日向ネジ、半人半魔(兄)と出会う   作:日向陰陽

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第6話 「転生眼」

―――不思議な男に出会った。周囲にひと気がないのも不気味だった。

 

ネジ「……何者だ。」

 

「やあ、ボクの可愛い子孫。キミは本当に不思議な力を持っているね。大変な目に遭ったようだから、ボクからささやかだけど贈り物をあげるよ。大切に使ってほしい。名は『転生眼』それではさようなら、我が可愛い子孫。」

 

そして男のチャクラを纏った両手が俺の両目に触れる。俺はされるがままだった。何故か懐かしい感覚を覚える。日向一族の者かと思ったがこんな男は見たことがない。視界がぼやける。元に戻った頃には男は姿を消していた。よくわからないがチャクラが漲る感覚だけは残っていた。どのくらい牢屋に入れられていたのか、眠っていたのかわからないが早く家に帰りたかった。多由也に会いたかった。

 

ネジ「ただいま。」

 

多由也「おかえり、ネジ!」

 

笑顔で出迎えてくれて抱き着いてくる。とても可愛らしくて愛おしかった。このやり取りにも慣れてきた。俺は多由也が好きだと堂々と言えるが彼女はどう思っているのだろうか。聞きたかったが返答を聞くのが怖くて聞けなかった。この生活も気に入っているがいずれ聞かなくてはいけない日が来るだろう。彼女には彼女の人生があるのだから。多由也の作ってくれた晩御飯を食べた後、思い切って聞いてみた。

 

ネジ「多由也、話があるんだがいいか?」

 

多由也「何? 改まって。」

 

ネジ「この生活には慣れたか?」

 

多由也「うん! 普通の女として生きるっていうのも結構いいものだね! 始めはウチに出来るかな?って思ってたけど料理とか掃除とか洗濯とか覚えて実際にやるのが楽しい!」

 

ネジ「そうか…それで…その…俺はお前のことが好きだというのは以前に伝えたが、お前は俺をどう思っているんだ…?」

 

多由也がしかめっ面をして明らかに不満気な表情を見せる。

 

多由也「もう! こうしないとわからないかなあ!」

 

俺の両頬を掴んで引き寄せる。そのまま唇を重ねられた。彼女が舌を突き出してきた。俺も呼応するように舌を突き出して絡めた。抱きしめる。思考が麻痺するような感覚。数分も経過して満足したようで離れる。

 

多由也「ウチはネジのことが大~~~~~っ好きだよ! どう? 伝わった?」

 

ネジ「ああ…物凄く嬉しい。こんなによくできた恋人を持てて俺は幸せだと心底思ってるよ。」

 

多由也「ウチだってこんなに素敵な恋人を持てて本当に幸せだよ! ありがとう、ネジ!」

 

元々は敵で一方的に誘拐拉致同然で連れてきたのに今では俺のことを好きでいてくれる多由也に感謝した。出会いとは運命とどこかで聞いたが本当にその通りなのかもしれないと思った。

 

翌日、中忍に昇進した。火影は終始不機嫌だったが大蛇丸の部下たちを俺ひとりで始末したことが理由らしい。これでより報酬の高い任務にありつけると思うと胸が高鳴った。多由也との将来に向けて蓄えはいくらあっても困らないからだ。俺は噂で聞いた暁とかいう連中と大蛇丸一派の壊滅作戦を進言したが悉く却下された。どこからの情報か知らないが奴らが本格的に行動を開始するのは約3年後とのことだ。行動されてからでは遅いと改めて進言したが却下された。どうしてこうも後手後手の対応をするのか不思議で仕方なかった。何かが起きてからでは遅いと火影に詰め寄ったが女は無言だった。もう付き合っていられなかった。組織の歯車として生きることにした。ああだこうだと考えるのは止めた。それから数日して俺の眼と体に異変が起きた。朝起きて多由也におはようの挨拶をしたら慌てた様子で鏡を見せられた。眼の瞳が青色に、瞳孔は黒でそこから燃え上がるような白い模様が広がっている。数日前に会ったあの男、名を『転生眼』と言ったか。白眼を使う感覚で発現した。膨大なチャクラが身に纏わりつく。これはまるで…ナルトが九尾のチャクラを使う時に似ていた。他にも知らないはずの術の名が思い浮かぶ。『銀輪転生爆』『金輪転生爆』『万象天引』『神羅天征』…どれもここで試すには凄まじすぎる破壊力と規模だった。魔人化した。かつてバージルが見せた姿『真魔人』とそっくりだった。チャクラが込められているらしきいくつもの数珠がひとつになりひと振りの刀になる。左腕と一体化している鞘に納めた。魔人化を解く。刀が鞘に納まっている。色までバージルのとそっくりだった。バージルのものと差別化するため刀にチャクラを込めた。大太刀サイズに変わる。これで丁度いい。満足してバージルに倣って左手で持ち歩くことにした。

