そして、ついにキングダムハーツシリーズの歴史をswitch2で追えるようになったのでコレクション購入予定です。Ⅳの新規映像も良かったです。相変わらず意味深なことしか言ってなくて一周回って笑えてきますが、戦闘シーンが流れると開発がきちんと進んでいそうだと安心できます。
他にはまだswitch2対応ではないようですが、ペルソナ4RのPVで流れた新規戦闘曲と思われる曲を最近小説書く時に聞いています。非常にハイカラで、ペルソナ4らしい明るさが前に押し出されていて個人的に非常に気に入っています(一部では【Prime Time!】という仮名が付いています)。
そして、たんプリ公式で『キュアエクレールの正体を推理しよう』企画が開始されるとのこと。帆羽くれあさんだったら、この小説としても一番ハルと絡ませやすいので彼女だと良いなぁと思っています。
……エクレールの肌色を構成する色の割合と唯一一致したことからくれあさんではないかと示したポストを見た時は色んな意味で恐怖を覚えましたが(推理じゃなくて鑑識というツッコミはもっともだと思いました)。
今回は小鳥遊光輝を支配する闇を祓う回です。最近フレンドさんとマルチプレイで遊んだ作品に出たマイナー能力も出てきます。
「──────こんな怪しい手紙だけで捜査できませんね」
「だから、昨日怪しい奴らが来たんですって!」
「とは言ってもねぇ……ただの悪戯じゃないですか?」
警察署の受付で押し問答しているのは、小鳥遊光輝とけだるそうな中年の警官。
中央にあるのは、怪盗団ファントムと名乗る集団から送られてきたカード。そこには小鳥遊光輝の罪を告発するのと、彼から闇を盗むという予告が書かれている。
心当たりがある小鳥遊光輝に対し、警官のやる気がないのはそこに書いてある意味が分からないから。事実、今起きていることは常人には感知しようがない向こう側の世界のこと。常人によって造られた法や社会の仕組みが及びにくく、何も知らない警官からすればやる気があろうがなかろうが悪戯と判断するしかないのだ。
「クソッ! 役立たずな連中め!」
数十分の押し問答の末、「調べておきますから」とおざなりな態度で返された小鳥遊光輝。自身が好き勝手に女性を破滅させていた時には味方を事実上していた警察のやる気のなさが、今では牙をむいていることに苛立ちを隠せない。
吐き捨てる中、心の奥底から黒い感情が湧き出る。
(俺は王だ……どんな女も俺を崇拝する…………だが、それはネックレスによる『願い』が手元にあるから…………いや、違う! このネックレスを渡された幸運と、その力を振るう素質こそ俺の王たる証……!! 渡しはせん、渡しはせんぞっ!!)
かつては奪われる弱者でしかなかった自分が今こうしていられるのはネックレスの力と、それを手に出来た幸運。
(それを、あのくだらない正義感にまみれた『願いの破壊者』は闇だと断じた……!)
思い出すのは、忌々しい程までに希望を抱いた目を持つ女性のような見た目をした少年。
(良いだろう……俺の芸術を汚すのならば消えてもらおう……!)
