ああ、神よ。
聖なる三女神様よ。
パチンカスとスーちゃんの過去の構成はできているのに、それを文字化するのがめんどくさすぎて外伝へと逃げてる私をどうかお許しください。
ラーメン(ニンニクヤサイアブラマシマシ)……
その日、日本中に激震が走った。
菊花賞を制し、見事クラシック三冠ウマ娘となったアグネスタキオン。
今後の彼女の走りが期待されていく中、それは突然宣言された。
「理由を聞かせてください!!」
「まさか、どこか大きな怪我を!?」
記者たちがアグネスタキオンに問いかけるが、当の本人は興味なさそうに欠伸をしながら答えた。
「まぁ、理由は色々とねぇ……真実は色々と複合的なものさ」
「事実上の引退宣言なのでしょうか……?」
「それを私に聞いても意味はないさ。確定的な未来なんて、誰にも分からないのだから」
アグネスタキオンは一呼吸置き、そして、宣言した。
「とにかくだ。たった今述べた通り——」
「本日をもって私アグネスタキオンは、レースへの出走を無期限休止とする」
会場が——
いや、日本中が静寂に包まれる——
「発表は以上だ」
そう言って、アグネスタキオンは会見場を後にする。
突如公開された引退宣言に、日本中の人々が困惑し始める。
そして当然、ライバルだった彼女たちも——
アグネスタキオンの引退宣言を受け、ジャングルポケットはすぐさまタキオンの研究室へと駆け出した。
道中で出会ったダンツフレームもまた、その真意を問いただすため、共に足を運んでいた。
「タキオン……っ!!」
扉を開けた瞬間、ジャングルポケットは息を呑んだ。
研究室は、夕陽に染められている。
照明は落ち、窓から差し込む赤い光だけが、静かに室内を満たしていた。
「私に何か用かい?」
声は、窓の外から届く。
視線を向けると、逆光の中にタキオンの姿があった。
「丁度今からお茶にしようと思っていたんだが、一緒にどうだい? まぁ、ちょっとした副作用があるが……いや、何でもない。カフェ、彼女たちにコーヒーをお願いできるかい?」
すると、部屋の影からマンハッタンカフェがすっと姿を現す。
「……嫌です」
「おっと、これは辛辣だねぇ。となると、私が用意するしかないようだ。……まぁ、安心したまえ。私が作ったものではなく、市販のコーヒーだからねぇ」
タキオンはそう言いながら部屋へとはいり、ティーバッグコーヒーを取り出す。
すでに沸いていたポットのお湯をカップへ注ぎ、ゆっくりとかき混ぜ始めた。
「タ、タキオンちゃん……そんなことより……」
ダンツフレームが、不安を押し殺すように声をかける。
「歩けねぇ程ひでぇ怪我をしたとかって訳ではなさそうだな……それならすぐにまた、レースに戻って来られんだろ?」
ジャングルポケットの声は低く、しかし確かに揺れていた。
だが、タキオンは振り返らない。
カップの中で、大量の砂糖が静かに溶けていく。
「会見でも言ったんだが、レースに復帰するつもりはないよ。時間は有限だからね。余計なことに費やしている暇はない」
淡々とした声音。
かき混ぜる手は止まらない。
「余計なこと……」
ダンツフレームが、信じられないものを見るように呟く。
「……タチの悪い冗談はやめろよ……まだまだこれからじゃねぇか。三冠ウマ娘になったら終わりじゃねぇだろ、その先も……っ!!」
ジャングルポケットの声が、次第に熱を帯びていく。
それでもタキオンは、言葉を引っ込めることはなかった。
「より有益な実験に集中したいのでね」
「俺はまだ……おめぇと……っ!!」
その言葉を、タキオンは横目で受け止める。
わずかに、口元が緩んだ。
「さぁ、用はそれだけかい? 私も暇じゃないんだ。先ほども言っただろう? 時間は有限だって。それに、キミたちもまだまだトレーニングで忙しいんじゃないのかい?」
「……ざけんなよ」
握りしめた拳が、小さく軋む。
「私は至って真剣だよ」
その一言で——均衡が崩れた。
次の瞬間、ジャングルポケットはタキオンの胸ぐらを掴んでいた。
「言ったよな!? 俺の挑戦を受けて立つって!! 三冠ウマ娘を達成したら終わりか!? ふざけんな!! 勝ち逃げなんてぜってぇ許さねぇぞ!!」
今にも殴りかかりそうな勢い。
それでもタキオンは、表情を崩さない。
ただ静かに、その言葉を受け止めている。
「——そこまでだ、ポッケ」
低い声が、窓の外から差し込んだ。
反射的に、全員の視線がそちらへ向く。
そこに立っていたのは——アグネスタキオンのトレーナーだった。
「ハルさん……っ!! アンタも何か言えよ… !!」
ジャングルポケットの感情は、もう止まらなかった。
タキオンの胸ぐらを掴んだまま、吐き出すように言葉を叩きつける。
「アンタ、言ってたよなぁ!? タキオンと共に走り続けるって……“新時代の扉”を開くって!! それなのに、何なんだよこれは……」
矛先が、ゆっくりとトレーナーへ向いていく。
怒りだけじゃない。困惑と、裏切られたような感情が混じっていた。
「何なんだよこれはよぉ!! 答えろよ、ハルさん!!!!」
——静寂。
その声に応えるように、窓の影がわずかに揺れた。
ゆっくりと。
赤い夕陽を背に、トレーナーが姿を現す。
逆光に包まれ、その輪郭だけが浮かび上がる。
表情は見えない。ただ、不気味な影だけが伸びていく。
「………っ!?!?」
ダンツフレームが、思わず口元を押さえた。
息を呑む音だけが、小さく漏れる。
「なん……だよ……それは………っ!!」
ジャングルポケットの手から、わずかに力が抜ける。
視線は、目の前の“それ”に釘付けになっていた。
研究室の空気が、変わる。
その時、黙っていたタキオンが、静かに口を開いた。
「——改めて紹介するよ。彼は私のトレーナー、田邊ハルトレーナーもとい……」
言葉の途中で、わずかに間が落ちる。
次の瞬間。
トレーナーの眼が、夕焼けの赤とは異なる光を帯びて——キラリと輝いた。
いや、違う。
——正確には。
トレーナーが装着している
夕焼けの赤とは明らかに異なる、人工的な光。
その奥にある“視線”が、こちらを貫いてくる。
そう、彼は——
彼こそは——!!
