カードと結果を元に物語を書く、で書いております。
シーンカード 荒れ果てた町の出会い
闇カード 賞金稼ぎ
シーンカード スクール・スニーキング
光カード 竜殺し
この作品では引いたカードに独自の設定がよく生えます。
同族にあったと思ったら何故か第3王女様が同行者になった件について
先ほどの出来事をまとめるとこういうことだが、何でこうなった。
俺は宝玉を私的に使いたくて迷宮に来たのに
宝玉を持ち帰らなきゃいけない立場の人と一緒に居るのだろうか。
「鍛冶屋ってさっきのみたいな不思議な武器を他に持っているんですか?」
「別に機構に魔石を使っているだけで運用方法は普通の弓と変わらないだろ。」
そして意外とおしゃべりなのか色々と聞いてくる。
警戒をしながらなのは流石騎士団所属ってところだが
このままだとうっかり宝玉の事をしゃべってしまうかもしれない。
内心ひやひやしながら会話をしていると、広い空間にでた。
広い空間というか
「これは…」
「町?」
何故か乾いた荒野のような町に出てきた。
遠くの方に次に進む通路のようなものも見えている。
「何か来ます。」
姫さんの言葉に身構える。
奥の通路の方から何かの影が近づいてきていた。
その影は動きを止めたかと思えば。
次の瞬間には俺たちの目の前にいた。
「!?」
「一瞬で距離を…」
「私はあのお方の四天王の一人。」
フードで顔も見えず、声がよく響く。
「あのお方って、宝玉を持ち去った魔物の事か!」
「何のことだ?あのお方はこの迷宮を管理している至高のお方だ、こそこそ入り込んだネズミなんぞと一緒にするな!」
「例の魔物が迷宮の主ではない…?」
「私の役目は最近増えてきた冒険者の選定。迷宮としては冒険者は糧になるので歓迎だが、いかんせん増えすぎているのでな。」
その力、迷宮を探索するにふさわしいか試させてもらおう!
その言葉と共に襲い掛かってきた。
「あぐっ!」
「姫さん!」
四天王を名乗っているのは伊達ではない。
まだ戦闘は始まったばかりなのに、避けきれず傷が目立ち始めていた。
「ほう、魔石を利用した武器か。珍しいがそれだけだな。」
「んなもん作った俺がよくわかってんだよ!」
俺もなんとか援護しているが、見切られている。
身体能力のごり押しで押されている。
戦闘で勝つのは早々に諦める。
こいつは目的とは関係ない、ただの障害物と変わらない。
目的は宝玉、こいつに勝たなければいけないわけでは無い。
離脱のための手はある。
しかし隙が無い。
手はあるといっても姫さんを置いていくわけにもいかん。
「あってめえは!」
「こんどはなんだこの忙しい時に!?」
きた方向から声がする。
そちらを向くと見覚えのある盗賊の格好をした男がこちらに近づいてきていた。
「ここで会うとは運がいい!お前のせいで俺たちは!」
「いつぞやの賞金首じゃねえか。」
「そうだよ!お前のせいで団は壊滅だ!」
以前金に困り賞金稼ぎみたいなもんをしたことがある。
良い値段だったもんで、少し続けていたが、最後に捕まえたのがこいつだった。
近づいてきた勢いのままにつかみかかろうとしてきたので、その手を掴む。
「良いところに良いものが。」
「な、なに言ってやがる。は、離せ!」
「おう、離してやんっよ!」
そのまま勢いをつけて四天王に向けて投げる。
盗賊の情けない悲鳴が響く。
黒いレンズのゴーグルを装着し弓の魔石を別の物に付け替え、構える。
「姫さん、一瞬目を閉じろ!」
「え!?は、はい!」
「何を!?」
矢を放つ。
その矢は四天王の目の前で盗賊に命中すると同時に閃光が広がる。
「ぐぉぉ、目が!?」
「姫さん、逃げんぞ!」
「え、このまま追撃するのではないのですか!?」
「俺たちの目的を忘れんな!こいつに勝てばそれで終わりじゃないだろ!」
「くっ!」
四天王の目が聞かないうちに姫さんの手を掴んで走り出す。
奥の通路を入り、盗賊の情けない悲鳴を背に奥へ奥へ走るのだった。
体力の限界まで通路を走り、耳をすます。
お互いの切れた息の音以外は聞こえない。
あの囮がうまい具合に機能してくれたようだ。
「とりあえず追ってきていないようだな。」
「そ、そのようですね。」
鍛えているからか姫さんはもう呼吸が整いつつあるようだ。
装備も少し傷は増えてはいるがどちらかというと肌の傷が目立つ。
「あ、あの…」
「ん?どうした姫さん。」
「て、手をいつまで掴んでいるのかなと…」
「ああ、緊急だったとはいえ悪いな。」
「いえそれは良いのですが…」
変な様子の姫さんは掴まれていた手をもう片方の手で包んでいる。
それを眺めつつ荷物を漁る。
目的の物を取り出した。
「姫さん、そこに座って少し休め。」
「そういう訳には…先ほどの四天王と名乗っていた者もいつ追ってくるか。」
「だったら猶更だ。前線やれるのは姫さんだけだろ、ついでにその傷も応急処置する。」
「…お、お願いします。」
通路の壁を背に座った姫さんの傷を取り出した救急セットで処置していく。
痣や擦り傷等が中心で大きなものは無い。
姫さんの戦闘技術が高いのが伺えた。
こーれ正面から戦うことになった場合押し切られるな…
「どうした姫さん、不思議そうな顔して。」
「鍛冶屋って普通の装備も持っているんだなと思いまして。」
「そりゃ変なものばかりじゃ食えないからな。中身は俺特製の物ではあるが。」
「特製?」
