GATE 国防軍 彼の地にて〝最高〟とともに戦えり 作:びよんど
ここ守っててちょーだいね?って話です。
<<< 城塞都市イタリカ >>>
「あなたどういうつもり!?扉の前に人がいるかもと思わないの?ドワーフだってホビットだって気を付けるわッ!あんなことして、ゴブリン以下よッ!!」
「は、はゎゎゎ……」
今のテュカちゃんには声かけないほうが良さそうだなぁ。
マジ怖えー。
赤毛の女騎士様もテュカちゃんに詰められて全く受け答えできてないし、こりゃあ中々のカオスだなぁ。
「キング、イタミの容態はどう?」
「顔面と顎を打って後頭部から地面に激突したけど、熱湯をかけられるよりはずっとマシな状態だよ。念のため治癒も施しておいたし、すぐ目覚めるでしょ」
「そう。良かった」
「……イタミの魂が抜け落ちてるなんてこともないしぃ、ひとまず一安心ねぇ。それよりも、すんなり入れちゃったわねぇ?」
「……そうだねぇ」
そう、テュカちゃんが女騎士様にガミガミ罵詈雑言を浴びせている間に、思いのほかすんなりと門から領内に入ることが出来てしまったのだ。
見ると、通用口はしっかりと閉じられ、閂も下りてしまっている。
内と外で分断される形となったが、不思議と追い詰められた感じはしない。
……と言うより、こっちが逆に追い詰めている気がするんだよな。あの女騎士様を。
「んん―――わっ」
「あらぁ、気付いたようねぇ」
……っと、どうやらイタミさんが気付いたようだ。
今ちょうどロゥリィちゃんが膝枕しているから、自然と顔を覗き込まれる体勢になっているワケで、目覚めたと同時に小さく驚きの声を上げていた。
「大丈夫?」
「あ、ああ。みっともないところを見られちゃったなぁ。タハハハ……」
顎をさすりながら上体を起こしたイタミさんは、テュカちゃんに心配されながらも乱れた着衣を手早く正していき、仕舞いには無線機を取り出して外にいるであろう仲間達と連絡を取った。
『二尉!応答してください!突入しますか!?』
「ちょっと気を失ってた。待機しててくれ。状況を確認する」
『了解』
「……で、一体誰がこの状況を説明してくれるの?」
それは俺が聞きたいよホンマ……。
俺はロゥリィちゃんに視線を巡らせ、ロゥリィちゃんはテュカちゃんに視線を巡らせ、テュカちゃんはレレイちゃんに視線を巡らせ、レレイちゃんは女騎士様に視線を巡らせ、女騎士様は周囲に助けを求めるように視線を巡らせようとして、サッと周囲にいた人に避けられた。
「妾……?」
はい、決定ぃ!
……んで、かれこれ何時間か経った頃。
遠目に盗賊連中の斥候が見えるゾイ。
その後ろには本隊もいる。
……数は大体5、600といったところかなぁ?
「お疲れ様ですキングさぁん」
「あっイタミさん。援軍要請の件はどうでしたか?」
「何とかなりそうです。空から来ますよぉ」
「空からと言うと、ケングンさんの部隊ですか」
「えぇ。ご存知でしたかぁ?」
「はい。……彼、メチャクチャ溜まってましたから」
「え……?」
俺ってば、この数週間くらいで特地に駐軍する軍人さん方と気軽に話し合えるくらいには親交を深めているんですよイタミさ〜ん?
……ぶっちゃけケングンさんどころの騒ぎじゃなく、第一と第四といった戦闘を主とする軍人さん方は、あまりの暇っぷりに悶々かつ鬱屈となさっていたからねぇ。
「〝キングさん、俺はあなたが羨ましい!あなたはドラゴンと戦っているというのに、俺と俺の部下は日々待機を命じられる始末だ!もし困ったことがあったらすぐにでも呼んでくれ!ワルキューレの騎行を大音量で響かせながら助けに行くぞ!〟……って飯時に言われまして」
「うっわ……マジか」
まぁでも、こういう時だからこそ頼りにさせてもらうんですけどねぇ。
はーぁ、
「しかし、俺達が来たことで住民達の士気が盛り上がったのはいいですが……あの姫様、一度破られた南門に俺達を張り付けるなんてね」
「加えて、ここは人口五千を超える大都市。包囲するにしても敵の戦力が少なすぎます。川に面した北門は除くとしても、東西南どこか一箇所に戦力を集中させるはずです」
あっと……気付けばクワバラさんが後ろで説明してくれている。ナイスタイミングぅ!
