テオに選ばれ、その体を共有する主人公・絵鈴は人間と言えるのか、それとも宇宙人なのか?
初代ウルトラマンと同化したハヤタ・シンや、シン・ウルトラマンにてウルトラマンと同化した神永 新二は、『両方だ』と答えましたね
今回は『人間としての絵鈴』と『光の巨人になる人』としての絵鈴その両方の面を、前後編に分けて表現したいと思っています
いや、著者の思いはどうでもいい。あとは読み手であるあなたが、どう受け取るか。それに託しましょう
大変お待たせしました。夢とロマンの物語3、お楽しみください
・夢とロマンの物語3・
大きなモニターの中で言い争う"偉い人"達
家族も、友人も、近隣住民の人達も、心配そうにモニターを眺めて話の行先を案じている
転じて、噴き上がる炎や稲妻、嵐を伴い、皆が住んでいる平和な街を巨大な黒い影、あるいは獣が襲う
-----私の記憶じゃない、これは、テオの記憶?
テオと似た青い体を持つ家族や友人、知人が、巨大な獣…いや、それを単に獣と呼ぶには、砂のお城と巨大要塞をどちらも同じ"建物"と呼ぶようなものだろう
そう、名付けるならば、"怪獣"達に、罪なき人々や身内は蹂躙され、住居も燃やし尽くされてしまった
動かなくなった誰かの手を握りしめる両手は銀と青
----------これが、テオの故郷で起きた悲劇?
アラームの音が鳴り響き、絵鈴は現実世界に呼び戻される
時計は7:00を指していた
グッと伸びをして、そこが現実世界である事を確かめる
「…テオ」
あれだけの経験をして、さらには故郷の星まで失い、この辺境の惑星までやってきた彼が、今度は最前線で厄災に立ち向かっている
絵鈴の目から一筋の涙がこぼれた
「テオ…やっぱり、あなたは私と同じなのね」
絵鈴は、自身が住んでいた地域の惨状を思い出していた
「さて、と。出かける用意をしなくちゃね」
思い出したくはない記憶から、現実のやるべき事に目を向ける
歯を磨いて顔を洗い、そこでふと鏡をじっと見つめる絵鈴
この顔が、あのテオの顔に変わるんだもんな
そう考えると、なんとも不思議な気持ちになる
「あーいけない、寄り道しすぎ。はいはい、アルバイトよアルバイト。コンビニ屋さんになるのよ私は」
言い聞かせるようにヘンな歌なんか歌って、準備を進める。なんだか今日はどうにも集中力が散漫してるような気がした
十分後
準備を終えて荷物の最終チェック。忘れずにクリスタルもカバンの中に入れてある
「いってきます」
部屋の写真立てにそう告げて、絵鈴は家を出た
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バイト先のコンビニに到着
制服に着替えて、絵鈴は立派な"コンビニ屋さん"の格好を仕上げた
正直なところ、何もせずとも生活に困らない程の大金を持って、故郷を離れて大きな街に越してきた絵鈴だが
やはり何もしないでいれば、できることもできなくなってしまう
そこで絵鈴は、高校時代にもこなしていたコンビニバイトを、再び始めたのだ
人によっては『覚えることが多すぎて大変な仕事だ』とか、『コンビニ店員なんて底辺の仕事だ』なんて、訳もなく見下すような意見もあるが、少なくとも絵鈴はこの仕事が好きだった
子供、学生、大人、お年寄り、男性、女性、怒ってる人、笑ってる人
とにかく色んな人達と出会える。そして皆、『ありがとう』 と笑顔で帰っていく
それだけでやりがいは充分だった
4時間程働いて、絵鈴は休憩に入る
制服を脱いで一時的に"コンビニ屋さんモード"から解放された絵鈴は、お昼ご飯を買って事務所に戻り、スマホを開いた
トップに出てきたニュース記事は、謎の巨人に関する政府の見解 というようなもので
怖いもの見たさでチラッと読んでみたところ
政府は謎の巨人を地球外知的生命体と考えていて、目下のところ、人類に危害を加えようとする様子はないが、一概に人類の味方とは言いきれない
ということだった
少なくとも自衛隊の砲撃を浴びる心配は無さそう
あんまり考え過ぎても、しんどくなるけど
それでも、何も知らない人達にとっては、よくわからないモノは怖いんだろう
まぁ誰に何を言われても、守りたい人達から攻撃を受けたとしても、私はそれでも守るけど
----------テオはどうなんだろう?
