リゼロEx ナツキ・ぺトラ   作:[email protected]

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 王選の終了の五年後を舞台に、25歳のスバルと20歳のペトラの新婚生活を描いたIFです
 
 基本的にスバルとペトラのイチャイチャを書いてるだけの作品なんで、王選の勝者は誰なのかやエミリアはどこに行ったのかはポカしてます。
 あんまり細かい事を気にせずに楽しんでいただけると幸いです。


第1話 私の星

――その日の事を、私は一生忘れない。

 

「スバル、私はあなたの事が好き。愛してる」

 

――死ぬまで。ううん、死んで魂だけになって、オド・ラグナに昇っても忘れない。

 

「スバル、私をあなたのお嫁さんにしてください」

 

 

「ふう、今日の畑仕事完了」

 スバルは額の労働の汗をぬぐった。ナツキ家の畑はさして大きくない――そもそも小村のアーラム村に、そこまで広大な畑はない――が、それでも一人でやるとなれば重労働だ。

「まさか王選の間に鍛えた体が、今もこんな形で役に立つとは。人生、何が幸いするかわからないもんだ」

 スバルは王選の間、エミリアの一の騎士として相応の鍛錬を積んだし、多くの修羅場を経験した。それが今は畑仕事の役に立っているのだから、人生はわからない。

「わからないというなら、ベティーはスバルがペトラを選んだのが意外だったのよ」

 そう口にしたのはスバルの畑仕事を見守り、労いの言葉をかけに現れたベアトリスだった。

 かつては領主のお膝元だったにも関わらず、小村であるアーラム村にまったく不似合いな赤い豪奢なドレス姿の金髪ツインテールの永遠の美幼女。その正体はスバルと契約した人工精霊である。

「それにスバルはまがりなりにも正規の騎士だったのに、わざわざ騎士を引退して、この村で畑仕事をする日々を選んだのも驚いたかしら」

「うん、実はそこは俺も結構悩んだんだけどな。嫁さんと話し合って、この村を守りながら静かに暮らす事にしたんだ。まあ、静かにって言っても、この村のガキどもは世代が変わっても騒がしいけどな」

 スバルは8年前、この村に初めて訪れた頃にそうだったように、今も新しい世代の村の子供たちにからまれては一緒に遊んでくれとせかされる身だ。 

「メイーナの弟は、大人しい性格のお姉ちゃんとは対照的に、明るくて元気な子に育ったよな。お、俺とペトラの間に子供ができたら、あんな風に元気に育ってくれるかな?」

「知らんかしら。当人に言えばいいのよ」

 唐突に惚気てきた契約者に、ベアトリスは呆れたようだった。

「あら。今、私の話をしてましたか?」」

 と、雑談してる二人に明るい声がかかった。

 スバルの新婚ほやほやの愛妻である村一番の美女ペトラだった。長く伸ばした赤色交じりの茶髪を昔から愛用している赤いリボンで一つにまとめてる。

 口調は淑やかになったが、その表情と声には昔と変わらぬ素直さと明るさがあった。

「はい、あなた。お水とタオルを用意しておきました」

 ペトラは水の入った水筒とタオルを手渡した。タオルの方は水で湿らせてあり、冷たくて気持ちよかった。

「おお、ありがてえ! 流石は俺の嫁さん、気が利くぜ」

「はい。私は世界一の旦那様の素敵なお嫁さんですから!」 

 ペトラはそう応えて、自慢げに、すっかり大きくなった胸を張った。 

 

「あなた。オットーさんがこの間のドレス、王都で好評で、高く買ってもらえたと言っていましたよ。追加の品を早急に作ってほしいと」

「マジか。俺とペトラの愛の合作は見事に王都の人たちのハートをキャッチしたってわけか」

 ペトラは昔から綺麗な服を作る仕事に憧れていた。いつか王都にお店を持ちたいと夢見ていた。その夢は半分は潰えたが、残り半分は叶った。

 この村でスバルと共に仕立てた服を、スバルの親友である行商人のオットーが王都でのツテで、王都の服屋に買い取ってもらっているのだ。むろん、仲介手数料として、オットーにも買取価格のいくらかが懐に入る。友情価格でだいぶサービスしてもらってるが。

「あいつ、王選の間も王都のあっちこっちにツテを作ってたからな。我がユージンながら侮れない奴だぜ」

 スバルは、人の好さそうな顔で――実際にお人好しな面もあるが――、同時に抜け目ない商人でもある親友を、やや腹黒っぽいイメージ映像で思い浮かべた。

ちなみに服の材料である高価な布や飾りなどのアレコレもオットーから友達価格で仕入れているので、本人が知ったら「腹黒みたいに言われるのは心外なんですけどねえ!」と抗議の声を上げるだろう。

「ていうか、オットーの奴、村に来たのなら顔を見せていけばいいのに。水臭い野郎だぜ」

「うん。オットーさん、うちでお茶を飲みながら休憩してるよ。あなたの顔を見たら広場でお仕事していくって」

「ちゃっかりしてるな!」

 スバルはこの場にいない親友にツッコミを入れた。

 

