カードと結果を元に物語を書く、で書いております。
シーンカード 荒くれ船乗り
光カード 冒険記
シーンカード 御前試合
闇カード 竜の仮面
クライマックスカード 空の中の死闘
この作品では引いたカードに独自の設定がよく生えます。
ここは付近で一番大きな港町。
皇帝が居る、王国の跡地に行くにはここから海路で行くのが一番早いと聞いたのでやってきていた。
しかしここから目的地までの海は非常に荒れやすく、熟練の船乗りと航海に耐えられる船が必要なのだ。
この町で一番の船乗りが集まるという酒場へやってきた。
店内には非常に活気があり、船乗りたちで浴びるように酒を飲んでいた。
あなたはカウンターへ向かい
「この町で一番度胸と腕のある船乗りたちを探している。」
そう大き目の声で告げた。
一瞬店内が静まり返り、笑い声が響く。
「お前みてえなひょろひょろな奴に雇われるような奴は居ねぇよ!そもそもどこに行こうってんだ!」
「王国跡地、皇帝の居場所。」
「それこそ自殺行為だぜ、あそこの治安は今一番わりぃんだよ!」
「自信が無いのか?」
店内が再び静まり返る。
低い沸点を超えそうな気配。
だけどドラゴン、鬼と格の違う種族に立て続けに遭遇しているから可愛いものだ。
もう少し煽れば釣れるかな?と考えた矢先
「俺たちだってタダで船乗りやってるわけじゃねぇ。」
この中で一番気配が強い男が出てきた。
…釣れたか。
「それは失礼。海に出ず酒を飲んでいるので暇かと思ったんだがな。」
「おい、口の利き方には気を付けるんだな。」
「俺はどうしても行かなきゃいけないんだ。どうやっても連れて行ってもらう。」
「面白れぇ、そういうんなら力で俺たちを従えてみろや。」
結局こうなるのか
内心溜息をつきながら先手必勝と目の前の男に飛び掛かった。
「ふぅ…」
店内は静まり返っていた。
さっきまで目にもの見せてやると意気込んでいた男どもは全員地に付し、うめき声をあげている。
先手必勝で目の前の男を沈めた直後、同行していた犬達も参戦してしまい乱戦になり気づけばこんな状態になっていた。
「あ、あんた…つえぇな」
「まぁね。それで?これで連れてってくれる?」
「あぁ、男に二言はねぇ。」
「そんじゃよろしく。」
了承の言葉の後に、流石に休ませてくれとのことなので店の様子を見てやりすぎたかと感じたがそもそも喧嘩を売ったのは向こうなので待つとしよう。
旅に出てから日記に書く内容に事足りないなと、日記を出し足元にじゃれついてくる犬達と戯れつつカウンターで待つことにした。
海を無事に渡り、船乗りたちに兄貴と慕われながらも別れ、王国跡地にまでたどり着いた。
そこでは力がすべてを支配していた。
力があるものがルールで弱者は淘汰される。
大通りにはガラの悪いチンピラのようなモヒカンが歩き、路地裏では力なきものが虐げられている。
…なんてことはなく。
何かしらの方法で一定以上の力を持つものは精神が落ち着く傾向にあるのか。
少なくともあなたの目に見える範囲では普通の城下町のように見える。
しかし会話の節々に侵略を思わせる部分もあり、侵略先で奴隷を確保し、労働力にしているのは間違いない様だ。
なぜ獣人だけは滅ぼされているのか…
そんな謎はありつつもどうやって皇帝に接触するか考える。
「そういや今年の御前試合の飛び入り枠ってもう誰か決まってるんだっけか?」
御前試合?
突然聞こえてきた話に耳を澄ませる。
「無理無理、例年ボコボコにされるネタ枠だろ?」
「それに今年は有力候補も多いから猶更かぁ。」
「でも優勝すれば皇帝様に謁見して好きな褒美を賜れるんだろ?一度でいいから優勝してみてぇなぁ。」
その話詳しく。
あなたは思わずその話に入り、御前試合への出場を決めた。
闘技場にラッパが響き渡り、40人の勇士が闘技場へと足を踏み入れる。
その中にあなたは居た。
観覧席の最上階、つまりVIP席にいるのはこの国の王、すなわち皇帝だ。
ここで優勝し、目的を果たすのだ。
最初の対戦相手が武器を構えた。
さあ、目的のため倒させてもらおう!
