「獲ったど~!!言ってみたかったんだよねこの台詞!いや~感動だわ~気持ちいいわ~」
僕、千寿 諒はとある県の山奥にいた。
というのも、年末にやってる黄○伝説の無人島生活を見てたらいてもたってもいられなくなって、僕もやりたいと思ったから本当にしてみることにしたんだ。
けど船はないから無人島は諦めて、誰もいないような山の奥の奥に来たんだけどね。
僕がここに来てからちょうど2日。
調味料とか僕のやる気とかかが切れてきたからそろそろ帰ろうと思う。
迷わないように川の上流のすぐ側にテントを立ててたから帰りはその川をまっすぐに下るだけだ。
だけなんだけど……
「なぜ川がない!?」
おかしい…おかしすぎる。
獲った魚を焼いて食べた後、夜は暗くて危ないから翌朝に出発しようと思ってたんだ。
そして朝起きると、テントの横にあるはずの川がない。
それによく見ると、木とか植物とかが見たことないようなものになっている。
あっ、そうかこれはあれか夢か。
痛みとか匂いとか感触とか考え事もできるかなりかなりリアルな夢を見ているんだな。
なら、対処法はただ1つ。
寝て、夢から覚めるしかないね。
「ということでおやすみなさ…ん?紙?」
『千寿 諒君。君の能力は、
・意識を集める程度の能力
・蘇る程度の能力 だよ。
今から人間が現れるまで結構時間があるからそのときに確認してね☆』
……うん、本当に早く寝てしまおう。
僕は自分でも気づかなかったけどかなり疲れているみたいだ。
僕にそんな能力はないとか程度って何だよとか「人間が現れるまで」って何だよ今人間いないのかよとかそもそもお前誰だよとかいろいろつっこみたいけど我慢して早く寝よう。
そして早く夢から覚めよう。
「おやすみ~」
…………何かが僕の隣にいるんですけど。
しかも鼻息荒いし血生臭いし。
これ、僕終了のお知らせ?
いや、まだ何もしてきてないから大丈夫だ。
多分、おそらく、メイビー。
僕を食べるつもりならもうとっくに食べてるはずだ。
けど、僕を食べずに体感的に5分以上何もせず動かないってことは、僕が起きるのを待ってるんじゃないの?
薄目を開けて見てみるけど、残念ながら逆光で人型をしているってことしか分からなかった。
……獣じゃなくて人なら僕はただ殺されるだけなのかな?
食べられるよりはましだけと死ぬのはどっちにせよやだなぁ。
いやでも、鼻息は何か獣っぽい気がするし……
うーん、どうしようかなぁ。
待ってても埒が明かないしここは僕から行動するべきかな。
しかたない、あと10分待ってこいつが立ち去らなかったから声をかけてみようかな。
カウントスタート!!
1,2,3,…
…598,599,600。
立ち去らなかったじゃん残念。
しかたない、声をかけてみようか。
「あのーすいません。私に何か御用ですか?」
「………………」
返事がない。
「えーと、言葉通じます?」
「………………」
返事がない。
ただのしかばねのようだ。
「あの」
「紙を、よく、読め。でないと、何も、できない」
「紙ですか、もう読みましたけど」
ようやく返ってきた返事はよく分からなかった。
ただ、声は何か言い表し難い、不気味な声だった。
「裏も、読め。それで、全てが、始まる。そして、終わる」
「はぁ、わかりました。えっと」
『今から君には痛みとか苦しみとかに慣れてもらうよ!修行ってやつだね。
君が今までに見たことも聞いたこともないような怪物や化け物たちが君を苦しめ殺すよ。何度も、何度も、何度もね。
君が苦痛に慣れて、能力についてマスターしたらこの修行は終わりだよ!
