ガクテン♪ソフト版   作:不定音高ふたつ

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【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。

● 登場人物(主要な、ハル、ミッツ、ステラ、ショージ、ヤッ子の5人)
♪ ハル:早坂春弥(はやさか・はるや)。中学1年生。男。主人公。ミッツの従弟。手品と謎解きが好き。声変わり前。

♪ ミッツ:蜜霧多岐(みつきり・たき)。中学2年生。女。ハルの従姉。活動的。幼少の頃からピアノを習う。口の表情が豊かで、口が顔の輪郭からはみ出すことが多い。

♪ ステラ:星山空見(ほしやま・くみ)。中学1年生。女。メルヘンが好き。転入して吹奏楽部に入部し、トロンボーン担当になる。老若男女の誰からも、一見して好かれる、無邪気な可愛らしさ。

♪ ショージ:東海林翔児(しょうじ・しょうじ)。中学2年生。男。吹奏楽部でクラリネット担当。恰幅は良いが、デブではない。会話の始まりは紳士っぽいが、話しているうちに、下品な饒舌になる。

この4人の背の高さは、高い方からショージ、ミッツ、ステラ、ハルの順。小学生の高学年から、中学1年生までは、女子の方が平均身長が高いため。

♪ ヤッ子:鍵宮靖子(かぎみや・やすこ)。理科教師(専門は化学)。年齢は30代前半。女。白衣で、すらりとした黒のパンツ姿。プライベートではジャズピアニスト。姉のことが大きく影響。



この作品は、web小説閲覧サイト「小説を読もう」にも投稿しています。

楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。




第6話 音楽を自由に楽しんで、何が悪い!
ヤッ子の姉がピアニストのヘルプで失敗。ロックは岩じゃない。シャッフルとスウィングの違い。ヤッ子のピアノでハルが汗だくで踊る。主要三和音でロックンロール。


├ ●●第6話 Aパート ( 1 / 5 ) ヤッ子の姉がピアニストのヘルプで失敗。ロックは岩じゃない。シャッフルとスウィングの違い。ヤッ子のピアノでハルが汗だくで踊る。主要三和音でロックンロール。

 

■■■■ 第6話。

 

▼ サブタイトル。

 

音楽を自由に楽しんで、何が悪い!

 

音楽を自由に楽しみたいんだ!

 

音楽を自由に楽しみたいのに。

 

音楽を自由に楽しみたいだけ!

 

この中から1つだけ採用する。

 

 

 

▼ OP曲前。

 

OP曲前の定型。他の登場人物は知らない、過去の出来事。

 

OP曲は無く、この場面にクレジットが表示される。

 

BGMは、蟻地獄のような、不安な曲。

 

ヤッ子の姉、鍵宮美音(かぎみや・みね)が、ポピュラー音楽のバックバンドのメンバーとして、リハーサル中。

 

服装は、まだ私服のまま。

 

受け取った楽譜は、略式で書かれている。コードネーム、ちょっとした音符、リピート記号など、手書き。

 

美音。心の声。「(どうやって弾けばいいの?)」

 

美音。バンドのメンバー(演奏者)に尋ねる。「あの、これ、音符が書かれていないんですけど、どうやって弾けば……」

 

メンバー「あ、ほとんど、コード弾きでいいから。いきなり呼んで申し訳ないから、簡単なものにしといたから」

 

メンバーは、演奏中にはそれぞれの表情(笑顔、怒り顔、凝視、のほほん)をする。演奏に真剣なため。しかし、美音に向かう時は、必ず笑顔。顔が不細工で、笑顔が恐い人もいる。

 

美音のスタッフ「鍵宮さん、コードはわかるよね」

 

美音「あ、コードですか、わかります」

 

メンバー「バッチリだよ。ほとんど白玉で、雰囲気に合わせて、邪魔しないように音が埋まればいいから」

 

メンバー「それから、聞いてると思うけど、ウチはジャズっぽいものが中心だなんて言われてるけど、実は広く色んなジャンルをするんだよ。だから、クラシックの基本ができていると、とても助かるんだ。頼んだよっ!」自分の立ち位置に戻る。

