―――今の俺は途轍もなく機嫌が悪い。うちはサスケが里を抜けて俺を含む日向一族が舐められた真似をされて殺意が湧いているのもあるが今回の任務が『うちはサスケを抹殺』ではなく『連れ戻せ』ということらしい。『抜け忍は死罪』という掟があると思ったのだが俺の記憶違いだったのだろうか。そもそも大蛇丸という抜け忍に好き放題やられた上で未だに『抜け忍のうちはサスケを連れ戻せ』というのは一体何を考えているのか。狂っているとしか思えなかった。
ネジ「なぁシカマル…火影は本当に『連れ戻せ』って言ったのか? 『殺せ』ではないのか? 抜け忍は処刑するのが掟だろう?」
シカマル「こ、殺せって…⁉ そ、そこまでは言ってねーよ⁉ あいつは仲間だろう⁉」
ネジ「『仲間』…? 里を抜けて敵の下へ行くのは『敵』だろう? 違うか?」
ナルト「お前が何て言おうとサスケは仲間だ⁉ お前は黙ってろ⁉」
無言でミラージュエッジを振ってナルトの首を撥ねた。首の切れ目から噴水のように鮮血が噴き出し体は倒れ首は転がる。オレンジ色のチャクラが漏れ出て首と体を繋げる。生気の戻ったナルトが俺を睨む。
ネジ「黙るのはお前だ…‼ 何回死ねば気が済むんだ…? いくらでも殺してやるぞ…‼」
ナルト「……ぐっ⁉」
シカマル「お、おい⁉ 落ち着けネジ⁉ やり過ぎだ⁉」
ネジ「俺は落ち着いているぞ。そうでなければ『うちはサスケを連れ戻せ』などとほざく綱手とかいう女ごとお前らも皆殺しにしているところだ。……そうだな、本人に直接確認するとしよう。」
シカマルたちを置き去りにして本部の火影室の窓ガラスをブチ破って侵入した。
綱手「何者だ⁉」
ネジ「おい女…⁉ 俺は日向一族分家の日向ネジという…ついさっき『うちはサスケを連れ戻せ』などという任務をシカマルに与えたらしいな。『殺せ』の間違いではないのか…⁉」
綱手「そこまでする必要はないだろう⁉ これは正式な命令だ⁉ 歯向かうなら処分するぞ⁉」
ネジ「お前にとってうちはサスケは何なんだ…? 恋人か?愛人か? 言ってみろ…。」
綱手「黙れ小僧⁉」
物凄い勢いで殴りかかってきたが単純な動きだった。簡単に避けられた。顎を掌底でかちあげる。魔人化して宙に浮いた女の足を掴んで振り回して左右に叩きつけまくった。女が動かなくなる。こんな弱い奴が火影で大丈夫かと木の葉の将来が思いやられた。そのまま窓から飛び出して、初めてやるが翼を使って覚えのある3人のチャクラを追った。白眼で見渡す。後方からシカマルたちが追いかけてくる。無視した。どうやら先は遠い。地上に降りてエアトリックでの移動に切り替えた。見覚えのない木の葉の忍らしきふたりが倒れている。魔人化を解いて話しかける。
ネジ「おい、大蛇丸の部下の3人はどこへ行った。」
「わ、わからん…。俺たちはやられてこのザマだ。」
無言で立ち去った。ただ感知する方向へ向かった。ひたすら森の奥へ進んでいく。見覚えのある肥満体の男が立ちはだかる。
「お前から逃げ切るのは無理なようだ。俺が相手になる。土遁結界 土牢堂無‼」
あっという間に岩に覆われる。魔人化してディープスティンガーで掘り進む。あっさりと結界は崩れた。
「ば、化物か…⁉」
ネジ「さあな…俺にもよくわからん。」
トリックダウンで背後を取る。呪印とやらが発現しているらしいが構わずミラージュエッジを薙ぎ払った。腹を境に真っ二つに両断した。内臓や腸をこぼしながら倒れる。白眼で見渡す。周囲に誰もいないことを確認してから魔人化を解いてチャクラを魔力に変換する。そして追いかけた。更に森の奥へ進む。
ナルト「こ、これ…ネジが殺ったのか⁉」
シカマル「他にいねーだろ⁉ ヤバいぞ⁉ 本気でサスケを殺す気だ⁉」
キバ「酷ぇことしやがる⁉ あいつ正気か⁉」
チョウジ「僕たちで止められるのかな…⁉」
シカマル「やるしかねーだろ⁉ 火影様もあっさりやられちまったみてーだしどこまでできるかわからねーけどな⁉」
