ガクテン♪ソフト版   作:不定音高ふたつ

18 / 32

【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。

● 登場人物(主要な、ハル、ミッツ、ステラ、ショージ、ヤッ子の5人)
♪ ハル:早坂春弥(はやさか・はるや)。中学1年生。男。主人公。ミッツの従弟。手品と謎解きが好き。声変わり前。

♪ ミッツ:蜜霧多岐(みつきり・たき)。中学2年生。女。ハルの従姉。活動的。幼少の頃からピアノを習う。口の表情が豊かで、口が顔の輪郭からはみ出すことが多い。

♪ ステラ:星山空見(ほしやま・くみ)。中学1年生。女。メルヘンが好き。転入して吹奏楽部に入部し、トロンボーン担当になる。老若男女の誰からも、一見して好かれる、無邪気な可愛らしさ。

♪ ショージ:東海林翔児(しょうじ・しょうじ)。中学2年生。男。吹奏楽部でクラリネット担当。恰幅は良いが、デブではない。会話の始まりは紳士っぽいが、話しているうちに、下品な饒舌になる。

この4人の背の高さは、高い方からショージ、ミッツ、ステラ、ハルの順。小学生の高学年から、中学1年生までは、女子の方が平均身長が高いため。

♪ ヤッ子:鍵宮靖子(かぎみや・やすこ)。理科教師(専門は化学)。年齢は30代前半。女。白衣で、すらりとした黒のパンツ姿。プライベートではジャズピアニスト。姉のことが大きく影響。



この作品は、web小説閲覧サイト「小説を読もう」にも投稿しています。

楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。




音程の「完全系」「長短系」は、鍵盤モノサシでサンプルと比較。『花のワルツ』のイントロは鍵盤ドーナツで。黒歴史と武勇伝と、憲法と迷惑を掛ける自由。

├ ●●第3話 Aパート ( 4 / 4 ) 音程の「完全系」「長短系」は、鍵盤モノサシでサンプルと比較。『花のワルツ』のイントロは鍵盤ドーナツで。黒歴史と武勇伝と、憲法と迷惑を掛ける自由。

 

音楽の先生。黒板に音程の長短系の「重減-減-短-長-増-重増」と、その下に完全系「重減-減-完全-増-重増」で、「重減-減」「増-重増」が合流している。

 

音楽の先生「ここで二股に分かれていますね。2度、3度、6度、7度は、こちらです」図の上の「重減」から「重増」の道をマルで囲む。

 

音楽の先生「1度、4度、5度、8度は、こちらです」図の下の「重減」から「重増」の道をマルで囲む。

 

音楽の先生「鍵盤モノサシで、短3度がありましたね」

 

ハル「はい」

 

音楽の先生「短3度よりも、半音長いと、長3度です」指を「短」から「長」に移動する。

 

ハル「あ、その図は、半音長いと短いの並び順ですね」

 

音楽の先生「そうです、説明書きを忘れていました」図に大きな左右向きの矢印を記し、「半音短くなる」「半音長くなる」を添える。

 

音楽の先生「長3度よりも、半音長いと、増3度です」

 

ハル「え? それって……」鍵盤モノサシを見ながら「……完全4度と同じ距離ですよね」

 

音楽の先生「そうです。でも、完全4度とは呼ばずに、増3度と呼びます」

 

ハル「あ、なるほど、同じ距離なのに、呼び方が違うんですね。ミ♭と呼ぶか、レ♯と呼ぶかの違いのように」ヤッ子を見る。

 

ヤッ子「察しがいいな。コードのCの仲間で、Cmのミ♭を、レ♯と書いたら、Cの仲間ではないという話と同じだな」

 

音楽の先生「素晴らしい。そこまで理解していましたか」

 

ハル「鍵盤モノサシに無かった、半音6つの距離は、ドから数えると……えーっと、この黒鍵ですね」鍵盤モノサシを指す。

 

ハル「これだと……」黒板と鍵盤モノサシを交互に見ながら「……増4度、または……」黒板と鍵盤モノサシを交互に見ながら「……減5度、ですか?」

 

音楽の先生。感心して唸る。「丁寧さに感心します」

 

ハル「ありがとうございます」

 

ヤッ子「実は、ファからシも、増4度だぞ」

 

ここからの、ハルの確認手順と独り言を、ヤッ子と音楽の先生は、微笑んで見ている。

 