何も知らないくせに好き勝手に自分の舞台で振舞おうとするならば、このネックレスに込められた真の力で叩き潰す───小鳥遊光輝は冷酷な決意を固めた。
***
───夕方、 怪盗団のアジトにて。
「それにしてもどうして予告状送ったの?」
「怪盗の美学だと思うし、何より……これ以上小鳥遊光輝を暴れさせないための牽制になるかなって思ったんだ」
最終準備を行うハルとるるかにマシュタンが予告状を送った理由を訊ねる。
普通に考えるなら相手を警戒させないために予告状を送らず、不意打ちをすれば良い。
しかし、それでもハルが予告状を送ろうと思った理由は、怪盗としての美学と小鳥遊光輝への牽制。前者は怪盗団の一員として怪盗について調べる中でその美学を知ったから、後者は小鳥遊光輝に準備中に余計なことをさせないため。
「───おそらく今は悪戯で処理されるだろうけど、今回の作戦が成功すれば警察やマスコミもこの予告状に反応せざるを得ない」
「あのネックレスを渡した何者かにも警告できるんじゃないかってるるかさんは考えているんだよね」
「───そういうこと」
そして、るるかがGOサインを出したのは、背後にいる可能性がある未知の闇への警告。自分たちは既に事件の概要を把握し、お前を追い詰めることを決めていると予告状に暗に示すためにハルの予告状作成に力を貸したのだ。尚、予告状らしい格式ある言い回しをハルは全然思いつけなかったのでるるかが大半書いたことと、彼女が彼に国語の課題を大量に出したのは余談である。
「そういうことね。それじゃ……作戦開始の前に占っておくわ!」
予告状の意図に納得したマシュタンは、小さな帽子を被りながら水晶玉を小さな座布団の上にそっと乗せた。
「マシュタンって占い出来るの?」
「───マシュタンは占いの妖精。よく当たる」
「そうなんだ。興味あるからお願い」
パチパチと拍手するるるかからマシュタンについての新しい情報を聞いたハルはどんなものか興味津々な様子。
「マシュマシュマシュマシュマシュマシュ……マシュ~~~!!」
水晶玉に両手をかざし、撫でるような仕草で球面をゆっくりと巡らせるマシュタン。その様子を可愛らしいと思っているるるかは口元に笑みを浮かべる。
「見えたわ! ハル、今回の事件はアナタの秘密に触れるきっかけになるそうよ!」
「ボクの秘密……それって思い出せない記憶とかのこと?」
「見えるのはあくまでそこまでだったけど、可能性は高いわね」
占いで見えたのはハルに関すること。現状彼は意図しない形とはいえ、本人すら知らない秘密だらけであるため少しでも情報が見えてくるなら大きな前進となる。
「……だけど、今はそれよりも小鳥遊光輝を支配している闇を祓ってこれ以上の蛮行を止めるのが最優先だ」
「おぅ、ハル。俺とニジーは準備出来たぜ」
だが、ハルは自身のことよりも狂わされている小鳥遊光輝や被害に遭っている女性達を救うことが大事だと切り替えていると、同様に出撃準備が完了したゴウエモンがやってきた。
「ありがとうございます。それじゃ、行きましょう」
「未知の闇との戦いに関してはお前さんが大将だが俺たちも頼ってくれよ」
事前に立てた作戦では、未知の闇とも渡り合える高い戦闘力を誇るハルをメインにゴウエモンとニジーが補佐をする形だ。一方、特攻を受けてしまう女性陣はアジトでの待機などが基本となる。
「それじゃるるかさんにマシュタン、後はよろしくね」
「───ハル、気をつけて」
「アナタなら大丈夫でしょうけど気をつけて事に当たるのよ」
「はーい。それじゃ行ってきます!」
身だしなみ含め用意をしっかり整えたハルは、るるかとマシュタンに手を振ってから部屋を出た。
***
───夜20時。
辺りがすっかり夜の闇に包まれる中、ふつふつと闇のオーラを漂わせながら小鳥遊光輝は公園にいた。
(ここにいれば奴が、『願いの破壊者』が来る……。あの方が言っていた通り、あいつを御することが出来れば誰も俺を止められない……!)
「───小鳥遊光輝、君を呪いから解放しに来た」
ここで待っていれば、『願いの破壊者』であるハルが来るという強い確信を彼が持っていると、そこへハルとゴウエモン、ニジーが歩いてきた。
「こいつが罪もない女性達を好き勝手に弄び、破滅させようとしている男か」
「実に醜いね」
「待ってくれよ。君達は俺を悪人扱いするが、証拠はあるのか?」
「昨日の昼間に君が見せた闇の力、それが何よりもの証拠だ」
「でも、あの刃傷沙汰に関しても俺は何もしちゃいない。彼女たちが勝手にやったことさ」
「新人たちが調査した結果、お前が言葉巧みに操っているのは足がついてんだよ!」
「大学という人が多く行きかう場所でべらべらと喋る間抜けさ。おそらくだが、他に証言を募れば集まるんじゃないかい?」
小鳥遊光輝は清水美優達が暴走したことに関して自身が直接指示したわけではないと言い逃れをしようとするも、ゴウエモンとニジーは鋭く追及する。
「おいおい熱くなるなよそこの大男に残念イケメン感漂う緑髪。調査していたハル君から聞いていたように『俺に尽くせて幸せだ』……彼女たちもそう言ってだろ?」」
「それは全部君が言わせていたに過ぎない。───呪いのネックレスで歪んだ君による作劇だ」
「ちっ、想像以上に歪んでやがる。これじゃマコトジュエルも濁っちまう」
だが、現状の法では自身を裁くことは出来ないと理解している小鳥遊光輝の悪辣さにゴウエモンですら忌々しそうに吐き捨てる。
「───だけど、そこの桜宮ハル君。俺は君に興味がある」
「……どういう意味?」
一方、小鳥遊光輝はハルに興味を持っているかのように彼にジロリと目を向ける。
「『願いの破壊者』と聞いていたが、見れば中々甘く可憐なルックスに、胆力もある。磨けば女性の心を奪う愛多き紳士になれるだろう」
(ボクを憎んでいながら勧誘……どういうことだ?)
