Re:TS白黒ストライプバニー老害によるナツキ・スバルの悲喜劇観賞会   作:F・M・T (フランチェスカ、マジ年増)

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 FGOのFAKEコラボと今期のリゼロのアニメを見て思い付きました。
 思い付いたなら、書くしかないよね!


1.フランチェスカ・プレラーティ

 新しい門出を祝うかのような涼やかな青空の下で、人々の賑やかな喧騒が木霊する。

 そんなルグニカ王国のとある家の屋根の上で、彼女は誰に認識されることなく言葉を紡いでいた。

 

 

「いやー、まさか原作の400年前に転生しちゃうなんてねー?流石の私でも驚きだよーっ!」

 

 

 彼女はプラプラと足を揺らしながら、白の日傘をクルクルと手元で回す。

 

「【Re:ゼロから始める異世界生活】の世界に転生をしちゃったのも驚いたけど、原作の400年前じゃあ何をしたらいいのかも分からないから、本当に色々手探りだったし大変だったなぁ」

 

 そんな彼女の風貌はこの世界でも目立ちに目立つものだった。

 毛先に向かって薄紫になる白髪の頭部には、大きな黒いリボンが幾つも付けられ可愛らしさを主張している。

 衣服は大胆にも胸元まで露出させた、白黒のストライプ色の改造バニースーツに、腰に付けられた前面を隠すつもりが一切ない鼠径部を丸出しにする白のスカート。

 そして、そんな防御力ゼロのスカートから覗くガーターベルトがよく見える白のニーハイ。

 

 キュートさとセクシーさを合わせたような格好は、まるで夜の仕事をし始めた少女のような風貌だが、その瞳に宿る淀んだ狂気の坩堝がその軽い印象を薄くさせる。

 

 底の知れない黒と白、そして深紫によって形成される三重丸の瞳は、心の奥底にある本心を覆い隠し、不気味さを見ている者に与えてくる狂気の瞳だ。

 見る目のあるものならばその瞳を一目見て、要警戒対象にするほどの異常さを内包していた。

 

 

「最初はてっきり、【Fate】の世界だと思ったんだけど、まさか全然違う別作品だとは思わなかったよ」

 

 

 【Fate/strange Fake】の黒幕の一人である、フランチェスカ・プレラーティというキャラの肉体へ憑依転生した彼は、この世界が肉体となったキャラクターの世界ではなく、【Re:ゼロから始める異世界生活】の舞台となっている世界であることに気付くのは、そう時間は掛からなかった。

 

「ロズワールの存在を知ってからは数珠繋ぎだったなぁ。魔女達に存在がバレてからは追いかけられたりして大変だったよ。む~、私はポップコーンを持って外から楽しむ観客でいたいってのにさ!」

 

 400年後に日本からこの世界に転移してくる『ナツキ・スバル』に出会うため、()……いや、彼女が行動を始めるのは自然な流れだった。

 

「原作に追い付くため……ううん、追い付くまでに色々とできることを頑張ったんだよねー。幻術で姿を隠しながら多くのお金を手に入れたりとかもしたりして、この世界で有数の権力者にもなったんだよ?」

 

 暴力だけではなく表でも無視できない強力な権力を手に入れる。

 それこそ、魔法使いとしてだけではなく辺境伯としても名高い、ロズワールと同等の存在となるためにあの手この手を使ったものだ。

 

「成功者から破産して転落人生へ人生真っ逆さまに転げ落ちる姿は、もう最高っ!!やっぱり絶望にまみれたバッドエンドがいいよね~」

 

 そして、そんなどこの世界でもできそうな事だけではなく、この世界でしかできないことも数々行った。

 分かりやすいところを言えば、登場人物に会うことだろう。

 

「でも、面白半分で『魔女』達に会うのは失敗だったなぁ。何回か殺されちゃったし」

 

 迂闊な行動による報いだ。

 原作知識に頼りすぎた弊害が起きてしまった。

 

「『魔女の茶会』での彼女達は話しができたから大丈夫だと思ったんだけどなぁ。エキドナとか一部の魔女は何の躊躇いもなく殺しに来るなんて、イジメはんたーい!性格の悪さなら私よりも酷い魔女が居るのにどうして私だけなのー!?」

 

 今まで溜め込んだ鬱憤を吐き出し続ける。

 待ちに待った瞬間のため今のうちに吐き出しておこうという魂胆なのだろうか?

