Edge of Heart   作:星空エクレア

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 この間餃子フェスに行ってきました。
 長時間並んだ揚げ餃子も美味しかったですが、一番美味しかったのはちょっとだけ並んで買えたスープ生姜餃子でした。優しい味わいが体に染み渡りました。


 さて今回は、たんプリ二次ではまだないであろう展開になります。そのため、怪盗団ファントムのアジト内の様子など独自設定の下でお送りしますがよろしくお願いします(原作アニメで明らかになったら改訂します)。
 


STAGE1ー2 Take Over

 

 

 (暇だ……)

 

 

 欠伸を一つしながら少年は退屈そうに天井を見上げる。

 今彼がいるのは、るるかとマシュタンに付いて行き入った巨大な建物。まるで地の底へと続いていくような階段を下った先の暗い廊下の先にあった巨大で豪華な扉の前。

 「ここで待っておくように」と言いながら先に入ったるるかとマシュタンの言いつけ通り、待機しているわけだがやることもなく暇をつぶす道具もない状態で待つというのはかなり暇だ。

 

 

 (眠たくなってきたな……)

 

 ボーとしているとだんだん眠気が襲ってきた。考えてみれば、アイスを幾つか食べたとはいえ、空から落ちたり未知の闇と戦ったりなど激動にもほどがある一日だ。疲れていてもおかしくない。

 

 

 (まだ時間かかるみたいだし寝よっかな……)

 

 るるか達はまだ戻らないので一眠りでもしようかと目を閉じかけた時、扉から音がした。

 重たい瞼を開くと、るるかとマシュタンがのぞき込んでいる。

 

 

 「待たせたわね。ウソノワール様がお呼びよ」

 「ウソノワール?」

 「───『怪盗団ファントム』のリーダー。失礼の無いように挨拶」

 

 どうやら、怪盗団のボスが自分と会うつもりらしい。

 少年は立ち上がり大きく伸びをしてから歩こうとしたらマシュタンに服を引っ張られ止められる。

 

 

 「服乱れているから直しなさい。ファッションの乱れは心の乱れよ」

 「隊長、すでに汚れまくっている以上変わらないであります……」

 「それでも最低限整えなさい」

 

 オシャレ好きで身だしなみにはうるさいマシュタンの介助もあり、多少なりとも身なりを整えた後、るるかの先導のもと扉をくぐる。

 

 

 

 

 (すごく豪華だ……)

 

 くぐった先の光景に少年は目を奪われる。

 ふかふかの客席シートを通った先には、高い天井が広がっており年代物のシャンデリアやライトが備え付けられている。さらに舞台に加えて、客席と舞台の間に低くした部分も備えられており、知識が多少以上ある人はオペラ座と表現するだろう空間だ。

 

 

 (あの人たちはるるかさんのお友達なのかな?)

 

 次に少年の目が留まったのは、壁にそれぞれくりぬかれたような手すり付きの座席。合計三か所から薄い緑色の長髪とシルクハットが特徴的な男性、ピンクがかった薄いオレンジ色の長髪と派手なメイクが特徴の女性、銀髪のガタイが良い男性がこちらを見ている。

 少年はペコリとそれぞれに向かって挨拶するが、会釈を返してくれたのはガタイの良い男性だけで他二人は妙なものを見るかのような視線を向けるのみだ。

 

 

 「───ここに立って」

 「うん」

 

 劇場の綺麗さと豪華さに目を奪われながらも、るるかの案内で舞台の中央に立った少年はそこでようやく気付く。

 入ってきた時は天井で隠されていたが、目の前にはまるで特等席かのように他と比べて広々と作られた空間。そして一目で高級品とわかる豪華な服と鎧をまとい、素顔を仮面で隠した大男が玉座に座っていた。

 

 

 

 

 (あの人がウソノワール……)

 「……キュアアルカナ・シャドウ、その少年が件の人物か?」

 「───ええ」

 

 離れていても伝わってくる威圧感と強者の風格に思わず身構える中、大男───ウソノワールはるるかに訊ねる。

 

 

 「は、初めまして! るるかさんに助けられた……すみません、自分の名前思い出せないです……」

 

 そんな中でもいつも通りの自然体で答えたるるかに

目配せされ自己紹介を行うも自分の名前も思い出せない状況では満足にできず尻切れトンボのようになってしまう。

 一方そんな少年には目を殆どやらず何やら側に立てかけてあった本を拡げるウソノワール。

 

 

 

 「───未來自由の書に書かれぬ。この少年も、未知の闇とやらの正体も」

 (ミラージュの書? あの本のことかな?)