ミッツが、ハルの手元を見たくて、近付こうとするが、ヤッ子が制する。振り返ったミッツに、ヤッ子が微笑みながら、唇に指で「静かにしよう」を示す。

 

ハル「え?……ファ、ソ、ラ、シ。だから、4度で……」指折り数えて、4度と知る。

 

ハル「頂いた鍵盤モノサシで、4度の見本は、これだ。高いドから、下に向かって、ソまでは、「完全4度」だ」鍵盤モノサシの、ソから上のドまでの「完全4度」が、ぼんやり色変わりする。

 

ハル「今、知りたいのは、ファからシまでの4度は、「なに4度」かで、そのために、見本の完全4度と比べる」

 

ハル「ファからシまでは、この距離」鍵盤モノサシの黒鍵側を、ファからシまで、指でトントンと辿る。トンと叩くと、鍵盤モノサシに赤い点が付き、点と点の間が赤い直線で繋がる。水平の折れ線グラフっぽく見える。

 

ハル「ソからドまでは、この距離」同じく、指でトントン辿る。さっきの赤い折れ線グラフの、少し下の位置に、同様にソからドまで、青い点と直線が描かれる。

 

ハル「見本と比べて、同じなのか、長いのか、短いのか……。1つだけ長い」

 

ハル「見本が「完全」だったので、それより1つだけ長いのは……」黒板の、「完全」の右隣を見る。「増」と書かれている。

 

ハル「「増」だから「増音程」だ。今は、4度の話。「なに4度」かを知りたかった。「増音程」の「4度」だから「増音程」だ」

 

ハル。顔を上げて。「増4度です!」

 

音楽の先生「丁寧ですね」

 

ハル「ありがとうございます。これって、ややこしいから、「あれ? 今は何を知りたかったのか」を、時々、確かめながらしないと、迷子になります」

 

ヤッ子「ということは、シからファは、減5度だ」

 

ハル「もう、混乱します」

 

ヤッ子「その鍵盤モノサシは、音程の入門として、「下のドから上方向の白鍵は、長と完全だけ」「上のドから下方向の白鍵は、短と完全だけ」を、覚えたばかりの確認用だ。それ以外の範囲の確認は、これから自分でできるだろう」

 

ハル「はい、その話は、行く行く……」

 

音楽の先生「そうですね。ここからは、そのうちに親しんで来るでしょう。むしろ、ここで答えをお話しすると、「教わったから、今のうちに暗記すべき」といった気分になりそうです」

 

ハル「そうですよね。最初から全部じゃなくって」

 

ヤッ子「安心したまえ。学校の授業ではないから、成績に影響するテストも無い」

 

ハル「あっそうだった。頭が破裂しそうで、忘れていました」

 

4人で笑う。

 

ミッツ「じゃあ、あたしがテストを出そうか?」

 

ハル「よしてくれよ」

 

ヤッ子「とはいっても、早坂君が自ら、自信を得るために、「この理解で合ってますか?」と聞いてきたら、私も真摯に応えるからな」

 

音楽の先生「そうですよ。学ぶ楽しみには、応えたいと思っています」

 

ハル「ありがとうございます」

 

ヤッ子「では、早坂君の興味に沿った、おもちゃを紹介しようか」

 

ハル「おもちゃ?」

 

ヤッ子「鍵盤モノサシが、このように曲がって、更に曲がって、円形になったものだ」黒板に、1オクターブ(ドからシまで)の鍵盤モノサシを書く。鍵盤モノサシの奥側(黒鍵側)を内側にして少し湾曲した絵。もっと湾曲した絵。

 

この、湾曲した絵は、途中経過なので、鍵盤モノサシっぽいという略した絵にする。最後はドーナツの形になる。ドーナツの内側が黒鍵側、外側が白鍵側。

 

ヤッ子「こんな風に、鍵盤モノサシが曲がって、円形になった、鍵盤ドーナツだ」

 

ヤッ子「パズル、組み合わせ、パターンといったものが好きだろう?」

 

ハル「はい。コードもそれっぽいなと期待しています」

 

ヤッ子「半音6つ分の距離だけが無い、ということに、自分で地道に気付いたんだ。このおもちゃも楽しめるだろう」

 

ヤッ子。黒板に、ドーナツの輪郭のように、大小の同心円を書く。

 

