【TS】自作武器使い女体化娘、男の娘嫁と爆速で添い遂げようとする。   作:秘密の豚園

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【今回はサクハ視点で進みます。】



第3話 はだける肉布団、はじける男の娘。【サクハ視点】

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【ほんの少し時間は、さかのぼる。】

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 俺の冷や汗に、小雨が混じって、顎を撫でる。そのまま名残惜しそうに顎から離れた水滴が足元の砂利に地面に落ちた。

 

「どうしよ…やばい…。」

思わず口から、焦燥が漏れる。頭が痛い。情報量が多すぎる…。

 

 俺は指を折りながら、目の前で起こっている非日常を少しずつ把握していった。

 

「母さんと一緒にユウオを迎えに来たら、女の子になってて、しかもユウオの愛も狂気も据え置きで……狼狽えることも、困惑することも無ければ……ヤケにハイテンションで…しかもいつもの変な小道具でスマホを奪われて………。()()として……俺と添い遂げようとして………。そして(しま)いには………。」

 

 俺は、二階の窓から垂れ下がった縄梯子を睨みつけた。

 

「さ…誘われてて………。」

俺は、深く息を吐くと、玄関に視線を写した。

 

 ユウオの発言を思い出す。

『あ、玄関から入ってきたら、【玩具はチープに爆ぜる(ビッチ・トイボックス)】が発動するからね!』

高くて、甘ったるくて、可愛い声で俺に向けられた注意喚起。酷い名前だけど、昔、河原で使ったあの小さな爆弾のことだ、きっと。

 

「でも……噓なんだろ…。」

きっと、ブラフなんだ。驕ったことを言うようだけど、お前が俺の事を傷つけることがないってのは、俺が一番分かってる。

 

 インターホンの音だとか、物音で家族を起こしたくないとか、そんな具合か?でも、こんなに馬鹿みたいに騒いでる時点で、隠すもクソも無いか。

 

「ホント…バカタレだよ…。ユウちゃん………。」

でも、大体察しがつくよ。お前が嫌なのは、【()()】なんだろ?

 

 玄関から入って、お前の部屋まで向かうだけじゃない。恋人なんて、()()をすっ飛ばして、お前はいつも『結婚』だなんて言ってくる。すぐにでも、形として、物理的な幸せを得ようとしてる。

 

 でも。

 

「でもね…ユウちゃん………。」

俺はね、ユウちゃん……ホントは………。

 

「ホントに行くの?サクハ。」

後ろから俺を呼ぶ聞きなれた声に、思わず足を止める…。

足を…止める…?

 

「え?」

俺の足元には、空き地とユウオの家の間に通るアスファルトの小道が拡がってた。

 

「俺…歩いてたの…?」

 

「フラフラ~ってね。」

角の丸い白い軽自動車、ウチの車の窓から母さんが顔を覗かせていた。

 

「ま、コレ持っていきなさいよ。」

母さんが、窓から出した腕を振って、黒い化粧品のようなものを俺におもむろに投げた。手への着地音に雨の音が混じる。

 

 なんだコレ………。って、え!?

「さ、催涙スプレー!?ちょ、母さん!アイツに使えっての!?」

窓に映る俺が吠えた。セットした髪も雨に濡れて、薄いメイクもどこか崩れてた。日常と一緒に、40分かけた容姿が雨と一緒に消えていく。

 

「あの子はもう人じゃない。獣だもの。母さんね、一部始終見てたけど、猟友会に電話しようか迷っちゃったわ。」

 

「せ、せめて人として罰を与えてよ!そこは!!」

 

「そう?じゃあ、警察に………。」

わざとらしく、スマホの液晶を撫でる母さん。冗談だって、分かっていても、俺は手のひらで制してしまう。

 

「ちがッ…。やっぱダメッ!!」

 

「……冗談なのに…。ま、冗談で済まなくなったら、その時は大声で叫びなさいな。お母さんすぐに助けに行くから。」

ウチの母親は全く狼狽えることなく、スマホのサブスクで韓国のドラマを見始めた。この女…放任主義がすぎる…。

 

「はぁ…。」

アスファルトに当たる雨の間隔より、俺の心臓の音の方が間隔が短いように感じた。それぐらい、胸が鳴ってる。俺の息を荒くしてる。

 

 動揺も困惑もほどほどに、俺はユウちゃんの家の敷地に入ると、窓から垂れた梯子を見上げた。

 