 

 

 そして、首を静かに降る。名前からして何か特別な力でもある本なのかと少年が首をかしげていると、マシュタンが前に出る。

 

 

 「ええ、アタシ達の知る由もない時空と空間からやってきた可能性が高いわ。この子も、そして人をいともたやすく操る闇も」

 「───マコトジュエルを集めるにあたり障害になる可能性は高い。そしてかの約束の刻に向け不安要素は取り除かなければならない」

 「そうね。───このことからこの子を怪盗団ファントムに置くのを提案するわ」

 

 

 どうやら怪盗団ファントムは何かしらの目的があり、その目的を達するためには未知の闇に闊歩されると都合が悪い様子。

 だがそこで待ったをかける声が響く。

 

 

 「あの、すみません! 怪盗団ってそもそもなんなんですか?」

 

 それは少年。自分の滞在を受け入れてくれるにせよ、そうでないにせよ『怪盗団』という初めて聞く言葉の意味を知りたいのだ。

 

 

 「一から説明しなきゃいけないわね。『怪盗団ファントム』の目的はウソで覆われた世界を作ることよ。そしてそのために神秘の力を秘めた宝石『マコトジュエル』を集めてるの」

 「ウソで覆われた世界……? 何か聞いた感じ物騒な気がするなぁ……」

 「口を慎め、ガーリーボーイ!」

 

 それに対し、現状できる範囲で細かい説明が必要だと判断したマシュタンは怪盗団ファントムの目的を話すが、それに良くないものを感じた少年が溢すとシルクハットの男が鋭く注意する。

 

 

 「───確かに最初聞いたときは悪く感じるかもしれない」

 

 そんな少年に対し、るるかは語り掛ける。

 

 「でも、誰だって秘密を抱えて生きている。触れられたくない痛み、どうしても守れなかったもの、取り戻したいもの……」

 「秘密……取り戻したいもの……」

 

 るるかの言葉に少年は思う。自分も自分ですらよく分からない秘密を抱えていたり、記憶を取り戻せれば良いのにという思いを持っている、と。

 

 

 「───ウソで覆われた世界は、その秘密を守り、守れなかったという事実を『ウソ』にして、取り戻したいものを取り戻せる世界……そういう考え方もある」

 「……」

 「───今は納得しにくいかもしれない。でも、最初から決めつけちゃダメだと思う」

 「分かったよ。自分の目で見てみるよ」

 

 この世界で初めて出会って信頼できる人と見定めたるるかの言葉に頷き、一先ずは怪盗団を受け入れることにする。

 

 

 

 「ボクを怪盗団ファントムに入れさせていただけないでしょうか? ウソノワールさん」

 

 そして、ウソノワールに向かって頭を下げる。

 だが、そこへ反対の意思を示す声が二つ。

 

 

 

 「ウソノワール様、見るからに怪しい人間を招き入れるのは反対です。闇に関してもこのニジーにお任せください!」

 「アゲも。そもそもその黒い闇とか、眉唾ものっしょ」

 「ニジーにアゲセーヌ……面倒ね」

 

 派手なメイクをした男女は自分に怪しいものを見るかのような目を向けており、滞在に反対の意思を示している。得体のしれない者を引き込むことで起こりかねないリスクを考慮すれば彼らの反応も致し方ないだろうが、余計なことをしてほしくないマシュタンは睨む。

 

 

 「待ってください、あの闇はすごく怖いんです! 操っている相手のことなんて知らないとばかりに無理やりにでも動かしてきます!」

 「───あなた達では対処は難しい」

 「ガーリーボーイにキュアアルカナ・シャドウ! 君たちは引っ込んでいてくれ」

 「不審者入れるのマジチョベリバ!」

 