ヤッ子「私が書くので、君も真似してくれ。きれいな図は、家に帰ってから、改めて再現するのが望ましい」

 

ハル「はい」

 

ヤッ子。話しながら、黒板に改めて、鍵盤ドーナツの絵を描く。

 

ハル。紙、または、ノートの1ページに、ヤッ子の絵を真似る。

 

出来上がりが、三重の同心円になる。内側が鍵盤の付け根、外側が白鍵の手前側、中間の円は黒鍵の手前側なので、途切れ途切れになる。

 

内側の円に、時計の文字盤のような12等分の刻みを、チョンチョンと書く。このチョンチョンは、はっきり目立つ程度に、内側の円と交差するように。

 

12等分の刻みから、外側の円に向かって、放射状の線を書く。放射状の線は、外側の円までは届かず、内側と外側の中間位置までで止まる。

 

12等分の刻みは、湾曲した鍵盤モノサシが円形になったもの。黒鍵を表すように、放射状の線を繋ぐ。これにより、円は3種類。内側の円、外側の円、中間の線は黒鍵の縁を表すために途切れ途切れ。

 

黒鍵を書き終わった後、12等分の刻みのうち、シとドの境界線は、内側の円から外側の円まで届くように延ばす。

 

少し寂しい感じに見えるのは、ドとレの境界線が足りないためので、付け加える。

 

ヤッ子「円形にしたから、黒鍵の形に違和感があるが、大切なのは、ここだ」内側の円の、12等分の刻みを指す。

 

ヤッ子「ギターのフレットが、12までで1オクターブの区切りになり、13番目からは、最初の1番目からと同じだな。だから、12等分なんだ」

 

音楽の先生「その刻みは、キーにも役立ちますよ」

 

ハル「キー?」

 

音楽の先生「ハ長調、Cメジャーキーなどです。ト音記号とセットで書かれている、♯や♭に関係します」背景に、調号の例をいくつか。

 

ミッツ。ピアノに駆け寄り、『メヌエット ト長調(♪レーソラシド、レーソーソー)』(バッハ)を、ちょっと弾く。

 

ミッツ「これの話をしたでしょ。その時、全部のファに♯が付くのは、強い絆って言ったよね」

 

ハル「だから、その、強い絆って、何だよ」

 

ミッツ「これが、キーの話」

 

ヤッ子「謎解きの予告編みたいなもんだな。楽しいじゃないか」

 

ハル「ありがとうございます」

 

ハル。気付いて、鍵盤モノサシを出す。

 

ハル「これって、右回りと左回りは、こういうことですか?」鍵盤モノサシで、低いドから上に向かってラまでの長6度。高いドから下に向かってラまでの短3度。

 

ミッツ「そんなこと、ピアノを弾く人なら、みんなやってるよ。さっきの『花のワルツ』の「ラ、ド♯、ミ、ソだらけ」のところで」

 

ミッツ。黒板に、コード「A7」の、基本形と転回形を書く。

 

ミッツ「『花のワルツ』は、これを弾いているの。ホラ、根音は、ここでは一番下だけど、次は一番上になって、そしたら、さっきは下から2番目だったのが、一番下になるでしょ。次は、これが一番上になる」

 

ハル「それって、鍵盤ドーナツでは、こういうことか?」

 

ハル。黒板に鍵盤ドーナツを模したドーナツ型(二重の同心円)を、4つ横に並べて書く。

 

左端のドーナツ型の、12時の位置に区切り線。その区切り線から、ドーナツを一周するように矢印を加える。

 

左から2番目のドーナツ型の、9時の位置に区切り線。その区切り線から、ドーナツを一周するように矢印を加える。

 

同様に、6時の位置に区切り線と矢印。3時の位置に区切り線と矢印。

 

ミッツ「区切りの位置が違う」

 

ヤッ子「位置が違うのは、この図が、正確なドーナツを主旨としているのではないからだな。理屈は正しい」

 

音楽の先生「『花のワルツ』の、今の箇所の和音構成音は、後でじっくり、確認してください」

 

 

 

▽ 場面変更 ● ── ●

 

川原。

 

会社の昼休み。ここは、会社(東海林商事)のすぐ近くの川原。

 

東海林商事は、ショージ(東海林翔児、しょうじ・しょうじ)の自宅。

 

