GATE 国防軍 彼の地にて〝最高〟とともに戦えり 作:びよんど
金髪エルフっ娘を拾ったよって話です。
<<< 出発から数日経過 特地 >>>
『キングさん。私二等陸曹のクリバヤシシノと言います。好きです♡……あっと、そうじゃなくて、いやそうではあるんですけど、いつも活躍を拝見させてもらってます!もうホントになんて言えばいいのか分からなくってぇぇ。あぁぁぁもぉぉぉ頭ン中が纏まらないぃぃぃぃ推しへの愛が止まないぃぃぃぃ脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が脳が、震えるぅぅぅぅ!!♡!』
『クリ、無線でプライベートをぶち撒けない』
『ちょまっ、まだ切らな―――』ブツッ
「……思ってたより、ユニークな人達だねぇ」
「……そうですね、師匠」
どこの怠惰担当だよ。
……そう突っ込まないであげる俺は、誰がどう見ても優しいという自負があった。
無線から未練たらしく垂れ流される愛という名の呪いを一身に受けながら、不自然に整備された道を延々と走行する黒塗りの高機動車。
四台ある軍用車両の一番先頭を走っているその黒塗りには、俺こと地上最強の男キングが乗ってございやす。
「堅苦しく接されるよりはいいが、あそこまで詰め寄られるとは災難だったな、キング」
「……パスしても、いいんですよ、セキンガルさん?」
「丁重にお断りする。ハハハ」
そう言って笑うセキンガルさんは今、国防軍のものとは微妙に異なる軍服を身に纏いながら俺達の乗る高機動車の運転席でハンドルを握っている。
名目上は俺達の現場指揮を担当することになったセキンガルさんだが、まぁ要は俺達の行動の責任を一人で負うという貧乏くじを進んで引いた御方でもあるワケだ。
セキンガルさん曰く、出世のためには火中の栗も拾うさ、な〜んて言ってたけど、これは流石にリスクがデカすぎでしょ、などと思ったものだ。
そもそも敵陣のド真ん中まで一緒についてくることもないし、彼の行動からその人となりが垣間見えてくる。
「半径100m圏内に敵性反応なし。……今のところは順調ですね」
「引き続き要警戒だジェノス。この異世界にどんな脅威が待ち受けているか分からないからねぇ」
「はい師匠!」
人数が人数のため、どうしても少数精鋭としてそのマンパワーに頼らざるを得ないのが実情だ。
主に索敵全般はジェノスに頼り切っている。
彼の感知から外れるような未知の脅威に襲われた場合、対処は後手に回ることになるだろう。
だから、従来の感知機能に上乗せする形で常時『気』を纏ってもらい、その機能を底上げさせている。
今やジェノスのエネルギー操作練度は、19歳時の俺とは比較にもならないほどに熟達しており、感知だけに集中している分にはエネルギー切れを起こす心配は殆どない。
ジェノス自身俺に着いていきたいと言ってくれたのもあるが、俺としてもジェノスの存在は非常に心強いのだ。
ちなみにアレーティアは、ヒーロー試験を受けるために向こうでお留守番をしてもらっている。
行きたそうに見つめていたが、こればかりはプロヒーローになってもらってからでないと、ね……。
「チッ……クソッ、やっぱりだ、あーもう、だから嫌なんだ
「チャ、チャイルドエンペラー……?」
「あっ……すみませんキングさん!決してキングさんのことを悪く言ったワケじゃなくって……!!」アワアワ…
……ペロペロキャンディー噛み砕きながら愚痴をこぼすって、見ているこっちからするとちょっと怖いのよ?
セキンガルさんの隣で必死になって弁明するイサム君を見やりながら、半分怖いもの見たさでそのイライラの
「どうしたの?今朝からずっとイライラしてたけど」
「……えーと、これはですね、その……」
「「「 ……? 」」」
「……白状します。端的に言って、ボフォイ博士がやらかしてくれました」
「「「 ……あぁ 」」」
そう言えばあったね、丘の中腹あたりに
でもそれはあくまで、この基地を攻略して〝門〟を奪い返そうとする敵勢力を排除しただけの話じゃないの?
「小型ドローンカメラで丘の周囲を軽く調べてみました。そしたらあったんです。……
「何の兵器だ?」
「……レーザー兵器、です」
「はぁ!!?本当かチャイルドエンペラー!!?」
隣で運転していたセキンガルさんが驚愕を露わにする。
……あぁ、もしかして戦争で使用しちゃダメな通常兵器使用禁止なんとかに抵触するからなのかな?
