Edge of Heart   作:星空エクレア

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 ※たんプリ最新話の感想などで、前書きがいつもより長いので興味がない方は本編まで飛ばしてください。今回はついに、ハルが原作主人公のあんなさんとみくるさんに、はっきりとした形で出会います。


 >たんプリ最新話

 一部では『あんみくがいる意味がない』、『予言書なんて怪しいもの信じるるるかは馬鹿』など賛否両論ですが、個人的にはようやく本音でぶつかれたり、抱いていた懸念点がかなり解消されたりしてて割と良かったんじゃないかなとは思います(忘れられた種族とか、大王は瞳に星を宿すなど唐突なところもあったのは事実ですが)。どんなに名探偵でもまだ16歳なこと加味したらるるかさんの未熟さも表現されてて割と納得いきましたし、あんなさんとみくるさんもきちんと役割があったことやるるかさんの精神世界で本音でぶつかれるのはくれあさん以外いなかったのは事実だと思います。


 >るるかさんはドノツラなのか?

 謝罪シーンが無いと批判する人もいますが、謝ろうとする彼女をあんなさん達が「気にするな」というシーンあったので気にはなりませんでしたしあんまり的を得てない批判だなと思います。
 カービィの場合、レギュラーに絞っても『国中の食糧と秘宝窃盗』なデデデに『巨大戦艦での革命未遂』なメタナイトとかなりの罪犯している上にゲーム内で描写されている限り謝罪なんかしてない世界なので、るるかさんなんて可愛いものですよ(批判している人達がマルクとかマホロア見たら泡吹いて倒れそうです。カービィも『ケーキを盗んだ』という冤罪吹っかけまくって終始暴走していた作品あるので実は痛いところがないわけではない)。


 >次回予告

 無事加入したるるかさんですが……次回予告のアナタ、お笑い要員になるの早すぎませんか?(加入直後の密林で虫が苦手なことが、間をおかない頃に山の頂上でムフフ本に何故か詳しいことが判明するドラクエ11のグレイグを彷彿とさせます。しかし、敵対していた過去を水に流すにはこうするのが一番なのだとは思います)


 >余談

 アトラス公式が来年発売のペルソナ4Rの新規戦闘BGM【Prime Time Golden Hour Show】を公開! ペルソナ4らしいハイカラでハイテンションな曲だと思いますし、たんプリメンバーにも合いそうです(ハルにも合いそうなところは所々あります)。



 以上、色々書きましたがここから本編です。
 


STAGE2ー9 NachtflügelⅣ

 

 

 ────予告まで10時間、怪盗団ファントムアジト。

 

 

 ────昨日、宝生美術館の宝生ちなみオーナーに、『怪盗団ファントム』と名乗る人物から予告状が届きました。『明日、夜8時、【星明かりのプリンセス】をいただく』と書かれており、美術館は警察の導入と共に警備員の動員や見回りの強化等を実施すると………

 

 

 朝食を終えたハルとるるかはテレビのニュースを見ていた。目的は勿論昨日自分達が送付した予告状に対する宝生ちなみの反応を見るため。

 テレビには星明りのプリンセスを盗むと書かれた予告状を記者やカメラマンに向けて見せている宝生美術館のオーナーの姿が映っている。

 

 

 ────送付されたこの予告状に対し、宝生ちなみ館長は『言語道断。賊に渡す物は何もない』と強い怒りを見せています。しかし、怪盗団ファントムとは一体何者なのか……

 

 

 「……あれ? ボクの予告状が映っていないような?」

 「────ハルの予告状を公開してしまえば美術館が疑われる」

 「展示品はほぼ全て贋作という事実を突かれたくない以上、余計な疑念を持たれたくないのよ」

 

 だが、映像内の彼女が見せた予告状はそれだけなことに、疑問を覚えるハル。だが、るるかとマシュタンは、ハルの予告状内にある『偽りの世界』や『芸術の尊厳を破壊』というワードから、展示品の殆どが贋作という真実に辿り着かれたくない宝生ちなみが意図的にマスコミには隠しているのだろうと答える。

 