まるで勧誘するかのようなセリフにハルは不気味さを覚える。憎しみ、絶望、そして同好の士を求めるかのような振る舞い、様々な感情が混沌としているように思える。
「君は女の一番綺麗な瞬間を知っているか? それは破滅する瞬間だ! 芸術だってそうだ、創造と破壊の末に新たなるものが生まれる!」
一方、小鳥遊光輝は演説を続ける。
「女の心を手に入れた瞬間……女の人生が壊れていく瞬間……そいつの生き死にすら手にしたあの恍惚! 正に神になったかのようだ! 君も興味があるだろう、側にいたあの黒い少女を我が手に出来るのだから!」
強き者に回り意のままに女性を操れるようになったことで知れた快感。それを知っている小鳥遊光輝はハルに対し、るるかを自分のモノに出来ると勧誘する。
それに対し、ハルは───
「絶対に嫌だ!」
「───何?」
真っすぐな目を向けながら拒否の意思を示す。
「ボクはまだ心も人を愛することがどういうものかすらも分からない……。きっと、人間としても半人前だ。るるかさんやゴウエモンおじさんが側にいるから歩み始められた」
目覚めたばかりのハルはまだ心を知らないし、未熟な面ばかりだ。きっと、るるかやゴウエモン達ファントムメンバーがいなければ難しいことだらけなのだろうとも気づいている。
「だけど、心から愛したいと思う人が出来たなら、きっとその人の笑顔が一番見たい! 泣いてる顔なんて見たくない!」
「……」
「心はきっと綺麗で大切なものなんだ。それを踏みにじる真似なんて絶対にしたくない!!」
だからこそ、ハルは心に重きを置いている。当たり前のように喜び、悲しみ、そして誰かを想う営みを守りたいとも。
「だからこそ、君のやっていることは看過出来ない。闇によって歪んだその欲望、怪盗として頂戴する!」
それ故に、宣言する。小鳥遊光輝を支配している闇を打ち砕き、歪んだ欲望を奪うことで救って見せると。
「新人やアゲセーヌまで手玉に取ろうとしたんだ。容赦はしないぜ」
「邪魔をしようっていうのなら……容赦はしないよ」
「…………やはり分かったよ。お前はこの世の歪みを何もわかっちゃいない、ただのガキだと!!」
ゴウエモンとニジーが追随する中、小鳥遊光輝は激情を見せる。
「この世界はなぁ! 力を得て好き勝手振舞うしかないんだよっ!!」
かつて小鳥遊光輝は純粋で優しい人間だった。しかし、醜い人間たちによってその優しさと尊厳は踏みにじられた。闇堕ちしたきっかけとして、呪いのネックレスと双璧をなす理由だろう。
「それでも、暴れて他の人を苦しめたらダメだ!」
「それを闇だの好きかって言いやがって……あの時お前たちは存在しなく俺を助けてくれなかっただろうが!!」
「!」
そして、小鳥遊光輝には今暴走させられている女性達を助けようと動いているハルのような救いの手は差し伸べられなかった。親友の大五郎も当時形成されていた空気を前に委縮し、造られた虚構の世界を否定できなかった。
それは巡り合わせというだけでは言い切れない残酷さだ。
「良いだろう……俺に逆らう奴らは皆殺しだ……!」
ついに怒りと絶望、そして世界への復讐心が臨界点に達した小鳥遊光輝の身体がより一層強い闇に包まれる。
「な、何じゃこりゃあっ!?」
「愛を司る天使のような魔物だな……。それにしてはえらく下品だが」
そして、何と巨大なハートに天使の翼を持つ魔物へと変貌した!
