日向ネジ、半人半魔(兄)と出会う   作:日向陰陽

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第3話 「木の葉崩し」

―――本戦の早朝、宗家の屋敷を訪れた。ヒナタ様に面会するためだ。面会は許可された。彼女が現れる。跪いて頭を下げた。いわゆる土下座だ。

 

ヒナタ「え⁉ ネジ兄さん⁉ どうしたの⁉」

 

ネジ「予選での御無礼と数々の侮辱をお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。」

 

ヒナタ「お父様から聞いたの。旅の人との修行でネジ兄さんは別人のように強くなったって。日向の未来の希望が見えた気がしたって喜んでいたの。お父様の言葉を信じてみようと思った。だからネジ兄さんが謝る必要なんてない。その気持ちだけで充分よ。」

 

ネジ「ありがとうございます。ですが…本戦は御覧にならない方が良いでしょう。貴方の想い人…うずまきナルトは敗北します。それもかなりむごい状態で…。」

 

ヒナタ「……それでも私はふたりの戦いを見届けたい。私だって忍だもの。覚悟は出来ているわ。ズルいと思うかもしれないけどふたりを応援したい!」

 

ネジ「お気遣いいただきありがとうございます。それでは…俺は日向一族の名誉のためにも必ず勝ちます。宗家も分家も関係ありません。日向一族の力を観客や里の上層部に見せつけるつもりで戦います。」

 

ヒナタ「ネジ兄さん…⁉ ありがとう…⁉ そう言ってもらえて嬉しい…⁉ 本来なら恨まれて当然なのに…⁉」

 

ネジ「礼には及びません。これも修行の成果でしょうか。俺の心は晴れやかです。それでは失礼いたします。」

 

ヒナタ様への謝罪も済んだ。後日、当主のヒアシ様へ謝罪へ行くことになるだろうがとりあえずこれで思い残すことはない。思いっきり戦うだけだ。会場へ向かった。うずまきナルトが俺を見て睨む。待機中もずっと睨んでいた。

 

ネジ「言いたいことがあるなら今のうちに言っておけ。」

 

ナルト「いちいちヒナタを見下したこと言いやがって⁉ 俺は許さねえ⁉」

 

ネジ「その件なら今日、会場に来る前にヒナタ様に土下座して直接謝罪した。ヒナタ様にもお許しをいただいた。お前が気にする必要はない。」

 

ナルト「え⁉ 土下座ぁ⁉ だ、だけど⁉ 『人は変われない』だの『運命は変えられない』だの好き勝手言ったこと忘れてねえぞ⁉」

 

ネジ「それも前言撤回させてもらおう。俺自身を否定することになるからな。他に何かあるか?」

 

ナルト「ほ、他には…ええっと…お前にぜってー勝って火影になる!」

 

ネジ「そうか、励むことだな。」

 

ナルト「お前…何があったんだ…?」

 

ネジ「まあ…色々とな。それより…手加減はせんぞ。例え死ぬことになっても恨むなよ。」

 

ナルト「そりゃあこっちの台詞だ‼ 勝っても負けても恨みっこ無しだかんな‼」

 

会場に入る。俺とうずまきナルトの一戦から始まることとなった。審判の試合開始の合図と共にナルトが後ろに飛び距離を取る。そしてクナイを投げる―――前に八卦空掌でナルトを吹っ飛ばし壁に叩きつける。間髪入れずに左右の手で連続して叩き込んだ。壁に亀裂が走り砕けてナルトが壁にめり込む。そして瓦礫に埋もれた。

 

ナルト「や、野郎…⁉」

 

ネジ「さっさと九尾とかいう妖怪のチャクラを引き出せ。今のお前では相手にならん。」

 

ナルト「後悔すんなよ⁉」

 

ナルトが十字の印を結ぶ。白眼で見通す。体内に膨大なチャクラが発生する。次第にオレンジ色のチャクラが体から溢れ出てくる。バージルの言っていた通り今までの俺では勝てなかっただろう。目に見える程のチャクラを身に纏い準備は終わったようだ。

 