「いくか…。」

俺は小さく呟くと、梯子を力強く握りしめる。

 

 見過ごせない。俺のスマホの事もそうだけど何より、スウちゃんにひとつ言ってやりたい。あのバカタレを何とかしたい。

 

 梯子は少し風に煽られながらも、俺の足を受け止めてくれる。一歩、二歩、確実に、でも確かにアイツの場所に向かっていく。

 

「完成っ!女体化娘布団洞窟ッ!」

は?え、な、なに、女体化娘布団って………。

 

 俺がこんなに雨に濡れながら、梯子を登ってんのに、アイツは、自分の部屋でバカやってんのか。

 

 流石にイライラしてきた。俺がどんな思いでこの梯子を登ってんのか分かってんのか、あの阿保は。

 

「…この…救いようのないドアホがッ!!」

俺は叫び、最後の踏ざんを踏みつけると、ユウちゃんの部屋に転がり込んだ。部屋に雨と、砂利が散らばる。外の臭いと、嗅ぎ馴れた家の臭いが混ざりあう。

 

「あ、やば…。土足………。」

土足で歩き回るのは、まずいもんな。

 

 脱いだ靴を壁に付けて揃えて、傍らに催涙スプレーを置くと、目に飛び込んだのは、慣れた()()だった。壁に立てかけられた釘バットに、分解された扇風機のパーツ、買いだめされた花火に、縦に積まれた段ボールたち。

 

「…何、作る気だよ…。」

 

 でも、そんな異常の中で、不慣れな日常が膨らんでいた。

布団は盛り上がり、布団乾燥機は低く唸り、俺を誘ってる。

 

「…無論…。俺達の未来だよ…二人の血を継いだ…へへ……さ…おいでぇ………。」

 

 低く囁くような声と共に、布団がほんの少し持ちあがる。ほんの少しの酸味に、熟れさせた果物と甘い香りの柔軟剤を混ぜたような香りが広がった。

 

 湯気が逃げるように布団から漏れると、二つの目が俺を愛おしそうに見つめた。

 

 見てて分かる。

 

「入ったら…終わる…。」

 

「違うよ、始まるんだよ…。俺達の結婚生か…。」

また、結婚かよ。

 

 そうやって俺に完成形を押し付けるのかよ………。

 

「いい加減にしろよッ!」

俺は、布団をひったくると、その中にいたユウちゃんを睨みつけた。

 

 パジャマからはシャツが覗いてて、ユウちゃんは肩を小さく上下させている。息は荒く、汗は滲んで、長い髪は顔に張り付いていた。大きな二重は俺を捉えると、細く伸びて、顔はさらに紅く染まる。ツヤの良い肌、丸みを帯びたシルエット。

 

 女体化による後天的変容のせいか、喋り方も抑揚も柔らかくなってる。

 

 可愛い、可愛いよ。でも…。

 

「…どしたの、サクハ…。…明るい所でシたくな………。」

 

「……ちげぇよ!」

言うんだ、俺も。もうこれ以上コイツに主導権は握らせない。

 

 ここからは、俺の【()()】が舵を取る。

 

「……なんで急ぐんだよ!」

 

「だって、早く俺のモノにしな…。」

 

「お、俺はお前以外の誰のモノにもならないよッ!お前は俺のモノだし!俺はお前のモノなの!これからもずっと一緒だよッ!それは、ユウちゃんが女だろうが、犬だろうが、虫だろうが変わんないのッ!!」

恥ずかしい。言葉が詰まりそうになる。心臓が胸の中で飛び跳ねて、あばらを折るぐらいの勢いで踊ってる。胸が痛い。でも、でも言わなきゃ。自分の本心を伝えなきゃ。

 

「………え?」

ユウオの目に刹那の動揺の後、涙がにじむ。

 

「け、結婚だとか…そうやって急ぐなよッ!おれ…俺はさッ!お前以外と添い遂げるつもりもないし、どこかに行くつもりも無いのに……!」

ユウオがさらに顔を紅くして、布団に顔を埋める。バタバタ跳ねる脚がマットレスを軋ませてる。

 

 もう止まらん、一気に叩き込む。

 

「俺だって大好きだよッ!ずっとッ!会った時から!今も!昔も!お前と、暗い布団に入って、こっそりチューした時からッ…ずっと!ずっと!」

 