目を丸くするゴウエモンに対し、ニジーは心の歪みから生じたが故に歪んだ色欲を体現する魔物へと変貌したのだろうと推測する。
「ゴウエモンおじさん、ニジー! おそらく、大きなダメージを与えれば小鳥遊光輝と闇を分離出来るはず! 殺さないようにお願いします!」
「そうか、大物が出てきたが今回はお前が大将だ。頼むぜ!」
「勿論さ」
ハルは説得こそ失敗したが、まだ彼を救う手立てはあると考え指示を飛ばす。
「喰らえっ!」
「華麗に活かせてもらうよ!」
ゴウエモンは桜吹雪、ニジーは枝付きの薔薇を飛ばすが魔物はその翼から起こした突風で全部弾き飛ばす。
──────ラヴァーズが命じる。この者たちに神罰を!
「雑兵は任せろ! やるぞ、ニジー」
「くっ、とっとと倒せよ、ガーリーボーイ!」
「ありがとうございます!」
そして、小鳥遊光輝───今はラヴァーズは大量の天使達を償還する。ゴウエモンとニジーが引き受けてくれるのを見たハルは素早く接近。
──────命を持って償え!
「行くぞ、《キャプチャー》!」
ラヴァーズはハルの心臓目掛けて先がハートの光の矢を放つ。それを見たハルは素早く右手を前にかざし、光の矢を吸収する。
次の瞬間、ハルが光り輝く。
「コピー能力『エンジェル』!」
パーカーは白に変化し、背中に白い翼、頭の上に黄色い輪を携え、弓と先がハート型の矢を持った姿に変身する。
「お、おいハル大丈夫か!? まさかさっきの攻撃で⋯⋯」
「いや、死んではないだろ。お得意のコピー能力とやらだ」
そのさながら天使のような姿に、ゴウエモンは驚くがニジーの言うとおり、これは初お披露目となるコピー能力『エンジェル』の姿。
「たぁぁぁぁっ!」
──────何!?
ハルは次々と矢を射り、怪物の翼を攻撃する。ラヴァーズはガードしようとするも見た目よりも非常に鋭い矢が次々刺さることでよろめく。
『エンジェル』能力は天使の翼で軽やかに空を飛び、弓矢で素早く射る高い機動力と遠距離攻撃を兼ね備えたコピー能力なのだ。
──────舐めるな!!
「そんな攻撃、当たるもんか!」
ラヴァーズは中央のハートからピンク色の光線を次々放つも、ハルは全て綺麗に避けていく。日頃、アルカナ・シャドウの特訓の中で《アルカナスターレイン》による弾幕に晒されている彼からすれば避けることは造作もない。
「お返しだ、《高速連射》!」
そこから矢を一気に真っすぐに三連射する『エンジェル』能力の得意技で反撃。防戦一方のラヴァーズだが、何やら中央のハートの中心部から怪しい光を蓄え始める。
「──────!」
次の瞬間、完全に勘だがハルは素早く上昇。直後、彼が先程までいた場所に不気味な触手が通る。
「本性を表したか……」
ラヴァーズは先ほどの天使のような翼を捨て、ハート型の本体から触手を何本も生やした姿へと変貌する。
るるかから『戦いにおいて優勢な時こそ警戒するべき』『手負いの相手程恐ろしい』と教わっていたハルだが実戦でいざ目の当たりにすると、恐怖の感情が湧き出る。
「(だけど、同時に相手も相当追い詰められている。それにボクは一人じゃない)大丈夫、もう少しで君を救って見せる!」
だが、恐怖と同時に自分には仲間がいる。そして、闇に囚われた小鳥遊光輝すら救うと決意している。それを知っているハルは油断なく構える。
「たああぁぁぁっ! たああぁぁぁっ!」
次々と矢を射るもラヴァーズは触手で全て叩き落としてしまう。
「わぁっ!?」
反対に触手を自由自在に動かしてハルを叩き落そうとしてくる。何とか避け続けるも徐々に防戦一方になってしまっているのか、ハルは少しずつ退避し始める。
それを見たラヴァーズは好機だと捉え、少しずつハルを追い詰め始める。
いつしか主戦場の公園からすぐ裏の森へと移動する中、ついにハルを捕らえようとラヴァーズが触手を伸ばした瞬間だった。
「──────アルカナさん、お願い!!」
「──────《アルカナスターレイン》」
斜め上から黒い光線の弾幕が次々襲い掛かり、ラヴァーズは地面に撃ち落とされる。
「アタックチャンス! この一撃で!」
それを見たハルはこの一撃にすべてをかける思いで弓矢を引き絞り、最大パワーでこれまでの攻防で力の源だと見抜いていた中央のハートのコアを撃ち抜く。
──────!?