 そんな事を次々に口にする彼女だが、屋根の上で騒ぎ続ければルグニカ王国の憲兵が早々に気付いてもおかしくはない。

 

 そして、当然の帰結として見回りをする憲兵の視界に入る。

 いきなり斬りかかれることはなくても、町中に響き渡るほどの大声で説教をされることは確定だろう。

 

 しかし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「レイドやホーシン、フリューゲルにファルセイル。その辺りは限定キャラだから出会っといて損はなかったけど。……いや、別にレイドはそうでもなかったね」

 

 それぞれの反応を見れたのは、彼女が得をした事だろうか。

 

「それこそ、ファルセイル・ルグニカの『最後の獅子王』なんていう異名を聞いたら会いに行くしかないよねー?原作のフランチェスカと同じく【Fate/strange Fake】で初めてメディアミックスで登場した、セイバーのサーヴァント、リチャード1世。彼の異名と似た存在なんて興味が出て当然だもんっ!」

 

 全くの別人だということは分かっていたが、興味を抑えることはできなかった。

 

「そして、実際に会ってみたら一緒に居た『棒振り』のレイドに斬られたり、『強欲の魔女』のエキドナに魔法で殺されたりで……もー、本当に酷い目にあったよ!」

 

 頬を膨らませてプンスコと怒りを露にする。

 

 当然のことだが、これは前世で彼がする筈もない行動だ。

 しかし、その変質も彼は受け入れている。

 これこそが、彼の代償だった。

 

 

 

「フランチェスカ・プレラーティの魔術を自由に扱うことができる。それこそがいつの間にか備わっていた転生の特典、『プレラーティの肉体と知識と技能』。まあ、この世界から……『オド・ラグナ』から認められている以上は、『転生特典(チート)』というより『加護(祝福・呪い)』に該当するかもだけど」

 

 

 

 別に転生する際に神様に会ったわけではない。

 原作のナツキ・スバルと同じ様に、この世界へいつの間にかやって来てしまっただけだ。

 何故か、体がフランチェスカ・プレラーティというだけ。

 

「強キャラになった事がせめてもの救いかな。下手をしなくても弱かったり寿命を超越できなかったら、主人公のスバル君に出会えなかったもん」

 

 しかし、そんな彼女であっても今日この日まで生き残る事は平坦な道のりではなかった。

 

「他の魔女達が次々に『嫉妬の魔女』に殺され続ける中で、私だけは幻術で騙して偽って逃げに逃げて、何とか逃げきれたのは本当に偉い!うんうんっ、流石は私っ!」

 

 キャッキャッと話すその姿を視認できるものは、誰1人として存在はしない。

 それこそ、()の『剣聖』であったとしても()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ため、世界中を探したとしても片手の指で数えられる程度だろうか。

 

「パンドラの現実改変能力と私の世界を騙す幻術じゃあ私が有利だからねー。まあ、前世の情報が無かったら何もできずに消されてたけどさ」

 

 何度か殺されかけたが『権能』の相性の良さで、撃退し続ける事ができた。

 別の肉体で生き続ける延命法も、【リゼロ】の原作で魔女教大罪司教『怠惰』担当、ペテルギルス・ロマネコンティがしているし、魔女因子が無いロズワールでさえもできているため、フランチェスカの知識がある彼女ができない道理はない。

 

「だいぶフランチェスカの思考回路になったよねぇ。肉体に精神が引っ張られるっていうのも嘘じゃないんだ」

 

 まさか、外道キャラになることでここまで価値観がガラリと変わってしまうのは、明確なデメリットだった。

 まあ、400年も生きて神龍のようにボケていないだけマシかもしれないが。

 

「悲嘆に暮れる慟哭の声が子守唄のように心地良く聞こえて、苦悩に悶える様は官能的に見えてゾクゾクしちゃうし、自分の人生に絶望する顔は凄くチャーミングに見えるようになったのは驚きだよぉ。価値観をここまでガラッと変えられちゃうと、流石に怖いものがあるよね」

