東方意識集   作:ポン酢@

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いよいよ原作キャラが出てきます。
キャラ崩壊は許してくだせぁ。





第2話:都市へ

 

 

 僕が南へ走りだして、数時間がたっただろうか。

 ここで、改めて思った事がある。

 蘇る程度の能力まじ便利。

 走って限界→死んで蘇って全快で何時間も全力疾走できるから速い速い。

 まぁもともと、速度も体力もかなり優れてるんですけどね。

 しかも体質で疲れも痛みも感じないし、孤独が終わると考えると心は軽く、足も軽い。

 こんなにテンション上がったの、この世界に来てから初めてなんじゃないかな?

 最高にハイってやつだ!!

 まぁこんなに遠いと、流石にうんざりしてきますがね。

 

 ともかく、走りだして数時間。

 ようやく目的地が見えてきた。

 見えてきたけど……

 えっと、今って前の世界よりも過去なんだよね?

「人間が現れるまで」って書いてあったし、人間が現れたばっかりの今は少なくとも縄文時代とかそれくらいなんだよね?

 でもなんで、前の世界並に発達してるんですかねぇ。

 いや、都市だけ見たら、だよ?

 そこ以外は、森とか平原とかばっかだから全体的には前の世界の方が発達してるんだよ?

 見えてきた都市は、かなりかなり高いビルが建ってるし、大きな大きな壁に囲まれてるから場違い感が半端ないです。

 今からあそこに行くんですね。

 予想のはるか上をいく光景ですよ。

 こうなに、小さな集落みたいなのを想像してました。

  まぁ、あの壁は近づいたら増えてきたこの化け物対策だと思うけどね。

 

 しかし、何なのこいつら?

 修行中の人型のやつらの強さを100とすると、こいつら獣型やら蜘蛛型やら百足型やらは5くらいしかないよ?

 え?

 弱すぎじゃね?

 それとも逆に、あいつらが強すぎるの?

 これが普通なの?

 まぁ人間を狩る側の存在だから、人間よりは強いんですけどね。

 さっきから手足とか頭とかモグモグされてるし。

 個体によっては速度だけは勝てる相手もいるんだけどね。

 しかし、抵抗する必要がないって素晴らしい。

 やっぱり、蘇る程度の能力まじ便利。

 

 でも、面倒な事になったなぁ。

 こいつら引き連れたまま、都市に行く訳にもいかんよなぁ。

 こいつらを追っ払うしかないんだけど、僕にそんな力はないんで、あの方法しかないよなぁ。

 僕を十分食べて、満足してから帰ってもらうしかないな。

 殺戮がしたいだけのやつがいないことを祈ります。

 今からどれだけ時間かかるんだろ……

 テンション下がるなぁ……

 

 まぁこのまま行ったら間違いなく100%敵扱いされるからここは我慢だ我慢。

 何かをしたい時は何かを我慢しなくてはならないものなのである。

 

 さぁ毎度お馴染み我慢の時間だ。

 痛みのではないよ?

 今回は。

 

 

 

 

 

 

 

 よし、ほとんどいなくなったな。

 もう少しいるけど、こいつらは行ってる途中で満足して帰ってくれるだろう。

 他のやつはちゃんと帰ってくれたし。

 計画通り。

 

 しかし、あいつらバカなの?

 同じ人間の姿で、怯えもせず、逃げもせず、その場から動かないような人間なのに何も疑わず、何も考えずに襲ってきたみたいだけど。

 あいつらには思考がないのかな?

 多分そうなんだろう。

 いや食欲が勝ったのか。

 まぁどっちでもいいや。

 特に興味ありませんし。

 今はそれどころじゃありませんし。

 

 

 さて、行きますか。

 目的地はもう目の前だ。

 見知らぬ者を、壁の外にいた身元不明な者を受け入れてくれると、そう信じて。

 受け入れられずとも、拒絶されないと、そう信じて。

 さぁ行こう。

 千寿諒の人生第3章、開幕だ。

 

「早く走りなさい!後ろから妖怪が来てるわ!!早く走って!」

 

 ん?誰の声だ?

 どうやら僕に警告してくれてるみたいだ。

 つか自分以外の人語を久しぶりに聞いたな……

 視線の質が今まで感知してきたものと全く違うからこの者は化け物……妖怪って言ってたか?とは違う、人間なんだと思う。

 少なくとも、僕を食べたいとか、殺したいとか、そんな命を狙ってくる者じゃないことは確かだ。

 というか、もう見えたしね。

 白衣を着て、その下に変わった服を着て、弓を持っている女性が。

 

 あの神様が言ってた事の1つが分かったよ。

 僕の「視線を感知する程度の能力」は、ただ自分に向けられてる視線を感知するだけでなく、ある程度の質も分かるみたいだね。

 化け物……僕も妖怪と呼ぼうか、妖怪は食欲の塊みたいな質だったからな。

 なんか、こう、べっとりとした感じ。

 

 おっと、無視はいけない返事しなくては。

 無視されるのは、辛いもんな。

 まぁ、この場合は違うだろうけど。

 