急所を撃ち抜かれたことで身体を保てなくなったラヴァーズは黒い闇をまき散らしながら徐々に小さくなっていく。
そして、最後には元の姿に戻った小鳥遊光輝が倒れていた。
「流石ね、アルカナ」
「───うん」
それを見たマシュタンがるるかを褒めると、彼女もリベンジ出来て何処となく満足そうな表情を浮かべる。
ハルがここまで撤退したのは全て作戦の内。プリキュアであろうが女性である以上闇魔法道具の洗脳効果に抗い辛いため前線には出れないるるかにはスナイパーに徹してもらい、最大パワーの一撃をお見舞いしてハルがコアを撃ち抜けるようにしたのだ。
「後はこのネックレスを……えいや!」
一方、ハルは小鳥遊光輝の首元からネックレスを取り、もう一度矢で射る。
パリンという音を立て呪いのネックレスは砕け散ると、そこから眩い光があふれ出す。
「……これは?」
「見たことないものね……」
光が止んだ先に落ちていたのは、きらきら光る星が付いた杖のようなもの。
「これがマコトジュエル?」
「何か見たことない形なんだが⋯⋯」
「……初めて見るものだな」
初めて見る不思議なアイテムに首をかしげるハルとマシュタン。観察しているるるかも首を振り、本体が倒されたことで雑兵の天使たちも消えたらしくやってきたゴウエモンとニジーも同様に知らないとのこと。
謎は残るが、ハルは倒れている小鳥遊光輝に駆け寄りゆさゆさと揺さぶる。
「う、うぅ……」
「大丈夫ですか?」
目覚めた小鳥遊光輝に対し、身構えるるるか達を手で静止しながらハルは語り掛ける。
「な、何なんですか、あなた達……うっ………!?」
最初こそ戸惑っていた小鳥遊光輝だが、すぐに頭を押さえるとしばらく呻きだす。
数分後、痛みは治まったらしいが今度は震え始める。
「まだだっ! まだ、『僕』には王としての力があるっ! その力があれば……!」
「……もうやめよう」
受け入れられないとばかりにまだ醜く抵抗する小鳥遊光輝にるるか達が冷たい目を向ける中、ハルは唯一心の底から心配している声色で説得をする。
「多くの女性を欺き破滅させようとした先の今は、あなたが本当に望んだことなんですか? 本当のあなたはもっと他にしたいことがあったんじゃないですか?」
「僕はっ! 僕、は……」
その中でハルは歪まされたとはいえ、取り返しがつかないことを山ほどした小鳥遊光輝の罪は重いというるるか達の話を思い出す。それはきっと正しいのだということは理解している。だが、どうしても小鳥遊光輝を断罪したり放っておいたりする選択肢をハルは取れないと思った。
今回自分が予告状を出してまで彼に立ち向かったのもこれ以上の暴走を止めるためだ。しかし、それだけではダメなんじゃないかともうまく説明できないが思っていた。
「僕だって……頑張ったんだ……! でも……誰も信じてくれなかったし裏切ったやつばかりだ……! だから、奪い返して何が悪い! 世の中、上辺だけに踊らされるクズばかりなんだっ!」
一方、小鳥遊光輝は心の底から叫ぶ。彼の心はずっと高校時代の牢獄に囚われたままだった。大五郎と絶縁したのもおそらく真の意味で助けてくれなかった彼へ怒りを抱えていたのだろう。女性達を次々支配し破滅させようとしたのも『上辺だけしか見ない大衆への正義の鉄槌』だったのだろう。
「……認めます。あなたの怒り」
いつの間にかハルの口が動いていた。小鳥遊光輝だけでなく、後ろのるるか達も少し驚いたような様子を見せる。
「あなたのトラウマを垣間見たからこそ、絶望の中で必死に足掻いてきたってこと分かります」
偶然だが、彼のトラウマと絶望を見たハルだからこそ今この場で、いやおそらく世界の中でも一番小鳥遊光輝を理解しているのかもしれない。
「だけど、その足掻き方は間違っているんです。今回あなた達が破滅させようとした人は全く関係ない第三者です。るるかさんだって、アゲセーヌだって……」
