【TS】自作武器使い女体化娘、男の娘嫁と爆速で添い遂げようとする。 作:秘密の豚園
4月20日、曇天に良く似合う小雨は、俺達の傘を柔く濡らしてる。
駐車場から、歩いて5分経っただろうか。ようやっと見えてくる白い校舎は、所々にヒビやシミをつけながらも、いつも通りその場に聳えていた。
「私立
俺の隣を歩くセエカちゃんが、スマホをじっと見つめながら、検索結果を読み上げる。俺はそんな様子に口角を上げた。
「ポテトとか気になっちゃった?」
「いや、読者への設定の開示だけど。」
スマホをポケットに押し込むと、淡々と告げた。何言ってるの?セエカちゃん………。
「…あ、あぁ…そ、そうなんだ……。…へぇ…。」
俺は反応しきれずに声を漏らした。
やっぱり
「あとは、創作物ってだいたい、
セエカちゃんが、得意そうな顔で続けた。分析というより、冷笑に近い。そ、その歳で冷笑に手を出すのは良くないと思う。うん、あんまり良くない気がする…。
「セエカちゃん?そ、そういう、ハリボテの達観と、ネットで仕入れた即席の俯瞰視点はあんまり………。」
俺がセエカちゃんを嗜めるように口を動かすと、布が悲鳴をあげ、繊維が軋む音が聞こえた。
「なぁに?サク兄。」
声のする方に首を動かす。そこには俺の頭を入れるためのスペースがぽっかり空いた、腕で作られた洞窟があった。
「入ったら…終わる…。」
命が。そう確信した。この子の前では、やっぱり下手な事言えない…。
「……しっかし、バカだね、サク兄ィ。」
それから俺の恐怖も戸惑いも意にも介さない様子でセエカちゃんが、俺の頬を指で突いた。
「ほひゅ…。な、なにがらよ…」
俺の頬を掘り進めようとするみたいに、セエカちゃんの指はうねうねと動く。
「『待ってるから、早く学校来い。』なんて、伝言頼んでさ。あのバカがそんなセリフ言われて、家で素直に待てると思う?『襲ってください。』のメッセージと同義だよ?」
セエカちゃんが俺の頬から指を離すと、次は空を指でなぞる。
「でも、俺に『過程を楽しむ』って言ってくれたし…。」
俺の呟きに、自分の中のユウちゃん像で返す。
「あのバカ、【
魑魅魍魎が裸足で逃げだすような内容…。でも否定しきれないのが、アイツの怖いところなんだよなぁ…。
「…け、結構、想像できちゃう…。」
「違いないさね…。」
自分の冗談に辟易したような吐息を漏らすと、セエカちゃんは自動ドアに手をかざす。コロナ禍名残のサーマルカメラはまだ玄関内に残っていて、俺達を液晶に映していた。
「やっぱ、アイツ、バカだよね。」
「…馬鹿だねぇ。」
「…。」
「…。」
二人の納得が形を変えて、沈黙になって流れた辺りで、俺達の前に正面玄関が拡がった。傘は隙間を殺すように、傘立てに刺さり、雨に濡れたアスファルトのにおいが玄関まで香っていた。
生徒もまばらで、教室に人が移っていったのが見て分かる。
「んじゃ、私コッチだから。バイバイ、サク
セエカちゃんが広い背中を向けて、1年玄関へと向かう。
「…なんか、今しれっと御宅の息子さんと籍入れられた気がするんだけど…。」
口では、そう言ってるけどアイツと籍を入れるのはもちろん嫌じゃない。
でも、羅波矢家の速度感は俺にとっては少し眩暈がする。不快感から来る眩暈じゃない。
洒落か本気か、ここの一家の線引きは危うい。ブレーキの利きが悪すぎるし、躊躇いがない。さっきのユウちゃんはもちろん、セエカちゃんの首絞めだって。
でも、嫌いじゃない。それは確かだ。
「ま、サク兄がホントの義兄なったら嬉しいからね。じゃあね。車乗せてくれてありがとって、おばさんに伝えといてよ。」
「…セエカちゃ…」
なんだ、案外人並に可愛いこと言うじゃない。昔のセエカちゃんが戻ってきたみたいで嬉しくなった。俺もセエカちゃんが義妹になるのは大歓迎だ。