「あー大丈夫ですよ。僕は死なないので。いや、死にますけど、蘇れるので。無視してたらそのうちどっか行きますから」

 

「何馬鹿な事言ってるの!確かにたちは寿命はないけれど、死んだら死ぬのよ!だから早く私の後ろに来て!」

 

「ならその弓で仕留めて下さい。僕が囮になるので」

 

「ッ!分かったわ!絶対に死なせないから死なないでね!」

 

「いやだからですね……まぁいいか」

 

 おっと、数体が僕から彼女へと意識を移したな。

 僕へ意識を集めさせて……よし、完璧。

 ちゃんとこいつらにも聞いてくれるみたいだね。

 よかったよかった。

 あと、やっぱりこいつら格下じゃん。

 能力使っても痛くないし。

 まぁ僕は格下にすら負けてしまうんですけどね。

 あれ?

 格下ってなんだろう?

 僕はどういう基準で格下と格上を判断してるんだろう?

 強さ?生きた年月?

 強さなら妖怪は全員格上だろうし、生きた年月なら全員格下だろうし……

 わっかんねぇなぁ……

 あの時聞かれなくてよかったぁ……

 多分分かってたと思うけどね。

 ありがとう神様。

 

 死なないで、って彼女は言ってたけど、ここで走り回ったら狙いづらいよな。

 死ぬ事になるけど狙いやすくなるだろうし、ここはじっと動かないのが一番だろう。

 お説教なら、後で喜んでうけるさ。

 人間と会話できるなら、どんな事だって嬉しいし。

 いや、どんな事でもではないね。

 つか、寿命がないってどういうこと?

 人間じゃないの?

 この僕が言うのもアレだけどさ。

 でも、一応僕に寿命はあるよ?

 ただ蘇るだけで。

 まぁ寿命で死んだ事って少ししかないんだけどさ。

 

 妖怪が襲いかかってきた。

 けど僕はその場から動かない。

 彼女が何か言ってるけど、ここは無視だ。

 ごめんなさい……

 でもこっちの方が効率いいですし。

 動かなくていいから楽ですし。

 彼女も狙いやすいですし。

 一石二鳥な、二兎追う者二兎を得る完全無欠な作戦やでぇ。

 いや、この場合は三兎かな?

 

 

 早くも一体から断末魔が聞こえてきた。

 けど、妖怪は数十体いる。

 いかに彼女が弓の名手でも、この数相手じゃ厳しいだろう。

 それに、ここで誤算……というか当たり前の事なんだけど気づかなかった事が起きた。

 何で気づかなかったんだろう……

 

 断末魔を聞いて、妖怪が集まってきてる。

 視線を、感じる。

 それも中々の数だ。

 

 この数相手に矢が足りるかどうか。

 彼女もそれは分かっているようで、妖怪の急所に的確に、最小限の本数で仕留めていっている。

 けど、足りないと思う。

 

 ……しかたない。

 都市に行くのは、もう少し後にしよう。

 今はこいつらを何とかしなくては。

 少し前のと同じ方法で帰ってもらおう。

 これには時間がかかるし、ちょっと人には見せられない光景になるから、彼女には先に帰ってもらおう。

 正直、少し邪魔になるからね。

 

「聞こえますか?今、妖怪が結構集まってきてます。見て分かったと思いますが、僕は死んでも蘇るから、死なないんです。だから大丈夫です。むしろ、今あなたが殺すとその声を聞いて集まってくるからあなたがいない方が早く終わります。だから帰ってくれませんか?今日、明日には都市に行けると思うので」

 

 やべ、少し強く言い過ぎたかな?

 いやでも、彼女はさっきのやりとりから推測するに、なかなか強情な人だと思うからこれくらいがちょうどいいのかもしれん。

 でも、ごめんなさいね。

 

「確かに、この数相手じゃ矢が足りないわ。でも私にはまだこれがある!私特製の剣よ!これなら断末魔すらあげさせず仕留めることができるわ!」

 

「いやだめです。今はまだこの程度の数しかいませんけど、今からもっと増える。そいつらも意識は僕へ向けるからあなたが襲われる事はないけど、万が一がありえます。払った手足に当たるとか。あなたは見たところ人間なんだからそれでも十分致命傷となります。ここからちょうど壁の方向には妖怪はいないんで、そこから早く帰ってください!」

 

 ……今この状況、かなりカオスだな。

 僕と彼女の間には妖怪の壁があって、僕は死に蘇りながら、彼女は矢を射ちながら会話してる。

 よくお互い、会話を成立させてるよ。

 

 それしても、僕はテンション上がりすぎでしょ。

 こんな状況なのに口数がすごいすごい。

 久しぶりの人間との会話なんだ、しかたないね。

 まぁ彼女を説得するための言葉ばっかりだけど。

 あぁ、普通の会話がしたい……

 笑い合いたいなぁ……

 

「あなた、私を舐めてるの?こんな妖怪の攻撃、当たらないわ!」

 

「攻撃なら当たらないのかもしれないけど、これは意識した攻撃じゃなく、無意識の行動なんです!予測できないから、危ないんです!だから早く帰ってください!」

 

「くっ!ならあの壁の所まで走れる!?ちょうどその道に妖怪はいないって言ったわね!あの壁にある兵器なら、簡単に、殲滅することができるわ!」

 

「それだと、僕が妖怪の仲間だと思われるかもしれないじゃないですか。僕の目的は、都市に行って平穏に暮らすこと。孤独じゃ、なくなること。それが出来ないのなら、都市に行く意味がないんです。だから、落ち着いてから行きます」

 

 今の人間達は武器を使うとはいえ、この数を圧倒できるらしい。

 すごいね。

 少し、人間を舐めすぎていたかな?