だからこそ、言葉をかけ続ける。
「もうやめましょう。嫌な奴らに苦しめられる悪夢も、誰かを破壊し続ける悪夢も……きっと、あなたは望んでいない」
「僕は……」
「──────警察に自首して、これまであなたが弄んできた女性達に償いをしてください。そしてもう一度立ち上がってください。あなたには心配してくれているお友達がいます」
もう少し早く介入できていれば彼が罪を犯すことはなかったかもしれない。それでも今出来る最大限をしようとハルは決めていた。
「……そう、ですよね。……自首しに行って罪を償います」
ハルの純粋な心に触れたのだろう。項垂れた小鳥遊光輝はゆっくりと立ち上がり、フラフラと歩きだす。
そしてそれを静かに見送っていたハルだが、ゆらりと倒れそうになったところをるるかが支える。
「大丈夫、ハル!?」
「───疲れ切って眠っているだけ」
「俺が背負いながら帰るか」
マシュタンが心配する中、疲れ切って眠ってしまったハルを背負ったゴウエモンが歩き出す。
「しかし、ハルも今回の件で成長したな」
「そうかい? 理想論だけのただの甘ちゃんだと思うが」
その途中、ゴウエモンはしみじみとハルの成長について言及する。
「犯人に対しても同情するという彼らしさを残しながら、きちんとした対応を取った。そして最後はあいつが折れないようにしながら道を示した。名裁きだったぜ」
彼は同情し悩みながらも、小鳥遊光輝に立ち向かい彼の心を救うために自首と贖罪を提案した。それは簡単なことではない。力だけではない確かな姿にゴウエモンは感銘を受けていたのだ。
「ターゲットの心の歪みを正し改心させる。───さしずめ、心の怪盗と言ったところかしら?」
「───それよりももっと的確に彼を表す言葉がある」
その言葉に怪盗としての彼への評価を改めるマシュタンに、るるかは自身が感じた想いを話す。
「───【Edge of Heart】、心を探求しその境界にも恐れず歩む旅人。彼が征く道の先に何があるかは興味がある」
スヤスヤと眠るハルの寝顔を見つめながら、るるかは久しぶりに興味を持った相手に微笑みを向けた……
【エンジェル】
あたるといたい矢をうちます
おしてはなして矢がとびます
アクマのようなテンシです
初登場は『鏡の大迷宮』。
背中に生えた天使の翼で空を飛びながら、矢を射る能力。
原作ゲームでは全体的に動きが遅いが、小説『メタナイトと銀河最強の戦士』で登場した時には機動力が高く連射が早い能力になっており、スフィアローパー相手に優位に立っていた。
***
【ラヴァーズ】
謎のネックスにより、愛欲を司る魔物
【ラヴァーズ】に変貌した小鳥遊光輝
女性を弄び破滅させる存在となった彼を
コピー能力の力で打ち倒し解放せよ!
***
☆本作の登場コピー能力
メジャーなものばかりではなく、マイナーどころも出していく予定です。
☆本作オリジナルの魔物【ラヴァーズ】
本作では呪われた魔道具によって心に歪みが生じた人間が魔物化して襲い掛かるオリジナル展開があります。そのオリジナルの魔物は後書きにスペシャルページ風の解説を付けます。
☆小鳥遊光輝への説得シーン
調べていく中で、プリキュアは良くも悪くも敵との和解展開も多い作品(ヒープリなどの例外もありますが、個人的に「これで和解できるわけがないだろ!」と思いました)だと知り、カービィシリーズやハルの怪盗業のオマージュ元である心の怪盗団も相手を殺さず改心方向にもっていく展開が主なのでそれに倣っています。
呪いの魔道具によって歪んでしまい暴走していた人々の罪はきちんと指摘しつつも、贖罪をしていけるようなアドバイスもするというのが本作の流れになっていきます。
☆最後のるるかさんのセリフ
タイトル回収は創作者なら一度は憧れると思います。