「……はい、一度見たっきりだけど覚えてます。昔博士のラボでチラリと目にした失敗作で、小型化しすぎて部品の耐久限界を度外視したって理由で文字通りお蔵入りになっていたはずのドローン型兵器だったと思います」
「……なんてことだ」
「問題は、あれが
……失明を狙ったものでなきゃセーフなの?
まぁ話の流れ的にそういうことなんだろうねぇ……。
「……隠蔽しようにも、破片はあちこちに転がっているんだろう?」
「ええ、殆どは焼失していましたが……入念に調べれば分かるはずです」
「マスコミが五月蝿いだろうな……」
「……もぅ、ホントにどう釈明すればいいのやら……」
……なんつーか、真面目だよねイサム君。
俺がイサム君の立場ならやってられないよホント。
「身勝手な大人のために、君が苦労することはないよ」
「っ、キングさん……」
大人の俺の勝手な言い分だけど、どうか聞いててちょーだいよ。
「メタルナイトの代わりに君が矢面に立って事情説明をしたり謝罪するのは明らかに間違っている。誰かがそういう貧乏くじを引かなきゃならないのは確かだけど、それはやらかした当人に押し付けるのが最適解のはずなんだ」
「で、でも……」
「分かってる。どれだけ説得したところでメタルナイトは、ボフォイ博士は表舞台には出てこない。……俺が言いたいのは、ダメな大人に希望を見出すのは辞めておけってことだ」
「……でもそうしたら、僕は何を―――」
「大丈夫だ、俺がいる」
「っ〜〜〜!」
「こんな俺でも、君を守れるだけの〝盾〟には成れるさ」
「キング、さん……」
「今の君に本当に必要なのは、孤独を是とする強さじゃなくて、信じられる仲間だと俺は思うよ。……まぁ要は、一人で溜め込まないことだねぇ」
「っ、はい、はい……(泣)」
目元をごしごし拭きながら礼を言うイサム君。
良いこと言った感じになっちゃったけど、ところどころ前世の漫画の知識を引用して喋った気がするぉ。
自信ないなぁ自信ないなぁと内心悶々としていると、滅多に見せないにこやかな笑顔を向けながらジェノスが話しかけてきた。
「やはり、師匠は子供には特にお優しいんですね」
「大人は子供の見本であるべきだ。そうだろう?」
「……そう、ですね」
ジェノスは俺から視線を外し、車窓から覗く青い空を見据えながら答えた。
今ジェノスがどんなことを考えているか、その全てを理解することは出来ない。
それでも、俺の一番弟子として着いていきたいと言ってくれたジェノスの意志をなるべく尊重するつもりだ。
「こちらセキンガル。………………了解した」
っと、そうこうしているうちに向こうから無線を通じて連絡が届いたようで、セキンガルさんがこくこくと頷きながら話を聞いてくれている。
やがて話は終わったようで、無線を置いたセキンガルさんは車内にいる全員に聞こえるように話を始めた。
「皆、この先をしばらく進むと小川が見えてくる。そこを右折して川沿いにしばらく進むと森が見えてくるとのことだ。その手前で野営を行うぞ」
「「「 了解 」」」
野郎四人の異世界旅、どうせならトコトン楽しまないと損だよなぁ!