「サイクロップストレーナーだよ(震え声)」
ポポポポ…!!!
TARGET...CAPTURED...
戊辰戦争...
EMURATED...EMURATED....EMURATED...
俺はトレセン学園トレーナー、田邊ハル。
担当ウマ娘で三冠ウマ娘のアグネスタキオンと祝賀会を開いて、美味しい料理や飲み物をたらふく飲み食いしていた。
飲み食いに夢中になっていた俺は、タキオンが作った薬が飲み物の中に紛れていることに気づかなかった。
俺は、タキオンの薬を飲んでしまい、目が覚めたら……
神の眼からビームが出るようになってしまった!!
ビームが出ることによって、周りの人間にも被害が及ぶ。
すぐさまタキオンにバイザー型の制御装置を作らせた俺は、咄嗟にタキオンに無期限の出走停止を命じ、この眼が治るまでタキオンの研究室へと転がり込んだ。
眼からビームが出るようになっても中身は俺。
敗北無し名トレーナー!!
真実は、いつも一つ!!!!
「じゃねーだろうが!!!!!」ビビビビビッ!!!!!
「グエェェェェッッッ!?!?!?」
「何がサイクロップストレーナーだよおい!! テメェが変な薬仕込まなきゃこんなことになってねぇんだよ、このボケがァッ!!!!」
「そ、それについてはもう謝ったじゃないか……ひぃ!? バ、バイザー光らせるのやめてくれぇ!!」
「……えっと」
「どういう、ことだ……?」
困惑するポッケとダンツに、カフェがため息混じりに口を開いた。
「……要するに、タキオンさんはトレーナーさんの“あの眼”を治すために、レース出走の無期限停止を宣言した、ということです」
「「えぇ……??」」
“そんなことで?”と顔に書いてある二人の足元へ、俺はピンポイントでビームを撃ち込む。
「「うわぁ!?」」
「そんなことでとか思ってんだろうがよぉ!! 俺にとっちゃ人生レベルの大問題なんだよォ!!!!」
バンッ、と机を叩く。
「何だよこれ!! なんで眼からビーム出んだよ!! 神の眼(物理)じゃねぇかよ!!」
怒りに任せて、室内にビームを撒き散らす。
カフェは慣れた手つきで対ビーム用の傘を開き、ポッケとダンツはその後ろに避難した。
「どうすんだよマジで!! 俺にどうしろってんだよマジで!!」
「ト、トレーナーからX-MENに転職……とかどうだい?」
「黙れ
「じょ、冗談じゃないかっ!! ほ、ほら!! 今もこうして解毒剤を作っているからさ!! 安心したまえっ!!」
「いいかタキオン……この眼が治るまで、俺はお前の面倒を一切見ねぇからな……!! 腹減っても知らん! 毛繕いも風呂も全部自分でやれ!!」
「えぇーーーーーー!?!?」
「『えぇーーーーーー!?!?』じゃねぇよ!! それはこっちの台詞だ!!」
尻尾をビーンと立てて叫ぶタキオン。
俺が本気だと理解した瞬間、即座に解毒剤の作業へ戻る。
その横で、ポカンとしているポッケとダンツに、カフェが補足を入れた。
「もともと、しばらくはレースに出ない予定だったそうです。今後の調整も兼ねて。ですが、この件が起きたことで——無期限停止という形を取らざるを得なくなった、というわけですね」
「そ、そういうことか〜……!!」
「ビビらせんなよ……二重の意味でよ……」
「この前提を踏まえて、もう一度会見を見てみてください。タキオンさん、終始目が泳いでいて焦点が合っていませんし、変な汗もすごいので」
カフェは淡々と端末を操作し、映像を見せる。
確かに。
改めて見るとタキオンは、
『まぁ、理由は色々とねぇ……真実は色々と複合的なものさ(震え声)』
って言ってやがる。
草。
いや草じゃねぇんだけど。
ポッケとダンツは映像を見て、ついに吹き出した。
その隙に手を止めようとするタキオンへ、俺はバチバチとバイザーを光らせて牽制する。
「サボってんじゃねえぞ……!!」
「ひいぃ!?」
サイクロップスと化したトレーナーは、無事に元へ戻れるのか。
それともこのままX-MENへ転職してしまうのか。
その結末は——三女神のみぞ知る。
「やっべ……ハルさんがこうなったってこと、フジさんにどうやって説明したらいいんだ……??」
「包み隠さず全部話した方が、いいんじゃないかな……」
「私も、同意見です……」
タキオン……
モルモット……
体が発光……
神の眼……
眼が発光……
眼から、ビーム……???
なるほど、そういうことか……!!(自分を工藤新一だと思い込んでいる一般天才小学1年生感)