 

 人格の汚染や侵食にあたるため、【型月】作品の『死徒』に近しいだろうか。

 まあ、パンドラも魔女因子を体の中に宿してからは、人格が変化してしまった『元・聖女』であるため、この世界でも人格の汚染はそう珍しい事でもないのだろう。

 

「まあ、アーテーの狂気がこの体の元だからねー。いつの間にか、私も狂気に染まって戦争が大好きになっちゃった!キャハハハ!」

 

 その体が悪性情報の塊だった事が、彼の不幸の始まりだったのだろう。

 平和な日本に生まれた事により、倫理観はしっかりと備わっていたつもりであったが、この肉体による影響で趣味趣向が大分狂わされていた。

 男か女かの性自認も怪しくなり、原作のフランチェスカと大した差は既に無い。

 

 そんな彼女が待ちに待った最高の娯楽がこの瞬間だった。

 

「『剣聖』が来るパターンかなぁ?それとも、ゲームとかだと別の騎士……『最優』に助けられたりもするんだっけ?ゲームはしてなかったからなぁ……そんなIFでもエミリア陣営に戻るって言うんだから頑固だよねぇ、スバル君も」

 

 真下にある路地裏を見下ろしながら、今現在必死にチンピラである『トンチンカン』を相手にして切り抜けようとしている、ナツキ・スバルの奮闘を鑑賞する。

 

 格好良いところなんてどこにもない、路地裏のチンピラ達と小競り合いをするジャージを着た少年。

 彼は無様に喚いて三人のチンピラ達と言い争いをしている。

 

「うんうん!私のイメージ通りの喚き散らすばかりで、格好良いところなんて微塵もない見事な小者っぷり!出てくる言葉も聡明さなんてまるで感じられない、大量生産のクッキーみたいなチープさだよ!味付けなんてまるでされてない無味乾燥な焼き菓子を、口の中にどんどん詰め込まれている気分っ!アハハ!どうしよう~、胸焼けしちゃうぅ~~♪」

 

 主人公とはまるで思えない考え無しの軽はずみな言動。

 カリスマ性なんて欠片も感じられないその振る舞いは、原作知識がなければ一目で無価値な有象無象の一人と換算していただろう。

 

「で・もぉ……だからこそ、あれが紛れもない本物だって分かっちゃうんだよねぇ。こんな輝きなんてまるで無い特に才能も無い凡人が、過酷な状況に追い込まれるとあそこまで化けちゃうなんて誰も思わないって!」

 

 この世界で行き続けた400年の中で、過去一番の上機嫌で誰にも聞かれない笑い声を上げ続けるフランチェスカ。

 彼からすれば待ちに待った待望の瞬間が、この日の光が差し込まない陰気で下らない光景だった。

 

「スバル君の株は必ず暴騰するんだから、今のうちに買わない手は無いよねぇー?それこそ、最安値のユリウスに叩きのめされた、あの一番みっともない時に味方になっちゃえば、優しいナツキ・スバルなら私を殺そうなんて思わなくなるもん」

 

 生存戦略。

 生きるための策略のためにナツキ・スバルに取り入るーーなんてことは気にしていない。

 

「まあ、そんなことより、スバル君の地獄の『死に戻り』人生を間近で観賞できるって事の方が重要だよねー!この世界だ400年過ごしてきたけど、あんなに異質で異端で異常な力なんて、見たことないよー!ああ……っ、彼の隣で苦痛と絶望で苦悩しながら前へ進んでいく姿を、見続けることができるなんて、どれだけ幸福の毎日なんだろう!?」

 

 誰にも聞かれないからと言って好き勝手に話し続けるフランチェスカ。

 外道らしい心無い言葉を吐き続ける。

 彼女はこの主人公で愉しむために400年も生き続けてきたのだ。

 

 路地裏で絶望の声を上げる、黒とオレンジ色のビニール袋を持ったジャージ姿の少年を見下ろしながら、彼女は愉しそうに笑う。

 

 

「さあ、私に存分に見せて?絶望で彩られたナツキ・スバルの異世界生活を!アハハハハハハハハッ!!」

 

 




盛大な独り言です。
400年も周囲を騙し続けて孤独に生きればこうなる。
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