「村の特産品替わりの薬草と魔力が多い薬草を組み合わせて効果を高めてある。これぐらいなら次の部屋につく頃には見た目上は問題なくなる。」
「…やっぱり不思議じゃないですか。」
「別にこれぐらい薬師とかが試してるだろ。」
「王都でも聞いたことありませんよ!?」
「そりゃそういうのは企業秘密だろうし。」
「それにさっきの!あの光は何だったんですか!」
「あれか?」
姫さんの処置も終わったので、弓を取り出す。
魔石を差しながら
「魔石といっても内包する魔力に違いがあるのは知ってるか?」
「ええ、一般的には属性、と呼ばれるものですね。」
「そうだ、この弓は取り付ける魔石の属性を強く引き出す事を可能にしている。」
「…その理屈はおかしいです。魔石の属性は知られてはいますが、それはあくまで色から魔法等に当てはめて呼称しているだけで引き出せる魔力は無属性にしかならないはずです。」
「よく知っているな。」
「これでも騎士団所属ですし、私も少しは学んでいます。」
「その法則には例外がある。一定以上の魔力を内包する魔石で、引き出す魔力、つまり出力が一定のラインを超えると魔力に属性が宿る。」
「そんな…王宮魔術師でもできなかったことが…」
「純粋な魔術師では難しいかもな。生産職じゃないと厳しいだろう。」
「鍛冶屋って凄腕だったのね。」
「俺がすごいんじゃない、ぜーんぶ師匠の教えだ。」
鍛冶屋らしくなかった師匠を思い出す。
いつも朗らかな顔で笑っていて、鍛冶場に籠っている時は作るもの以外何も見えていなかったあの姿を。
「それに、こいつも万能じゃない。」
「…一定以上の魔力を内包する魔石。もしかして飛竜の魔石を回収してたのって。」
「そう、あのレベルじゃないと属性は引き出せない。さらに。」
「さらに?」
「出力、つまり一回での使用魔力が半端ない。さっきの閃光も使えて1、2回だろう。」
「やっぱり不思議武器じゃないですか!」
「魔石によって普通の矢も威力がまちまちなんだよ…」
それに
「安定した供給、安定した性能。鍛冶屋としては客には信頼性が一番だ。」
びっくりどっきりの不思議道具なんて、商品にゃできねぇよ
そもそも飛竜でも竜殺しが必要なレベルなんだぞ。
「だから他が思いついても、形にしても、出せないだろ。」
「その精神は好ましいと思いますが、それとこれとは違う気が…」
姫さんの言葉を聞き流し、奥へと進む。
わたわたと姫さんも追いつき
急に視界を光が覆う。
光が収まるとそこには
見たことも無い建物の前に立っていた。
周辺を見ると庭園のような敷地、壁も見えず、空が見えていた。
しかし空気が、熱が、迷宮の中なのには違いないと告げている。
「か、鍛冶屋…?」
「姫さん、きをつけ、ろ?」
何が起きているのかわからず、警戒のまま姫さんを見ると
鎧から見知らぬ服を着ていた。
「姫さん、なんでそんな恰好を?」
「光が収まったらこの服に…そ、それに鍛冶屋だって!」
「は?なんじゃこりゃ!?」
自分の服も変わっている。
どことなく姫さんの服にも似ているような…
「それに制服もここも…王都の学園と似ている。」
「学園?」
噂で聞いたことがある。
大人として仕事する前に一定の知識を身に着ける目的で通う場所があると。
「それにしてもふふっ、鍛冶屋って意外と制服が似合うのね。」
「俺としちゃ落ち着かねぇんだが…」
それに道具類も消えちまっている。
そう考えると同時に脳内に声が響く。
体育倉庫に、騒がれずにたどり着け
さすれば元に戻るであろう。
「聞いたか、姫さん?」
「ええ、ここが王都の学園と一緒なら道案内できると思います。」
「そんじゃ頼むわ。」
先に行く姫さんの後に続く。
建物に入ると広い玄関部に出た。
そこから通路に足を踏み入れると鐘が鳴り響く。
「なんだ!?」
「…ちょっと面倒かもしれませんね。鍛冶屋、話を合わせてください。」
姫さんが言い終わると同時に、通路の両サイドの扉から人が出てくる。
次から次へと、全員姫さんと同じくらいの年に見える。
「ん?君たち見ない顔だけど」
そのうちの一人が声をかけてくる。
警戒を強めたと同時に姫さんが前に出て
「急に入学が決まりまして、手続きまでの待ち時間の間に見学をさせて頂いているんです。」
「へぇ、こんな時期に入学なんて珍しいね。」
「少々家庭の事情で入学自体が遅くなりまして。」
「ふーん、ま、同じクラスになったらよろしく。」
少々不思議そうな顔はしたがそのまま離れていった。
周囲も今の会話が聞こえていたのか普段と同じように過ごしているようだ。
「行きましょう。」
そこからは似たようなやり取りが続き
「ここが体育倉庫なはずです。鍵は…開いているようですね。」
「俺が開ける、姫さんは備えてくれ。」
姫さんが頷き、構えてのを確認し扉を開く。
扉を盾にし、中を覗く。
道具らしきものが置かれており、何かが待ち構えている様子もない。
姫さんと同時に足を踏み入れると再び光が視界を覆う。
試練は達成された。
奥へ進め。
脳内の声が途切れると同時に光が収まる。
二人は通路の真ん中に立っていた。
装備も戻っているし、姫さんもさっきの応急処置の後が残っている。
「不思議な感じでしたが、鍛冶屋も学園にいたらあんな感じだったのですかね。」
「俺は落ち着かないから無理だったかもな。」
少し軽口を交わしながら再び奥へと進む。