質量交換能力でファイアしようとする話   作:蛮族

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3話 携帯したい文明

 

 

「っ、はぁ……っ……!」

 

 黒崎遊馬は、マンションの階段を駆け上がっていた。

 

 三階。

 

 四階。

 

 五階。

 

 両手には荷物。

 

 背中にも荷物。

 

「っ……クソっ……!」

 

 息が切れる。

 

 脚が重い。

 

 額から汗。

 

 配送先はエレベーターなしの五階。

 

 地獄。

 

「……っ」

 

 脳裏に浮かぶ。

 

【こんがり焼けた肉】

 

 ――疲れにくくなる。

 

【筋力アップの魔法のアクセサリー】

 

 ――持ち上げるのが楽になる。

 

【歩くと回復するブーツ】

 

 ――移動しながら回復。

 

 全部あれば。

 

 この地獄もだいぶマシだ。

 

 でも。

 

 ――家だ。

 

 全部、家。

 

「……家じゃねぇと使えねぇの終わってるだろ!!」

 

 踊り場で叫んだ。

 

 虚しい。

 

 ◇

 

「お前今日テンション低くね?」

 

 配送センターで、佐伯が笑う。

 

「文明が足りないんすよ」

 

「何言ってんだ?」

 

「持ち運べる文明が必要なんす」

 

「病院行け」

 

「それはそう」

 

 遊馬は真顔で頷いた。

 

 ◇

 

 帰宅。

 

 PC起動。

 

 Steam起動。

 

「未来ならあるだろ……携帯端末……!」

 

 ゲームライブラリを漁る。

 

 SF。

 

 宇宙。

 

 サイバー。

 

 未来。

 

「出てこい文明……!」

 

 ◇

 

 一作目。

 

 宇宙FPS。

 

【アームコンピューター】

 

「これだろ」

 

 ドラッグ。

 

 ぽぅ。

 

 光の粒。

 

 形成。

 

 現れる。

 

「……」

 

 ゴツい。

 

 腕につける。

 

 ゴツい。

 

 無駄に青く光る。

 

 ゴツい。

 

「……だっっっさ」

 

 ダサかった。

 

 近未来というより。

 

 子供向け変身ヒーロー玩具。

 

 しかも。

 

『コマンドヲ入力シテクダサイ』

 

「……あ?」

 

 機械音声。

 

「こんがり肉」

 

『認識デキマセン』

 

「日本語いけや!」

 

『コマンドヲ入力シテクダサイ』

 

「肉!」

 

『認識デキマセン』

 

「クソが!!」

 

 しかも音声入力。

 

 外で使えるかこんなの。

 

「却下!」

 

 ゴミ箱へ収納。

 

 ◇

 

 二作目。

 

 サイバーパンク系。

 

【ホログラムパッド】

 

「……かっけぇ」

 

 ドラッグ。

 

 ぽぅ。

 

 現れたのは。

 

 何もない。

 

「……あ?」

 

 次の瞬間。

 

 空中に青い画面。

 

「うおっ!?」

 

 浮いてる。

 

 かっこいい。

 

 未来。

 

 文明。

 

「勝ったわ」

 

 触る。

 

 すり抜ける。

 

「……あ?」

 

 つまむ。

 

 動かない。

 

 振る。

 

 消える。

 

「は?」

 

 もう一回。

 

 出す。

 

 手を振る。

 

 開く。

 

 閉じる。

 

 消える。

 

 開く。

 

「……」

 

 どうやって操作すんだこれ。

 

 空中スワイプ?

 

 ジェスチャー?

 

 説明書ない。

 

「うぜぇぇぇ!!」

 

 却下。

 

 ◇

 

 三作目。

 

 異星文明SF。

 

【神経接続型インターフェース】

 

「……うわ、絶対便利じゃん」

 

 説明欄を見る。

 

【使用者の神経網へ直接アクセスし――】

 

「……」

 

【思考入力による高速処理を――】

 

「……」

 

 想像する。

 

 頭につける。

 

 ビリッ。

 

 死亡。

 

「……いや怖ぇわ」

 

 そっと閉じた。

 

「なんで未来ってすぐ脳に繋げたがるんだよ……」

 

 却下。

 

 ◇

 

 数時間後。

 

「……もう無理」

 

 ベッドに倒れる。

 

 疲れた。

 

 文明探しで疲れるってなんだ。

 

「……普通がいい……」

 

 ぼそり。

 

 そして。

 

 閃いた。

 

「……現代」

 

 未来じゃなくていい。

 

 現代。

 

 今。

 

 普通に使えるやつ。

 

 ◇

 

 現代RPG。

 

 異能バトル系。

 

 作中の主人公たちが使う端末。

 

【タクティカルタブレット】

 

「……これだ」

 

 ドラッグ。

 

 ぽぅ。

 

 光。

 

 形成。

 

 机の上。

 

「……」

 

 薄い。

 

 軽い。

 

 黒い。

 

 ただのタブレット。

 

 でも。

 

 電源オン。

 

 ぴこん。

 

【SYSTEM LINK】

 

【RECYCLE BIN CONNECTED】

 

【WATER 74L】

 

「……」

 

 固まる。

 

「……は?」

 

 タップ。

 

 ぴっ。

 

【こんがり焼けた肉】

 

【革のブーツ】

 

【スタミナリング】

 

 一覧表示。

 

「……は?」

 

 ドラッグ。

 

 ぽぅ。

 

 こんがり肉出現。

 

【WATER 73.6L】

 

「……」

 

 沈黙。

 

「……神」

 

 呟いた。

 

「最初からこれにしろよ!!」

 

 ベッドを殴った。

 

 遠回りだった。

 

 でも。

 

 文明は掴んだ。

 

 ◇

 

 翌日。

 

「っしゃぁ……」

 

 配送中。

 

 路地裏。

 

 誰もいない。

 

 ポケットから取り出す。

 

 タブレット。

 

 起動。

 

 ぴこん。

 

【こんがり焼けた肉】

 

 ぽぅ。

 

「……文明……!」

 

 かぶりつく。

 

 うまい。

 

 バフ。

 

 元気。

 

「最強かよ……」

 

 その時。

 

「お、うまそうなの食ってんな」

 

「うおぁっ!?」

 

 振り返る。

 

 佐伯。

 

「……」

 

 口いっぱいの肉。

 

 手にはタブレット。

 

 やばい。

 

「お前……それ弁当か?」

 

「……え?」

 

「いや、その肉。自分で焼いたの?」

 

「……あー……まぁ……」

 

 冷や汗。

 

 だらだら。

 

 佐伯が感心した顔になる。

 

「へぇ……お前料理できたんだな」

 

「……はは……」

 

 乾いた笑い。

 

「意外と家庭的じゃん」

 

「……ははは……」

 

 違う。

 

 違うけど。

 

 説明できない。

 

 黒崎遊馬は。

 

 とりあえず笑ってごまかした。

 




ChatGPTくん凄いよぉ。
もりもり書いてくれるので適当に修整指示するだけでいつまでも遊べますねこれ。有料版に移行するか迷うところ。
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