「あとメィリィちゃんからもお手紙が来てたよ」

 ペトラの親友であるメィリィは現在は水門都市で、赤ん坊の頃から長い間、生き別れだった父親と共に暮らしている。

「スバルにもよろしくって。今の自分があるのはスバルのおかげだからって」

「んな大袈裟な。俺の方こそメィリィには助けられてばっかりだったんだけどな」

「その評価は流石にお人好しすぎるのよ。スバルはあの娘に殺されかけた過去をコロっと忘れてないかしら?」

 それまではベアトリスなりに気を遣って、夫婦の会話に口を挟まなかったが、流石に指摘せずにいられなかったようだ。

「あ~、スバルって昔からそういうところがあるよね。人に助けられたり優しくされた事はずっと覚えてるのに、自分が人を助けたり、優しくしたり、酷い目に遭わされた事はすぐに忘れちゃうんだから」

 と、オットーにメィリィと昔馴染みの話題が続いたためか、すっかり少女の頃の口調に戻ったペトラがそう指摘して、愛する夫を、珍しく不満そうに睨んだ。

「どうせ私を助けてくれたり、優しい言葉をかけてくれたのも、スバルにとっては小さな思い出なんでしょう? 私がどれだけ嬉しかったかや感動したかを少しも考えてなかったんじゃないの?」

「う……」

「図星なのよ」

 返す言葉の無いスバルに、ベアトリスも呆れ顔だった。

 ペトラはしばらくの間、不満げに頬を膨らませて夫を睨んでいたが、やがて諦めたようにため息をついた。

「でも、そんなスバルだからメィリィちゃんを救えたんだよね。ガーフさんもスピカちゃんも帝国の人たちも」

 そして真っ直ぐにスバルの顔を覗き込んで、

「だから私はスバルをすごいって言い続けるよ。スバルが自分は大したことをしてないって思ってても、私はスバルがすごくて、格好良くて、素敵な人だって知ってるんだから」

「……ペトラ」

「私の大事な親友を救ってくれて、ありがとう。大好きだよ、スバル」

 ペトラは村一番の愛らしい顔に満面の笑顔を浮かべた。

 

