剣、魔法、あるいは のびのびTRPGを添えて   作:神炎飛鳥

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のびのびTRPG ソードで鍛冶屋でソロプレイ。
カードと結果を元に物語を書く、で書いております。

イントロダクション 試練の迷宮へ
シーンカード 魔導レーザーをよけろ!
闇カード   竜の一族
シーンカード 飛竜の群れ
光カード   姫(NPC)

この作品では引いたカードに独自の設定がよく生えます。


鍛冶屋と出会い

「おーい、頼んだ物が出来てるって聞いたんだけどー。」

 

「今行くからちょっとまってろ。」

 

 

俺は村で鍛冶屋をやっている。

今まで唯一の鍛冶屋としてやってきた師匠から引き継ぎ、村の簡単な道具を作ったりが主な仕事だ。

 

「あそこまで壊れてたらダメだと思ったけど、ちゃんと直ってる…鍛冶屋さん、もう先代超えたんじゃない?」

 

「世辞でもやめてくれよ。俺はまだまだ師匠に追いつけてもないさ。」

 

「俺からしたらそんなことないと思うけどねぇ。」

 

「違いが知りたいなら教えてやるよ、きっと師匠ならそこの…」

 

「やめろやめろ、鍛冶屋さんその話になると長いんだから。そんじゃお代はこれね。」

 

「…はいよ、確かに。道具は大事に使ってくれよな。そんで不調を感じたら早めに持ってきてくれ。」

 

「壊れる前にメンテナンスした方が道具が長く生きれる。先代の口癖だったね。耳にタコができるくらいに聞いたよ。」

 

あ、そうだそうだ。

いつもならこれで帰っていく村人が今日は珍しい噂話を聞き、王都の方ではこの話で持ち切りらしい。

 

魔物が王城に侵入し、ある宝玉が盗み出された。

王が追っ手を向けたが魔物は山脈に隠されていた迷宮に逃げ込んだそうだ。

その迷宮は巨大迷宮で、追っ手では魔物も、宝玉も見つけられなかったらしい。

王は巨額の報奨金を出し、取り戻すための人を集めているらしい。

勇ましきものよ、迷宮に集え。

 

との事である。

 

村人が帰った後、店には静寂が戻る。

鍛冶場に戻り、奥へと続く扉を開く。

そこには、今まで仕事に関係なく作った武具が並んでいた。

 

「噂にあった宝玉…師匠に聞いたものと一緒だとしたら。」

 

欲しい。

金も、名誉も、そんなものよりも。

最高の武具を作る。

鍛冶師であれば一度は夢見るであろう目標。

噂の宝玉は武具に使えば最高の材料になる。

鍛冶師ならば手に取ればわかると師匠は言っていた。

そんなものが、手に入るチャンス。

 

「…逃す手はない、か。」

 

「ししょー?まーた奥にいるんすかー?」

 

鍛冶場から聞こえる声。

使いに出していた弟子が帰ってきたようだ。

 

「いいところに帰ってきたな。」

 

「あ、ししょー…えっと、そんな嫌な笑顔でどうしたんすか?」

 

「お前も押しかけてきて無理やり弟子になったとはいえ、最低限はできるようになってきたなと。」

 

「そんな顔する時ってだいたい無茶ぶりされてきてるんですけど…」

 

「なーに、大丈夫だ。ちょっと遠出してくるからその間修理やメンテをやれって話だ。」

 

「あ、いつものに比べれば大分マシっすね…ところで遠出ってどこまで行ってくるんです?」

 

「ちょっと噂の巨大迷宮に潜ってくるだけだ。」

 

「あー、巨額の懸賞金の噂のっすか…ししょー!?それいつ帰ってくるんすか!?」

 

「さあ、いつになるかは運次第だな!」

 

「やっぱりいつもの無茶ぶりじゃないっすかー!」

 

そんな声を背に、いくつかの武具を持ち巨大迷宮に向かって旅に出たのだ。

 

 

巨大迷宮にはなんだかんだとたどり着けた。

 

迷宮の前は噂を聞きつけてきた冒険者の姿がいくつもあった。

それはパーティーで打ち合わせをしたり、荷物のチェックなど熟練を感じさせるものであった。

 