ネジ「待ちくたびれたぞ。」

 

九尾のチャクラを使えと言ったのは俺だが流石に待たされ過ぎた。嫌味のひとつでも言わせてもらった。

 

ナルト「行くぞ‼」

 

エアトリック程の速度ではないが、それなりの速度で左斜め上の空中に飛んでいる。手裏剣をいくつか投げてきた。背負っているミラージュエッジを斬り払いまとめて跳ね返した。空中でナルトの姿が消える。地上に移動している。全力で走って俺に向かってくる。片手に持ったクナイで斬りつけてくるらしい。ナルトに合わせてやることにした。ミラージュエッジにチャクラを込めて思いっきりスティンガーをクナイにぶつけた。高密度のチャクラの衝突…爆発が起きた。俺も吹っ飛ばされたが空中で体勢を整えて着地する。白眼で見通す。ナルトが地面に倒れている―――があれはフェイク。本体は地面を掘り進んで待ち構えている。敢えて奴に最後まで合わせてやることにした。ミラージュエッジを片手に持ちながら真下まで歩み寄る。地面が盛り上がる。ジャンプしながらのアッパーを摺り足で下がって避けてから両手に掴んだ剣で真っすぐ上から下に振り下ろした。綺麗に真っ二つに分かれて脳や内臓や腸をボロボロとこぼしながら白目をむいて倒れる。観客席から嘔吐する音が聞こえる。やがてナルトに封印されているらしき化物のチャクラが溢れ出て器用にこぼれ出た体内のものをかき集めて最後に体を繋ぎ合わせる。それっきり化物のチャクラの反応は消えた。ナルトのチャクラも生命維持に必要最低限の量しか残っていない。勝負はついた。

 

ネジ「審判、終わりらしい。俺の勝ちということでいいか?」

 

「あ、ああ…。勝者、日向ネジ!」

 

歓声は起きなかった。まだ少年である年齢の忍でグロテスクな光景を生み出した張本人が落ち着いた様子でいるのが信じられないという様子だった。審判も呆気にとられている。選手用通路を通る。行った先でヒアシ様が待っていた。かつての魔人化暴走事件を咎められるのかと思い謝罪しようと思ったが待合室のような場所に案内され、俺がヒナタ様にやったようにヒアシ様も俺に土下座をした。そして父上の死の真相を聞かされた。今までの俺なら事の経緯からして宗家にも呪印を施すべきだと猛抗議していただろうが今はどうでもよかった。

 

ヒアシ「ネジ…お前は宗家を恨んでいないのか? 事実、父親が犠牲になったのだぞ。」

 

ネジ「父上が納得した上での決断なら俺が口を挟む余地はありません。それよりも…修行中の御無礼をお詫び申し上げます。」

 

ヒアシ「良いのだ。旅の者との修行でお前は見違えるように強くなった。しかも先程の試合も見事だった。よくぞたった1ヶ月であれ程まで仕上げた。私は嬉しい。日向の明るい未来の希望が見えた気がするぞ。頼む…! ネジよ…! どうかこのまま生き延びて更に強くなってほしい! その暁には宗家と分家の垣根を取り払ってお前を次期当主に推薦する! 宗家の者には誰にも文句は言わせんように説得する! 私から言えるのはそれだけだ…!」

 

ネジ「……今の俺には宗家も分家も関係ありません。ただ日向一族の名誉を守るために最強であることを証明し続けるだけです。」

 

ヒアシ「感謝する…! ネジよ…! 天国で見守っているヒザシも誇りに思っていることだろう…!」

 

ネジ「む…⁉ ヒアシ様。賊が侵入したようです。いえ、既に潜入していたのかもしれません。俺は始末に向かいます。」

 

ヒアシ「私も行くぞ。」

 

バージルの血が覚醒した影響か何となく感覚でチャクラを感知できるようになった。会場に十名弱、潜んでいた。エアトリックで接近しては手刀で首を撥ねて心臓を貫き腹を抉る。会場内の賊は始末した。

 

ネジ「俺は砂隠れの忍の者たちを追います。」

 