「さあ、そろそろ帰りましょう。あんまり待たせると、オットーさんの足に根っこが生えちゃうかもしれないし」

「んなアホな。まあ、確かにオットーの緑色の服は植物っぽいイメージがあるけどな」

「虫に好かれやすいのも、ある意味で植物っぽいのよ」

 と、三人は家への帰路でも、この場にいないオットーを弄り倒した。

 スバルは左手でベアトリスの手を繋ぎ、右腕にはペトラが抱きついている。端から観たら親子に見えるかもしれない

「まあ、親子にしてはベア子には髪の色から何まで俺とペトラの要素が無さすぎだけどな」

「そもそもベティーは一番の年上かしら。敬いが足りないのよ」

 と、四百年以上生きてる大精霊さまは契約者と手を繋いだまま拗ねたように言う。

「見た目はずっと小さいままだけどね」 

「ペトラ。スバルの妻だからって、あんまりベティーに不敬な態度を取るんじゃないかしら」

「まあまあ、落ち着けベア子」

 と、ベアトリスを宥めるスバル。妻にも契約精霊にも甘い彼は二重の意味で尻に敷かれていた。

「フフッ。でも私はずっと可愛いいべアトリスちゃんが好きだよ。ベアトリスちゃん、私とスバルの子供ができたら一緒に遊んでくれる?」

「なんでベティーが……。まあ、スバルとペトラがどうしてもと頼むなら考えなくもないかしら」

「ありがとう、ベアトリスちゃん」

 と、ペトラは視線をスバルの方に向け、

「私、頑張ってメイーナの弟に負けない元気な子供を産むからね」

「やっぱり、さっきの話を聞いてたのか」

 気恥ずかしくなって目をそらすスバルの腕に、ペトラは自分の胸を押し付ける。

 今やペトラの胸のサイズは彼女が憧れたフレデリカ姉様に匹敵する立派な巨乳だった。

「本当に大きくなったよな」

「うん? それって背丈の話? そ・れ・と・も?」

 と、イタズラっぽく笑う小悪魔系の新妻。

「まあ、どっちも大きくなったのはスバルの事をずっと好きだった成果だと思うけどね。私はスバルに相応しい女性になりたいって、ずっと想い続けてたから」

「ペトラ……」

「あ、でも、こっちが大きくなったのは毎晩スバルがたくさん可愛がってくれたおかげもあるかも」

 と、再び胸を押し付けながらの愛妻の言葉に、スバルは思わず顔を真っ赤にした。

「お、お前、ベア子の前でなんつー事を……」

「えー、でもベアトリスちゃんは私たちが夜中に愛し合ってるのを盗み聞いてるんでしょ? 今更じゃない?」

「盗み聞いちゃいないかしら! 人聞きが悪いのよ!」

 ベアトリスは顔を真っ赤にして抗議した。

「確かに最初はニンゲンの夫婦が『あんな事』をするなんて知らなくて驚いたけど、今はちゃんと空気を読んで、朝になるまでスバルの抱っこも我慢して一人で寝てるかしら」

「あは、ごめん、ごめん。でも一人で寝るのは寂しいだろうし、私のお父さんとお母さんと一緒に寝たらいいよ。お父さんとお母さんも喜ぶと思うし」

「お前の両親は『ああいう事』をしてないかしら?」

「うん。お父さんとお母さんは、もう年だし……」

 実はベアトリスはスバルとペトラが結婚するまで夫婦の夜の営みを知らなかった。精霊だし、四百年間も引きこもりだったし、禁書庫には性教育の本は置いてなかったらしい。

「そういう意味じゃ、ベア子の性知識はエミリアたんと同レベルだったんだよな。ベア子の方は見た目通りだけどさ」

「失礼かしら。さすがにチューで子供ができるとは思ってなかったのよ」

 ぷくーと頬を膨らませる大精霊さま。

「……スバルってさ」

「うん?」

「今でもエミリア様の事が好きなんだよね?」

「ぶっ」

 唐突に思えるペトラの問いに、スバルは思わず噴き出した。

「ペトラ、急になにを……? まさか新婚早々に浮気を疑われてるのか?」

 焦るスバルに、ペトラは優しく首を横に振った。

「ううん、そうじゃないよ。エミリア様は……エミリアお姉ちゃんは本当に綺麗で優しくて勇敢で素敵な人だった。スバルが好きになったのも、今でも好きなのも当然だと思う」

 昔を懐かしむように空に向かって微笑んでから、ペトラはスバルの顔を真っ直ぐに見つめた。

「でもスバルは、そんな素敵な人よりも私を選んでくれた。それを誇りに思うの」

「ペトラ……」

「愛してるよ、スバル」

 誇らしげに、幸せそうに、ぺトラは微笑んだ。

 

「そういえばスバルの名前って、スバルの故郷のお星さまの名前から取ったんだよね?」

「ああ。よく覚えてたな」

「忘れないよ。スバルが話してくれた事だもの」

 王選が行われていた頃、今から7年前に、スバルは、自分は大瀑布の向こうから来た、スバルという名前は大瀑布の向こう側にある故郷の星の名前が由来なんだ、と教えてくれた。

 当時のペトラは半信半疑で、もしかして冗談だったのかな、と思い悩んだ。

 でも今なら信じられる。だってスバルはそのくらい不思議な人で、時々だけど、もう帰る事の出来ない遠いどこかを懐かしむような顔をしている事があるのをペトラは知っているから。

「スバルは私の『幸せの星』だったんだね。だってスバルに出会ってからの私はずっと幸せだもん」

 酷い目に遭った事もある。何度も死にそうな目に遭った。

 でも、そのおかげで、かけがえのない親友に出会えたし、フレデリカ姉様と一緒にメイドのお仕事をするのも楽しかったし、他にもオットーを始め、色々な人と出会えて、様々な経験をして見聞も広がったのだから、総合的に観たら良い事しかない。

 

「わたしの星は、一個も悪いことないんだよ」

 

 ナツキ・ぺトラは、自分は世界で一番幸せだという確信を込めて、自分の『幸せの星』であり、愛する夫を抱擁した。 

スバルもまた、そんな世界一愛おしい愛妻を優しく抱きしめた。




お楽しみいただけたでしょうか?

ペトラはアニメの範囲だと出番が少ないですが、とても一途で努力家で、筆者は大好きなキャラです
ペトラが愛するスバルと幸せになった世界を堪能していただけたなら嬉しいです。

ちなみにベア子はいつもスバルの傍にいるので、結果としてスバルとペトラのイチャイチャをいつも目撃してるわけですが、もはや見る側も見られる側も慣れて気にしていません。
なんならペトラは自分とスバルのイチャイチャを自慢したくて仕方ないのでノリノリなくらいです。

本作を読んで、ペトラに興味が湧いたなら、原作リゼロの短編集3巻、8巻、11巻や漫画版2章の第5巻、本編の32~33巻、39~43巻で、ペトラが活躍してるので、読んでいただけると幸いです(宣伝1)。

公式がYouTubeで無料配信してるミニアニメ「Re:ゼロから始める休憩時間の2期、3期、4期でもペトラが可愛く活躍してるので、よろしければ、そちらもご視聴ください(宣伝2)。

実はR-18の方でも執筆しておりまして、そちらの作品「リゼロ 転生者の男が加護を駆使して、救済を建前にヒロインたちを寝取る」では、ペトラを含めたリゼロのヒロインたちを愛情の裏返しでイジメたりエロい事しまくってるので、もしそういった作品に興味があったら読んでいただけると嬉しいです(宣伝3)。
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