水槽の下にあるラックを庶務机の鍵で開けていた。
「あったよ!!ランタンだ!!」
「ランタンか……そうだ、マッチで火をつけたら電気を消してください。」
マッチを擦ってランタンに火を灯すと辺り一面が暗くなった。
「梓さん、ランタンを下に置いてください。」
下に置かれたランタンにオルガニートの穴が開いた紙を巻き付けると、辺り一面が小さな光に包まれた。
「わぁ……綺麗……」
「即席の星座ランプだね!」
正確な星座ではないけれど、意図としてはそうなるかな。
「……あはは、全然脱出出来そうにないですけど。」
……まてよ、ハチマキをすっかり忘れていた。
「梓さん!世良さん!お二人のハチマキを窓の外に出してください!青と灰色……『セイカイしないと出られない部屋』なので合図を送る必要があるのかもしれません!!」
それにしたって『7つの謎を解き明かせたら出口が開く』は曖昧条件過ぎる。
正解のファンファーレが7回鳴る、正解したら宝石が出て7個集まるかして、防犯カメラがチェックするとかアラートによって係員が出迎えるとか有るだろうに。
「デイヴィスさん!!ハチマキが窓の外の壁に吸い込まれました!!」
暫くすると入り口の扉が開かれてクラッカーが鳴った。
「おめでとうございます!!見事2時間以内にクリアされたましたね!!賞品の『宇宙エキスポ星雲センター』の入場&プラネタリウムチケットの団体券とホテルチケットをお渡しします!!」
そう言って『13名様まで』と書かれたチケットが手渡された。
一人ではなく『関係者を連れて行け』ということか?
約束が違う。
「おい、お前」
「これはプレミアチケットです!……星に一番近づける。」
係員はスタスタと前を歩いて通路の外側に出ていってしまった。
「13名か……コナンくん達少年探偵団も誘えますね!……わ、私もご一緒してもいいですか?もちろん安室さんも誘います!!喫茶アポロの懇親会も兼ねて!!」
確かに梓さんも謎を解いたからな。
「ボクも行っていいんだよね?蘭君達も誘ってさ!!」
……選択を間違えてしまった。
ただ、これを使わなければならない状況にあるなら、使った上で皆を蚊帳の外に置くことくらいはできるだろう。
「もちろんです。お二人が掴み取ったチケットなんですから。」
「……というわけで『宇宙エキスポ星雲センター』のチケットを貰ってね……。」
女性陣と別れて阿笠博士の家に向かうと少年探偵団にチケットを見せた。
「わぁ〜!!『宇宙エキスポ星雲センター』ってプラネタリウムをリニューアル工事していた関係でプレオープンチケットが入手困難になってるって聞きましたよ!?」
光彦くんが飛び跳ねたのでチケットを人数分渡した。
「……梓さんと世良さんも一緒に行くことになっているから、予定が合う日を後で教えてね。」
溜息をつきながらソファに座ると、歩美ちゃんが興味津々と言った顔で此方を覗き込んだ。
「お兄さんって二股してるの!?それっていけないことなんだよ!!」
ガクッと肩を落として頭を掻いた。
「大人をからかっちゃダメだよ……。ただ『リアル体験型推理アドベンチャー』のテストプレイヤーになっただけで……。」
そう言って説明すると元太くんがズイッと体を乗り出してきた。
「兄ちゃんずるいぞ!!俺たちだってテストプレイヤーになりたかった!!」
苦笑いをして下を向くと点けっぱなしのテレビからニュースが流れ込んできた。
『次のトピックです。ハリウッドで興行収入一位を記録したギルテセブンの続編製作会見です。』
「……消せ」
『これは第一作目の主演俳優とスタントマンの男性二人が不慮の』
「え?お兄さんもこの映画見たこと」
『爆発事故により』
「消せって言ってるんだよ!!」
思い切り怒鳴りつけると阿笠博士がリモコンを持って立っていた。
「消したよ。デイヴィス君。」
その隣で、シェリーが冷めた目を向け見つめていた。
「少し頭を冷やしたらどう?」
ハッとして下を見ると子供たちが怯えた眼差しを一点に向け、小さく震えていた。
「……ごめんね。……記憶喪失で……頭が痛くて……ごめん……言い訳だ……帰る。」
顔を合わせられなくなり、逃げるようにして部屋をあとにした。
何をやってるんだ……子供に向かって鬱憤をぶつけ八つ当たりするなど……。
どうして僕は選択を間違えてばかりなんだ。
自分だけが立ち廻りが上手くいかない。
早く……早く……。
僕は自分が分からないが、僕は探偵士で……。
名前はデイヴィスだ。
星になる。
「罪を犯したら宇宙に浮かぶんだ。」
あとがき
謎解き考えるの楽しい
100になったのは偶然
なかみについて(期間限定アンケ)
-
ややこしい(かため)
-
分かり易い(やわらか)