 しかし、対峙したからこそ未知の闇の危険性を知っている少年とるるかは楽観的な見方は危険だと警告するが、二人を信用していないニジーとアゲセーヌは取り合わない。

 すると、そこに待ったをかける声が響く。

 

 

 「熱いねぇ、まるで湯で上がっちまいそうだ。だが、その喧嘩このゴウエモンが預かる!」

 

 それは大柄な男───ゴウエモン。

 

 「聞けば、この少年は宿無し記憶無し。このまま話も聞かず追っ払うというのも寝覚めが悪い」

 

 歌舞伎役者のような大見得を切るかのような大げさな言動や身振りを交えながら少年の事情をくみ取ろうとしている。

 

 

 「それに加え、新人を助けながらきな臭い闇を追っ払ったと聞く。ならば、その礼として考慮の機会は与えるってのが筋ってもんだ」

 「えっと、るるかさんに助けられたという方が正しいような⋯⋯」

 

 どうやら少年が新人であるるるかを助けたことに上司として恩義を感じているらしい。

 そして、彼は驚きの提案をした。

 

 

 「そこで、このゴウエモンが模擬戦を行いこの少年を見定めよう! ウソノワール様。問題ございませんでしょうか?」

 「───良いだろう。異邦人の力を見定めるためにも模擬戦というのもまた一興」

 「模擬戦……?」

 

 よく分からない展開を前に首を傾げる少年に対し、マシュタンは「面倒なのが始まった」と言わんばかりに首をすくめるのであった。

 

 

 

 

 

 ───五分後。

 

 「それじゃこれより、怪盗団ファントム入団試験を兼ねた模擬戦を開始するわ」

 「よろしくな、少年!」

 「はい!」

 

 舞台上の両端で挨拶する二人。

 模擬戦という形であれど勝負することに戸惑っていた少年だが、るるかに「───あなたの力を見せれば良い。ゴウエモンは丈夫だから平気」と太鼓判を押されたため、やる気に満ちている。

 

 

 

 「それでは……開始!」

 「いくぜ!」

 

 マシュタンの合図で始まる模擬戦。

 ゴウエモンは先手必勝とばかりに、手にした扇から花吹雪を繰り出す。

 

 

 「行くよ!」

 

 

 素早い動きで回避する少年はそのままの勢いで回し蹴りを浴びせようとするが……

 

 

 「……!」

 

 

 背中に走った嫌な予感に従い、しゃがむ。

 先ほどまで少年の体が在った場所を通るのは避けたはずの桜吹雪。

 

 「不意打ちを避けるとはやるじゃねぇか」

 (自由自在に操れるのか……)

 

 

 遠隔操作も可能な花吹雪をまずは封じなければ厄介なことになると考えた少年はるるかですら一時的に振り切る脚力で接近する。

 

 

 「放たれる前に近づきゃいいと思っただろうが甘いな」

 

 だが、ゴウエモンはその大柄な体からは想像できない身軽な跳躍を披露しながら花吹雪を放つ。

 カウンター気味に放たれた攻撃はスピードを出している少年では回避しきれない。

 

 

 

 ───普通ならば。

 

 

 「キャプチャー!」

 

 

 少年は素早く右手を翳し桜吹雪を吸収する。

 コピー能力とやらが見れるのかと全員が興味深そうに見るが、少年がとった行動は違った。

 

 

 「はあぁぁぁぁっ!」

 「ぐっ……!」

 

 

 吸収した直後、生み出した星型の弾を勢い良く投げる。

 直線軌道の先はゴウエモン。回避する間もなくぶつかった彼は衝撃で地面に叩きつけられる。

 

 

 

 「吸収したものはコピーだけじゃなくて、星型の弾にも出来るのね。これならゴウエモンも簡単に花吹雪は撃てないわ」

 「───それだけじゃない。空中はそこからの回避が困難。そこを容赦なく突いた」

 

 

 鮮やかなカウンターだが、るるかは少年が新たな技《星型弾》を見せただけでなく、彼の高い判断力に気づく。

 通常時の少年は自発的な遠距離攻撃手段を持たない。それ故に自由自在に操れる飛び道具を持つゴウエモンには不利を取ってしまう。だが、《キャプチャー》と《星型弾》の存在を見せたことでゴウエモンはその有利の手札を打ちにくくなってしまった。

 さらに最初のダッシュでゴウエモンを更なる回避へ繋げるのが困難な空中へ回避させ、カウンターを確実に合わせに来たのも合わせ、戦術の組み立て方も光るものがある。

 

 

 

 (よし、コピー能力のチャンスはないけど星型弾を上手く使えば勝てる!)