ヒアシ「私は残りの賊共の始末に向かう。後は頼んだぞ、ネジよ。」

 

ネジ「お任せください。」

 

真っすぐに我愛羅…とかいったか。うずまきナルトと同じく禍々しいチャクラを宿した者を追いかける。道中でカンクロウ、テマリとかいった砂隠れの者たちが戦闘していたが無視した。もっと奥で…うちはサスケと我愛羅が戦闘していたようだった。うちはサスケは倒れている。もっと奥で我愛羅がデカい化物に変化…というより体内の化物が姿を現したと言った方がいいだろう。一体化して眠りに入った。まずはデカブツをどうにかすることにした。チャクラ活性化と魔人化を同時に発動する。五月雨幻影剣で足止めした後に左右のヘルオンアースを脇腹?にブチ込んだ。あっさりと右半身が塵と消えた。ついでに尻尾はミラージュエッジのオーバードライブで断ち切った。トリックダウンで逆側に回り再び左右のヘルオンアースで左半身を塵にする。残ったのは僅かな胴体と頭部だけだ。

 

我愛羅「うっ⁉ ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉」

 

ネジ「……どうした? 悪い夢でも見たか?」

 

我愛羅「日向…ネジぃぃぃぃぃぃぃぃぃ⁉」

 

デカブツの姿が消え我愛羅のみとなる。背負っている瓢箪から砂が出てきて一斉に俺に襲い掛かる。

 

ネジ「回天‼」

 

ついでに全身の点穴からチャクラを放出して砂を吹っ飛ばした。

 

我愛羅「くっ⁉」

 

再び砂を操ろうとするが俺に吹っ飛ばされた砂はピクリとも動かない。

 

ネジ「無駄だ。俺のチャクラで砂に込められていたチャクラごと吹っ飛ばした。お前の砂はただの抜け殻だ。」

 

我愛羅「ぬうぅぅぅ⁉ うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ⁉」

 

真っすぐ俺に向かって殴りかかってくる。どうやら体術は苦手なようだった。

 

ネジ「柔拳法 八卦六十四掌。」

 

指にチャクラを集中して砂の防御膜を突き破り点穴を突く。我愛羅が力なく倒れる。さて…どうしたものか。ここで殺すのは簡単だが敵とはいえ仮にも他の里からの客人でもある。俺の一存で殺していいのか迷っていると

 

「もう止めて⁉」

 

「止めてくれ⁉ そいつは俺たちの弟なんだ⁉」

 

振り向くとテマリとカンクロウだったか、駆け寄ってくる。

 

ネジ「命があるだけありがたく思え。弟ならしっかり躾をしておけ。」

 

テマリ「わかってる⁉ とにかく…ありがとう⁉ 殺さないでくれて⁉」

 

ふたりで我愛羅を担いで去って行く。他にもうずまきナルトや我愛羅とは違うが禍々しいチャクラを持った者がいる。まだ里内にいる。急いで駆けつけた。途中で禍々しいチャクラは消えた。代わりに―――倒れている火影様がいた。白眼を使う。ほとんどチャクラが残っていない。つまり死んでいるということだ。傍にいる者に聞いた。

 

ネジ「何があった?」

 

「元木の葉の忍で抜け忍の大蛇丸と戦って…敗れた…。」

 

大蛇丸…木の葉の伝説の三忍と呼ばれた内のひとりだと聞いた。そいつが今回の事件の黒幕だと悟った。翌日、火影様の他、大蛇丸の乱…『木の葉崩し』で命を落とした者の葬儀が行われた。大した面識はないがバージルとの修行を見逃してくれたことには感謝している。砂隠れが大蛇丸の存在を知っていたのかは不明だが、今になって大蛇丸に敗北したのだと火影様の墓前に立って理解した。

 