 

リハーサルの演奏が始まる。

 

メンバー。美音に向かって「ああ、そこんとこ、★★(CDのタイトル)の、★★(曲名)の、イントロのように」

 

美音「え? あ、はい。でも、その曲を知りません」

 

メンバー「じゃあ、8ビートで和音を鳴らし続けて、2拍目だけ強くして、こんな風に」メンバーが、ギターで模範演奏。

 

美音「はい、わかりました。(8ビートって、8分音符のことだったんだ)」背景に説明文「8分音符を基本としたリズムを、8ビートと呼びます」を表示する。

 

メンバー「あと、E♭7ってあるけど、そのままじゃなく、キーに合わせて適当にテンション入れて」

 

美音「テンション? って、何ですか?」

 

一同、言葉を失う。BGMも、一瞬だけ止まる。

 

美音のスタッフ「あ、ごめん、鍵宮さんは、音符があった方がいいんだよね。僕が書くから、少し待っててもらえるかな」

 

リハーサル中に裏拍のレッスン。すぐには身に付かないので、キーボードのエフェクトで、誤魔化し、ドラムスとベースが裏拍効果を提案。「なんだ、これも面白いじゃないか」と、メンバー達は美音に気遣う。

 

メンバーの気遣いは、コンサートが成功することを優先しているため。

 

美音のスタッフ。急いで音符を書く。「玉を全部は書けないから、ここには全部の玉があるつもりで。前の小節からの、このタイは、裏拍、「ンタタンターンタ」の、最後の「タ」で鳴らし始めて。スウィングする感じで」

 

美音。心の声。「(スウィングって、この単語も知らない)」

 

メンバー「それから、さっきの8ビートのはさ、2拍目にアクセントって言ったけど、2拍目と、それから、3拍目の裏にアクセントをくれるかな」

 

美音。慌てて、「さっきの」の楽譜を探す。「あ、ありました。こうですか?」2拍目の裏と、3拍目の裏にアクセント。

 

美音。頑張って弾いてみる。心の声。「(なんだか、変な感じ。でも、これでいいんだよね)」

 

メンバー「違う違う。そんなアクセントだったら、乗れないよ」

 

美音「2拍目と3拍目の裏ですよね」

 

メンバー「2拍目の頭と、3拍目の裏……」ギターで模範演奏。「……こう、いい感じでしょ。こっちが、今みたいにストロークでメロディもするから、キーボードも一緒に」

 

美音「あ、はい、わかりました。メモします。えっと、ペンは……?」ペンを探しながら、心の声。「(あたしができるように、変えてくれたのは嬉しいけど、元々ちゃんとしていない楽譜から、更に変わるのなんて、無理)」

 

美音。右往左往する。ペンは、美音のスタッフが持ったまま、バンドのスタッフと話している。

 

メンバー「やってみよう」

 

メンバーのリズムに合わせて、美音も弾く。楽譜を見ながら、心の声。「(どんな感じに変わったんだっけ? ここのリズムが……)」見ている楽譜に、さっきの記憶の楽譜が、ふわふわと漂いながら、迷いながら重なる。

 

メンバー「ま、何とかなるよ。無理しない程度に、丁寧に、頑張ろうよ。じゃっ、次の曲、始めるよー!」

 

美音。小声で「はい、済みません」

 

美音のスタッフ「鍵宮さん、リハーサルの途中だけど、今のうちに着替えて」

 

美音「はい。あ、でも、まだ確認が」

 

美音のスタッフ「急がないと、間に合わないよ。スタイリストさんを待たせちゃ悪いし」

 

美音が苦手なジャンルとして、ボサノバや、タンゴでも良い。

 

美音。心の声。「(ボサノバかあ。これ、苦手なんだよな)」

 

美音。心の声。「(タンゴなら、少しはできる。ハバネラと似ているから。あれ? でも、このタンゴ、あたしの知っているのと違う。それに、速度も速い。え? なに? ついて行けない)」