 「だけど、警察まで引っ張ってくるとは驚きね。相当警戒しているのでしょう」

 「────警察には真実を隠した上で見せているはず。私達を檻に叩き込んで真実を無理やり塞ぎに来る腹積もり」

 

 それに加え、おそらく自分の富豪という立場に物を言わせたのか警察にも警備の協力をさせていることに対して、るるかとマシュタンは厄介さを覚える。『展示品はほぼ全て贋作』『呪いの指輪』という二つの大きすぎる爆弾を抱える宝生ちなみは自身の玉座を少しでも脅かしかねない事象は全力で叩き潰そうと、なりふり構っていられないようだ。

 

 

 「だけど、ボク達のやることは変わらない。宝生ちなみさんを蝕んでいる呪いの指輪を破壊して、彼女の心を解放しよう」

 

 それに対し、ハルは少しも怯えずに自身のやることは変わらないと宣言。闇の災厄をバラ撒いている真の黒幕を捕まえるという目的で動いている彼は高い壁に臆することはない。

 

 「ふん、随分熱血なことだ」

 「予告状出す理由は分かったけど、相変わらずメンド―だし」

 「流石、熱いなハル! 頑張れよ!」

 

 すると後ろから聞こえる三人の声────ニジー、アゲセーヌ、ゴウエモンだ。

 

 「ありがとー! あ、お昼ご飯のラザニアの方はそれぞれ名札貼ってるよ。夕食の豚汁は食べる前に火にかけて温めてね」

 

 ハルはお礼を言いながら既に用意した昼食と夕食について伝達を行う。昼食のラザニアに関してはゴウエモンは大盛り、ニジーとアゲセーヌは並盛、ウソノワールは小盛りで用意してある。当初はウソノワールの見た目から多めに用意していたが、アゲセーヌから「ウソノワール様は少食だから、量は少なめで良いし」と言われてから、それぞれの適量に調整した結果だ。

 

 

 「ボクとるるかさんとマシュタンは昼から現地潜入。アゲセーヌは夜から合流だね。アゲセーヌ、よろしくね」

 「ふふん、アゲの力見せてやるし」

 (隙を見せたら手柄横取りするつもりじゃないかしら?)

 (───ここで外しても不意を突いてくる可能性はある。それなら最初から関わらせて監視しておく方が良い)

 

 更に作戦の最終確認として今回助太刀を依頼したアゲセーヌに声をかける。

 今回の作戦において、ニジー、アゲセーヌ、ゴウエモンが使える『ある力』が必要であり、三人の内誰か一人に同行してもらう必要がある。その中でハルは前回の事件で唯一良いところが無かったアゲセーヌに声をかけたところ、やる気満々の彼女は了承。手柄を横取りしようとして来た前科がある彼女を同行させることに一抹の不安を覚えるマシュタンだが、それなら監視しやすいようにするのが一番だと判断したるるかは静観するようにと話す。

 

 

 「よし、出撃だ。だいじょーぶ、ボク達ならやれる」

 

 そして、自信に満ちた瞳と声で号令をかけたハルはるるかとマシュタンと共にアジトを出発した。

 

***

 

 ────予告まで7時間、宝生美術館の館長室。

 

 

虚飾の女王 宝生ちなみ殿

 

偽りの世界で多くの人の心を不当に支配し

 

芸術の尊厳を破壊するその蛮行

 

闇によって心を失った貴女を 我々は看過しない

 

貴女を支配している闇 明晩我々が頂戴する

 

怪盗団ファントム

 

 

 「これが送られてきたもう一枚の予告状ですか?」

 「何か……言っている意味がよく分からない……」

 「その通り! 書いてあることは全くの出鱈目な品のない予告状ですわ!」

 

 キュアット探偵事務所の名探偵であり名探偵プリキュアでもある明智あんなと小林みくるは、苛立ちを隠せない様子な宝生ちなみから謎の予告状を見せられていた。

 

 

 さて、この二人が館長と会い予告状を見せられているのには少々理由がある。

 朝のニュースで宝生美術館に怪盗団ファントムからの予告状が届いたことを知った二人は、これまでとは違う予告状というスタイルに少し疑問を抱きながらも、いつものように事件を解決するため宝生美術館に向かった。

