いや、死神とか聞いてないし 作:わお
「今日も平和だなぁ」
今や定ポジションとなった隅っこでボクは日課の緑茶を啜る。
神界は太陽もなくずっと明るいので一日もクソもないのだけれども。
飲み終わった湯呑に新しい緑茶の粉末を入れる。
『おーう。聞こえてるか?』
突然脳内に声が響く。えらく楽しそうな某破壊神さんだった。
「うん、バッチリ聞こえているよ」
『そりゃ良かった。で、ワタシは今第三世界に来てるんだがそっちにいた勇者もこっち来てるだろ?』
「へぇ良く知ってるね」
確か戦神ヴァルハが座標をミスって変な場所に送ってしまったとか。さっき通り過ぎて行った男神が言っていた気がする。焦りの所為らしいけども、上位神が焦るほどの何かがあったのだろうか。怖いね。クワバラクワバラ。
『偶々勇者がいてさ……どうやら早速面白いことになりそうだってんで連絡した』
「ほう。それはとても面白……大変そうだね」
『だろ?ワタシも特等席からゆっくり見ることにしようと思ってんだ』
「助けないのかい?」
『あんたがそう言うなら助けてもいいが……面白くねぇなそれじゃあ』
「そうだね?」
うーん声だけでも随分楽しそうな雰囲気が伝わってくる。助けるのに面白いとかあるのだろうか。
『もっとワタシを楽しませて欲しいな。神界は破壊したら最高神サマに怒られるからな』
怖いなぁ。ヴァルスは神界では待てができるけど、多分あっちの世界じゃ暴走機関車を体現することだろう。
『じゃそろそろ動きそうなんでな。切るわ』
「分かった」
『あんたを呼ぶ準備もちゃんと進めてるからもう少し待て。あぁ楽しみだなぁ本当に。敵はフィジカルじじいお手製の勇者とは相性が悪そうだしなぁ……』
プツッとテレパシーが切れる感覚が脳に響く。
まぁ勇者なら大丈夫だろう。ヴァルスに絡まれて可哀そうだけども。
ボクは頑張っているであろう勇者に合掌しながら湯呑に神パワーでお湯を注ぐ。
いざってときにはボクのスキルも少しは役に立つだろう。
代償は伴うけども死ぬよりはマシだろう、と死神ながら思った。
……というか早く第三世界観光したいなぁ。ヴァルスには感謝だね、こんなボクのために。
「―――――と、いうようなことが、ありました……」
「なるほどな……」
ヤスパーと名乗った生存者の男から事情を聞いた俺は眩暈がした。
この世界の魔王軍というのは、それはそれは恐ろしいものだった。知恵の神から事情は聞いていたが、実際に見るのとは違う。
ヤスパーが悲痛な表情を浮かべながら再び口を開く。
「この国は最も神の庇護が高い、聖女のいる国です……なのにまさかこのような、攻め方をされるとは……」
「襲ってきたのはあのスケルトンだけなのか?」
「いいえ。いいえ。……スケルトンの中に、人間の少年のような存在がいました。ローブを被っていましたが……あれは確実に人間ではない。恐ろしかった!」
今度は怯えるような表情をするヤスパー。中々に表情豊かである。
「そいつはどんなやつだったんだ?能力とか……戦い方とか」
「分かりません……ここがスケルトンに襲われるのをずっと静観していただけですから」
「そうか……」
俺はどうするべきだ?その少年擬きは恐らく強い。この世界に来たての俺が果たして勝てる相手なのだろうか。
確かに俺は神に鍛えられたが、実践経験はほぼゼロ。肉体のスペックでイキッてるヤンキーと大差ない。……自分で言うことではねぇな。
「しかし、魔王軍は既に村を後にしているはずです」
「……戻ってくるかもしれないぞ」
「ここは既に灰の山ですよ?わざわざ戻ってくる必要などありませんとも。それこそ何か戻ってくる理由がなければ――――――――――」
その時だった。
「――――ッ何だッ?!」
まるで何かに押しつぶされるような感覚が肌をつんざく。
―――――――魔力だ。それも膨大な量の。
「ひぃぃぃぃぃいい!」
ヤスパーが半狂乱になりながら我先に布団を被る。おい俺を忘れんな。
「クソ、家の前にいるな……。行くしかないか」
収納スキルを使い異空間から刀を取り出す。柄をギュッと握る。