 

 

 

▽ 場面変更 ● ── ●

 

回想。

 

美音の音楽事務所に、キーボード奏者のヘルプ電話。クラシック出身の、技術が確かな人で、スケジュールに支障の無い美音が選ばれる。

 

事務員。急遽の出演依頼の電話を受けながら。「鍵宮さんちの美音さーん」

 

美音「はい」

 

事務員「美音さんは、簡単なポップスだったら、初めての曲でも、楽譜を見ながらすぐに演奏できますよね」背景に「簡単なポップス」を表示したままにしておく。

 

美音「まあ、簡単な曲なら」

 

事務員「転調とかも無いし、ポップスだから、大丈夫ね」

 

事務員。電話の続き。「はい、大丈夫です。クラシック音楽出身で、基礎はしっかりしています。ポップスなら何でも、対応できます。よろしくお願いします」背景の「簡単なポップス」が、矢印で「ポップスなら何でも」に変わる。

 

ポピュラー音楽なので、美音は不安で断るが、「急な要請で、他のキーボード奏者がいない」「チャンスだから」と無理強いされ、コンサート会場に。

 

会場に着くと、ピアノだけではなく、複数のキーボードも。

 

美音。心の声。「(こんなの、どうすればいいの?)」

 

メンバー。20枚程度の楽譜を手渡し。「急な呼び出しなのに、来てくれてありがとう。一緒に楽しもうね」

 

美音「はい、よろしくお願いいたします」

 

 

 

▽ 場面変更 ● ── ●

 

回想が終わり、さっきの続き。

 

舞台衣装に着替えている。ステージでリハーサル。時間切れで幕が開く。

 

美音。足首が動かないようなブーツは、底が高い。襟や袖から延びているたくさんの紐が邪魔。どことなく、SMの女王様や、悪魔っぽい。

 

ピアノを弾くための椅子も無く、立ったまま演奏するもの。

 

美音。心の声。「(こんなの着て、演奏しろなんて)」

 

美音のスタッフ。美音に耳打ちする。「キーボードの音色などの設定は僕がするから、鍵宮さんは、鍵盤演奏に専念して大丈夫だよ」

 

美音のスタッフは、キーボードのエフェクト操作、時には演奏し、美音を補佐。

 

コンサート中の、メンバー紹介もされる。こんな自分が紹介されるのは苦しい。MCは「急遽、呼んだのに、快く承諾してくれて、どうもありがとう」

 

 

 

▼ Aパート。

 

理科室の外の廊下。ヤッ子の授業が終わったところ。

 

ミッツ「ヤッ子先生。ピアノの先生から、ジャズもやってみなさいって言われたんですが、何か、お勧めの曲はありますか?」

 

ヤッ子「いきなり、そう言われてもな。「ジャズには名演はあるが、名曲は無い」という言葉もあるし」

 

ミッツ「そうですか。ピアノの先生は、クラシックが専門だから、ヤッ子先生のアドバイスが欲しいって」

 

ヤッ子「だったら、楽譜店で、ジャズアレンジを探したらどうだろう」

 

ミッツ「ジャズアレンジですか」

 

ヤッ子「元々ジャズの曲、流行歌やクラシック曲のジャズアレンジなどがあるから」

 

ミッツ「あ、そうですね」

 

ヤッ子「もし、予算が許せば、楽譜集だけでなく、ジャズピアノの教則本もいいな。『ピアノでジャズにトライ』とか『なんとなくジャズ』とか、そんなタイトルのもので」

 

以上の書名は、架空のものなので、実在していた場合、別な名前にする。

 

ミッツ「初心者向けですね」

 

ヤッ子「楽譜集は、初心者向けの簡単アレンジのものと、「こんなの弾けないよ」という難しいものの両方があると良いかも。同じ曲が、2冊でどう違うのかを見比べるとか」

 

ミッツ「弾けないアレンジは、初心者ですから無理です」

 

ヤッ子「弾けない楽譜を弾くんじゃなく、弾けるように自分で簡単にアレンジするんだ」

 