 しかし、美術館は警察の規制線が張られ入場は不可能。それでも、ハンニンダーという不可思議な存在含め自分達が対策するべきだと判断した二人はどうにか入れて欲しいと近くにいた警備員に交渉するも、やはり難航。

 

 諦めて美術館前で張り込むべきかと思い直した時に通りかかったのが、何とオーナーである宝生ちなみだった。最初はとてもイライラした様子で二人にどくように声を荒げようとした彼女だったが、あんなを────いや、彼女の腰にあるものを見て途端に目の色を変えた。

 それはポチタン────あんなとみくるのお供妖精でありファントムからは時空の妖精と呼ばれている妖精。この妖精は普段はポーチのフリをしているのだが、それを全く知る由もない宝生ちなみは一目惚れしたのか言い値で買い取ろうとしてきたのだ。勿論断固として断ったあんなとみくるだが、それでも諦めきれない様子の宝生ちなみ。そこで遅れながらも挨拶として自分達の名前と探偵なことを名乗った二人だがそれに強く反応した宝生ちなみは何か閃いた様子で彼女達を招き入れた。

 そして、「マスコミには伏せているが実はもう一枚予告状が届いている」と話され見せられたのが、先程の予告状である。

 

 

 「しかし、どうしてこの予告状のことは伏せているんですか?」

 「書いてあることは全くの出鱈目でも、この美術館にあれこれ憶測する下品な存在がいるの! そんな奴らを防ぐためにも必要なのよ!」

 (凄くナーバスになっている……。やっぱり許せないよ、怪盗団ファントム!)

 

 みくるがこの予告状だけは伏せている理由について訊ねると、苛立ちを募らせながら吐き捨てる宝生ちなみ。彼女の真の秘密を知らないあんなは彼女の精神に多大な負荷を与えている怪盗団ファントムへの怒りを覚える。

 

 「この予告状を出した人間に心当たりはありますか? 最近変な人たちが周囲をうろついていたりとか」

 「あるわ。全く教育がなってない下品なピンク色の女子と多少は教育が行き届いてそうな黒色の女子だわ! こんなことなら写真に撮っておくべきだった!」

 「! 特徴を教えていただけませんか?」

 

 そこで宝生ちなみに最近怪しい人物を見なかったか訊ねてみると、彼女はさらに苛立ちを募らせながら心当たりについて吐き捨てる。

 そこで彼女から聞き出したその怪しい人物二名の特徴を基にみくるがイラスト化していく。 

 

 

 「ニジーでも、アゲセーヌでも、ゴウエモンでもないよね……」

 「私達の知らないファントムメンバーかも」

 

 出来上がったイラストを見たあんなとみくる。

 片方の女子の特徴は『ふんわりと全体的にハネたピンク色の髪』『黄色い星の髪留め』『ピンク色のパーカー』。

 もう片方の黒色の女子の特徴は『頭に黒いリボン』『くるんとハネた髪』『くすんだベージュの髪色』『黒が基調の服の胸元にはペンダントらしき物』。

 これまで彼女達が交戦してきた三人のファントムメンバーのどれにも一致しない特徴。果たして新たなファントムメンバーなのか、それとも彼らの変装なのか……

 

 「この二人はどういう怪しい行動をしていたんですか?」

 「………さあ、あまりにもくだらないから忘れてしまいましたわ。とにかく、あーた達にも『星明りのプリンセス』を守るのと、こんなふざけたことをする連中を捕まえて欲しいわ」

 「分かりました」

 「はい!」

 

 情報をできる限り集めようとこの二人がとっていた怪しい行動について訊ねるも一瞬ぎこちない表情を浮かべ「忘れた」と返す宝生ちなみ。その理由は気になるものの、依頼人を信じる二人は改めてファントムから『星明りのプリンセス』と宝生ちなみを守ると決意を固める。

 

 

 

 そんな二人は一回食事を摂るために外へ出たのだが……

 

 「ふぇ~~ん……ママ~~……」

 「な、泣かないで」

 