 

要人の護衛、暗殺任務…これに関しては俺が善悪を考えられる立場になかったので俺が殺した者たちは全員悪人だったと思うことにした。そうして報酬の高い任務をこなしつつ刀を振る鍛錬は欠かさずやった。理想はバージルだが俺の中のバージルはとても高い壁となって立ちはだかった。何度刀を振っても理想に追いつける気はとてもしなかった。だが確実に俺の戦闘能力は上がっていった。暗殺任務でアシがつくようなヘマは決してしなかったし、殺害に失敗することも決してなかった。その内俺の任務での評価が認められ上忍に昇進した。火影は相変わらず不機嫌だったが。その頃には2年が経過していた。そして見覚えのあるふたりと遭遇した。

 

ネジ「お前らは…うちはイタチと干柿鬼鮫か?」

 

イタチ「覚えていてくれて何よりだ。今回はお前に用があって来た。暁に入れ。もっと強くなれるぞ。」

 

ネジ「ほう…今よりか?」

 

転生眼チャクラモードと進化した魔人に変化した。

 

鬼鮫「ぐっ⁉ 何ですかこの小僧は⁉」

 

魔人化した際の衝撃波に怯んだ隙に居合で大太刀をふたりまとめて一閃した。煙となって消える。また影分身かとため息をついた。白眼による遠視能力は失ったがチャクラの感知能力は格段に増していた。ふたりが遠ざかっていく。逃げ足は速い。あっという間に感知能力の外に遠ざかっていった。この一件を火影に報告するつもりだった。任務を終えて本部の火影室を蹴っ飛ばして開ける。火影は呑気に寝ていた。

 

ネジ「おい…起きろ。」

 

再び転生眼チャクラモードと魔人化を同時にした。衝撃波で窓ガラスが割れ書類が舞う。

 

綱手「むっ⁉ 何事だ⁉ お前は…日向ネジか⁉ 何だその姿は⁉」

 

ネジ「俺も成長しているということだ。俺を甘く見るな。その気になればお前如きいつでも殺せるぞ。今日、任務に行く途中でうちはイタチと干柿鬼鮫に会った。暁に勧誘された。影分身だったので呆気なく斬り伏せたが。どうする?このままでいいのか?噂では奴らの狙いは尾獣とかいう化物らしいぞ。俺が勧誘を断っていたから良かったものの、もし暁に入っていたらどうするつもりなんだ?この里程度滅ぼしてうずまきナルトの両腕両脚を斬り落として強引に連れていくなんて簡単に出来るぞ。砂隠れの我愛羅も同じようにな」

 

ノイズ混じりの声で目一杯脅したつもりだった。

 

綱手「今は何も起きてないから様子を見るしかないだろう。」

 

ネジ「前にも言ったが何かが起きたらどうするんだ?責任取れるのか?無能も程々にしておけよ。もう呆れてものも言えんが任務の報酬の取り分はもっと俺に多めに寄越せ。でなければこんな里に居続けるには割に合わん。」

 

綱手「お前だけ特別扱いするわけにはいかん。」

 

ネジ「その割にはうちはサスケには随分お優しいことだな。いつまで生かしておくつもりだ?やはり恋人の味が忘れられないか?」

 

綱手「……お前には関係のないことだ。」

 

ネジ「……お前何なんだ?本当にこの里の長か?もう付き合ってられん。勝手にしろ。」

 

チャクラモードと魔人化を解く。窓から飛び降りてさっさと家に帰った。多由也に会いたくて仕方なかった。

 

あんな一件があっても相変わらず報酬の高い任務は俺に回って来た。その度に誰かが死んだが考えるのは止めた。多由也との生活の貯蓄のことだけ考えた。家計は彼女に任せっ放しだったが金銭感覚はしっかりしていて決して贅沢なものや無駄遣いはしなかった。必要なものがあれば気にせず買っていいと伝えたが何かを買う時は必ず俺の許可を得ようとしていた。だから家のことは気にせず外にいる間は任務のことだけ考えていればよかった。今までは。だが未だに動かない里の上層部に俺のストレスは増していくばかりだった。それが家の中にも表れてしまった。

 

多由也「どうしたのネジ? 凄く怖い顔してるよ?」

 

ネジ「いや…何でもない、何でもないんだ。」

 

多由也「何でもないって表情じゃないよ。こういう時は恋人を頼ってほしいな。」

 