「……ありゃりゃ、森が無くなってますねぇ」
「……消し炭になってる」
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
俺達は川沿いに進んで森に到着したはずなのに、何故か森は焼け落ちていた。
な、何を言っているのか分からねーと思うが俺も分からなかった。
頭がどうにかなりそうだった……。
……はい、ボケ終了。
「ここいらにコダ村の村長の言っていた集落があるはずなんですけどねぇ……」
「……エルフの集落、でしたね」
偵察隊のリーダーであるイタミさんとともに焼け野原と化した森の中を慎重に突き進んでいく俺ことキング。
余談となるが、ジェノスには周囲の警戒、イサム君には原因究明をお願いしてある。
どうやら昨日降った雨によってほぼほぼ鎮火してくれたものの、いまだに地面は火災の熱を閉じ込めているのか、ぬかるんだ地面を踏みしめる靴底は温かい。
「……イタミさん、見ないほうがいい」
「えっ?……あっ、うわぁ……」
あまりの熱量ゆえに黒ずみ炭化しかけた
ついこの間まで、ここは確かに集落だったんだろう。
……人体の不思議展を見てるみたいで、あんまりいい気分じゃないなぁ。
「二尉、これって……」
「クラタ、言ってくれるなよ……」
「うへぇ……吐きそうッスよ」
すぐ近くにいたクラタさんは、胃のあたりを押さえながら周囲を見渡している。
無事な建物なんてどこにもありはしない。
石造りの土台の上に作られた建物は焼け、瓦礫の山と化していたからだ。
「ニシナ一曹。カツモト、トヅを連れて東側を回ってくれ。……クラタ、クリバヤシ。俺達は西側を探すぞ」
「……探すって、何を?」
「う〜ん、生存者?」
いたらそれは奇跡的などと思いつつも、正直手透きだったため俺もイタミさん達を手伝うことにした。
『テュカ、起きなさい』
少女の優しい夢は、父親の声に破られた。
『お父さん、どうしたの?せっかくいい気持ちで寝てたのに』
目を擦り、身を起こす。
見渡して見ると、居間にはうららかな日差しが差し込んでいる。
午睡から無理矢理目覚めさせられたためか、頭がまだハッキリとしない。
ただ、自分を起こした父の表情が異様なまでに険しくなっていることには気付いた。
窓の外からも雑多な足音や喧騒が聞こえてくる。
集落中が騒ぎに包まれていた。
そのただならぬ気配に何か重大なことが起きたのだと悟った。
『どうしたの―――ッ』
その答えは、窓の外、その空を悠々と飛ぶ巨大な古代龍が教えてくれた。
この辺りには龍は棲まない。
だから実際に見るのはこれが初めてである。
しかし幼い日々、父親から受けた博物学の講義で知識として知っていた。
『あれは、もしかして炎龍ッ!!?』
『そうだ』
父が手にしているのは弓だった。
これはエルフ一族では一般的な武器だ。
更には、貴重品をしまい込むのに使っているタンスに手を伸ばし、中からミスリル銀の
父が、戦おうとしている―――ッ!!?
テュカも反射的に愛用の弓矢に手を伸ばした。
……が、父親からの制止の声を受けて硬直してしまう。
『どうして?』
『君は逃げるんだ』
『私も戦うわ』
『ダメだ。君に万が一のことがあったら、私はお母さんに顔向け出来ないよ』
父が亡くなった母のことを持ち出すのは、娘に是が非でも言うことを聞かせたい時だ。
だが、精神的に自立する年齢を迎えていた娘は父に笑顔で逆らった。
『炎龍が相手じゃ何処に逃げても一緒よ。……それに、手勢は一人でも多いほうがいいでしょ?』
肉食の炎龍が好物とするのはエルフや人間の肉だと言う。
ここで炎龍を倒さない限り、何処へ逃げようとも匂いを嗅ぎつけてやってくるに違いない。
大地を這いずり回るエルフや人がどれだけ逃げようとも、古代龍にとってはひとっ飛びの距離でしかないのだから。
窓の外では、戦士達の矢が空に向けて放たれた。
風や水の精霊が召喚され、炎龍への攻撃が始まっている。
……が、その効果は薄い。
炎龍から放たれた炎が、誰かの悲鳴とともに家を焼く。
避難しようとしていた女子供がこれに巻き込まれて火達磨になった。
絶命の金切り声が耳の奥まで響いて、テュカは眉根を寄せる。
『とにかく、ここにいては危ない。外へ出よう』
父は娘の手を引いた。
娘はしっかりと弓矢を握っていた。
絹裂く悲鳴がそこかしこから響く。
戸口から出たテュカが目にしたのは、幼馴染の少女が炎龍の牙にかけられる瞬間だった。
『ユノッ!!』
愛する親友が食べられてしまう。
咄嗟の判断でテュカは素早く弓矢を番えた。
若いとはいえ、弓を手に産まれてくると言われるエルフである。
腕前は確かだった。
渾身の力で引き絞り狙いを定めて矢を放つ。
……が、テュカの矢は弾かれてしまう。
テュカの矢ばかりではない。
エルフの戦士達が無数の矢を龍に浴びせかけていた。
だが、そのどれもが分厚い鱗に阻まれて傷一つ負わすことが出来ないでいた。
バリバリとエルフの少女を噛み砕き飲み込んだ炎龍は、縦長の瞳を巡らせると次なる獲物としてテュカを選んだ。
『ユ、ユノが、ユノが……』
炎龍に見据えられた瞬間、テュカの全身は恐怖に竦む。
逃げようにも足は動かず、叫ぼうにも声すら出ない。