 

 少年も最初の攻防を有利に進められたことで、だんだん体が温まり調子が出てくる。

 すると、そこに思わぬ声が響く。

 

 

 

 「───ゴウエモン、ファントムの新技術導入を許可する」

 (新技術?)

 

 戦いを観戦していたウソノワールによる謎の提案。

 

 「そういうわけだ。悪いな、ファントムが新たに開発したシステムの試験台になってくれや」

 

 警戒する少年に対し、ゴウエモンは手にした扇と取り出した日本刀を掲げながら宣言する。

 

 

 

 

 「ウソよ、覆え! 来やがれハンニンダー!」

 『ハンニンダー!』

 

 桜吹雪が待った次の瞬間、現れたのは黒いマントとシルクハットを身につけた鎧武者のような巨大な怪物。

 

 

 「何これ!?」

 「紹介するぜ、これがウソノワール様から授かった新たな力『ハンニンダー』! マコトジュエルが宿った品を戦闘システムに変化させるのさ!」

 

 その怪物の名はハンニンダーで、ファントムが生み出した新技術とのこと。

 未知の闇とはまた違うベクトルの怪物を前に身構える少年に対し、ハンニンダーが襲い掛かる。

 

 

 

 『ハンニン、ダー!』

 

 振り下ろされる日本刀をスライディングでかわしながら足払いを仕掛けるも、体幹にも優れる相手には通用しない。

 反撃のタックルをガードするも重量の差で押し負け吹っ飛んでしまうが、受け身を取ってダメージを軽減する。

 

 

 

 「ハンニンダー、今がチャンスだ。畳みかけろ」

 『ダー!』

 

 体勢を崩し隙が出来た今が好機だと判断したゴウエモンの指示を受けたハンニンダーは手裏剣を投げる。

 

 

 

 「行くぞ、《キャプチャー》!」

 

 

 それを見た少年は頷くや否や、手裏剣を右手で吸収。少年の体は光を帯びる。

 

 

 「コピー能力『ニンジャ』!」

 

 だが現れたのは先ほどの魔法使いの帽子ではなく、紫の忍者頭巾を被り、パーカーも紫色に変化した姿。背中に携えた忍者刀も合わせ上忍という言葉がぴったりだろう。

 

 「コピー能力だけど……さっきと姿が違う?」

 「───もしかして、右手で触れたものによって変身が異なるのかも」

 

 また異なる変化を見せたことに驚くマシュタンに対し、るるかはアイスを頬張りながらコピー能力は吸い込んだものや種類に応じて異なるものを発動するのではないかと推測する。

 

 

 「コピー能力……それがお前の力か。全力でかかってこい!」

 「《クナイ手裏剣》!」

 

 話には聞いていたが、実際に発動している姿は初めて見たゴウエモンは面白いと頷く。

 少年は手のひらに隠せるほど小さなクナイ型の手裏剣を放つが、ハンニンダーは刀で全て弾いてしまう。

 

 

 「《はたき斬り》! 《返し四連》!」

 

 だが、それはブラフ。刀が届かない後ろ側から日本刀による斬撃を浴びせる。

 

 

 「《ニンジャジャンプ》! 《爆炎の術》!」

 

 ハンニンダーが後ろを振り返ってももう遅い。

 煙幕を叩きつけた衝撃でジャンプしながら印を結んだ少年によって巻き起こされた爆炎に焼かれる。

 

 

 「今のあの子は忍者の力を宿しているといったところかしら。多彩ね」

 「───うん」

 

 その名の通り、かつての日本で暗躍した忍者の力を自在に操る『ニンジャ』能力にマシュタンとるるかは多彩だと感じる。

 だからこそ、味方に引き入れたいとも。

 