じゃ、またその時に連絡するね~☆』
……もう僕は嫌な予感しかしていなかった。
というかもうほとんど確信していた。
ずっと目を背けてきたけど、寝て、何かが入ってきたから起きたのに同じテントの中だったり血生臭かかったりした理由で、もう気づいていたんだ。
これは夢でも幻でもなく、現実なんだと。
自分で言うのもアレだけど、僕は諦めるのが早い人間だ。
勉強だって、部活だって、だいたいの事をすぐに諦めてきた。
僕には無理だ、と。
限界だ、と。
そんな僕だけど、決して人生だけは諦めなかった。
人生を諦めてしまったら、今まで僕がしてきたことや自分自身を否定してしまうと、怖かったから。
他人にどう思われようと、否定されようと、僕だけは、僕を認め続けようと、肯定し続けようと思ってるから。
僕が僕であること。
これだけは絶対に諦めたくないから。
もし、これがただの修行だったら僕はまたすぐに、いつものように諦めていただろう。
けど、これに僕の人生がかかっているとなれば話は別だ。
おそらく、あの紙に書いてあることは本当なのだろう。
なら、僕には蘇る程度の能力とやらがあるらしい。
それを使えば僕は自分を否定せずにいられるのだろう。
この体じゃない僕になってしまうが、中身は変わらない、以前と同じ僕でいられるのだろう。
人生を諦めずにいられるのだろう。
ならば、僕がすべき事は1つ。
さっさとこの修行を終わらせる。
たとえ何千年かかろうと。
たとえ何万回死のうと。
たとえ僕の姿形が変わろうと。
たとえ僕の考え方、価値観が変わろうと。
僕が、僕で、あるために。
僕はこれから、何度も苦しみ死ぬのだろう。
死にたいって、思ってしまうかもしれないだろう。
けどそれも、僕が僕であるためなら、自分を失わないためならきっと、我慢できるさ。
もう、覚悟は決まった。
「ほう、貴様、覚悟が、決まった、ようだな。中々に、芯が、強い、人間だ。
普通、こんな、状況に、なると、誰もが、状況を、理解できなかった。いや、理解しようと、しなかった。そして、殺され、続けたから、皆、精神が、崩壊し、生きながらに、死んでいた。だか、貴様は、この、状況を、理解した。受け入れた。こんな、事は、初めてだ。
貴様の、精神が、いつ、崩壊するか、実に、楽しみだ。」
「大絶賛ですね、ありがとう。けど、申し訳ないな。精神は崩壊しないから、楽しませてやれないわ。僕は自分をなくさないって決めたからな。
さぁ、修行を始めようか?お互いにとって楽しくない修行を!!」
こうして、僕の長い長い修行が始まった。
僕は寝転がって空を見ていた。
雲1つない、素晴らしい天気だ。
あれからどれだけの年月がたったのだろうか。
数える気が失せるほどだと思うけど。
自分の年齢くらいは知っておきたいなぁ。
まぁ数える手段がないんだから諦めるか。
あの修行は本当にきつかった。
いったい何回、何種類の殺され方をされたのだろうか。
アブノーマルな殺人者よろしく、絞殺、刺殺、格殺、毒殺、斬殺、圧殺、殴殺、扼殺、轢殺、抉殺、飢殺、撲殺、銃殺、爆殺に溺殺、病殺、焼殺、薬殺等々……
覚えてないけど、これの10倍くらいはあったきがする。
ただ、あいつが言ってた通り僕は、芯が強く自分をしっかり持ってたから幻術の類は通じなかったらしい。
……僕って本当に人間なのかな。
あんだけ殺されて、精神崩壊を起こすことなく自分を保ってられるってな。
まぁ僕は僕なんだから今さら自分の種族が人間じゃないって分かったところで、特に何もないんですけどね。
いや僕は自分が人間だと信じてますよ?
まぁ、こんなこともあってあの紙の通り、苦しみとか痛みとかを感じなくなった。
いや、意識したら分かるんだけどね。
辛くはないけど。
苦痛を感じないってのは面白いって知ってる?
本来、痛みとか疲れとかってのは体を守るためのものだけど、僕にはそれが必要ないから疲れを感じることなく全力で走り続けることができるのよ。
でも当然僕の体は人間なんだから限界は存在する。
限界がくると、いきなり足がもつれて、パタッて倒れてそのまま死んじゃうんだぜ。
まぁ疲れで死なずとも、化け物から人間が逃げられるわけがないんだから捕まって殺されるんだけどね。
それと、今言ったけど僕は体を守る必要がないから常に火事場の馬鹿力を出せるみたい。
これも、脳が体を守るために制限してるんだから当然かな。
まぁこれも、所詮人間の馬鹿力だから化け物の手抜きの力にも劣るんだけどね。
人間からみたら、僕は身体能力だけは素晴らしいと思う。
人間からみたら。
ここ、重要ね?
まぁそれは置いといて、超特大級の大問題があるんだ。
肉体的な苦痛には完璧に慣れたんだけど、精神的な苦痛……主に「孤独」の痛みはむしろひどくなっていった。
前の世界では、友達作りとかもほとんど諦めてきたから友達は少ししかいなかったんだけど、1人ではなかったから孤独ではなかったんだ。
いや、1人は好きですよ?
「1人」は好きだけど「1人ぼっち」であることが嫌いなんだ。
じゃなかったら、1人で山奥なんざ行きませんしね。
まぁそんなんで、僕はこの世界に来てから孤独になってしまった。
孤独ってのは、かなり、かなり辛い。
どんな事も自分1人で受け入れるしかなかったから。
苦痛を、恐怖を、悲しみを、共有することができないから。
まぁ、そんな存在がいたら同じ苦しみを味わわせていたと考えるとある意味1人でよかったと思う。
結果論だけどね。
あと、この孤独であった経験によって、今の僕の強さの理由の1つとなっている側面もあるんだけどね。
一概にも孤独が悪かったとは言い切れないのがなんとも。
まぁ辛かったんですけど。
とにかく、何が言いたいかっていうと、苦痛に慣れきってないからこの修行は終わらないかもしれないのね。
苦痛に慣れてない→修行が終わらない→孤独だからまた辛い→……
無限ループって恐くね?
