夢とロマンの物語   作:蛍火ハル

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お別れの時間が近付いています

でもそれは、また私達が出会うためのプロセスに過ぎない

第5話、最終三部作 前編

お楽しみください


第5話 最終三部作 前編

・夢とロマンの物語5・

 

 

 

『絵鈴、君の力は凄まじい』

 

夢の中

 

今度は高校時代に1度行ったきりのファーストフード店を舞台に、光の塊であるテオと絵鈴が向かい合って座っている

 

「そんな事ないわ。能力でいえば、実際に凄まじい超能力を発揮してるのは、あなたじゃないの」

 

 

『いいえ、絵鈴。あくまでも君の体を借りた状態ですから。それに、僕の能力とは、そもそも飛行や、あらゆる放射線から身を守る丈夫な肉体の事を言うのです。君の心が、僕に力を与えてくれているのではありませんか』

 

 

謙虚な宇宙人だこと

 

 

 

と、絵鈴は思う

 

 

「それを叶えてくれるのは、やっぱりあなたに備わる力じゃない。…そういえば、この間の、あなたの記憶の話…聞いてなかったわね」

 

 

テオの光が一瞬、点滅する。それは動揺か、あるいはそれに近しい精神的な迷いを感じさせた

 

 

『申し訳ありません。僕は君の、地球人としての生活を守るために、君の記憶を覗き見たり、または僕の記憶をお見せするようなつもりもありませんでした』

 

 

「そう、ね。けど、見ちゃったもの。それでいえばむしろ、謝るのは私の方よ。…良ければ聞かせてくれる?あなたの話」

 

 

絵鈴は自身のメロンソーダを1口飲む

 

 

『…そうです。あれが僕の故郷。H12という惑星です。間もなく、この星からも観測不能となる、僕の星』

 

 

間もなくこの星から観測不能となる…というのは、光の距離のことだろう

 

今はもう消えてなくなった彼の故郷が、滅ぶ以前に放った光が、今この星に届いているのだ

 

 

つまり、今は既に滅んで星の海から消えてしまったテオの故郷から放たれた光がこの地球に届くまで、何十光年、何百光年とかかるのだろう

 

いずれは、地球から見えるテオの故郷も、夜空から消えていくのだ

 

 

「…なんだか、偉い人達が言い争っていたみたいね」

 

絵鈴は、恐る恐る聞いてみる

 

 

『そうです。僕の星では、既に怪獣達の被害が頻発しており、人々が住める地域さえも制限されていました。

 

そこで、権力者たちの中で、怪獣を惑星ごと消滅させ、あらたな故郷を探す旅に出ようと考える者

 

 

怪獣問題に正面から向き合い、H12を守ろうとする者

 

その間で、大きな争いが起こったのです』

 

 

「…怪獣の為に、星を捨てる…いや、消滅…させる…?」

 

 

『はい。この地球人類がまだ発見していないエネルギー法則を元に開発した兵器により、怪獣と共に我が故郷を消滅させる

 

 

それにより、宇宙全体に怪獣の魔の手が拡がることさえ、防ごうとしていたのです』

 

 

「…自己犠牲、とも言えるけど…でも、それって…」

 

 

 

『ええ、恐らくは、根本的解決には至っていないでしょう。…僕は、結局、どちらの意見が正しかったのか、今となっては確かめることも叶いません』

 

 

 

「ねぇ、でも待って。消滅させる、とは言っても、みんなで他の住める場所を探す旅に出るって、言ったじゃない」

 

 

 

『結局の所、権力者達の議論に、終わりは見えませんでした。その末、怪獣の被害だけでなく、権力者同士…同じ星の住民同士の大きな争いにまで、発展しました』

 

 

「…そんな…」

 

 

『平和で、自然豊かな僕の故郷は、人と人との争い、そして怪獣…ふたつの被害で、混沌に陥ってしまったのです。その結果…』

 

 

「その結果…?」

 

 

『強硬的に起動させられた破滅の兵器が火を噴き、運良く脱出できた僕を遺して、残された友人を含め、僕の故郷は、全滅しました』

 

 

「…ということは、脱出するって言ってた派閥も…みんな、巻き込まれて」

 

 

『そうです。住民も怪獣も、皆、まとめて、この宇宙から消滅しました』

 

 

「そんなことが…。…こんな事を言うのもなんだけど、だったら何故、あなたは…生きていられたの?」

 

 

 

『君が名付けてくれた、僕達のクリスタル。テオクリスターのおかげかもしれません。それは元来、一定の年齢に達した住民が、巨大化に用いるための装置だったのです』

 

 

「巨大化…、…巨大化??」

 

 

『僕の種族も、本来、この星の住人達と変わらない背丈をしています。ですが、奇跡の力を宿す宝石で作られたテオクリスターを用いることで、巨大化し、あらゆる能力を発揮し、人々の助けになることを可能とします』

 

 

 

「それが、テオクリスターの本来の役割…」

 

 

 

『僕はテオクリスターを用いて巨大化し、間一髪の所で脱出が叶いました。ですが、無事というわけではなく、僕は肉体とテオクリスターを失い、真っ暗な大宇宙を彷徨っていました』

 

 

 

「…そうなのね…。…でも待って。ということは、あなたの他にも、生き残りがいる可能性はあるんじゃない?」

 

 

『そうかも…しれません。けれど、この広い宇宙の中で、たった一つの目標を探し出すのは、とても困難です。砂漠の中、特定のたった1粒の砂粒を探し出すよりも難しい』

 

 

「それは、…そうね…ごめんなさい」

 

 

『謝る事はありません。絵鈴の言葉は、僕の心に光をみせてくれます』

 