ネジ「次はお前か…。」
「次郎坊は殺られちまったみたいだな。足止めにもならないとはお前の力を見誤っていたようだな。」
ネジ「うちはサスケを置いて逃げていれば死ぬこともなかっただろうに馬鹿な奴らだ。そんなに死にたいらしい。」
「今回の任務は俺たちの命が懸かってる。失敗すればどのみち殺される。」
ネジ「そうか、じゃあ死ね。」
男が蜘蛛の巣らしきものを口から吐き出す。瞬時にミラージュエッジにチャクラを込めて連続で振り払った。『ドライブ』…チャクラの縦の斬撃。蜘蛛の巣ごと男を斬り裂いた。
ネジ「ついでだ。」
剣を逆手に持って薙ぎ払った。『オーバードライブ』…横、水平の斬撃。縦に真っ二つに分かれる前に綺麗に上半身と下半身が分かれるように切れ目を入れた。4等分になって血や臓器をまき散らしながら男が倒れる。先へ進んだ。
ナルト「オエエエエッ⁉ な、何だよこれ…⁉」
シカマル「ネジの仕業だろ…⁉ 相当頭に来ているらしい…⁉」
チョウジ「うっぷ…⁉ 何でこんな酷いことを…⁉」
キバ「なあ…俺たちもヤバいんじゃねえか⁉ このままじゃ同じ目に遭うぞ⁉」
シカマル「とりあえず追いかけるが…あいつに近づきすぎるなよ⁉ 命の保証は出来ねーぞ⁉」
残りひとり。追いつくのも差ほど時間はかからないだろう。更に奥へ奥へ進む。追いついた。樽を抱えている。どうやらうちはサスケはその中に入っているらしい。
ネジ「おい…その樽を置いて失せろ。そうすれば生かしておいてやる。」
「ぐっ⁉ ちくしょう⁉ 次郎坊も鬼童丸も殺られちまったのか⁉」
ネジ「名前は知らんがお前の仲間2人は俺が丁寧に殺してやったぞ。まだ短い人生を縮める必要はあるまい。」
会話している最中に見知らぬチャクラがこちらにやってくる。どんどん近づいてくる。
「遅すぎるよ…左近。」
左近「君麻呂⁉ こいつを頼む⁉」
そう言って樽を投げ渡した。その隙にトリックアップからの兜割りで左近と呼ばれた者を真っ二つにした…と思いきや2人に分かれた。首の後ろ部分にもう一人の頭部が見え隠れしていたがそういう仕掛けだったのかと納得した。君麻呂という奴は樽を抱えて奥へ進んでしまった。両手にチャクラを集中させてからヘルオンアースを1発ずつ叩き込んだ。2人は塵も残さず消え去った。今度こそ残りひとり。奥へ進んだ。木の生えていない開けた場所についた。君麻呂とやらが立ち止まる。
ネジ「それを置いて失せろ。お前…何かの病か? 死にかけだぞ。」
君麻呂「これは渡せない。彼は大蛇丸様の新しい器だ。これで大蛇丸様は新たに生き長らえる。」
ネジ「ったく…どいつもこいつも…どうして死に急ぐんだ? しかもお前は放っておいても死ぬだろう? 短い人生を大切に生きろよ。」
君麻呂「僕には使命がある…大蛇丸様のために僕は短い人生でやるべきことをやるだけだ。」
ネジ「交渉決裂だな。それならお前も死ね。」
君麻呂とやらが指を向けて何かを放つ。ミラージュエッジで受け止める。これは…骨だ。自分の骨を自在に操るらしい。白眼で見通す。全身の体内が骨で覆われている。面倒なので魔人化してさっさとカタをつけることにした。奴が再び骨を放つ。と同時に五月雨幻影剣で拘束した。エアトリックで間合いを詰めてディープスティンガーを叩きこんだ。骨の防御膜の再生より俺の攻撃の方が早い。内臓までミラージュエッジが届こうかという時に再生速度が上がった。奴の姿も変わる。呪印とやらを発現したらしい。病人らしく血の気の無い肌が褐色に変わる。腕から大量の骨が生えて槍の如く鋭くなる。それを俺に振り下ろした。トリックダウンで回避した。さてどうしたものか…奴の再生速度を上回る攻撃…試すことにした。両手にチャクラを集中させる。再び五月雨幻影剣で拘束する。ヘルオンアースを左右連続でブチ込んだ。一撃目で防御膜を塵にして二撃目で無防備の腹に炸裂させる。両脚だけを残して奴は消滅した。生命反応がないのを確認してうちはサスケの方へ目を向ける。いつの間にか樽が割れている。奴の姿は…離れた前方にいる。大蛇丸のアジトへ行かれる前に追いかけた。うちはサスケの背に向かって叫ぶ。