俺も簡単ではあるが荷物の再チェックを行う。

 

「おい、あんた!」

 

「ん?」

 

「そんな荷物で迷宮に入るなんて死ぬ気か!?」

 

驚いた。

全員ライバルみたいなものかと思っていたが、純粋に心配されるとは思わなかった。

 

「心配どーも、これでも備えはあるんで大丈夫だ。」

 

「しかもあんた一人で潜る気か?」

 

「ちょっとした事情で一人のが楽なもんでね。心配してくれた礼だ、簡単でもあんたのパーティの装備のメンテでもしようか?」

 

流石に見ず知らずの者に装備を預けるのはためらわれたのか、声をかけてきた奴だけお願いしてきた。

メインでやってきたのは日用品ばかりだが、これでも武具もそこそこ作ってきたんだ。

…細かくて気づきずらいが刃こぼれも多いな。

軽く熱で補修するか。

見た目が変わってないように見えるが、これでマシになったろう。

装備を返し、気を取り直して迷宮に潜る。

 

迷宮内部は石壁の通路が続いていた。

通路は不思議な事に遠くは見えないが、戦闘には問題ないほどの明るさがあった。

他の冒険者に出合わない事を不思議に思っていると、広い部屋が見えてきた。

部屋は四角く何もいなかった。

広さ的に何か待ち構えているものかと思ったがそういうこともあるのか。

 

「こりゃ、考えすぎか、運がいいだけなのか。…ん?」

 

嫌な気配。

違和感のある熱の上昇を感じた。

身構えたと共に横の壁をぶち破って目の前を何かが横切った。

驚愕と共に飛んできた方向に目を向ける。

そこには

 

「ま、魔動機械ぃぃ!?」

 

今では噂も聞かなくなった魔導機械が全身から火花を散らしていた。

頭部にはまがまがしい紅い光が灯っている。

目線が、あった気がした。

反射的に持ってきた盾を構えた。

 

熱が走る。

 

何とか盾で防ぎはしたが弾くなんて芸当はできるはずもなくそのまま魔導機械とは反対の壁に吹っ飛ばされ。

…いくつの壁が一回目で抜かれてたのかはわからないが

結構な距離を飛ばされたの感覚はある。

魔導機械はこちらを見失ったのか追ってくる気配はない。

身を起こす。

先ほどの部屋と似たような構造だが、違う点は通路が見当たらない事と

 

「これは、祭壇か?」

 

何を祭っているかわからないが中央に何かがある。

不思議な感覚に導かれそれに近づいてみた。

それは大きな翼、鋭い牙や爪、長く太い尻尾、ドラゴンの像だった。

それに近づく程に体に熱が、鼓動が高まる感覚。

像に触れた瞬間、全身が熱い。

訳も分からず、何かを理解する感覚がある。

全身の感覚が変わる。

自分が人じゃなくなるような、視線が、身体が、変わっていく。

 

全身を汗が伝い、呼吸が荒い。

何があったか理解はできない。

だが、一つ。

自分は竜の血を引いている。

そのことだけは理由はわからないが、理解させられた。

そして鍛冶に便利だと思っていた高温を手に持ったものに伝えられる能力。

これは竜の血が中途半端に覚醒してたせいだったようだ。

そして強制的に起こされた結果。

 

「竜化、か」

 

 

竜の祭壇があった部屋。

俺が吹き飛ばされた際にできた壁の穴しか出入口らしきものは無かった。

魔導機械の気配は感じられないが慎重に部屋から出る。

出た直後、左右に通路が伸びており、正面には魔導機械の方向に続くであろう穴が続いている。

もう一度遭遇するのは御免なので、奥へと進むであろう方向へ通路を進む。

暫く進むと、空気の流れが変わったのを感じる。

 

「なんだ?何かを感じる。」

 

ふと、この先から気配を感じた。

動物とか、人とかの気配をなんとなく感じるのとは違う。

なんというか、同族を察知するような…

 

今まで感じたことのない不思議な感じに、警戒を強める。

こういう時は経験上、面倒なことが起きる。

 

通路を抜けた。

そこには

 

先ほどよりも大きい部屋に天井が見えない程の飛竜の群れだった。

 