「攻撃箇所を決められる敵が有利ですな。それにこの陣地は―――」
「
うんうん、俺もそれは思った。
……援軍が来ると分かっているなら、わざわざ領内に二次防衛ラインを築く意味は薄いだろうし、それならイタミさんが提案した一次防衛ラインである城門を死守する方向に動いたほうが堅実だ。
最悪、俺とユエが領内を東奔西走して盗賊を追い返せばそこら辺もカバー出来ると思う。
でも姫様は俺達の戦力を把握しきれていないだろうし、その彼女が提案した一次防衛ラインが突破されることを前提とした第二陣での防衛戦も、上手く嵌まれば敵を袋小路に出来る悪くない作戦だしね。
……って言うか、姫様の語る援軍って、もしかしなくても到着するのが遅くなってるってことだよねぇ?
「城壁と柵の二段構えで敵に出血を強いて時間を稼ぐってとこですか?……我々は火消し役として後方にいたほうがよろしいのでは?」
「う〜ん、けどねぇ。一応あの帝国のお姫様がここの指揮官なんでしょ?……俺達も
城門の上にいる俺達に笑顔で手を振っている住民達。
彼らの士気がそこそこ高いのも、ひとえにイタミさん達がそこに立っているからなのだと理解させられる。
……俺もフラフラあっちに行ったりこっちに行ったりが出来ないなぁ。不自由極まるぜ!
「しかし如何にも手薄です。一度突破された南門に少人数の我々を張り付けるということは―――」
「俺達はあくまで囮、あの姫様は手薄に見える南門に敵を誘い込んで奥の二次防衛ラインを決戦場にするつもりなんでしょう。……上手くいくかはさておき」
「「 っ、キングさん…… 」」
指揮官としてのその冷徹な判断、敬意に値するよ。
……でもねぇ、個人的には
「……気に食わねぇな」ボソッ
「「 キ、キングさん……? 」」
「……イタミさん、俺とユエはこれから別行動を取らさせてもらいますが、よろしいですか?」
「え、えぇ大丈夫ですよ。……ちなみに何をしに?」
アレーティアを手招きで近くに来させ、俺がこれから
……それを聞かされたイタミさんは、なんとも引き攣った笑みを浮かべながらも了承してくれた。
よーし、少しだけ頑張るゾイ!
「フルタ、トヅ!
「了解」
「分かりましたー」
クワバラ曹長が決めた配置と担当範囲に散らばった隊員達は、石造りの
概ね三階建ての建物の高さから、見下ろすようにして撃ちまくることになる。
近付かれてしまえば敵側から放たれた矢がこのあたりにも降り注ぐだろうから、矢の射程外に
「隊長、フルタちゃん、暗視装置」
「お、サンキュ」
陽が完全に没するまであと僅か。
クリバヤシは個人用暗視装置を配って歩いている。
クロカワは車両及び装備の留守番を命じられている。
「すみません。
「もう夜になるのに明かりはいらないのかね?」
「はい。大丈夫ですから」
イタミ達の背後にて、農具や棒などで武装していた市民が不安そうに指示を待っていた。
そこへニシナ一曹が歩み寄り、不慣れな現地語と身振り手振りで一生懸命市民に指示を出していた。
麻袋に土を入れたりとか、篝火などの燃えて明るい物は撤去するようにとか、様々だ。
「夜でも見える仕掛け……」
「不器用ねー」
「……ねぇイタミィ」
「んー?」
こうして、イタミら軍人達が準備を進めていくのをレレイやテュカとともに眺めていたロゥリィは、鉄帽に個人用暗視装置の取り付け作業をしているイタミの背中に向かって尋ねた。
「どうして敵のはずの帝国の姫様を助けるのぉ?あのコ、イケすかないわぁ」
「街の人を守るためさ」
「……本気で言ってるのぉ?」
「そういうことになってるはずだけど?……あれ、はまんない」
イタミのおどけたような言い方に、お為ごかしはもう結構とロゥリィは肩をすくめた。
帝国は、イタミ達にとって敵なのである。
