いや、死神とか聞いてないし   作:わお

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四話:準備を終えて

あれから数日が経った。

 

その間に俺は何の神だったのか分からずじまいの少女からお勧めされた剣神の元を訪ね、教えてもらえることになった。

 

剣神セクア。剣の女神で戦神の直系の存在らしい。剣を扱うという分野においては当たり前だが突出している。

 

俺としてもそんな存在から剣を学べるというのは一種の光栄さがあった。

 

そして初日。

 

「剣っていいだろう?そうだろう?」

 

問題があった。

 

剣神が怖いレベルの剣マニアだった、ということだ。

 

「特にこれ!君たち日本人が使う日本刀!これほどまでに美しい波紋は中々お目にかかれなかった!」

 

「は、はぁ……」

 

「君には是非刀で第三世界に切り込んで行ってほしい!」

 

ズイッと顔を寄せてくる剣神。

 

ズトン、と俺の真横の地面に刀が刺される。思わずビクリと体が震える。

 

「では2か月くらいでぱっとやっていこう!」

 

「そんなに早くできるようになるんですか?」

 

「2か月ぶっ通しでやれば問題ない!さぁ早速私に付いてきてくれ!そうすればスキルの力も加わり君は第三世界でも十分やっていける!」

 

問答無用と言わんばかりに俺の襟を掴み、引きずる剣神セクア。

 

「あの、どこに……」

 

「うん?決まっているだろう修行場だ。ここで私が剣を振ると中央の棟ごと切ってしまう!」

 

今物騒なワードが聞こえた。

 

「私からは剣術関連のスキルと技術を教える。その次は知恵の神のところに行くといい!第三世界の魔王について知ることができる!」

 

「な、なるほど……」

 

「では行こう!まずは今の君の力を見せてくれ!」

 

その後俺は滅多切りにされた。どうやら神界では人間は死んでも生き返るらしい。

 

が、普通に死ぬことが前提なのが恐ろしかった。

 

結局。俺は死んだ、と自覚するよりも早い速度で様々な切られ方をした。

 

切られて経験する、というよく分からない理由で。その後切り口がどうとか、よく分からない解説もされた。

 

そんな地獄の閻魔も真っ青な修行を経て、それから神を転々としながらひたすら学んだ。

 

知恵の神から魔王の弱点を教えてもらったり、武神に馬乗りでひたすらボコボコにされたり。

 

上位神の直系の神達はイカれていた。

 

過酷だったが、確実に力が付いていく実感もあったので何も言えなかった。

 

 

 


 

 

 

大体一年が過ぎた時。俺は漸く勇者として第三世界でやっていけるほど完成した。

 

「よくやった。これだけの力があれば、ゆくゆくは魔王にも勝てることだろう」

 

久しぶりに会った戦神ヴァルハが喜ばしそうに言う。

 

「はい。ありがとうございます」

 

「最後にそなたのスキルを見よう。自身の成長ぶりが分かるはずだ」

 

俺の目の前に半透明の板が浮かび上がる。

 

そこには、俺の努力の結晶たるスキル達がつらつらと並んでいた。

 

「そなたは我が神界が召喚した勇者の中でも、最も成長速度が早かった。素晴らしいことである。そして今からそなたは第三世界へと降り立つ。何か聞きたいことはあるか?」

 

「魔王を倒したら、俺は元の世界に戻れるんですか?」

 

「然り。最高神がそなたの望みを一つ、何でも叶えると仰せだ」

 

ホッとする。要するに魔王を倒しさえすれば俺は元の世界、日本に戻れるんだ。

 

絶対に帰る、俺はそう強く決心し、拳を握った。

 

「あ、あと最後に一ついいですか?」

 

「何だ」

 

「このスキルなんですけど……使い方を教えてもらってなくて」

 

「何?そんな神がいたのか」

 

眉を顰める戦神ヴァルハが俺の指さすスキルを見る。

 

スキルの名は”運命の天秤”。思い当たる節は、最初に出会ったあの神。

 

結局詳しい使い方などを何も聞けていなかったので、戦神ヴァルハに聞いておこうと思ったのだ。代償があると聞いていたので、猶更だ。

 

だがスキル名を見た戦神ヴァルハの形相が段々と青褪めていくではないか。

 

「こ、これは……!そ、そなた、死神からスキルを貰ったのか?!」

 

「は?死神?」

 

「然り!大鎌のマークが首筋にある神だ」

 

「?!ま、まさかあの時の……」

 

今ピンときてしまった。鎌、それ即ち死神が持つ大鎌。

 

あの少女こそが、死神だったのだ。

 

「何故死神はスキルを与えたのだ……兎に角、そのスキルは使用しないことだ。死神の力は絶大であるが、それ故に人間用に作られたスキルでは代償が伴う。帰る前に自滅したくなければやめておくがよい」

 

戦神ヴァルハが苦虫を嚙み潰したような表情をする。

 

「マジですか……」

 

「マジである」

 

怖すぎる。俺はこの瞬間、そのスキル絶対に使わないことに決めた。持っているものは仕方がない。

 

破壊神といい、死神といい、何故向こうから来るんだよ……

 

「兎に角、そなたは第三世界へ行くが良い。戦いというものを実際に経験するのがよかろう。日本では戦などなかったであろうからな」

 

俺の周囲を突然出現した魔法陣が取り囲む。

 

「うわッ」

 

「そなたが無事魔王を討伐できることを祈っておる。ではな」

 

戦神ヴァルハの厳めしい表情を最後に、俺の視界はぐにゃりと曲がり真っ暗になった。

 

 

 

 

 

そして次に入った景色は……

 

「おい、ここどこだよ……」

 

あっちもこっちも平原が地平線まで続く、人のひの字もない大地だった。

 

ただ真っ暗の中、夜空を星がここだよと言わんばかりに煌々と輝き主張しているだけ。

 

マジでどこだよ……

 

「けど、ここが第三世界か……俺の世界とそこまで変わりはないんだな。日本に戻って来たんじゃないかと思えるな」

 

ひんやりとした夜の空気が俺の肌を刺す。

 

すると次の瞬間、遠くから何かが爆発するような重低音と爆風が俺の身体を撫で、地面が微かに揺れた。

 

「な、何だ?!」

 

見上げると遠くで大爆発が起き、黒煙が立ち昇っていた。

 

「やっぱり異世界か……取り敢えずあそこに人がいると信じて行ってみるしかないようだな……」

 

何をすべきか、まだ分からない。ここの人間が俺を見た途端襲い掛かってくるかもしれない。だが、何もしないよりはマシだと思う。

 

俺は少しづつ、ここが異世界であるということを実感しつつあった。

 

 

 

 

 

 




ネーミングセンスダサいね。
誰か名前の付け方教えてクレメンス

>>俺はジオゲッサーしにきたんじゃないんだぁあああ!!とね。

欲しいものは……

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