(本編完結)『スローモーションの怪盗譚(ルパン・クロノス)』   作:微糖コーヒー

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番外編⑮:三人の答え(トリニティ・コード)

 

 

 夜の海上要塞。

 

 黒いシルエットが、波に浮かんでいる。

 

「今回の相手は“全部入り”だ」

 

 ルパン三世が言う。

 

「時間、記憶、存在――全部まとめて管理する装置」

 

「また厄介なの来たな」

 

 俺――クロガネ・ユウはため息をつく。

 

「名前は“トリニティ・コア”」

 

「三つね」

 

 峰不二子が静かに言う。

 

「ちょうどいいじゃない」

 

「ただし」

 

 ルパンが指を立てる。

 

「今回は単独じゃ無理だ」

 

「珍しいな」

 

「三人同時じゃないと起動しねぇ」

 

「……なるほど」

 

 俺は頷く。

 

「だから“三人”か」

 

 沈黙。

 

 でも、前みたいな迷いはない。

 

「行くか」

 

 俺が言う。

 

「当然」

 

 不二子が答える。

 

「決まりだな」

 

 ルパンが笑う。

 

 侵入。

 

 警備は異常。

 

 センサー、トラップ、全部が複雑に絡んでいる。

 

「右、三秒後に閉じる!」

 

「了解!」

 

 俺がズレてルートを読む。

 

 ルパンが最短で抜ける。

 

 不二子がロックを外す。

 

 完璧な連携。

 

 誰も迷わない。

 

「いいねぇ」

 

 ルパンが笑う。

 

「やっと“形”になってきた」

 

「最初からできてたろ」

 

「違う」

 

 少しだけ真面目な声。

 

「今は“噛み合ってる”」

 

 最深部。

 

 中央に、トリニティ・コア。

 

 三つのスロット。

 

「配置につけ」

 

 ルパンが言う。

 

 俺、不二子、ルパン。

 

 三方向。

 

「同時だ」

 

「分かってる」

 

「ミスるなよ」

 

 手を伸ばす。

 

 その瞬間。

 

 警報。

 

 敵の起動。

 

 空間が歪む。

 

「来た!」

 

 時間が乱れる。

 

 記憶が削れる。

 

 存在が揺れる。

 

「ユウ!」

 

「任せろ!」

 

 俺はズレる。

 

 時間の崩壊を抑える。

 

「不二子!」

 

「分かってる!」

 

 彼女が制御を書き換える。

 

 記憶の流れを繋ぐ。

 

「ルパン!」

 

「任せろ!」

 

 ルパンが飛び込む。

 

 核心へ一直線。

 

 無駄ゼロ。

 

 三人が、それぞれの役割を果たす。

 

「今だ!」

 

 ルパンが叫ぶ。

 

 三人同時に、キーを差し込む。

 

 光。

 

 爆発。

 

 そして――

 

 静寂。

 

 システム停止。

 

 成功。

 

「……やったな」

 

 俺が息を吐く。

 

「当然よ」

 

 不二子が笑う。

 

「決まってた」

 

 ルパンが言う。

 

 その瞬間。

 

 コアが不安定に揺れる。

 

「まだだ!」

 

 俺が叫ぶ。

 

「制御が崩れる!」

 

「どうする!?」

 

「三人で押さえるしかない!」

 

 同時に動く。

 

 俺が時間を固定。

 

 不二子が情報を安定。

 

 ルパンが核心をロック。

 

「……持て……!」

 

 ギリギリ。

 

 限界。

 

 そして。

 

 完全停止。

 

 静寂。

 

「……終わったか」

 

「終わったな」

 

「疲れたわ」

 

 数秒。

 

 誰も動かない。

 

「なぁ」

 

 ルパンが言う。

 

「これが答えだな」

 

「何の」

 

「三人でやるってやつの」

 

 俺は少し考えて。

 

 頷く。

 

「悪くない」

 

「悪くないどころじゃないわ」

 

 不二子が言う。

 

「これが一番よ」

 

 ルパンが笑う。

 

「だろ?」

 

 夜風が吹く。

 

 さっきまでの緊張が、全部流れていく。

 

「結局さ」

 

 俺が言う。

 

「選ぶとかじゃなかったな」

 

「そうね」

 

 不二子が頷く。

 

「全部持ってけばいいのよ」

 

「それがルパンだろ?」

 

「それが俺たちだ」

 

 ルパンが笑う。

 

 その瞬間。

 

 三人の距離が、ぴたりと揃う。

 

 もう、競い合いでもない。

 

 奪い合いでもない。

 

 “並んでる”。

 

 それが、一番しっくりくる。

 

 こうして。

 

 転生者、怪盗、女盗賊。

 

 三人の関係は――

 

 ようやく、一つの形に辿り着いた。

 

 それは恋でも、勝敗でもない。

 

 ただの――

 

 “最高のチーム”だ。

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