 美術館前の広場で母親とはぐれたらしいまだ幼稚園ぐらいの女の子に出会った。予告状騒ぎで野次馬たちが集まっているため、はぐれてしまっても不思議ではないが女の子はその不安から泣きじゃくっている。

 

 「……あんなさんにみくるさん大丈夫?」

 

 不安から泣き止まない女の子を前に二人が困っていると後ろから声がした。振り向くとそこには眼鏡を付けた金髪のツインテールの女性────安藤夏。

 

 「あ、あなたは安藤さん!」

 「久しぶり、それでその子は迷子かな?」

 「は、はい」

 「ちょっと待っててね、準備してくるから」

 

 夏は一目見て大体の状況を察したようで、準備するとだけ言い残して一旦その場を離れる。

 

 「────お待たせ!」

 

 少しした後に戻ってきた夏の頭にはサーカステントをイメージした帽子が備わっていた。

 

 

 「さあさあ、見てらっしゃい、寄ってらっしゃい。今から楽しいサーカスが始まるよ!」

 

 そして泣きじゃくる女の子を前に、元気な声でショーの開幕を宣言。

 

 「始めは《玉乗り》!」

 

 夏は初めにどこからか取り出した大玉に乗って、その場でパフォーマンス。

 

 「続いては《バトン》!」

 

 そこからバトンでジャグリングを行う夏。最初は二つだったが、だんだん三つ四つと数が増えていく。

 

 「凄い、二つの曲芸を組み合わせてる!」

 「ここから今度は……《ファイアバトン》!」

 「おいおい、凄いことやってるぞ!」

 

 更にバトンに火がついても全く焦る様子もなく笑顔でアクロバティックな動きを続ける。二つの曲芸を組み合わせるという、素人どころかプロの大道芸人でも難しいパフォーマンスに次第に野次馬たちも興味を持ったように集まり始まる。

 

 

 「いよいよショーもたけなわ! 《バルーンアート》!」

 

 夏もボルテージが上がっているようで、バトンをひっこめたかと思ったら今度はいくつもの風船を膨らませ、たちまちそれぞれ犬や花、ハートなどの形にしていく。

 

 「これで……華麗なるフィニッシュ!」

 

 そして夏がパチンと指を鳴らすと一斉に破裂し、中に仕込まれていた紙吹雪が舞う。

 

 「きれ~い!」

 

 その派手で綺麗な光景に先ほどまで泣いていた女の子もすっかり笑顔になっている。

 

 「ありがとうございました~!! はい、最初から見ていてくれた君にはプレゼント!」

 

 それを見た夏は微笑みながら、破裂しても安全な風船で作った『卵を抱いた犬』の形のバルーンアートを手渡す。

 

 「すいませーん、ここでのパフォーマンスはやめてくださーい」

 「あ、ごめんなさい。実は迷子で泣いている女の子がいまして……」

 

 すると、そこへパフォーマンスを聞きつけた警察官が注意しに来た。夏は謝りながらも状況を説明すると、その警察官の後ろから声がした。

 

 

 「麻衣!」

 「あ、ママ~!」

 

 どうやら女の子の母親らしい。彼女はあんなとみくる、そして夏に「娘を励ましてくれてありがとうございました」と丁寧に礼を述べた後、笑顔の娘と共に帰って行った。

 

 「あの子、お母さん無事見つかって良かったね」

 「助けてくれてありがとうございました」

 「さっきのショー、はなまる素敵でした!」

 「気にしないで。ボ……私に出来ることをしただけだから」

 「「かっこいい~!!」」

 

 みくるとあんなにも礼を言われる夏は大したことはしていないと答える。そんな夏の姿に自分たちが目指す理想の名探偵像を見た二人はカッコ良さを覚える。

 

 「それでお二人はどうしてここに? もしかして、予告状を見て?」

 「はい、朝のニュースを見て」

 「夏さんが以前あった怪盗団の仕業だと思うんです」

 

 一方、夏はあんなとみくるにここにいるということは予告状を見たのかと訊ねると、やはり予告状を見ていつものようにファントムの計画を止めに来たということが判明する。

 

 「………怪盗団ね。だけど、今回は予告状が来ていることについて二人はどう思うのかな?」

 「それについては……」

 「不思議だよね。なんでわざわざこんな目立つことをやっているんだろう?」

 「それでも予告状を送るのには何か隠された理由がある………私はそう思うな」

 