反射的に通路に下がろうとして、部屋の様子に気づく。

先客が居たようで、既に戦闘が起きていた。

全身鎧でありながら動きを阻害しないような作り、飛竜の鱗を容易く切り裂く大き目な剣。

それの周りには既にいくつもの飛竜の死体があり、戦闘の激しさを物語っていた。

 

しょうがない…

「趣味で作った色物だから使いたくはなかったけど」

 

荷物から折りたたまれた物を取り出し、組み立てる。

それは弦が無い弓であった。

真ん中の部分にある窪みに取り出した石をはめ込む。

石が光ると共に弦が生成された。

 

「援護する!」

 

「…っ!?空の敵を優先的にお願い!」

 

「了解した!」

 

弦を引くとそこに矢が生成される。

 

「腕は良いわけでは無いが、こんだけいるのなら放てば当たる!」

 

放った矢は飛竜に突き刺さり、効果を確認できる。

さて、出来るだけ翼を狙いますか。

 

しばらくたち。

部屋には飛竜が見渡す限り倒れており、先客は鎧がいくらか破損してはいるが、無事なようだ。

 

「よう、お互いなんとか無事なようだな。」

 

「援護、感謝します。あのまま一人ではどうなっていたか。」

 

「あんた、仲間は?」

 

「この部屋に入る前までは一緒でしたが、気づけば居なくて…ところであなたは?」

 

「俺はしがない鍛冶屋だ。村じゃ鍛冶屋って呼ばれてる。」

 

「私は…っと、兜を被ったままでは失礼ね。」

 

そいつは兜を取るとそこにあったのは銀の長髪がふわりと舞い、意志の強さを感じさせる少女だった。

 

「私はこの国の騎士団の小隊長兼第3王女です。魔物に隠された宝玉を取り戻しに来ました。」

 

「ほーん、姫さんがわざわざね。」

 

「ひ、姫さん…ま、まあいいでしょう。ところであなたのその弓は…」

 

「これか?趣味で作った魔石で弦も矢も生成する弓だ。」

 

「魔石で…?そんなもの聞いたこともありません。」

 

「こういう機構を動かせるような魔石はそんなにないから実用性低いからな。ちょうどいい、姫さんも手伝ってくれ。」

 

「手伝う?」

 

「飛竜くらいの魔石なら十分動かせるし、金にも代えられる。」

 

ほら、ここを捌けばいい。

姫さんに伝えると素直に手伝ってくれた。

騎士団所属って言ってたし解体はよくあるのだろう。

二人で手分けし、いい量の魔石が手に入る。

 

「よし、手伝ってくれた礼だ。姫さんの装備もメンテしてやるよ。」

 

「それは助かりますが…先の戦闘で酷使してしまっているし、こんなところでできるの?」

 

「まあ、企業秘密ってやつだ。」

 

「じゃあ、剣を頼みます。」

 

剣を預かり、確認する。

竜の鱗が切れるほどのいい素材は使っているが、思ったより摩耗が少ない。

姫さんの腕も良いのが伺える。

いつものように表面を加工できるだけの熱を通そうとすると

消費される熱量というか、疲れが少ないのに気づく。

あの竜の像に触れた際にこちらの調子もよくなったようだ。

俺が剣のメンテナンスしている間に姫さんは鎧の不要になった部分を外し、全身鎧から各所を守る軽鎧のような姿になっていた。

 

「ほら、これでかなり戻ったはずだ。」

 

「…すごい、このような場所でここまで剣の状態が良くなるなんて。」

 

「壊れる前にメンテナンスした方が道具が長く生きれる。」

 

「…使い手として心に刻んできます。ところであなたは一人みたいだけど目的は同じ?」

 

「まあ、宝玉が目当てではある。」

 

「でしたらここで会えたのも何かの縁、一緒に行きませんか?」

 

…正直宝玉を持ち帰って自分で使うのが目的なのでできれば一人で行きたい。

だが、魔導機械や先ほどの光景を思い出し、一人で厳しいのも事実。

背に腹は代えられないか。

 

「姫さんの同行者には物足りないかもだが、よろしく頼む。」

 

「では行きましょう!」

 

宝玉をどうやって持ち帰ろうかねぇ…

頼もしさと共に心の内で溜息が一つ出ていた。

 

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