 

 

 「ハンニンダー、援護するぞ!」

 (あの桜花吹雪厄介だな……)

 

 予想外に苦戦しているハンニンダーに対し、ゴウエモンは扇をふるい桜吹雪で援護を行う。

 ハンニンダーだけにかまけて、自由な軌道で襲い掛かる桜吹雪を放っておけば先ほどの闇との戦いの時のような失敗をしてしまう。

 早急にどちらかだけでも処理しておきたいところだ。

 

 

 「《煙幕》いっぱい!」

 

 

 素早く計算した少年は懐からいっぱいの煙幕を取り出し地面に叩きつける。

 

 「くそっ……!」

 

 辺りを煙が多い、視界不良になった中視界を確保しようとゴウエモンは扇を振るう。

 晴れていく煙の中、少年の声が響く。

 

 

 「……そう来ると思ってました」

 「何っ!?」

 

 

 ゴウエモンの周りに咲き誇るのは桜の花。

 

 

 「───《乱れ花吹雪》!」

 

 

 花吹雪が爆発した衝撃でゴウエモンは吹っ飛ぶ。扇で花吹雪を地面にたたきつける派手な技《乱れ花吹雪》の炸裂だ。

 視界不良になった中、ゴウエモンは視界を確保しようと桜吹雪を使うだろうと読んだ少年が音がした瞬間に素早く接近し、一撃で仕留めに行ったのだ。

 

 

 『は、ハンニンダー!』

 「もう一回《煙幕》!」

 

 主が倒されたことに動揺しながらもハンニンダーは攻撃を続けるが、少年は避けた後に再び煙幕を叩きつける。

 辺りが煙に包まれる中、ハンニンダーは落ち着いて対処しようと感覚を研ぎ澄ます。

 

 

 

 カラカラ…………

 『ハンニン、ダー!』

 

 

 音が聞こえてきた方向に素早くアタックを行う。取ったと思った瞬間、爆発に襲われ刀を手放してしまう。

 

 

 「《ニンジャキック》!」

 

 更に畳みかけるように本物の少年が急降下蹴りを放ち、巨体を揺るがせる。先ほどハンニンダーが攻撃したのは、少年そっくりのからくり人形を生み出し囮にする技《からくり騙し》による自走式からくり爆弾だったのだ。

 

 

 「《はたき斬り》! 《返し四連》!」

 

 そこからは少年による素早い動きと隙の少ない技を組み合わせたラッシュ。それを前にハンニンダーはダウン寸前。

 

 「これでおしまい、《爆炎の術》!」

 『ハン……二…………ダー!!』

 

 そこへ『ニンジャ』能力の最大威力の必殺技《爆炎の術》が放たれ、ハンニンダーは爆炎に包まれる。

 

 

 

 

 「勝負ありといったところね」

 「よし、勝った!」

 

 やがてハンニンダーは爆破され、元の日本刀とマコトジュエルに戻ったのを見たマシュタンは模擬戦の終了を宣言する。

 ガッツポーズする少年に対し、ようやく気絶から復活したゴウエモンは拍手しながら近づく。

 

 

 「お前強いなぁ! まさかここまでやるとは思わなかったぞ」

 「───これで彼の実力は証明された」

 「───異邦人よ、貴様には未來自由の書にも書かれぬ未知の闇の撃退及びキュアアルカナ・シャドウの補佐を命じる。任務が無い時はここで自由にすると良い」

 「は、はい!」

 

 勝負を見届け、少年の実力がウソ偽りのないものだと確信したウソノワールは彼の怪盗団加入の許可と命令を言い渡す。

 ここのボスであるウソノワールから許可が貰えたのならばもはや少年に滞在に異議を挟む者はいない。簡単には信じられないであろうニジーとアゲセーヌは不満そうだが、敬愛するボスの手前一先ずは大人しく受け入れるようだ。

 

 

 

***

 

 ───十分後。

 

 劇場から出た後、彼の待機場所となる部屋へと案内する途中、同行していたゴウエモンは思い出したようにあることを提案する。

 