彼女が頬を染めながらそう告げる。お言葉に甘えて唇を重ねて舌を絡めた。俺の両手を掴んで自身のお尻に導く。

 

多由也「もっと恋人同士らしいことしたい、駄目?」

 

妖艶な笑みを浮かべた。俺は止まらなかった。この日初めて同じ布団で朝を迎えた。

 

目が覚めた。多由也はまだ眠っている。美しい裸体を眺める。これからもっと年齢を重ねて大人になって成熟した肉体と色気を身につけると思うと将来が楽しみでしょうがなかった。そっと着替えて外に出た。昨日の気分が嘘だったかのように気分は晴れやかだった。

 

今度こそ任務に集中した。相変わらず死体が増える日々を過ごした。人を殺すことにも死体を見るのも慣れた。感情が揺れることもなくなった。いつだったかバージルに言われたことを思い出す。『人の道に外れてまで力を得たいとは思うまい。』と。無関係の人間の犠牲の上に金を貰っている俺は人の道に外れていないのだろうか。だが生きるための手段として金は必要だ。いつの間にか俺の中にあったはずの罪悪感というものを失っていた。多由也に関すること以外は。半年が過ぎた。

 

暁による砂隠れ襲撃と我愛羅の誘拐拉致の報せが届いた。我愛羅救出の任務が与えられた。ため息をついた。第三班の皆には先に行くよう伝えて火影室の扉を蹴飛ばして開けた。

 

綱手「日向ネジ⁉ 任務は伝えているだろう⁉ さっさと行け⁉」

 

ネジ「忠告した通りの展開になったな。今頃我愛羅は死んで尾獣は何らかの方法で取り出されているだろう。それで…? どう責任を取るつもりだ? 今まで何をやっていたんだ?」

 

綱手「仕方ないだろう⁉ 砂隠れがこんなにあっさりと陥落するとは思わなかった⁉」

 

ネジ「仕方ないで済むか馬鹿野郎。俺の忠告散々無視した結果がこれか? 自業自得だろうが馬鹿野郎。」

 

綱手「今そんなこと言ってる場合か⁉ 任務を遂行しろ⁉」

 

ネジ「報酬はきっちりもらうぞ。ただ働きなんぞさせやがったら殺すぞ。覚えておけ。」

 

転生眼チャクラモードと魔人化して窓ガラスを破って高速飛行して第三班を追いかけた。追いついた。どうやら干柿鬼鮫と戦っているのだろうが本物ではないだろう。直感的にそう思った。急降下しての兜割りで始末した。死体が別人に変わる。生贄を使った分身の術の類だろうか。残るは…うちはイタチのチャクラを感知した。どうせ偽物だろうが始末することにした。上空真上まで移動した。ナルトやはたけカカシとの戦いに気を取られている。トリックダウンで背後に回り大太刀で薙ぎ払った。真っ二つに上半身と下半身に綺麗に分かれた。こっちも別人に変わった。見知らぬ老婆が砂隠れの者だと言った。残り2匹、大き目のチャクラの持ち主が潜んでいる。自然と白眼の能力が合わさる。白眼が転生眼に馴染んだのかその逆か不明だが岩山の中に確かに感じる。我愛羅は…死んだようだ。ということは一尾は奪われたということか。面倒なことになった。

 

ネジ「おい、我愛羅なら死んだようだぞ。」

 

ナルト「な⁉ 嘘だ⁉」

 

ネジ「本当だ、生体反応のひと欠片も無いぞ。」

 

ナルト「うるせえ⁉ 嘘つくんじゃねえ⁉」

 

殴りかかってくるナルトにため息をつきながら大太刀を斬り払い膝から下を斬り落とす。

 

ナルト「ぎゃあっ⁉」

 

ネジ「そういえば…お前もうちはサスケ殺すの邪魔したよな? 償え。」

 

太もものつけ根、腹の真ん中、胸、首、すかさず鼻の上を順番に斬り落とす。

 

カカシ「日向ネジくん…だっけ? どうしてこんなことするの?」

 

ネジ「九尾が治してくれるでしょ、どうせ。それに先に手を出してきたのはナルトですよ? そこを勘違いしないでもらえます? あと抜け忍のうちはサスケが大蛇丸の部下とコソコソ会ってた時に『もし里を抜けるなんて真似したら日向一族の名誉にかけて殺す。』って脅して見逃してやったのに里抜けしやがってその逃亡を手伝った罪を償ってもらいました。文句あります? あんたもナルトと同じようになりますか?」

 

カカシ「……。」

 

ネジ「俺は暁のもう2匹を追います。あんたは好きなだけここでモタモタしといてください。」

 