敵の敵は味方という考え方からすれば、ここは盗賊の味方をしてもおかしくないところだ。
……なのにイタミ達はそれをしない。
「兜かして」
「お、スマン(……急にすんなりと言葉が分かるようになったな。顎打ったせいか?)」
ピニャは帝国の皇女として、フォルマル伯爵家を守っている。
そのためにイタリカを守ると、それに協力しろとイタミらに交渉という名の命令をしてきたのである。
その場にはロゥリィも居合わせていたのだが、あまりにも気に入らない態度だったので出ていってやろうかと思ったほどだ。
だがイタミとキングは、イタリカの住民を守る点については同意した。
形の上でイタリカを守るという目的が一致する。
……だからこそ共闘することが出来ているのだろう。
それでも敵国の皇女たるピニャの指揮を受け容れる意味が分からない。
現に、苛烈な攻撃を受けることが予想される南門で捨て駒にされているではないか。
「理由が気になるのか?」
「エムロイは戦いの神。人を殺めることを否定しないわぁ。……それだけに動機がとても重視されるの。偽りや欺きは魂を汚すことになるのよぉ」
背丈の差があるため、遠目に見るとロゥリィに祈りを捧げるため、イタミが頭を垂れているようにも見える。
暗視装置を取り付け終わった鉄帽をロゥリィから受け取ろうとしたイタミであったが、彼女は直接手渡すことなくその両手を差し伸べてイタミの頭に載せようとしていた。
仕方なくイタミは首をくぐめてロゥリィに鉄帽を載せてもらうことにした。
「ここの住民を守るため。これは嘘じゃない」
「ホントぉ?」
「勿論。……だけどもう一つ理由がある」
イタミの口元が歪む。
それは悪巧みの笑みであると、イタミの目元を覗き込んだロゥリィは直感した。
「俺
俺達。……イタミは確かにそう言った。
それはつまるところ、
「気に入った、気に入ったわぁそれ!」
イタミの言葉を受けたロゥリィは、その美しい
「恐怖!!……
「え、神をも滅殺……?」
……キングに戦いを挑んだあの日、決着の一打となったあの寸止めの打撃を目の当たりにしたことで、ロゥリィは、頭ではなく心で、キングの成し遂げた大偉業を理解させられていた。
トータスと呼ばれる、特地とは別の異世界。
その世界を遊戯盤に見立て、人々の人生を狂わせ続けてきた
ヒトから神に至ったという点では似た者同士ではあるものの、人々から自由意志を奪ってまで享楽に耽るその有り様は、ロゥリィをして唾棄すべきものがあった。
だが問題は、そんなエヒトルジュエをキングが―――
「……ロゥリィ?」
……
キングがいない状況だからこそ、こうやってロゥリィは気丈に振る舞うことが出来ている。
……だが、ひとたびキングにその存在を認められれば、彼女は最早今までの強い彼女では居られなくなる。
運命の悪戯か、奇しくも同じ〝神〟の名を冠する不死身の少女に、
「……っ、そういうことならぜひ協力したいわぁ。私も久々に狂えそうで楽しみぃ♪」
久しく忘れていた〝死〟―――その〝恐怖〟を。
「戦争だ。俺達の戦争が、ようやく始まる……!」
盗賊達……連合諸王国軍の敗残兵達にとって、アルヌスでの戦いは戦争ではなかった。
敵の姿も見えず、何が起こっているか理解できないのに、一方的に味方だけが爆散していく。
その凶悪なまでの理不尽さに歯噛みし、自分達が相対するのはこんな敵だと教えてくれなかった帝国を憎悪し、自分達を無駄な死へと追いやるだけだった無能な将帥を罵倒しつつ、泥水をすすりしがみつくようにして生き残って来たのである。
指揮官を失い、僚友を失い、所属する軍を失って、補給もなく、食糧もなく、荒野を彷徨していた彼らは、盗賊と呼ばれる身に落ちぶれ故郷を失った。
やがて同様な境遇の者が集まって、数を増やし、ここまで至ったのである。