 だが、予告状を送った理由については推理できていないようで悩んでいる様子を見せる探偵二人。それに対し、夏はそこに隠された理由があるのではないかと提示する。

 

 

 「隠された理由……?」

 「……少し話しすぎたかな。それじゃそろそろ待ち合わせの時間だから行くね。二人とも頑張って」

 「ありがとうございました!」

 

 そして、二人に別れを告げ歩き出す夏。しっかり距離を取った後、『彼女』に話しかける人物が一人。

 

 「────その様子だと無事迷子の子を助けられたようね」

 「うん、バッチリ!」

 

 その人物は、眼鏡をかけた私服の女子高校生姿に変装したるるか。それに対し、サムズアップで答える夏────いやハル。二人は変装して美術館の偵察に来ていたのだが、迷子の女の子が泣いているのを見かけたハルが「ちょっと待ってて」と駆け出し、そこから玉乗りやトランポリンなどの曲芸の数々で魅せる戦いを行う『サーカス』能力でパフォーマンスを披露したのだ。

 

 

 「───だけど、あまり不用意にコピー能力を使わないほうが良い。しかも、あの二人の前なら尚更」

 

 だが、そのためにあんなとみくるの目の前でコピー能力を使ったことを注意するるるか。ハルの扱う力はプリキュアと同等────いや、それ以上に秘匿にするべき力。迂闊な行動はするべきではない。

 

 「ごめん、迂闊だった」

 「───でも、不安で泣いている女の子を笑顔にしたのは良いこと」

 「ありがとう」

 

 しかし、彼がコピー能力を使うのは私利私欲ではなく誰かを助けるためだというのは一貫している。その信念はるるかも認めていたからこそ他ファントムメンバーに向ける冷たさではなく、ほんの少し暖かい声での注意をしていた。

 

 

 

***

 

 ────予告まで10分、宝生美術館の屋上。

 

 

 「────到着!」

 「アンタ、瞬間移動とか出来たの初めて知ったし……コピー能力ぶっ壊れすぎっしょ…………」

 

 《テレポ出現》で屋上に瞬間移動したハル、るるか、マシュタン、アゲセーヌ。『エスパー』能力を初めて見たアゲセーヌがその反則ぶりに軽く引いているが、ハルとるるかは瞬間移動を繰り返す中で見えた警備の厳重ぶりを振り返る。

 

 展示室の警備体制は、るるかですら驚くほど厳重。警備員と警察官は各所に配置され、監視カメラは死角なく稼働している。屋上についてはそこを張っても成果は見込めないと判断したからだろうが、それは絶対に守るべき秘密を守る一点特化の布陣とも言える。少なくともハルの『エスパー』能力がなければ、今頃かなり面倒且つ危険な綱渡りをもっとしなければならなかっただろう。

 

 「マスコミさんも随分増えたね。騒ぎ起こしているボク達が言えたことじゃないけど」

 

 昼間から張り付いていた報道陣の数は増えている。予告時間まであとわずかとなれば、当然だ。刺激を常に求める大衆にとっては格好のエンターテインメントかもしれない。

 

 

 「さてと……作戦開始の前に、占っとくわ!」

 「わぁぁぁぁ……」

 「占いとかどうでも良いし」

 「まあまあ、縁起も兼ねて聞いておこうよ」

 

 その後ろでマシュタンが、水晶玉を小さな座布団の上にそっと乗せて占いを宣言。嬉しそうな笑みを浮かべるるるかの横でアゲセーヌが下らなさそうに愚痴るが、それを取りなすハル。

 

 「マシュマシュマシュマシュマシュマシュ……マシュ~~~!!」

 

 水晶玉に両手をかざし、撫でるような仕草で球面をゆっくりと巡らせるマシュタン。

 

 「見えたわ! 『虚無の世界に色を与えることこそ勝利への道』」

 「────ありがとう。マシュタンの占いはよく当たるものね」

 「虚無の世界……宝生ちなみさんの世界のことなのかな? 彼女の本心に働きかけられれば……きっと……」

 