岩山の入り口らしきところまで来た。結界らしき札が貼られている。面倒なのでディープスティンガーで結界ごと岩山を削りとることにした。どうにか削り取った。と同時に4つの生体反応を確認。強引に突破したせいで仕掛けが一斉に作動したようだった。見知ったチャクラが4つ俺のところに向かってくる。丁度第三班の面子と同じだった。俺と同じ姿をした分身が現れる。どうやら転生眼チャクラモードと魔人化までは真似できなかったらしい。第三班が追い付いてきた。俺は俺の分の素の分身を始末して後は皆に任せた。中へ進む。

 

「お前が日向ネジか、イタチと鬼鮫が勧誘した気持ちがわかるな、うん。」

 

「ククク…面白い。今度こそ暁に入ってもらおうか。」

 

我愛羅は…横たわっている。死んでいるから当然だが。念のために取り戻すことにした。魔力で形成した腕を伸ばして奴を掴んで引き寄せる。すぐに入り口に向かってブン投げた。ナルトのやかましい声が聞こえる。

 

「ここは俺に任せろ。お前は行け。」

 

「サソリの旦那! 殺すなよ!」

 

異様な出で立ちをしたサソリと呼ばれた者の背から尖った尻尾の如く伸びてきて俺に向かってくる。ドライブで斬り裂いてオーバードライブでサソリの体を両断する。

 

ネジ「人形遊びは止めてさっさと出てこい。」

 

サソリ「やれやれ…せっかちな奴だ。」

 

俺と大して変わらない少年…と言っていいだろう男が姿を現す。そして1体の傀儡を口寄せする。

 

サソリ「ククク…さて…やるか。」

 

「あれは…三代目風影⁉」

 

老婆が驚いた様子で叫ぶ。すかさず八卦空掌の連打とドライブのおまけつきで傀儡をバラバラにする。

 

サソリ「くっ⁉ やるな…⁉」

 

ネジ「人形遊びは止めろと言ったはずだが聞いてたのか?」

 

サソリ「本当に久方振りだ……。自分を使うのはな。だがな…オレはこれで一国を落とした」

 

無数の傀儡と共に襲ってくる。いつだかバージルとの立ち合いで食らった超高速の連続斬撃。思い出す。やってみることにした。己にチャクラを集中させる。一気に開放する。バージルの精度には及ばないだろうが手数とチャクラ量でカバーした。サソリ諸共傀儡をひとつ残らず両断する。サソリは動かなくなったが傀儡のひとつがしぶとく動いて襲ってくる。生体反応のある胸付近に大太刀を突き刺す。

 

サソリ「……見事だ。ここまで強い奴に倒されたことを誇りに思うぞ…。褒美に良いことを教えてやる。草隠れの里にある天地橋に十日後の真昼に行け…。大蛇丸の部下にオレのスパイがいる…。そこでそいつと落ち合う…ことになってる…。」

 

サソリは今度こそ動かなくなった。確かに覚えた。我愛羅の死体が転がっている。転生眼チャクラモードを全開にして奴に触れてみた。死体にチャクラが通いやがて生命活動を始める。息を吹き返したのを確認して逃げたもう1匹を追った。すぐにナルトとカカシには追い付いた。

 

ネジ「まだ始末してねえのかよ。今までなにやってたんだよ。もう1匹は俺が殺したぞ。我愛羅も生き返らせた。」

 

ナルト「何⁉ 本当か⁉」

 

ネジ「俺の貴重なチャクラを分けてやった。ありがたく思え。それからもう1匹も俺が始末するぞ。」

 

前方に飛んでいる暁の者の鳥型の物体に狙いを定めた。両手を突き出してチャクラ砲を放つ。両翼が破壊され墜落する。奴は近くの地面に飛び降りた。生気はないが念のため空中でミラージュエッジを斬り払いチャクラの斬撃で両断した。爆発して消えた。どうやら敵は爆発物を生み出す能力者らしい。奴は…谷底にいた。今度こそ分身の類でないことを祈った。急降下して大太刀を脳天から股下まで真っすぐ突き立てた。敵の姿が歪に膨らみ始める、自爆だろうか。瞬時に大太刀を抜いてヘルオンアースをブチ込む。自爆する前に塵と化した。周囲には…反応はない、逃げられた。舌打ちして戻った。我愛羅は起き上がっていて砂隠れの者たちに囲まれていた。老婆に話しかけられた。

 

「我愛羅を救ってくれたこと、本当に感謝する。ありがとうよ。」

 

ネジ「報酬はきっちりもらうぞ。」

 

砂隠れに寄って報酬をたんまりもらった。これだけあればもう働かずに済みそうだが腕が鈍りそうなのでとりあえず木の葉に居続けることにした。家に帰って多由也に報酬を見せるとブッ倒れた。

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