1人は、兄役。東海林商事の社員で、CM明けに東海林商事のピアスを付けている社員として登場。昼休みなので、弁当を食べながら、社屋の近くの川で、のんびり釣りをしている。東海林商事の作業服を着ている。

 

1人は、弟役。兄役の友達で、会社とは無関係。屋外だが、正座して兄役の方を向いている。

 

兄役と弟役は、本当の兄弟ではなく、かつて一緒に行動していた頃に、弟役が「アニキ」と呼んでいたことから。2人共、ショージとの血縁関係は無い。

 

弟役「アニキ。今のアニキは、情けないです」

 

兄役。竿を上げ、餌を付け直す。「俺は自分で、情けないとは思ってないぞ」また、糸を川に投げる。

 

弟役「また、あの頃のように、バリバリ活躍しましょうよ」背景に、暴走族やら、何か暴れていた思い出。

 

兄役「無理を言うなよ」

 

弟役「なんで、あんなに所帯じみた生活をしてるんですか?」背景に、兄役の、現在の家庭を持った生活。

 

兄役「家族が大切だからさ」

 

弟役「だから、そんな考えがおかしいんですよ。アニキがそう考えているのは、許せないです」

 

兄役「誰が何を考えていても、それは自由だ。憲法で保障されている」

 

弟役「だったら、昔のように、一緒に思い切り暴れましょう。自由なんだから」

 

兄役「憲法の自由は、わがままは駄目だって。自由はを使うのは、みんなの幸せのためにって」

 

弟役「そんな難しいことは、わかりません。とにかく、こんな昼間から働いているなんて、信じられません」兄役の作業服の、「東海林商事」の文字を見る。

 

兄役「昼でも夜でも、家族を養うために働くのは、当たり前だ」

 

弟役「だから、なんで働いているんですか! 昔は、学校も行かず、朝まで暴れまわったじゃないですか!」

 

兄役。時計を見て、釣り道具を片付け始める。「そうやって暴れていられたのは、親が働いていたからだ。そのために、存分に暴れていても、衣食住は用意されていた」

 

兄役「他人に迷惑を掛けているくせに、自分が怪我をしたら助けてもらえる。他人を危機に追い詰めても、自分の危機は助けてもらえる。随分と自分に都合のいいシステムだな」

 

弟役。意味がわからない顔をしている。

 

ここから、兄役の話が続くので、弟役のセリフを適宜挿入する。

 

兄役「快適な生活のために、金を出して買った設備、その設備を作るために働いた人、運んだ人、その人達のお陰で快適に生きているのに、無駄に壊したら、勿体無いよな」

 

兄役「家族と夕飯を食いながら、テレビでニュースを見るんだ。戦争や紛争で、せっかく作ったビルも、壊される」

 

兄役「普通に(「ふつーーーに」のような言い方)暮らすだけでも大変なのに、もっと大変にすることに、何の得がある?」

 

兄役「お前は、自分が被害者だから、声にならない叫びの代わりに、物を壊しているんだろうが、普通に暮らしていた住民は、八つ当たりを受けている。とばっちりだ」

 

兄役「もし、俺が精魂込めて作ったものが壊されたらと思ったら、しかも、自然災害でもなく、戦争でもなく、ただ壊されたらと思ったら、正気でいられない」

 

兄役「物を作る立場の俺が、そう思うのだから、物を使って普通の生活をしていた人にとっては、自然災害でもない、楽しみで壊されたら……」息継ぎ。「……壊した俺たちが得た楽しみより、遥かに大きな、絶望と憎しみが創られるだろう」

 

兄役「インフラやら、物が壊れて楽しいのは、フィクションだけだな」

 

兄役が考えているフィクションの例。ジャッキーチェンが、商店街を壊す。ルパン三世が、ビルなどを壊す。『ガールズ&パンツァー』の戦車が、町を壊す。

 

兄役「暴れなくてはいられなかったことは、俺自身だから理解できるが、そんな過去は、今も俺を苦しめている」

 

兄役「俺は、あの、暴れていた時期を、黒歴史と思っている。お前は、武勇伝と思っているんだろうがな」背景に、「黒歴史」の下に「悔やむ思い出」、「武勇伝」の下に「誇らしい思い出」を左右に配置し、間に不等号記号「≠」を記す。

 

兄役。歩き始める。「今は、俺にも家族がいる。あの頃、俺が好き勝手できたように、今度は俺が、家族の安穏を維持する」

 