「敗残し、身を落とせども我らは戦士……!」
帝国に対する意趣返し、そんな逆恨みにも似た暴力的な思いだけが彼らを駆り立てていた。
……要するにこれは、八つ当たりなのだ。
「敵を切り、敵に切られ」
「矢を撃ち、矢に撃たれる」
「火をつけ、火をつけられ」
「馬蹄で踏みにじり、馬蹄に踏みにじられる……!」
「嗚呼、わかりやすい殺戮」
「わかりやすい自分の死」
「「「「 これこそ俺達の戦争……!! 」」」」
これこそが戦いの神エムロイへの賛歌。
戦いの熱狂がエムロイへの供物となるならば、それはまさしく今この時以外あり得ない。
馬に跨る盗賊達の頭目が片手を上げる。
盗賊達の進軍が止まる。
断じて、断じて臆したワケではない。
「矢を、番え」
その合図を待っていた。
……ギラついた笑みで口元を歪めた盗賊達は、あらかじめ油を染み込ませた矢に火をつけていき、一斉に弓に番えていった。
目指すは勿論イタリカ。
……そして、その果てにある分かりやすい〝死〟
「っ―――――――――」
声無き声で、
盗賊達には、それだけで十分だった―――
……が、その火矢がイタリカに届くことはなかった。
「「「「 ッ〜〜〜!!? 」」」」
盗賊達は、一様に驚きを露わにした。
Q.それは何故か?
「こ、氷の山脈……!?」
A.自分達をぐるりと取り囲むように、イタリカの城壁に相当する分厚い氷山が顕現したから。
一瞬にして顕現した氷山の分厚さと冷気に、火矢の勢いと熱ごときでは到底太刀打ちできるはずもなく、そのことごとくが羽虫のように地に落ちていった。
氷山に閉じ込められたうちの一人、盗賊達の頭目は必死になって周囲を見渡す。
……ざっとだが、全体の七割ほどが氷山に閉じ込められ、中には脱出を試みる輩もいたが、びくともしない様子だった。
どういうワケか上部のみが吹き抜けとなっており、そこからの脱出も考えられるが、脱出は急がねばならない。
氷山がもたらす、洒落にならない凄まじい冷気によって既に体調不良者がチラホラ散見されたからだ。
「クソッ、こんな平原で凍え死になど御免―――」
時が、止まった。
何処からともなく、ホルンの音とともに、女声による歌が天空を駆け巡った。
空間を支配するのはオーケストラの調べ。
次いで聞こえたるは、死神の羽音。
鳥などの生き物と違って、もっと猛々しく、荒々しいはじけるような音の連続。
「…………鋼鉄の、天馬?」
翼を
そして、唐突に
聞くに耐えない金切り声を上げたその化け物は、砲にも似た筒を火花を散らしながら回転させ、そして―――
……一人残さず、塵芥も残さない。
殲滅の狂騒曲が幕を開けた。
「目が、目が見えるよ、お母さん!!」
「あ、あぁ、なんてことなの……!」
「わ、私の手が、足が、元通りに!?」
「あ、あぁぁぁああ、夢なら覚めないでくれぇ!」
「これは奇跡じゃ!神は我らに、救いの御手を差し伸べられたのじゃぁぁああ!!」
「……はい、次の方どうぞー」
ちょっとちょっとお爺ちゃん。
そんなところでギックリ腰が治った感動に浸ってると次の人が相談しにくいでしょ?早くおどき。
「あ、あの。怪我人の治療を無償で引き受けているとお聞きしたのですが……」
「はいそうですよー。あなたは診たところ……鼻と右手の指が無くなっているようですね。ほかに不自由している点はありますか?」
「いえ、その、それ以外は―――」
「はい、治りましたよー」
「……え、嘘、な、治ってる……!?」
「おや、随分可愛らしい顔立ちだったんですねぇ。どうぞ大事になさってください」
「あ、ありがとう、ありがとう……(泣)」
「はい、次の方どうぞー」
はぁやれやれ、軽い気持ちで始めたはずが、まさかこんな大盛況になるとはねぇ。
っていうか、列が全然途切れねぇぞ……?