龍と視線を合わせてしまうと魂が砕かれると言う。
この時のテュカは、まさに魂を奪われたかのように動けなく、逃げようとすることすら意識にのぼらなくなっていた。
『ダメだ、テュカ!!』
父が矢を番えつつ、精霊に呼びかける。
『Acute-hno unihy Oslash-dfi jopo-auml yuml-uya whqolgn!』
風の精霊の助力を得て、閃光のような矢が炎龍の眼に突き刺さった。
『■■■■■■■■■ッ〜〜〜!!!』
その瞬間、炎龍の叫びが大気を震わせた。
その振動は周囲に居合わせた生きとし生けるもの全てを引き裂いてしまうのではないかと思わせるほど。
炎龍はのたうち回るようにして、空へと浮かぶ。
『眼だ、眼を狙えッ!!』
戦士達の矢が炎龍の頭部に狙いを定めた。
だが、大地に降りているならともかく上空に舞い上がった龍の眼を狙うのは、いくら弓兵のエルフといえども難しい。
炎龍は、自らを傷付けたエルフを選び出し狙いを定めた。
集落を巨大な炎の柱で焼き払うと、炎龍はその鋭い爪と牙とでエルフの戦士達を蹴散らし、払いのけ、踏み潰し、食いちぎった。
『テュカ、逃げなさい!!』
父ホドリューは娘を叱咤した。
しかし、娘は呆然と立ちすくんだまま。
彼は娘に手を上げるどころか、声を荒げたことすらない優しい父親である。
それは日々の暮らしの中では柔和なだけの甘い父親として見える。
しかしこのような危急の時、則ち勇猛と暴力的な荒々しさを剥き出しにしなければならない時、これを発露できる厳しさも兼ね備えていた。
娘が龍の上顎と下顎の隙間に捕らえられる寸前、父は自らの体をもって娘をはじき飛ばした。
そして、炎龍の顎にレイピアの一突きを食らわせる。
そのまま娘の体を抱え上げて走り出す。
『来たぞ!』
戦士達の精霊への呼びかけは、あたかも合唱のように響く。
矢が斉射され、その内の数本が炎龍の鱗の隙間へと突き刺さったり、口腔へと突き刺さったり、爪の付け根へと突き刺さったりした。
だが、龍は怯むことなく巨体をもって迫ってくる。
父は、娘に語り聞かせた。
『君はここに隠れているんだ。いいねッ!?』
そして、娘は井戸の中へと投げ込まれる。
投げ込まれる最後の一瞬、彼女が見た光景は、父の笑顔とその父の背後に広げられた炎龍の巨大な顎、そして牙であった。
どれほどの時間を井戸の底で過ごしただろうか。
集落や森が焼き尽くされていく炎の音。
井戸の中にまで降り注ぐ火の粉。
戦士達の怒号。……そして悲鳴。
腰まで浸かる水の冷たさに震える。
ただただ怖くて、恐ろしくて、そして不安で、涙を止めることも出来ない。
ふと気が付くと、耳に入る音がなくなっていた。
聞こえるのは自分の呼吸音、心拍音、あるいはささやかに聞こえる水の音だけ。
蒼かった空が、いつの間にか黒く暗くなっていた。
だが、不思議と井戸の周りは明るかった。
集落を焼く炎の光が、井戸の底まで届いているのだ。
気が付くと、雨が降り始めていた。
全身が雨に濡れ、顔が濡れ、目に水が入る。
だが、どうしても空から目を離すことが出来なかった。
『やぁテュカ、無事だったかい?』
そう言って父がひょっこりと顔を出す。
……そんな光景を何度思い浮かべたことか。
でも、いくら待ち続けても誰の声もしなかった。
皆死んでしまったのではないかというネガティブな感情が浮かび上がって、胸が引き裂かれそうになった。
「お父さん………………助けて」
やがて空が明るくなった。
夜の黒い空から、昼間の青い空へと移り変わった。
井戸水は冷たく、寒さと疲れ、そして空腹とでテュカは立っていることも出来なくなっていた。
絶望と悲しみで、あらゆる気力が失われていく。
「このまま……死んじゃうのかな」
不思議と怖くはなかった、と言うより、このまま死んでしまうことが何か良いアイディアにも思えるのだ。
死んでしまえば、怖れや不安から解き放たれる。
孤独の悲しみも、切なさからも逃れられる。
あらゆる苦しみからの唯一の救いが〝死〟
そんなふうに感じられたのだ。
ふと、井戸の上から何か凄い音が聞こえた気がした。
朦朧とした意識で天を見上げてみる。
「……間違いない、井戸の中に女の子がいる」
「Ee!?MajidesukaKingsan!!?Hayakutasukenaito―――」
気が付けば、暗く冷たい井戸の底から、日の光が強く差し込む地上にいたテュカ。
「大丈夫か?……自分の名前を言えるかい?」
疲労と困惑によって思考が働かない彼女は今、ある一人の
その雰囲気は、どこか彼女の父に似ていた。
「お父……さ……ん」
「……えっ?」
「エルフッスよ、二尉」
「そうだねぇ」
クラタさん達がなんかジロジロと見てるぅ……。
井戸の底から抜け出せずにいたこの娘を瞬間移動で引き上げて、治癒がてら温かい毛布にくるんでいる真っ最中だと言うのに、何故か人だかりが出来てたの。
「しかも金髪のエルフッスよ。くぅ〜〜希望が出てきたなぁ!」
「なんだお前、エルフ萌えか?」
「自分はケモノ娘一筋ですが?……要はエルフがいるんならケモノな娘もいるはずッスよね!絶対!」
「そーねー、いたらいーねー(棒読み)」
見世物じゃないんだよぉ?