…負けた。
試合に向けて整えてきた勇士相手に善戦したものの、あなたは敗北してしまった。
どうしたものかと考えていると優勝者が決まったようだ。
竜の仮面で顔を隠し、あなたと同じような背格好、フードの人物だ。
しばし休憩を挟み、そこから優勝者と皇帝の謁見があるようだ。
…ふと思いつく。
自分が同じ格好をすれば完璧とまではいかないが皇帝との謁見までは行けるのではないか。
迷っている暇はない。
やれることはやるべきだ。
あなたは優勝者の控室にやってきた。
扉の外から内部を伺う。
どうやら背を向けて待機をしているようだ。
…一気に仕掛ければいけるか?
「どうした、用があるんだろう?」
唐突に優勝者が話す。
バレていた…!?
「こないなら危険と判断し対応させてもらうが?」
「…わかった。」
観念し控室に入る。
試合の格好のまま、こちらを見ていた。
「それで、ご用件は何だい飛び入り参加さん?」
「…担当直入に言う。あなたの代わりに皇帝と謁見させてほしい。」
「いいよ。」
「もちろん無理なお願いなのは承知の上…え?」
「君、獣人だろ?これでも違う種族の気配には経験上敏感なんだ。」
「いや、こちらからお願いしてるのに言うのもなんだけど、願いはいいのか?」
「私は強者と試合ができればそれで満足だったからね。これ以上なんてそれこそ皇帝相手でもないと無さそうだからね。」
「え、えぇぇぇ…」
理由を明かすまでもなく了承されてしまった。
あれよあれよと優勝者のペースで気づけば入れ替わりが完了してしまった。
「そうそう、その仮面、あるドラゴンの加護が付与されているんだ。」
もしかしたら、君に縁があったりするかもね。
そんな意味深な言葉に聞き返す暇もなく呼ばれてしまった。
皇帝
かつて突如として現れ、獣人の王国を滅ぼした勢力の頂点。
何故獣人を滅ぼしたのか。
何故獣人だけを根絶やしにしようとしているのか。
理由はわからない。
血縁の両親の顔は覚えていない。
物心ついたころには育ての親と動物があなたの家族だ。
家族に手を出されたわけではない。
自分自身に明確に殺意を向けられたわけでは無い。
しかし、家族に被害が及ぶのであれば
あなたは戦うことに躊躇しないであろう。
謁見の間
優勝者と服、装備を入れ替え、ここまではこれた。
家族の動物たちは今は居ない。
バレてしまうからな。
問題はここからだ。
「御前試合、見事であった。」
「はっ…もったいなきお言葉。」
「褒美を取らせよう。なんなりと言うがよい。」
「では僭越ながら…」
謁見の間にほかに人はいない。
皇帝が最高戦力なのだ。
「何故、獣人を滅ぼしたのですか?」
「ほう、面白いことを聞く。」
「気になりまして。」
「そのために御前試合で勝ち抜いたと。」
いいだろう、その言葉がさらに紡ぐ。
「獣人、奴らは人に限りなく近い存在でありながら、人以外の物、とりわけ種族としての格が違うものに好かれやすい。」
代表的な例としては国王があるドラゴンと友好を築いていた事だ、と。
「その時は友好的でも、奴らの気分ひとつで容易く滅ぼされる。そんな状態でいるくらいなら、こちらから滅ぼす。」
「…だからお前も今ここにいるのだろう?」
気づかれていた!?
そう認識すると同時に距離を詰める。
初撃でできるだけダメージを!
踏み込みと同時に突き出した腕が掴まれた。
ならばと反対の足で首を狙うがそれも掴まれ宙づりにされてしまう。
「試合で既に気づいていたぞ。動きは速いがそれだけだ。」
掴まれた腕と足を潰すために力が籠められる。
たまらず苦痛の叫びが謁見の間に響き渡る。
その時。
轟音。
痛みが途切れたと同時に誰かに抱きかかえられる感触。
息を整えながら顔を上げると。
「何をしている。」
「君は…」
そこにいたのは以前村で生贄を捧げさせていた大鬼の美少女だった。
「私と相容れると、その…一緒に居たいとそう言っただろう、勝手にやられそうになるんじゃない。」
「もしかして、あれからずっと付いてきてたのか?」
「な、なななそんな事は無い!たまたま、私の行く先に貴様が居ただけだ!」
「ははっ、そういうことにしておくね。」
気づけば周囲には動物達が、家族が来ていた。
一緒に戦わせろと無言で小突かれる。
「いてて…悪かったって、一緒に頼む。」
動物達から力強い返事と共に鬼も仕方ないと鼻を鳴らす。
「やはり…獣人は油断ならぬ。」
謁見の間の奥。
鬼により吹っ飛ばされていたと思わしき皇帝がゆっくりと歩いてくる。
「本来別の種族と交わらないはずの種族、それと何かしらの形で縁を紡ぐ。」
顔に殴られた形跡は残っているが、ダメージはあまりなさそうに見える。
「あの国王を相手にした時のように貴様を始末してくれる!」
その言葉と共に拳が空間を上に振りぬいた。
一瞬後、凄まじい衝撃と共に謁見の間の天井と共に全員空高くに打ち上げられた。
「な、なんて出鱈目な…!」
「国王もこれには手も足も出なかったぞ。さあ、貴様はどうする!」
「くっ、こうなれば」
「いかに鬼といえどもその状態では単独で助かるかどうかではないか?」
その言葉に真実と示すように鬼が黙る。
どうする…?