ネジ「おい…!『もし里を抜けたら日向一族の名誉に懸けてもお前を殺しに追いかけるぞ。それを忘れるな。』と言われたのを覚えているか!言った通り殺しに来たぞ!」
サスケ「やってみろ⁉」
うちはサスケが振り返る。以前よりチャクラ量は増えているが大したことはない。
ネジ「威勢がいいな。誰のおかげで生きていると思っているんだ?まだハッタリだと思い込んでいるようだからさっさと殺すぞ。」
烈風幻影剣で囲む。奴は幻影剣に気を取られている。隙だらけだった。スティンガーを心臓に刺そうとしたところに―――砂がまとわりついた。チャクラを放出して解く。我愛羅の仕業だということは見なくてもわかった。
ネジ「何の真似だ? 殺されに来たのか?」
我愛羅「木の葉同盟国…砂の忍だ。」
ネジ「『同盟』? 木の葉崩しの主犯の一角のお前らがか? 笑えない冗談はやめろ。お前も俺に生かされている身で図々しいぞ。俺をこれ以上怒らせるな。俺の邪魔をして何の真似だ?」
我愛羅「……俺たちはうちはサスケを奪還せよとの任務でここに来た。」
ネジ「それは間違いだ。抜け忍は殺す。何か間違っているか?」
我愛羅「……。」
うちはサスケが背を向けて走り出す。急襲幻影剣を瞬時に放って背中に突き刺した。そのままエアトリック、トリックアップからの兜割りで首を両断しようとした。またしても砂がまとわりついて引っ張られる。チャクラを放出して拘束から逃れる。
ネジ「わかったわかった…! お前から死にたいんだな…! よーくわかった! じゃあ死ね‼」
魔人化してトリックダウンで背後を取る。ミラージュエッジで首を狙った。さっさとこのくだらない茶番を終わらせたかった。首に迫ったところで俺の動きが止まる。足元を見る。影が伸びていた。
「「「「ネジ⁉ やめろ⁉」」」」
ネジ「お前らまで俺の邪魔をしてどういうつもりだ…⁉ ふざけているのか…⁉」
シカマル「砂隠れが同盟になったのは本当だ⁉ 木の葉の本部から伝達があった⁉」
ネジ「それなら何故うちはサスケを殺すのを邪魔する…⁉ 砂隠れが大蛇丸と無関係だと証明してみせろ…⁉ ふざけるんじゃねえぞ⁉」
ナルト「サスケは仲間だ⁉ 誰にも殺させはしねえってばよ⁉」
ネジ「抜け忍の仲間がいるわけねえだろ⁉ 舐めたこと言ってんじゃねえ⁉」
思いっきり叫びながら強引に動く。ヘルオンアースを地面に叩きつけた。拘束が解ける。腹に衝撃が走る。ナルトがチャクラの塊を至近距離でぶつけてきた。
ネジ「……何だそれは? フン。」
ナルト「そんな…⁉」
シカマル「ナルト⁉ 逃げろ⁉」
ネジ「させるか。」
『ミリオンスタブ』…スティンガーの応用スキル、高速の連続突きで敵を刺しまくる。ナルトの上半身がただの肉片になるまで刺しまくった。ついでに下半身も両断した。その合間に砂が飛びかかかってくるがその度にチャクラを放出して防御した。次はシカマルに狙いを定めた。エアトリック、トリックアップ、トリックダウンで攪乱する。手刀で心臓を抉ろうとした―――ところに突風が吹く。
テマリ「わ、私が相手だ⁉ かかってきな⁉」
シカマル「ネジ⁉ やめろ⁉」
少し吹き飛ばされるが空中で体勢を整えて着地する。そこに絡繰りらしきものに閉じ込められた。すかさず片手にチャクラを集中させてヘルオンアースを暴発させる。絡繰りが粉々に砕ける。
カンクロウ「う、嘘だろ…⁉」
息が上がる。動きが鈍い。チャクラを消耗しすぎた。そこに絡繰りの針に刺された。更に動きが鈍った。思考も混乱する。眩暈がする。どうやら毒を仕込んだ針らしい。意識が朦朧とする。俺はあっさり倒れた。