ミッツ「どういうことですか?」

 

ヤッ子「初心者向けの楽譜は、せっかくの和音の良さが無くなっているものもある。かといって、そこに和音の音符を自分で付け足すのは無理だろう?」

 

ミッツ「無理無理!」

 

ヤッ子「だから、既に難しくたくさんの音符が書かれている楽譜を使って、そこから音符を消したりするのなら、できるだろう」

 

ミッツ「あ、そうですね。2冊の、難しいアレンジと、簡単なアレンジを見て、中間のアレンジの楽譜を、自分で書くんですね」

 

ヤッ子「クラシック曲に慣れている人には、弾きにくいという部分もあるだろう。弾きやすいように、1オクターブ移動させたり、左手の補佐を右手でするなど、勝手に書き直すだけでも、弾きやすくなることもある」

 

ミッツ「そんな、勝手に変えてもいいんですか? 著作権の問題とか」

 

ヤッ子「勝手に書き換えたものを、販売するのなら、まずいだろうな」

 

ミッツ「ピアノの練習のために書き換えるんですから、大丈夫ですね」

 

ヤッ子。微笑む。「わからないことがあったら、また聞きにおいで」

 

ミッツ「ありがとうございます」

 

 

 

▽ 場面変更 ● ── ●

 

翌日。

 

1時限目の前に、ミッツが職員室に走る。手には、昨日買った教則本『ジャズっぽいピアノレッスン』を持っている。

 

以上の書名は、架空のものなので、実在していた場合、別な名前にする。

 

ミッツ。ヤッ子の席に行く。「ヤッ子先生、シャッフルとスウィングの違いって、何ですか?」

 

ヤッ子「お前なあ、時と場所を考えろ。その話なら、昼休みにいくらでも聞いてやるから」

 

ミッツ「はい、済みません」

 

 

 

▽ 場面変更 ● ── ●

 

昼休み。

 

ミッツが職員室に走る。

 

ミッツ。ヤッ子の席に行く。「ヤッ子先生、シャッフルとスウィングの違いって、何ですか?」

 

ヤッ子「お前なあ、職員室が悲惨なのは、わかるだろう。飯を食いながら、仕事をするんだぞ」

 

ミッツ「でも、昼休みにって」

 

ヤッ子「ああ、そう言ったかも知れないが、済まん、今は、ヒントだけだが」メモ紙を出す。8分音符2つをシャッフルする指示の表記を書く。

 

ヤッ子「これがシャッフル。スウィングは、気分のノリだ」

 

ミッツ。メモ紙を受け取る。「はい、済みません」

 

ヤッ子「放課後には、この仕事も落ち着くから、音楽室においで」

 

 

 

▽ 場面変更 ● ── ●

 

放課後。

 

ミッツが来る少し前、音楽室にハルとヤッ子。

 

ヤッ子「早坂君、私のピアノで、踊ってみないか」

 

ハル「え? まさか、社交ダンス?」

 

ヤッ子「それもいいが……」髪を束ねているバンドを外し、長い髪がなびく。「……スウィングを感じてくれ。まずは、脱げ!」

 

ハル「は、はいぃー?」

 

ヤッ子「今、脱ぐのが嫌なら、踊りながら脱げ」ヤッ子の髪の毛が、静電気で広がる。

 

ハル「は、はいぃー?」

 

ヤッ子「さあ、私のピアノで、心のおもむくまま、踊るのだ!」ピアノを弾く。髪の毛が妖怪のように広がり、静電気の放電が、音楽室の全体に広がる。

 

曲は、ブギウギやラグタイムをシャッフルしたもの。

 

ヤッ子。弾きながら、髪の毛が顔に付いたり、髪の毛の先が口に入り、ますます怪談の幽霊や妖怪のようになる。

 

ハル。曲の雰囲気に合わせて踊るが、下手。

 

踊りが長時間であることを表すために、学校の敷地内の風景などを挿入する。風景の挿入と、ハルの踊る姿を交互にする度に、ハルが薄着に変わる。

 