全くもう、これだから男子は……(俺も男子)
「あっち行くッ!見世物じゃないッ!あとクラタは撮るなッ!!」
「「「「 ひゃあ!! 」」」」ツッタカター!!
「……この娘はもう大丈夫でしょう。後はよろしくお願いしま―――」
「キングさんは別です!」
「えっ……」
「目には見えない小さな傷があるかもしれません!隅から隅まで入念に治癒してもらわないと!」
「あ、いや、もう大丈夫……」
「私のことなどどうか気にせず!ささ、どうぞ!!」
「あの……」
「どうぞ!!!」
クリバヤシさん、目が怖ぁい……(震え)
初めて顔を合わした時からずっとこうなんだよ。
事あるごとに俺に接近しては、お突き合いしませんか〜とか、その腕っぷしに惚れています〜とか、前世からファンでした〜とか、聞いてるこっちが恐怖を覚えるくらいにグイグイ迫ってきてるんだよねぇ……。
っていうか、既にピッタリとくっついて離れない。
これでもし〝
「クリバヤシ二曹、キングさんが困っておられますわ」
「ゲッ、クロちゃん……」
あ、長身美女の救世主クロカワさん登場。
そうなんですよマジで助けてヘルプミー!
「……彼女の容態は安定しているようですし、これ以上キングさんの手を煩わせることもありませんわ」
「で、でもクロちゃん―――」
「後は私達が引き継ぎましょう。クリバヤシ二曹?」
「は、はぁい……」
……はぁやれやれ、何がとは言わないけど、これでようやっと解放されるよぉ。
クロカワさん、色んな意味で、ありがとうございまぁす!
っと、そうだったそうだった。
「キングさ〜ん!」
「キング!」
イサム君とセキンガルさんが手を振りながらコッチに近付いてきた。
ちょうどいい、この二人にいち早く打ち明けちゃおう。
「キングさん!僕のほうでもあれこれ調べてみたんですが、この火災、自然発生したものじゃないと判明したんです!」
「ご遺体の殆どに食いちぎられた形跡があった。この大惨事を引き起こした真犯人、それは火炎を発生させる能力を持った巨大生物、つまりは怪人だ」
「俺も今しがた確認したところだよ」
「「 ……え? 」」
「おそらく、この集落唯一の生き残りである女の子の記憶を読み取って分かったことだが、この集落を襲ったのは炎龍と呼ばれる古代龍、ドラゴンだ」
「ドラゴン……!」
「覚悟はしていたが、まさか本当に……」
イサム君とセキンガルさんの表情が険しくなる。
……まぁ俺はトータスで竜人族の女性と会ってるから、この世界にもいるんだろうなーとは思ってたけど、二人にとっちゃ衝撃的なんだろうねぇ。
「とりあえず、ドラゴンの対処は後で考えるとしよう。今は保護した女の子をどうするか、そっちが先だ」
「……はい」
「やれやれ、現場指揮の面子丸潰れだな……」
すみませんねぇセキンガルさん。
形だけとはいえリーダーを務めてますもんで、ちょっとくらいはリーダーシップを発揮しないと、国防軍の皆さんに示しがつかないですからねぇ……。
やれやれ、空がイヤに青いと来たもんだ。
トータス帰りのキングさん、ちゃっかり〝言語理解〟の技能をフル活用している件について。
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