それから数日後、いつも通りに修行をしようかと外に出た時に異様で膨大なチャクラを感知した。しかもふたつ。場所は遠い。まだ里には入っていないようだった。エアトリックを駆使してチャクラの発生源まで接近した。ふたりを見つけた。大ぶりな笠に隠れて素顔が見えない。白眼で見通す。あれは…国際指名手配犯のうちはイタチと干柿鬼鮫、木の葉と霧隠れの抜け忍。大蛇丸に続いてまた抜け忍かとため息をついた。何にせよ放っておいてもロクなことにはならないだろう。この場で始末することにした。ミラージュエッジを手にしてトリックアップからの兜割りで奇襲した。標的はうちはイタチ、微動だにしない。隣にいる干柿鬼鮫の包帯でグルグル巻きにされた大刀が割って入った。ここまでは読み通り。

 

ネジ「なんだ、気づいているなら反応くらいしろ。」

 

イタチ「俺たちは何も戦いに来たわけじゃない。」

 

ネジ「抜け忍の言うことが信用できるか。つい最近、大蛇丸とかいう抜け忍に里を荒らされて火影様が死んだんだぞ。お前らはここで殺す。」

 

ドン!と大刀が叩きつけられる音が響く。

 

鬼鮫「生意気なガキですねぇ。殺しましょうか。」

 

イタチ「その眼…白眼か。宗家か分家かどちらの者だ?」

 

ネジ「答える必要はない。」

 

イタチ「鉢金を取って見せろ。それでわかる。」

 

ネジ「断る。」

 

イタチ「……分家の者か。宗家に復讐したいとは思わないのか? 分家の当主が宗家のために犠牲になった話は聞いたぞ。」

 

ネジ「父上は納得した上で決断して行動したんだ。情報が古いぞ。」

 

イタチ「……父親の仇を討ちたくないのか。薄情な奴だ。」

 

ネジ「くどい。復讐の念なぞとうに消えた。」

 

イタチ「そうか。ならば父親の後を追うがいい。」

 

写輪眼の紋様が変わると同時にうちはイタチのチャクラ量が大幅に減る。だが何も起こらない。

 

ネジ「どうした?白眼には幻術は効かないと誰かに教えられなかったのか?」

 

イタチ「くっ⁉ 天照⁉」

 

黒い炎が俺の身を焼く―――前にエアトリックで接近して左手の手刀を薙ぎ払う。狙いは両目。顔を逸らして避ける。俺の背後から黒い炎が迫ってくる。トリックダウンで背後を取る。貫手で腹を貫く。煙となって消える。出来れば外れて欲しかった読みだが当たってしまった。ということはもうひとりも影分身か。素手版スティンガーで胸を貫く。やはりこっちも消える。白眼の範囲内には…いない。チャクラの反応もない。逃げられた。だが入れ替わるようにそれなりのチャクラを持った4人が近づいてくる。じっと待った。4人に囲まれた。

 

ネジ「何だお前ら。」

 

「ウチらは大蛇丸様の―――。」

 

大蛇丸の名を聞いた瞬間頭に血が昇ってチャクラを活性化させて女の主要8か所の点穴を突いた。女が回転しながら吹っ飛んでいく。

 

ネジ「絶招 八門崩撃。」

 

その後魔人化して次に蜘蛛の如し6本の腕を持つ男に狙いを定めた。エアトリックで接近して指を1本腹に突き立てる。

 

ネジ「ここで実に単純な選択肢を与えてやる。女を置いて大蛇丸の下へ逃げるか、ここで犬死にするか…どちらを選ぶ?」

 

ノイズ混じりの低く重い声を出しながら俺の指が妙な防御膜を貫通して腹の内側に突き刺さっていく。

 

「わ、わかった⁉ ここは退く⁉」

 

ネジ「大蛇丸に言っておけ。俺が欲しいなら直接来て俺を負かしてみせろとな。さっさと失せろ。」

 

3人はすぐに去った。白眼の範囲外まで離れていったのを確認してから女の方へ歩み寄る。失神して眠ってはいるが美しい顔立ちだった。正直ひと目見た時から気になっていた。こういうのをひと目惚れというのだろうか。女を担いで物陰に隠れながらエアトリックを駆使して屋敷まで帰った。女の手足を紐で縛って俺の腰に繋いだ後に少し遅めの昼食をとった。これからどうなるかは俺にもわからなかった。

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