ミッツが廊下から、音楽室のドアの窓から中を見る。

 

手には、1時限目の前に、ヤッ子に見せた、ジャズピアノの教則本を持っている。

 

ピアノに向かったヤッ子が、ノリの良い曲を演奏。ヤッ子の顔のアップは、髪の毛が広がり、稲妻が光る。いつもの、妖怪っぽい様子。

 

廊下にいるミッツから見ると、ヤッ子は静電気で髪がボサボサ。

 

ヤッ子の演奏に合わせて、ハルが踊っている。それなりに、上手になっている。近くの生徒用の机には、脱いだワイシャツが無造作に置かれている。

 

ヤッ子。ミッツが室内に入って来て、少しの時間、見ていたのを確認し、演奏を終わらせる。

 

ハルは汗だく。上半身はシャツ(下着)姿になっている。

 

ミッツ「素敵、かっこいい、ヤッ子先生も、ハルも」

 

ヤッ子「わかったか、早坂君の踊りがスウィングだ」

 

ミッツ「え? 踊り?」

 

ハル「え? 僕?」

 

ヤッ子「そうだ。シャッフルは3連符で弾む演奏方法のこと。スウィングは、気分のノリってことだ」

 

ヤッ子。話しながら、髪を後ろで束ね、短時間でいつもの髪型になる。妖精ちゃんが集まって、櫛で髪を梳くなどの世話をしても良い。

 

ハル「僕は、ミッツのために、踊らされていたんですね」

 

ミッツ「あたしのため?」

 

ハル「それで、暑くて、ワイシャツも脱いだんだ」

 

ミッツ「スウィングは、気分?」

 

ヤッ子「そう。3連符でシャッフルしていても、ただ聞くだけの演奏は、こうだ」ノリの無い演奏。

 

ヤッ子「しかし、聞いていると、自然に体を動かしたくなる演奏は、こうだ」さっきと同じ楽譜のはずなのに、ノリのいい演奏。

 

ハル「あ、ほんとだ」

 

ヤッ子「スウィングってのは、こんな風に、聞いている人の体も、自然に動かすもんだ」

 

ミッツ「だから、スウィングが気分のノリなんですね」

 

ハル「ヤッ子先生。さっき、何でシャッフルって、言ったんですか? ちょっと聞き取れなくて」

 

ヤッ子「スウィングのことか?」

 

ハル「いいえ、それではなく、何か、数字、3? が何か……」

 

ミッツ「3連符じゃない?」

 

ハル「そう! それ」

 

ヤッ子「ああ、済まなかった。初心者がいるのに、うっかり、「まるで一般常識のように」という言い方をしてしまった。気を付けてはいるのだが、申し訳ない」

 

ハル「いえいえ」

 

ミッツ「第2話で、音符の音価は、半分の半分の……だけって、言ったでしょ」

 

ハル「おんか?」

 

ミッツ「音符の、音を鳴らし続ける時間」

 

ハル「ああ、あれか。全音符の時間の、2分の1の時間は2分音符、4分の1の時間が4分音符。思い出した」

 

ミッツ「その時間を、「2分音符の音価」とかって言うの。あの時、ハルが、3分の1の時間は無いのかって聞いたでしょ?」

 

ハル「聞いたかなあ……」

 

ミッツ「また、忘れている。その時、あたしが「3分音符は無いから、特別な書き方をする」って、それが3連符」

 

ハル「ああ。その時のことは覚えていないが、3分の1には興味がある」

 

ミッツ「ヤッ子先生。演奏をお願いできますか?」

 

ヤッ子「はははっ。任せておけ」指をパチンと鳴らす。

 

ヤッ子「左手は、単調に鳴らし続ける。右手は「2分の1」「3分の1」のようにしようか」

 

ミッツ。ヤッ子に向かって。「お願いします」

 

ミッツ。ハルに向かって。「今は、シャッフルが主題だから、連符の詳しいことは、第8話まで待ってね、坊や」指を顔にあてるなど、色っぽい表情。

 