 

「テオ…」

 

 

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そこで目を覚ました絵鈴

 

 

夢の中でのテオとの会話を、忘れてしまわないように頭の中で反復しながら軽い朝食を用意する

 

時計は8時を指していた

 

 

トーストを齧りながら、テオに関するネットニュースを探る絵鈴

 

 

怪獣を駆除する謎の宇宙人に賞賛の声もあると同時に、自衛隊に対して批判の声が集まっているらしい

 

 

色んな憶測が飛び交う中、公的な情報を読み解いてみると、どうやら国は、謎の宇宙人より先に、自衛隊の手で怪獣を駆除することを考えているらしい

 

 

「…だとしたら、自衛隊の皆様が駆除できるように、人気のない山中か、海に怪獣をおびき寄せた方がいいのかしら…」

 

 

そう考えてはみた

 

 

「いいえ…だとしても、自衛隊の手で勝てなかったとすれば、私達の手を下さなければ、結局のところは被害が拡大してしまうわ」

 

 

まさしく、板挟みというべきであろうか

 

 

トーストを1枚食べたところで、絵鈴は気分転換に表に出てみることにした

 

 

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街に出かけて、空を見上げる

 

この日は快晴、日頃の怪獣に対する恐怖を思わず忘れてしまうような、気持ちのいい日だ

 

 

ボーッと空をみていて、気付かず、走ってきた小学生にぶつかってしまった

 

 

「ごめんなさい!大丈夫?」

 

尻もちをついた少年に手を差し伸べる

 

 

「こんくらい平気だい!」

 

 

とても元気な少年はそう言って一人で立ち上がる

 

 

「まぁ、強いのね」

 

絵鈴は感心して褒める

 

すると少年が思わぬことを言う

 

「僕は、ウルトラマンになるんだからね!」

 

 

「ええ?ウルトラマン?なぁに、それ?」

 

 

「最近出てくる、怪獣をやっつけるデッカいやつさ!TikTokかYouTubeでみたんだけど、おえらいさん達はあの巨人のこと、実はウルトラマンって呼んでるらしいんだ!」

 

 

「そのウルトラ、マン?が、あなたなの?」

 

目線を合わせるようにしゃがんで、聞いてみる絵鈴

 

 

「へへ、お姉ちゃんにだけ教えてあげるんだけどね…そうさ、僕がウルトラマンの正体なんだ!」

 

 

「へえ、そうなの…。いつも街の平和を守ってくれて、どうもありがとう、小さなウルトラマンさん」

 

 

健気な少年に微笑む絵鈴

 

 

「いけね!そろそろ時間だ!じゃあね!お姉ちゃん!バイバーイ!」

 

 

また元気よく走り出す少年を見送る

 

 

「車に気を付けるのよ!……、ウルトラマン、か…」

 

 

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その後、ネットでウルトラマンについて調べてみると、お偉いさんが呼んでるかどうかは不明だが、確かにそう呼ぶ人達も居るらしい

 

 

超人 ウルトラマン

 

 

まるで軍か何かのコードネームみたい

 

 

「…まぁ、いつまでも謎の宇宙人や光の巨人じゃ、まとまりが無いものね。テオ、聞いてるかしら?私達、ウルトラマンって呼ばれてるんですって」

 

 

内心、ほんの少しだけ誇らしい気持ちがある事も確かだが、同時に、その名に重責のようなものも感じた

 

 

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昼間でもカーテンを閉め切って薄暗い、和装の男の部屋

 

 

古い書物のページを捲りながら、何かを考えている

 

 

「うーん。ちょっと試してみようか」

 

ノックが鳴り、洋装の女が温かいお茶を持ってくる

 

「今度は何を試すっていうの?」

 

 

御盆に載ったお茶をそのままヒョイと手に取る男

 

「伝説怪獣とウルトラマン」

 

 

 

「ウルトラマン…?ああ、例の光の巨人の人?それと伝説怪獣?ふふ、なにそれ」

 

女は自分のお茶を飲みながら、まるで子供の話を聞いてやる母親のように、男の壮大な計画を聞いてやる

 

 

「ほら見て、これ。伊豆諸島辺りの…どこのだったか、まぁいいんだけど。その辺の伝説が載ってるやつでさ。いつも僕の描いた怪獣を出してるじゃん?だから、伝説上の怪獣を出してみようかなって」

 

 

いつになく興奮した口調の男

 

「へぇ〜、そんなことができるの??」

 

「それを試すんだよ。まぁ行けると思うんだけどね…。だって最初は鳥やハムスター、自動車だって出せたじゃないか。伝説の怪獣ぐらい、どうってことないさ」

 

 

「ふぅん…まぁいいけど。ということは、もうひとつはウルトラマンが、伝説の怪獣に勝てるかどうかを試すってこと?」

 

 

「そういう事だね。…ま、伝説怪獣の方は多少、加筆させてもらうけど」

 

朱色の墨を載せた筆で書物に情報を書き加える

 

 

「よし、これでOK」

 

筆を置き、今度は透明な液体が入った噴霧器で、加筆した書物を薄く濡らす

 

筆を使って液を全体に馴染ませ、棚の上に書物を置いて陽の光を浴びせる

 

 

「うん、18時間後ぐらいかな」

 

 

「お疲れ様。じゃあしばらくは待ちモードって感じね。シャワーでも、浴びてきたら?」

 

「僕、そんなに臭う?」

 

女から貰ったお茶を飲み干しながら怪訝な顔をする男

 

 

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『ウルトラマンテオ』において、公式から明かされている必殺技はあと3つ

どんな技が登場するか、お楽しみに
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