どうにかこの状況を打開して
せめて空が飛べれば…!
その気持ちに呼応して、仮面が鼓動した。
それと同時に覚えのある気配が近づいてくるのを感じる。
気持ちのままに叫ぶ。
「お前が言ったんだろう、早くこいよドラゴン!」
仮面が割れると同時に自分たちを巨体が受け止めた。
「この時を待っておったぞ。お前の父の弔い合戦、付き合わせてもらうぞ。」
「俺は両親に覚えがない、正直あの皇帝への因縁なんてよくわからない。でも、家族に危害が加えられるんであれば誰であれ排除する!」
「その意気やよし!やはりお前はあいつの息子だよ。」
地上にいた皇帝はひとしきり笑う。
笑い終えた後、その顔に笑みを残したまま空へと跳んできたのだ。
「久しぶりだな、ドラゴンよ。あのまま逃げ帰っているのかと思ったぞ。」
「ふん、本来であれば干渉するつもりはなかったがな。」
ふと、ドラゴンと目が合った。
ドラゴンの背にいるのにそう感じた。
「こんな面白そうなものが再び現れたのだ。隠居するには少し早いと思ってな。」
「…ねぇ、あの皇帝なんで中空に留まっているの?」
「多分だけど、細かく空中を蹴って結果浮遊してるみたい。」
「…噓でしょ。」
先ほども思ったがなんて出鱈目な力だ。
でも、やるしかない。
皆、力を貸してくれ
その言葉の返答はドラゴンの咆哮と共に突撃だった。
そこからは激闘だった。
ドラゴンの突撃も皇帝は交わし、鬼や家族と共に攻撃するもかすり傷レベルで有効打は入らない。
それに対し皇帝からの少ないながらも反撃は確実に蓄積してきている。
どうにかしなければ。
その思考にシンクロするようにドラゴンが再び突撃を行った。
先ほどの繰り返し。
そう思えたがドラゴンの尾が皇帝に巻き付き捕らえたのだ
「今だ!次のチャンスは無いぞ!」
鬼が、家族ができるだけの事をしていく。
あなたも急所を確実に狙う。
あたる直前に皇帝と視線がぶつかった。
そして、悔しそうな愉快そうな表情を見せ
一撃、確かな手ごたえと共に皇帝の体が宙に舞う。
皇帝はそのまま地上へと落下していった。
「…勝ったの?」
「多分な、あそこまではっきりとした手ごたえは間違いようがない。」
その後の事はあまり覚えていない。
緊張が途切れたのだろう。
次に目を覚ました時は山奥にある家だった。
家に残っていてくれた鬼から聞いた話では
ドラゴンがここまで送ってくれたとのことだ。
そしてあの皇帝の国は、圧倒的トップは居なくなったが同じ方式で何人かは出てくるかもしれないが、
皇帝ほど圧倒的ではないためいずれ瓦解するであろう、とのことだった。
…これで旅は終わった。
結果的にはドラゴンが暴れて、皇帝が倒れたように見えたのだろうか。
あの時の皇帝の表情の真意はわからない。
所詮自分は武術を学んだわけでもなく、生きるための戦闘術だったからだ。
皇帝の脅威が去ったことで自分の周りは平和になるであろう。
結果的に両親、王国としての敵討ちを果たしたが実感は無い。
家族と平和に暮らせればそれでいい。
そういえば鬼はいつまでこの家にいるつもりなのだろうか。
今後も居座るつもりなら色々考えなければならない。
ただ…
「今はただ、この幸せな二度寝を満喫させてもらおう。」
そう日記に綴り、本を閉じる。
いつかこの日記が、冒険記が誰かに見られても妄想だと思われるだろう。
それでも、これが真実だとあなたと家族は知っている。
これにて今回の獣使い君の冒険は終わります。
思ったより綺麗に皇帝の元に行けてしまったので決戦にしてしまいました。