弟役。立ち上がり、兄役を見送る。

 

兄役。振り返り、弟役に言う。「生きていると、好きなことが増えて行く。暴れるのは今も好きだが、迷惑を掛けないアウトドアのスポーツがしたいな。とはいえ、最も大切なのは、家族を支える側でいること。その喜びを覚えたんだ」

 

兄役。優しい口調。「暴れ疲れた体で帰宅して、雨風(あめかぜ)をしのげる部屋には、疲れた体を投げ出す布団があり、腹が減ったら冷蔵庫に何か食べ物がある。そんな生活を維持しているのは、誰なのか、考えてごらん」

 

兄役「洗濯機に投げ入れた下着は魔法のようにきれいになり、風呂場のシャンプーは永遠に空っぽにならない。感謝感謝ー」

 

兄役「小学校に入学したばかりの頃、朝は起こしてもらい、何時に家を出れば学校に間に合うかのスケジュールを決めてくれるのは親。子供は、よくわからないまま、従っていれば平穏にいられた」

 

弟役「そんなの、親だったら当たり前ですよ! 親は勝手に子供を産んだ責任がある。親は子供の奴隷なんだ」

 

兄役「故郷(ふるさと)である、ここを離れて、しばらく遠くに就職していた頃、年に一度の帰郷で、金が無いから、家に着くのはいつも夜中だ。玄関を開けると、みんな笑顔で、悪態を言われながらも、風呂を沸かして待っていてくれている」

 

兄役「慣れない生活で疲れて、悩んで帰っても、いつも風呂が沸いている。仕事を辞めて、泣いて逃げ帰った時も、風呂が沸いていた……」

 

兄役「責任を取る者は、奴隷ではない」再び社屋に向かって歩き始める。

 

兄役「親になる自由、結婚しない自由、俺にできることのうち、俺は親になったんだ」

 

弟役「そんなの、俺達が一番、嫌っていたことでしょうに」

 

兄役。申し訳無さそうに言う。「まさか、俺が言われたくなかったことを、俺が言うことになるとは、思わなかったが……。お前も、大人になれば、わかる」

 

弟役。不機嫌で、怪訝な表情。

 

兄役「持っている情報が増えれば、判断も変わる。大人になるとは、情報が増えるということだ。みんな、どんな工夫で生きているのか、様々な人から話を聞くことだ」

 

弟役「歴史の偉い人の話なんて、俺には、そんな才能も無いし、無理なことばかり。関係無いです」

 

兄役「違う。普通に生きている人の話だ。ただ、毎日の生活をする、それを支える、維持する。それが、どんなに大変なことか。人生の「勝ち組」と「負け組」という言い方をすれば、「負け組」の人の話だ」

 

兄役「勝ち組が諦めることと、負け組が諦めること。その違いと理由を知ることだ」

 

これ以外の話。冗長になるので、用いない方が良さそう。

 

兄役「SFっぽい話だが、もしも、自分以外の全人類が消えたら、俺は寿命まで生きていられるのかと、考えたりする」

 

兄役「電気や水道は停止し、夏の猛暑の日も、冬の極寒の日も、快適に過ごせる場所に変えることはできない」

 

兄役「店舗にある食品は、冷蔵庫中のものは腐る。食べ終わったら別な店舗というように、日本中を旅しても、生鮮食品はすぐに尽きる」

 

兄役「移動は、ほぼ歩きだ。ガソリンスタンドにあるガソリンは、電気が無ければ取り出せない。太陽光発電の自動車があっても、故障したら修理ができない」

 

兄役「建物の中も外も、誰も掃除せず、汚れたまま。衣服の洗濯は季節を問わずに手作業。洗濯をしないなら、食べ物と同様、あちこちのデパートを旅する」

 

兄役「太陽光や風などがあるが、それを、使えるエネルギーにする方法はわからない。エントロピーは増え続け、エネルギーは枯渇する」

 

弟役「「えんこもぴー?」って、何スか?」

 

兄役「落差、簡単に言えば、水が落差で落ちることで、水車を回せる。水が全部落ちて、落差が無くなれば、エネルギーの枯渇になる」

 

通常、エントロピーは「でたらめさ」と説明されるが、兄役が理解できたのは、「でたらめさが増える」を言い換えた「落差が減る」ことをエネルギーに利用できることまで。

 