でも最近、あの化け物ども見てないしなー。
終わる可能性がないわけじゃない状況なのが、せめてもの救いかなぁ。
しかし、何もない。
恐怖にも慣れたはずの僕が少しびびるほどに何もない。
これはあれか、嵐の前の静けさってやつか。
何でもいいから起きて、この「無」な状態から解放してほしいね。
……訂正、何でもはよくない。
修行の終わり告げられろ。
頼む。
わりとまじで。
すると、僕の願いが通じたのか空から紙が降ってきた。
きたでこれ!
いや待て、油断するな。
上げてから落とすのかもしれない。
もう経験済みじゃないか。
精神的にも、物理的にも。
『苦痛には慣れたみたいだね!よし、じゃあ私からの最終試験だよ!
今までで分かった自分の能力について、説明して。
正解だったら修行は終わりだよ~☆
不正解だったら……恐っろしい事が待ってるよぉ?』
……なんだよ何されるんだよ。
もう苦痛に慣れたはずの僕が恐ろしいと感じる事……?
うん、無くね?
精神的なそれか?
もう進行形で辛いんだけどなぁ~……
現時点で恐ろしいんだからそれは無いよね?
……無いよね?
というかこの……人?神様?いや邪神?は僕がまだ苦痛に慣れきっていないって知らな「いや、もちろん知ってるよ?でもこれはいいのです!私なりの優しさだよ?……あと邪神言うな」知ってましたかそうですか。
つか勝手に頭の中に入ってくるのやめてくれませんかね。
びっくりするだろうが。
まぁ見逃してくれるのは僕にとっても好都合だから素直に優しさに甘えるとしますかね。
苦い経験も山ほどあるけど。
さて、その最終試験とやらに臨みますかな。
見えないけど、そこにいることは分かってるしそこに話したらいいのかな?
やっぱりこれは便利だな。
これって能力なのかな?
あと、僕に幻術系は通じないんじゃ「うん、私のいる場所は分かってるでしょ?そこに話してね。うん、それは君が作った能力だよ。正解したら教えてあげるよ!あと、こんなことできるのは私だけだから安心してね?」そうですか。
……全く安心できねぇ。
この世界に来たのだってこの神様が原因なんだから。
あと、勝手に頭の中に(ry。
「えー、まず意識を集める程度の能力から。僕を中心に一定範囲……だいたい100㎞くらいかな?に存在する者の意識を集めることができる。幽霊とか無機物とかの『生きてないもの』には通じない。格上相手に使う時は、全身に痛みが走る。もう痛くないけど。どう?」
「正解だよ!じゃあ次!」
「えっと、じゃあ蘇る程度の能力について。僕が動けなくされた時……死亡、封印、拘束とかかな?に僕を中心とするだいたい30mくらいの範囲内で蘇ることができる。死体が蘇るんじゃなくて、新しい体で発生する。だから死体は消えない。あと、蘇る時は死んだ時の服装、持ち物で蘇る。生きた者を持って蘇ってもそるは複製されない。蘇る時の年齢は僕が今までになったことがある年齢なら変更可能。どうじゃ!」
「パーフェクト!完璧だよ!1ついいことを教えてあげるよ!人間に会ったら、人間にのみ使える効果や、使えるようになる効果があるよ!楽しみにしててね!じゃあこれで、修行は終わりだよ~!ここから南にまっすぐ行ったら人間がいるよ!じゃあね~♪」
「ちょっと待って!質問したいことがあるんだ!」
「ごめんごめん忘れてたよ!それは君の能力の副産物みたいなものだよ!そうだね、『視線を感知する程度の能力』と名付けよう♪自分で新しい能力を作っちゃうって凄いね!見直したよ!あと、君は今1億年ほど生きてるよ!じゃ、今度こそじゃあね~☆」
だから勝手に人の思考読まないでくれませんかね。
そうか、僕は1億年も生きてきたのか。
まぁ何億回も死んでるんですけどね。
そりゃ痛みとか慣れるはずだわ。
まだ慣れてないのがあるけど。
つかあいつ僕の質問分かってるのに「何者だ」っていう質問は無視したな。
さすが、神様!
汚い!超汚い!
……返事なしっと。
視線もないし、帰ったみたいだね。
煽るだけ無駄か。
まぁ、そのことは置いといて人間がいるらしいじゃん!
長かったなぁ。
これでようやく孤独ともおさらばできるのかな?
……言葉通じるかな?
うん、知らん。
行ってから考えよう。
「さぁ参ろうか、南へ!!!」
僕は南へ向かって全力で走り出した。
あれ?私「まぁ」使いすぎじゃね?
まぁこれが私の口癖だからしかたない実にしかたない。