 そして見えた占いの結果を自分なりに解釈するハル。今夜の彼の目的は呪いの指輪を破壊し、宝生ちなみの心の歪みを取り除くこと。マコトジュエルの方はるるかが担当、アゲセーヌはプランBに移行しなければならない時に動いてもらうと話は纏まっている。

 

 

 「────オープン、プリキットグロス」

 

 プリキットグロスを取り出したるるかは唇にそっと塗る。すると、青い制服に身を包んだ警備員の姿に変化する。

 

 「行こう、マシュタン、ハル」

 「任せてるるか! 作戦開始!」

 「よし、頑張るぞ。電気室はボクとマシュタンに任せて」

 「じゃ、アゲは隠れているから」

 

 そしていよいよ呪いの指輪を破壊するのと『星明りのプリンセス』に宿ったマコトジュエルを盗む作戦が開始された。

 

 

 「マシュタン、お願い」

 

 電気室前の廊下に瞬間移動したハルは、まず体が小さく飛べるため目立ちにくいマシュタンを偵察役に送り込む。

 

 「電気室の前に警備員が三人いるわ」

 「対策済か。でも……」

 

 やはり相手も電気室をいじられて停電にされることを警戒していたらしく、普段は配置していない場所にも警備員を配置しているようだ。

 だが、ハルは焦らずに短く集中すると、その場から一瞬で消える。

 

 

 (部屋の中に直接テレポートしちゃえば問題ないさ)

 (やるじゃない。後はまかせなさい)

 

 《バニシュ》~《テレポ出現》でハルがマシュタンを連れて静かに侵入する。後は20時丁度に停電が起きるように、妖精ゆえに指紋を残す心配がないマシュタンが電気系統のレバーを下ろせばよい。

 

 

 そして、20時になった瞬間!

 

 ガタン!!

 世界が、暗転した。

 

 (後はるるかが上手くやるはずだわ)

 (ありがとう、マシュタン! それなら第二フェーズ!)

 

 計画通り美術館が真っ暗になったのを確認するとすぐにマシュタンを連れて《バニシュ》でテレポート。

 少しすれば非常電源がつくし異変を察知した警備員達が電気室に入ってくるだろうが既にもぬけの殻だ。後で監視カメラを確認しても、一瞬で消える人影という超常現象しか映っていないだろう。

 

 

 

 

 ────一方、『星明りのプリンセス』展示室。

 

 「「「!!?」」」

 「停電!!」

 「あらまあ!?」

 (────手筈通り停電。マシュタンは時間が正確で助かる)

 

 突如起きた暗転に周囲が戸惑う中、自然さを装って警備員の姿で忍び込んでいたるるかはハルとマシュタンが手筈通り作業を進めていることを察知。暗闇の世界の中、『星明りのプリンセス』のガラスケースが入った方向にカードを投げる。

 

 

 「すぐに非常電源が!!」

 

 係員の呼びかけ通り、数秒も経たないうちに電気が復旧し、明かりが戻ってくる。周囲が真っ先に確認するのはただ一つ────『星明かりのプリンセス』。

 

 「あ、あれは!!」

 「ファントムのカード!」

 

 首飾りは無事だが、ガラスケースの表面に一枚のカードが貼りつけられている。

 

 「『怪盗団ファントム参上。星明かりのプリンセスはすりかえられた偽物。あしからず』」

 「なあぁぁんですってえぇぇ!!?」

 

 読み上げたあんなの声で、宝生ちなみは大慌てでケースの隣にある顔認証装置────それも彼女の顔で開く一番厳重なものへと走り出す。

 ────それはるるかの狙い通り。

 

 

 「……っ!? ダメ!! 罠です!!」

 「ええっ!?」

 

 何かに気づいた様子のみくるの制止が響くが、認証は完了してしまいケースのロックが、無情にも解除される。

 

 「偽物だと思わせ、確認のために鍵を開けさせる!! でも、中身は本物!!」

 「────その通り」

 「!?」

 

 そこへケースの前に、女性の警備員が立っていた。

 