……
まぁ俺のやったことなんて大したことないけど、一応順を追って説明しようかなぁ。
イタミさん達と一旦別れ、俺は陸将のハザマさんと念話で連絡を取り合っておいたのだ。
用件は簡単。
……空から来るケングンさん達の部隊を、俺の瞬間移動でイタリカまで引っ張れますよ?という確認だ。
あの時のハザマさんはメチャクチャ驚いてたなー。
そげなことが出来るんかいオドレー!?ってね。
……瞬間移動くらいはバレててもおかしくないと思ってたけれど、まぁそこら辺は俺の日頃の行いの賜物と思っておきましょう。
んで、なんだかんだありつつもちゃんと許可を貰うことが出来たため、次に東西南北四方の城門近くにいつでも魔法が発動できるようアレーティアに魔法のセッティングをお願いしてもらった。
セッティングしてもらった魔法は〝凍獄〟
……あれなら、氷で全身を覆わない限りは即死することもないし、硬度も十分だから後は高さがあれば立派な天然の要害と化す。
行動を著しく制限する分には十分だ。
後は、ワルキューレの騎行と殺気を垂れ流しながら離陸したケングンさんの部隊を盗賊共の頭上に移送しておけばいい。
……万が一〝凍獄〟を免れたとしても、城壁に近寄ればあらかじめ移送しておいたイタミさん達の部隊の格好の的になるし、そもそも近付く前にヘリに殺られて終わりだ。
逃げたとしても然り。
……いやはや、こんな酷え地獄、一体誰が作り出したんだろうねぇ(おまいう)
「キングさん。私にも何かお手伝いできることはあるでしょうか?」
あれ、クロカワさん?
城壁の防衛はもういいの―――って、なんかもう盗賊共の悲鳴が聞こえなくなったんですけど。
つまりはそういうことかな。そういうことだねぇ。
「ナイスタイミングですよクロカワさん。……簡易的な診療所を設けたはいいものの、全く患者さんを捌けなくて困ってたんですよぉ」
「傷病の程度が浅い方からお引き受けしますわ。とは言うものの、お恥ずかしながら今の私の腕では、とてもキングさんには及びませんが……」
止血と縫合、傷病者の治癒力を高める技法に目覚めている時点で凄いことなんだよなぁ。
クロカワさん、あなたの執念は褒められるべきものだよ。
「いいんですいいんです。それが出来るってだけで物凄いことなんですから。……取り敢えず、掠り傷だけの人はあそこの美人さんのほうに行ってくださいねー」
あ、野郎連中全員クロカワさんのほうに行きやがった。
ふーんだ、もう知らないよー?
「……レイタロウ、私も傷付いた」
「ユエ。……怪我なんかするタマじゃないでしょ?」
「……いつの間にかクロカワと仲良くなっている事実に胸が張り裂けた。この傷はレイタロウの血を飲まないと癒えない。……飲ませて」
「イヤだ、そんな頼みは聞けないねッ!」
「……彼は無能だ。だが彼は男の中の男だ。……レイタロウもそうあるべき」
「その論で言ったら、君に血を吸わせること自体アウトなんですが、そこんところはどうなんでしょ?」
「吸わせろ!ハリーハリー!!」
「ぅわー!俺は人間を捨てたくなーい!!」
まだ見ぬ夜明けを目指して、俺は面白おかしくその場から逃走した。
……結局、二分後にはその場に戻って、アレーティアに血を吸わせながら怪我人の治療に精を出すこととなった。
ピニャ殿下は、取り巻きの人達とともに城門の向こうで繰り広げられている惨劇にひたすら圧巻されている。
そうつまり、イタリカ攻防戦は一件落着したということ!
これで世界は平和になるねぇ。HAHAHA!!
「なんでぇ?なんでなんでぇ?なんでいつの間に終わってるのよぉ!!」
「同意。嵐のように問題が過ぎ去った」
「って、イタミ達はなんで
……あ、やっべ。
すっかり忘れてたわ。ハハハ。
ついでのように助かったノーマさんに拍手を。
しばらく更新はストップします。
あまりにも不親切な小説になってしまったので、不人気なのもしょうがないかなぁと。