俺は深呼吸してから、家のドアを開けた。
戸の先。村の家屋の燃えカスが風で舞う中を一人のフードを深々と被った少年が立っていた。
「初めまして勇者。僕は魔王軍将軍補佐アルデバラン。早速だけども、君を殺させてもらいたいねぇ」
そう言って少年はゆっくりとお辞儀する。
「魔王軍将軍補佐……は?」
知恵の神の本に書いていた。この世界の魔王軍には七大将軍という七人の軍を率いる将軍がいる。そしてその側近が将軍補佐。
人間のように見えるこの少年が魔王軍将軍補佐?マジかよ……
刀の柄を握る手が汗でぐっしょりと濡れる。反対に少年は楽しそうに両手を掲げた。
ローブ越しなのにひどく恐ろしかった。
神とは違う、歪んだ恐怖。
「さぁ戦おう!初心者狩りは得意分野なんだ!スキル詠唱省略!」
その瞬間、アルデバランの背に幾重もの魔法が展開される。
氷、水、炎。どれも威力の高い魔法。それが俺めがけて放たれる。
「あぶなッ!」
培った身体能力で間一髪避ける、避ける。
だが避けるばかりでは当たり前だがキリがない。
俺は何とかの思いで間隙を縫い、アルデバランにスキルで斬撃を飛ばす。
だが……
「へぇやるねぇ」
アルデバランは迫る斬撃に全く焦らない。
「勇者、君に見せてあげよう。方向が失われる瞬間を。スキル、”反転”」
グンッ。アルデバランに迫っていたはずの斬撃は逆方向に、文字通りの反転を見せ俺へと向かってきた。
「何だそれッ!」
初見殺しのスキルじゃねぇか。
飛んできた自身の斬撃を何とか避けるも、体勢が悪くなった俺は飛んできた水の槍に脇腹を貫かれた。
激痛。直ぐに死ぬ神界では到底味わわなかった痛みが俺を襲った。
「ぐぅうぅぅぅ!!」
地面に倒れこみ、歯を食いしばって痛みに耐えようとする。
神界では初手で死ぬのだから怪我なんてほとんどなかった。
「クク……もう少しすればスケルトンと同じ見た目になれるねぇ」
ザッ。目の前にアルデバランが立ち、見下ろしてくる。
怖い。痛みが俺の恐怖を増やす。回復スキルは発動に時間がかかる。
何かこの場を打開するようなスキルはないかと必死に探す。
反転に対抗できるものはないか?!
ふと、脳内にあるスキルが思い浮かんでくる。
”いざという時に使うといいよ”。あの時のゾクリとする目が蘇る。
これを使うべきなのか?ドクン、と心臓が鳴る。
いや。賭けるには怖すぎる。
「スキル!詠唱省略!」
一心不乱にてきとうな魔法を打ちまくり、アルデバランに距離を取らせる。
「おっと、窮鼠猫を嚙むという言葉がある通りだなぁ。意味ないのに」
ローブ越しに笑うアルデバラン。
次には全ての魔法が向きを変え再び俺に向かってくる。
俺はスキルを使い体を浮かせながらそれらを避けつつ、ひたすらに魔法を打ち込む。
浮かせていても体は動くので激痛が蘇る。痛い、熱い。頭が痛みで埋め尽くされる気さえする。
「鬱陶しいねぇ。いつまで逃げ回るのかなぁ」
アルデバランには未だ一撃も到達していない。
反転チート過ぎだろ。法則系のスキルは戦系の神からは手に入れれない。だからこそ、物理攻撃タイプの俺と相性が悪い。
何かないか……反転に有効な攻撃手段が。
―――――いや、あった。だが自分でも馬鹿ではと思うほどヤバい。
けど今はそれしかない。俺は覚悟を決めた。
反転するなら、”俺へ”向いている魔法も反転されるってことだよな?
ごめん
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┛残念!!さよならにはまだ早いのだよ!!
赤バーって本当に難しい……(作者の物語作成能力がゴミなだけ)
欲しいものは……
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閑話的なアレ
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アレだよ、そう、アレアレ。
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普通のものには興味ありません(変化球)