 「────鍵を開けた瞬間にケースの中身を貰う、古典的なトリック」

 「そして宝生さんが警備員さんから離れたこの時を狙っていた」

 

 更に虚空から現れるのは、本体が青くつばが赤い野球帽を被り、青と黄色の縞模様のパーカーを羽織った可愛い顔立ちの『少女』。

 

 「宝生さん、呪いの指輪からあなたの心を助けます! 《サイコキネシス》!」

 

 女性の警備員────るるかが、床に煙玉を叩きつけると同時にハルは強く念じ、宝生ちなみの手元にある呪いの指輪だけを動かす。

 次の瞬間、白い煙が一気に広がる中パニックになる一同。

 

 

 その中で《バニシュ》で消えたハル、るるか、マシュタンは屋上に《テレポ出現》!

 

 「その様子じゃ上手くいったようだし」

 「上手くいったわね!」

 「───うん」

 「ナイスチームワーク! 後は呪いの指輪を破壊するだけだ」

 

 ハルの手元には呪いの指輪、るるかの手元には『星明りのプリンセス』────贋作だがマコトジュエルが宿っている。作戦成功を喜ぶマシュタンとるるかの横で、ハルは自身の一番の目的である呪いの指輪の破壊を決行しようとするが……

 

 

 

 

 

 

 「………これ、違う!」

 「────え?」

 「ど、どういうこと!?」

 「は!?」

 

 顔を険しくしたハルが鋭く叫ぶ。衝撃の事態にいつもは無表情なことが多いるるかですら呆気にとられる。

 

 

 「よく出来た贋作だ……。こいつからあのネックレスや以前宝生さんと会った時に感じた闇の気配がしない……!」

 「────まさか……! ハル、私たちは罠にはめられていたかもしれない! 今すぐ逃げましょう!」

 

 だが、闇の気配を察知することに長けたハルは自身の感覚を信じ、目の前の指輪を贋作だと判定する。それを聞いたるるかは少し考えた後、何かに気づいた様子で撤退を提案。

 ハルも頷いて超能力を発動しようとした時だった。

 

 

 

 「───オープン! プリキッドライト! 輪投げ!」

 「きゃっ!」

 

 後ろから投げられた光の輪を散開して避けるハル達。ハルとるるか、マシュタンは回避出来たもののアゲセーヌは捕まってしまう。

 

 

 「逃がさないよ!」

 「『星明りのプリンセス』と宝生さんの大事な指輪を返しなさい!」

 

 振り返ると、そこには名探偵プリキュア────明智あんなと小林みくるの二人が立っていた……

 

 




 
 【サーカス】

 こんなのアリ?なサーカスだ。
 火のわくぐって トランポリン、
 アクロバットに ワザをきめろ!
 どうけのごとく げいをして、
 イッツ ア… ショウ ターイム!


 初登場は『トリプルデラックス』。
 バトンジャグリングや火の輪くぐり、玉乗りなどアクロバティックな曲芸で戦う能力。
 クセが強い技が多く慣れるまでに時間がかかりやすいが、《玉乗り》や《トランポリン》など火力が高い技が多く、正に『魅せる戦い』が可能。 
 《バルーンアート》は使う度に風船が変わり、マホロアと犬たまご(HAL研究所のロゴ)はレアパターン。

***

 ☆ついにあんなさんとみくるさんと対面

 これまで遠巻きに見ていただけでしたが、今回のお話でついに対面となりました。
 呪われた魔道具破壊しないといけないのに邪魔してくる二人に「この二人余計なことしてますね!?」と思ったかもしれませんが、そもそもあんなさん達は事情を知らないため起きてしまった事故です(これに関しては説明する時間が無かったのが原因)。
 

 ☆サーカス能力

 今回は変装姿での発動となりました(いつも仮装のようなことしているだろという指摘はもっともですが)。
 コピー能力の活躍はバトルだけにあらず、というところは本小説で積極的に出していきたいなと思っています。


 ☆チームワーク

 原作より戦力が増えたのでより確実性が高く証拠も残りにくい潜入方法を決行。
 『エスパー』能力による盗みは瞬間移動など禁じ手レベルのトリックばかりなので探偵や警備側からしたらクソゲーです。
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