兄役「店舗には、どうせ店員がいないから、万引きができる。しかし、必要なものが店舗から枯渇しても、誰も補充しない」

 

兄役「店に商品を補充するために運送する人がいない。安全安心な商品を作る人がいない。商品を作る原料を作る人がいない。原料から商品を手に入れるまでのシステムを保守する人がいない」

 

兄役「これらは、通常の状態だが、俺が寿命まで生きているうちには、地震もあれば、豪雨もあるだろう。街が壊滅したら、被災していない地方がどこなのか、誰も教えてくれない」

 

兄役「自分がどんなに、気を張って生活していても、病気にもなる、怪我もする。しかし、医者はいない。寿命に至らないかもな」

 

兄役「「災害があった時こそ、このビルに」という施設があっても、俺の寿命までは生活できない。水も食糧も、寿命までは無理だろう。せいぜい、雨水を飲むだけだ」

 

兄役「お前の好きな、タンメンも、コーンスナックも、もう食べられない。お前の好きな消費と破壊も、それを支える衣食住が無い」

 

 

 

▼ CM明け。

 

CM明けの定型。他の登場人物は知らない、自宅などの場面。

 

ショージの自宅。夜8時頃。

 

外観に、「東海林商事」の看板。

 

父親は東海林商事の社長。

 

居間で、数人の従業員と、賑やかな夕食。

 

ショージは、従業員から親しみを込めて「お坊ちゃん」と呼ばれている。

 

社員。若い男「お坊ちゃんは、見た目だけは、大社長だな」この社員は、CM前の兄役。見た目は、ビジュアル系ロックバンドっぽい。

 

社員。おばちゃん「見た目「だけ」ってのは、失礼じゃない?」

 

社員。おっちゃん「見た目なら、おめぇだって、エレキバンドっぽいじゃねぇか」背景に「エレキバンド」に差し棒で「昔は、エレキギターを含む4人程度のバンドを、こう呼んでいました」など。

 

社員。若い男「いやー、これ……」顔や体の、あちこちのピアスを指す。「……があると、女の子に、人気が出るんで」

 

大人が酒を飲みながらなので、下品な冗談も出る。ショージも少し参加する。

 

何らかの批判にならなければ、テロップ「ショージは、こうして、下ネタに慣れ親しんだ」があっても良い。

 

夕食が終わり、ショージは自室に移動し、テレビを見る。

 

部屋のポスターなどに、駄洒落、パロディ、その他、あれこれと小ネタをたくさん用意する。

 

自室には、AKBのようなアイドルのポスターやグッズなど。

 

ショージ。独り言の癖は無いが、アニメなので、わざとらしく独り言。

 

ショージ「吹奏楽部で、時々は流行歌もするけど、アニソンやアイドルはしないんだもんなー。つまんないや」

 

テレビドラマの声「あんたが学校で、どんなに優秀だったとしてもね、現場じゃ何にも役に立たないんだよ」

 

ショージ「何だ? このドラマのセリフは。学校は役に立たないのに、どうして行くんだろう?」

 

テレビドラマの声「何やってんだい! 学校で何を教わって来たんだ!」

 

ショージ「何だ? このドラマのセリフは。学校で教わることって、必要なのかな?」

 

ショージ「そもそも、先生は必ず、生徒よりも技術が上であるべきってのは、誤りだよな」

 

ショージ「オリンピックの選手だって、コーチがいるし。コーチの方が技術が上なら、コーチがオリンピックに出るんだろう」

 

ショージ「もし、生徒が必ず、技術が劣っているんなら、どんな分野でも、時代と共に、どんどん技術が落ちるだろう」

 





次回は …… ハルが父親からギターを引き継ぎ、楽器店でメンテナンス。ギターで「F」の押さえ方と理由。コード表と鍵盤ドーナツ。EmからG♯mは同じ形のまま移動、EからG♯はGだけが違う形。カポタスト。



#楽典 #楽譜の読み書き #ピアノ #ギター #吹奏楽器 #金管楽器 #木管楽器 #人間ドラマ #物語形式 #ラブ要素 #百合じゃれ #海老逃げ #知らない専門用語無し #知らない音楽用語無し #わかりやすい解説 #わかりやすく解説 #簡単な解説 #簡単に解説 #面白く #音楽理論 #難しい言葉を使わない #アハ体験 #目からウロコの説明 #要するに


↓ お気軽に感想をおねがいします ↓

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。