テマリ「こいつ…本当に私らより年下の下忍なの…? 見たことのない恐ろしい姿に変化してたけど…? 予選と本戦では別人のように強くなっててハッキリ言って驚きっ放しよ。いつの間にかこんな大きな剣まで操ってるし。」
シカマル「ネジに関しては謎が多い。本戦までの1か月にある男に鍛えられたらしいがその男も謎だ。どこにいるのかも知らねえ。」
カンクロウ「どうする? うちはサスケは逃がしちまったし、日向ネジが目を覚ましたら今度こそ俺ら殺されかねねえじゃん。」
ナルト「綱手のばあちゃんに相談して牢屋に閉じ込めてもらうしかねーんじゃねーの?」
キバ「……そうだな。今度ネジが暴れたら誰にも止められねえぞ。」
チョウジ「僕…正直言って怖かった。ネジに殺されるかと思って一歩も動けなかった。」
シカマル「チョウジは悪くねーよ。ナルトがあっという間にグチャグチャにされて俺も正直ビビったよ。」
キバ「俺だってチョウジと同じだよ。近づいた瞬間殺される予感しかしなくて何も出来なかった。」
シカマル「とりあえずネジが目を覚ます前に急いで運ぶぞ! 途中で起きたら俺たちが殺される!」
目が覚めた。どうやらここは牢屋らしい。手足は枷と鎖で繋がれている。鉄格子が目の前に見える。魔人化して手枷足枷を砕いた。鉄格子も切断した。その勢いで火影室を襲撃した。
綱手「お前は…日向ネジ…⁉」
ネジ「よう…つい最近まで敵だった組織と同盟結んだそうじゃねえか?恥ずかしくねえの?大体大蛇丸と砂隠れが暴れ回ってた時にてめえは何やってたんだよ?」
綱手「……旅をしていた。」
ネジ「抜け忍とどう違うんだ?肝心な時に役に立たねえでふらっと帰ってきて『はい五代目火影です』ってそんなもん認められるわけねえだろ。狂ってんのか?」
綱手「……。」
ネジ「どうした?何か言えよ。脳ミソきちんと働いてるか?それで…うちはサスケの味はどうだった?若い男の味は美味かったか?気持ちよかったか?」
綱手「……黙れ……⁉」
ネジ「何だって?聞こえねえよ。」
綱手「黙れ⁉ お前に私の何がわかる⁉」
ネジ「知るわきゃねえだろやっぱり馬鹿だろお前? 弱い上に頭も悪い…誰だよこんな無能を火影にした奴は…?俺が殺してやるよ。誰だよ言ってみろ。」
綱手「伝説の三忍のひとり…自来也だ。」
ネジ「どこにいんだよ?」
綱手「わからん…。」
ネジ「わからんで済むか馬鹿野郎、舐めてんじゃねえぞ。その額どうなってんだ?これで脳ミソ抉られても治んの?天才医療忍者さん。」
ミラージュエッジを額の印に押し付ける。額から血が溢れるがやがて傷が塞がる。
ネジ「そもそも『伝説の三忍』って何だよ?1匹はS級犯罪者で国際指名手配犯の極悪人で故郷を襲撃した恩知らずのろくでなしでもう1匹は無能で頭が悪くて弱くて…あと1匹は何だよ?とんでもねえ馬鹿とか気狂いか何かか?それで…抜け忍もう1匹増やした責任はどう取るつもりなんだ火影さん?」
綱手「私にどうしろって言うんだ…?」
ネジ「死んで償えよ。首くくるなり腹切るなりやって死ねよ。他に何かあるか?」
綱手「そんな無責任なことはできん…⁉」
ネジ「じゃあどうすんだよ?抜け忍の大蛇丸に里荒らされてる時にボケーっとしててうちはサスケっつー抜け忍もう1匹増やした責任取れよ。てめえと自来也とかいう奴と一緒に大蛇丸とうちはサスケ殺して来いよ。それが責任ってもんだろ。」
綱手「……。」
ネジ「黙 っ て ん じ ゃ ね え‼」
机を蹴り上げた。粉々に砕ける。 積み上げられた書類諸々が崩れ落ちる。両端はミラージュエッジで丁寧に両断した。机が完全に使い物にならなくなったのを確認した。
ネジ「木の葉は後何年保つかね?」
捨て台詞を残して火影室を出た。本部を出るまでの間、俺を見た木の葉の忍たちが悉く驚いていたが俺を止められる者は誰もいなかった。そして家に帰るまでの道中に不思議な男に出会った。