 

「もし、ここに残るなら私が帰ったあとあることないこと言いふらすわよ?今から来る人間は実は妖怪の仲間だから壁の中に入れると危ない~とか」

 

「……そんな話、誰も信じませんよ。たかが1人騒いだところで、何も変わりませんよ」

 

「自慢ではないけれど、私は都市でかなり上位の地位にいるの。そんな人の言葉なんだから適当に説明をでっち上げれば、みんな信じてくれるわ」

 

「いや、でも」

 

「ああもう、しつこいわね!私について来たら都市で暮らせるようにしてあげる。私について来なければ、都市で暮らせないようにするわ!」

 

「脅迫じゃないですか、それ。はぁ、そんなにこの方法が嫌ですか。誰も疲れず、誰も傷つかず、何も消費しない、最高の方法なのに」

 

「あなたが傷つくじゃない」

 

「こんなのもう慣れてますよ。今さら傷つくようなことじゃないです」

 

「……そう。じゃあ行くわよ」

 

「いや、先に行って用意してきてもらえますか?何か合図をくれたら後から行きますから」

 

「何言ってるの。一緒に行くわよ。いつでも準備はできてるから問題ないわ」

 

「いや、多分僕の方が足速いので、妖怪の群れに飲み込まれるかもしれないんですよ」

 

「だから、私を舐めてるのかしら?おそらくあなたは、蘇るから体を守る必要がなく、力に制限がかからないーとかでしょうけど、霊力を使わない人間の限界速度は霊力を使った人間の速度と同じというデータがあるわ。だから大丈夫」

 

「じゃあ僕も霊力を使って……」

 

「残念ながらあなたに使えるほどの霊力はないわ。それに、仮にあったとしてもすぐに使えるようなものではないわ」

 

「まじですか……まぁ分かりました。じゃあ行きます……よっと!」

 

 蘇る時に範囲ギリギリに蘇り、妖怪の壁を越えて僕は走り出す。

 すると、すぐ横に彼女も走ってきた。

 ……本当に同じ速度じゃないですかやだー。

 人間の中では優秀だと思ってたのに違ったじゃないか。

 

 別にいいですしー死にませんしー。

 ここだけは人間だけじゃなく妖怪にも負けませんしー。

 別に悲しくなんてない。

 ないったらない。

 悔しいけど。

 

 つかなんでこの人僕の速さの理由分かったの?

 説明してないよね?

 上位の地位にいるって言ってたし、賢い人なのかな?

 だとしても、鋭すぎるでしょうよ。

 それともエスパー?能力?

 なんにせよ、すごい。うん。

 

 まぁ多分、この速度なら追い付かれることもないだろう。

 幸い、群れていた妖怪は足が遅いやつばっかりだったし。

 それに、僕が全力疾走すると出る死体(自分)である程度の時間稼ぎはできるし。

 

 

 さぁいよいよ壁が近くなってきた。

 本当に大きいな、これ。

 50mはあるんじゃないの?

 こんなにしなくても、絶対突破できないでしょ。

 それとも、こんなにする必要があるくらいの化け物妖怪がいるのかな?

 意味被ってる気がするけど。

 

 ともかく、これからどうするのかと彼女を見てみると、

 

「司令塔!今、妖怪の群れに追われてるの!北門に向かってるからそこで撃退してくれないかしら!?もうすぐ着くから準備して早く!」

 

『了解しました。少し待ってください。……今、あなた方を確認しました。妖怪との距離が十分にあるので門を開きます。そこに入ってください。後はおまかせください』

 

「了解ありがとう!だ、そうよ!さぁもう少し頑張って!」

 

「もちろんです、まだまだ行けますよ!」

 

 

 しばらくして、僕たちは無事門の中に入ることができた。

 門が閉まった直後、壁の外からすごい音が聞こえてきた。

 多分、片付けてくれたのだろう。

 まじ、感謝です。

 もちろん、一番は彼女ですけどね。

 

 

 

 

 

 しかし、後になって僕はこの事をかなり悔やむことになる。

 彼女を無理やりでもいいから先に帰らせておくべきだったと。

 例え自分が都市で暮らせないことになろうとも。

 例え自分が孤独から解放されずとも。

 この事のせいで……あんな思いをさせてしまうのだから。

 あんな思いを、してしまうのだから。

 

 

 






あれ……?
なんでこんだけしか進んでないの……?
予定では2話で都市の半分くらいを終わらせるつもりだったのに……
まぁいいか。
気にしない気にしない。

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