「ちょ…やめッ!…ねぇ!恥ずかしいッ!す、スマホなら返すからさ!」

 

「そんなん要らねぇよッ!」

 

「………もぉぉぉぉぉ…やめてぇぇ……。」

くぐもった声が、部屋を満たす。俺は息を付くと、諭すようにユウちゃんのつむじに語り掛けた。

 

「………俺が、ユウちゃんの事、大好きなの伝わった?」

 

「うん…。」

布団に埋もれた頭が小さく動いた。

 

「……お、俺はさ…、急ぎたくないんだよ…。いずれ必ず結婚するし、お前が欲しいなら………こ、子供だって考えてるよ…。結果はもう…決まってんだよ………。」

今頃恥ずかしさが襲ってきて、声がどもる。でも、言いたい。コイツの愛ゆえの奇行とバカさ加減に応えたい。

 

「うん………。」

 

「でも…今はさ…、高校生だもん。お前といっぱい……過程を楽しみたいんだよ……。修学旅行でこっそりチューして…夏祭りで浴衣着て…親のいない時間を見計らって家に行って…喧嘩して…悩んで…愛し合って……創作物みたいにキラキラしてるけど、本当の恋、楽しみたいんだよ………。」

 

「………う゛ん゛………。」

 

「……だから……同じ墓に入るのを前提にした…恋人からッ…!そこか……。」

 

「うんッ!!じゃあ喰らえッ!」

貯めも、躊躇いもなくベッドからユウハが飛び跳ねると、俺にスマホの画面を見せつける。

 

「オラッ!【蠱惑的な極彩色を君に(ビッチ・アイリス)】!!……安心してッ!本当の催眠効果はないよ!目くらましだもんッ!」

ユウハの声と共に、スマホに虹色が迸る。あの【羅波矢(らなみや)ウェポン】とかいうヤツかッ…!?

 

「まぶしッ…。」

俺が目を瞑るや否や、すぐにベッドに押し倒される。

布団が俺達を受け入れるように、【ボフっ】と音を立てる。小さい塵と、ユウちゃんの体臭が待った。

 

「ちょ…!?過程を楽しみたいって話……んッ!?んぐッ!?」

俺の言葉は、濡れた唇と荒い鼻息で打ち止められた。

 

「うん!もちろん!すぐに結婚はしないし、過程だって楽しむよ!!子供を授かるのは大人になってからだよねッ!?でもさ!もう、好きが溢れて止まんないのッ!だから……薬指を噛み合ってさッ!お互いにマーキングしよ!記付けよっ!!」

俺に覆いかぶさるユウちゃんが、赤く晴れた目でこちらを見つめている。口からは、とめどなく涎が垂れて、息はどこまでも熱い。

 

「はぁ…ちょ!た、タンマッ!ま、待ってッ!」

やば………。催眠スプレーは………。遠い!クソッ!

 

 その時だった。

 

「ご……ごふッ…。」

急にユウちゃんの顔が離れたと思ったら、白目を剥いて、腕をバタつかせてる。

 

「ごめんねぇ、サク兄ぃ、ウチの馬鹿が。コイツ、女体化しても途方もないバカだね。………てかまた可愛くなった?」

静かに、そして怒りを込めた腕がユウちゃんの首を捉えて離さない。

 

「た、たん……タンマッ………。い……い………ぎ………。」

 

「一回落ちて反省しなッ…。…すぐ起きるように調整してやるからさッ…。」

口から泡を吐き、意識を手放そうとしているユウちゃんのその後ろ。

 

 ユウちゃんより頭一つ高くて、肩幅の広い、短髪の女の子がいた。

 

「…あ、セエカちゃん…。セエカちゃんこそ、ま、また大きくなった?」

羅波矢(らなみや)セエカ。全国大会常連の柔道娘で、階級は超級。ユウオの妹だ。

 

「まぁね、成長期ってやつさね。……はぁ、締めの技術はこんな事に使いたくなかったんだけどね…。…ごめんね、嘉納先生………。」

俺達の日常会話の間に挟まれたユウちゃんが

 

「あ…。」

完全に落ちた………。

 

「……死んでない?」

俺はユウちゃんの頬をつつきながら、セエカちゃんに問いかけた。

 

「ま、3分もしたら起きるでしょ。」

そう告げるセエカちゃんはどこか手慣れた様子だった。

 

 前途多難だな………。俺達の()()は………。

 







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