 

 「しかし、せっかく仲間に加わったわけだ。名前付けてやらないとな」

 「そうね。名前がないと不便だわ」

 

 それは少年の名前。記憶を失う前はもちろん本名があったのだろうが、それすらも忘れてしまっている今の状態では仮初の名前を与える必要がある。

 しかし、いざ名前を付けようとすると難しくゴウエモンとマシュタンが考え込んでいると、無言でレモンアイスを食べていたるるかが口を開いた。

 

 

 

 「───ハルというのはどう?」

 「ハル?」

 「───今日は春風が心地よい日だった。だからハル」

 

 ハルという名前とその由来を話するるかに対し、少年は何度もハルと呟く。

 それを見たゴウエモンも提案をする。

 

 

 「ハルか……なら、苗字は桜宮ってのはどうだ?」

 「サクラノミヤ?」

 「桜は日本の春に咲く、とても綺麗な花だ。名所の中には桜の宮と呼ばれるところもある。そこから頂いた」

 

 自身が使う技と春と言えば桜という安直かもしれないが連想ゲームで思いついた苗字。

 

 

 

 

 「桜宮ハル……うん! すっごく良い名前! これからは桜宮ハルで行くよ」

 

 だが、存外気に入ったらしく今日一番の笑顔を浮かべる少年。

 

 

 

 「よし、今日からお前さんは桜宮ハルだ。縁起も良いからこりゃピッタリだな!」

 「ありがとう! るるかさん、ゴウエモンおじさん!」

 「───よろしく」

 「おいおい、おじさんはやめてくれ。だが、よろしくな」

 「騒がしくなりそうだけど……悪くないわね」

 

 

 こうして、少年改め桜宮ハルは怪盗団ファントムに身を置くこととなった⋯⋯

 

 




 
 【ニンジャ】

 カゲにしのび ヤミにきえる。
 シノビの さとから さんじょうし
 ニンジュツ あやつり にんむを
 すいこう! カタナを せなかに…
 ひでん みだれ花ふぶき!


 初登場は『SDX』。
 手裏剣や日本刀による攻撃だけでなく、煙幕や爆炎の術などの忍術にも長けている能力。
 『スターアライズ』では付与された属性によって《みだれ花ふぶき》で咲く花の種類が変わるという小ネタがある。

***

 ☆Take Over

 ペルソナ5Rにて敵シャドウに先制攻撃すると流れる戦闘曲。


 ☆ウソで覆われた世界

 怪盗団の目的を聞いたとき、「『世界の破滅という避けられない真実を噓で覆うことで回避しようとしている』や『ペルソナ5Rの丸喜先生の世界みたいな目的』だった日には相当難しくないか?」と感じたのでオリ主説得シーンとしてそのニュアンスを入れています。
 そういえばウソノワールと丸喜先生って声優さん一緒なんですよね。


 ☆ゴウエモン

 放送後、粋でいなせな性格と新人のるるかさんへの教育やフォローなどを積極的にこなす理想の上司の姿から人気が急上昇しているファントム幹部。何故悪役やっているのか不思議なレベルとも言われており、「るるか庇って死ぬのでは……?」と危惧されている模様。
 反対に出撃するたびに何かしらの理由で失態が目立ち好感度が下がり気味なニジーとアゲセーヌ、パワハラブラックさが目立つウソノワール……ファントム内で格差が生まれているような気がします。


 ☆桜宮ハルに名前が決定

 ヒロインに名前を付けられる展開は時たまありますが、上司的な存在になる男キャラに付けられる展開は見たことが個人的になかったので、『名前はるるかさん、苗字はゴウエモンが考案する』という展開にしてみました。
 ゴウエモンのキャラが展開作るのに便利すぎます。流石、たんプリ界の理想の上司枠。


 ☆まさかの怪盗団スタート

 たんプリ二次小説はオリ主が探偵側に属すのがある種のスタンダート状態になってますが、本作では怪盗団所属スタートになりました。理由としては「怪盗団側にも異邦人キャラいた方が面白くないか」という考えからです。



 評価していただいた

 ☆9:天爛 大輪愛様

 ありがとうございました。
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