「まぁ、ウチの兄貴に乗られてたのは…。あひゃぁッ!」
弾けるような笑い声を聞いてやっと理解した。
この子、バカだ。ユウちゃんのストッパーヅラしてたのはなんだったんだ。全然可愛くない。
「………やっぱ、羅波矢家って変人しかいないのかな……。」
俺が呆れを口から漏らしたころには、セエカちゃんの背中は遠くなっていた。といっても、肩幅は他の女の子の2倍ぐらい広いけど。
「………。」
空気が急にシンと静まった気がする。
「はぁ…。」
教室に行く前に軽く化粧を直そう。顔テカってないかな。さっきだいぶ動いたし、ちょっと汗ばんじゃったし。
「…。」
リュックを左肩から外して、右肩を起点に、胸の前に移動させる。ファスナーを開いて、メイクポーチを取り出そうとした時だった。
「あの…。」
不意に正面から声が掛かる。耳を撫でるような繊細な声色だった。それでも、拭いきれない固さと、規則に則った堅さがあった
「さ、サクハさんですか…。えへ…。やっぱ噂通り可愛い…。。」
問いかける声に俺は顔を上げた。そこにいたのは
袖の広い特注の制服をパタパタと揺らしながら、俺の顔を覗き込む【男の娘】がいた。ムラの無い顔色に、目立たないようにボカされた毛穴や凹凸。
可愛い。青髭を隠すための努力があった。肩幅を装飾で誤魔化す遊びがあった。
「お、おぉ…。」
その長い水色の髪も、コーラルリップも、男としての記号を柔くほぐして隠していた。
「じ、実は僕、その…化粧して学校来たんです…。さ、サクハさんにあ、憧れ…。」
でも、この子には、何か足りなかった。
「……嘘…ついてます?」
思わず、言葉が口から出て行く。
こんなこと考えるのもちょっと自分が気持ち悪いと思うけど、この人には愛がない。俺狙いで近づいたような発言内容だったはずなのにどこか芯が欠けていた。
「へ?」
ユウちゃんの
むしろ、歪んだ意図があった。背中から伸びる細い糸のような意図が…。
あ、俺はなんて失礼を…。あ、謝らなきゃ…。
「あ、ご、ごめんなさい…。そんなつもりじゃ…!」
俺が、謝るや否や、目の前に立つ同類の子から返ってきたのは
「チッ…。」
舌打ちと
【パチッ!】
指鳴らしだった。
「え、ちょ…。なにが?」
俺の疑問符に応える情けも暖かさもなかった。目の前の子の指鳴らしを起点に、俺の周りに人が集まる。
玄関前にまばらに立っていた生徒も、談笑していた女の子も、下卑た話をしていた男の子たちも、みんな同じく硬い表情で俺を囲いだす。
「ん゛ん゛…。落ち着け。我々生徒会は君を傷つけるつもりはない。まぁ、逃がすつもりもないがな。しかし、こちらの作為に気づくとは想定外だったぞ。」
目の前の子が、低い地声で語りだす。取り繕いが消えたその声と振る舞いは、男としての性を強調していた。
「…ど、どういうことです…?」
見破ったつもりなんてなかったのに…。
「手間は取らせんよ。お嬢…生徒会長がお呼びだ。羅波矢ユウオの件でな。」
生徒会役員の周囲の生徒は、俺を追い込むように距離を詰めてくる。
「ん゛ッ゛…ごほ゛ッ…ん゛…。し、失礼…。チューニングを…。」
「あ、喉仏上げた方が良いですよ。」
あ、見かねてアドバイスしちゃった。
「わ、分かっているッ…!ん゛ッ…。そ、それでど、どうですか?せ、生徒会室でお茶など…。」
俺のアドバイスにぶっきらぼうに答えた後、目の前の子は先ほどと同じような女声で俺を生徒会室に誘う。
「…え、あ…。…い、行きます…。」
意味が分からないし、ちょっと怖いけど、従わないと何が起こるか分からない。
い、行くだけ行こう。変な事なんて起こらないでしょう。うん。
生徒会だよ?そんな変な事なんて起きるわけ…。うん…。
起きないよね?
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