イマイチ、箸が進まない絵鈴
謎の宇宙人の正体が街に住む平凡なコンビニ店員
そんな事が知れ渡ったら…
絵鈴は大きく溜息をついた
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休憩を終えた絵鈴は、残りの4時間に気合を入れて挑んだ。この体である以上、体力が尽きかけても胸のランプは鳴らない
前回、雲の上の怪獣が現れてから、今日で5日が経とうとしていた
そもそも怪獣ってなんなのだろうか。テオの記憶のようなあの夢に出てきた、見た目的に動物なんかに似たような怪獣とは違うように思える
それはどこからともなく、何もないところから現れて、軍や自衛隊に駆除されるまで暴れるだけ暴れ回る
この世のものではない異形、そもそも生物なのか、オバケなのかも、正直わからない
仕事を終えて、店を出る頃には、外はすっかり夕暮れだった
一日中快晴で、夕陽が綺麗にビルを照らしている
店の前でグッと伸びをして、いざ帰ろうとしたその時、衝撃音と共に地面が大きく揺れて、アラートがあちこちから、もちろん絵鈴のスマホからも鳴り響いた
「嘘、また怪獣?」
思わず声に出した途端、数キロ先のビルが真っ黒に染まっていることに気が付いた
近くに現れた怪獣の仕業だと直感した
その証拠に、黒い煙が立ち上っている
絵鈴はカバン越しに中のクリスタルを抱きしめ、迫り来る人々の波を掻き分けて異常へ向かって走り出した
少し走ったところで、絵鈴はギョッとする
夕焼けに浮かぶ真っ黒の球体から真下に向けて支柱のようなものが伸びて、そこから二本の細い足を生やして街を闊歩する巨大な怪獣
球体部分に生えたタコの漏斗のような部分から黒煙を吐いている
それだけじゃない
同じく球体から、線だけで描いたようなどこか見覚えのあるビーム発生器官と、オマケに反対側にはアサルトライフルをストックから突き刺したようなパーツ
そのてっぺんには、爆弾の導火線みたいにツノが生えていて、ご丁寧に返しまで付いている
化け物と言ってしまえばそれで終わるのだが、その形状を具体的に説明するには、これくらいの時間は掛かるだろう
今の説明で、この怪獣の見た目がどれだけの人に伝わることだろうか
少なくとも絵鈴には、正確にその見た目を実況できる自信は無かった
怪獣が地面にその細長い足をつく度に瓦礫が飛び、大地が大きく揺れる
「見た目は違えど、こないだのと同じね。街中にいきなり現れた…」
街中に現れたということは、つまるところ、いくら怪獣に慣れたといえど、政府はすぐに自衛隊に攻撃を命じることはできない
理由は想像の通りでいい。こんな街中で何も考えずに爆弾や機関砲を打ちまくれば、周囲の人々や住居、資産に被害が及ぶ
そんなところだろう
絵鈴は人の目につかない場所を探し、その中から細い路地裏を選択した
クリスタルを手に取り、彼に呼びかける
「テオ、聞こえて。怪獣が現れたの。今、すぐそこにいる。お願い、応えて」
クリスタルが白く発光する
『絵鈴、怪獣が出たのですね』
「ええ、そうなの。既に被害が出てるみたい。テオ、あなたの力を、貸してくれる?」
『もちろんです、絵鈴。僕からも、共に戦ってくれることを、願います』
「もちろんよ。さあ、いきましょう」
『では呼吸を合わせて、心をひとつに』
祈りを込めて、絵鈴はクリスタルを握りしめて胸に当てる
ゆっくりと呼吸をして、意識をテオに合わせる
呼吸に合わせてクリスタルは白く輝く
やがてその光が青に変わる時、二人の想いは光となって溢れ出し、絵鈴の体を包み込み、大きくなっていく
防災警報が鳴り響く夕暮れ
黒煙を吐きながら歩き回る怪獣
その目の前に、絵鈴の体を借りて光の巨人となったテオが降臨、立ちはだかる
--------------------後編へ続く
どうでしたか?
1話と2話に比べ、もしかすると少し読みにくかったかもしれませんね
ところで、この作品の本編には今のところ、『ウルトラマン』という単語は出てきていません
皆さんにとって、ウルトラマンという言葉は、何を意味するのでしょうか?
次回は後編、少し短めになるかもしれませんが、楽しみに待っていて頂けると幸いです
またお会いしましょう