ハル「ヤッ子先生、お願いします」

 

ヤッ子。シャッフルに使えるテンポで、左手は「ド」を単調に鳴らす。右手は、「ドを左手と同時」、「ド、ミを繰り返す」、「ド、ミ、ソを繰り返す」、「ド、ミ、ソ、ドを繰り返す」と進む。

 

ミッツ。ヤッ子の演奏に合わせて、黒板に音符を書き足す。最上段に、4分音符を1つ。その下に、8分音符を2つ。その下に、8分音符を3つの3連符。その下に、16分音符を4つ。符桁を使った書き方。

 

ここでは音価の説明なので、「ドミソド」の音高は無視し、音符の玉は横並び。

 

ヤッ子の演奏が終わる。

 

ミッツ「詳しい、書き方の規則は、第8話で教えるから、今は、シャッフルに「慣れるだけ」にすること。ハルの得意な「気になったから、尋ねる」はしないように」

 

ハル「わかった」ちょっと、不満顔。

 

ハル。ヤッ子に向かって。「これが、スウィングの……、じゃない、シャッフルの、一般的な書き方なんですね」

 

ヤッ子「そうだ。ついでに言えば、ロックって何だ? 早坂君」

 

ハル「石のように、あ、「石」は「ストーン」か。えっと、岩のように、硬い意志がある音楽。あ、これは駄洒落じゃなくて」

 

ヤッ子。微笑んでブザー音。「そう思っている人も多いと思うが、ブッブー、違うんだ。まあ、駄洒落はいいが、ロックは岩じゃなく、「揺れる」ってことだ」

 

ミッツ「岩が揺れる?」床にある、ボウリングのボール程度の石が動いている様子を、両手で表現する。スカートの中が短パンだと、はっきりわかる。

 

ハル「岩だから、もっとでかい」

 

ミッツ「じゃあ、これくらい?」立ち上がって、着ぐるみの岩になる。男梅(ノーベル製菓)のCMや、漫画『Dr.スランプ』(集英社、週刊少年ジャンプ、鳥山明)のニコチャン大王のように、岩の全体が顔になるのでも良い。

 

ミッツ「岩が揺れるんだ」ゆらゆら揺れる。

 

ハル「オカルト。超常現象」

 

ヤッ子「だから、岩じゃない。ロッキングチェアがあるだろう、揺り椅子だ。スペルは同じで、音楽のロックは、聞いているだけで、体が揺れるってことだ」

 

背景にロッキングチェア。「ROCKING Chair」の「ROCK」の色を強調。「揺れる椅子」と添える。

 

背景に「ROCK」「ロック」「岩」「揺れ」と、「LOCK」「ロック」「鍵」「固定」を表示する。

 

ミッツ「じゃあ、石巻市をロックンロールって言うのは、間違い?」

 

ヤッ子「間違いというより、言葉遊びを用いて楽しもうという気持ちを汲みたいな」

 

ハル「ロックとロックンロールは、違うの?」

 

ヤッ子「ああ、そんなに質問続きは、疲れるぞ。音楽のジャンルは、明確な境界線は無くて、境界はぼんやりしている。ロックンロールのスリーコードは、主要三和音が使われている」

 

ハル「スリーコード? 主要三和音?」

 

ヤッ子「先に言っておくが、スリーコードは、ロックンロールの特徴のひとつであって、定義ではないからな。ブルースのスリーコードだって多いぞ」

 

ヤッ子「そこで、スリーコードだが、調によって、基本的によく使われる3つの和音は、「主要三和音」なのは知っているな」

 

ミッツ「主和音、属和音、下属和音ですね」

 

ハル「なんじゃ、そりゃ」

 

ヤッ子「音階スライドで、主音、属音、下属音があって、それぞれを根音とした和音だ」

 

ミッツ「音階スライドのうち、特に大切な和音があって、その根音に使われる音ってこと」

 

ハル。考え込む。「根音って……、聞いたことがある。あっ、コードネームのスロットマシンだ」背景に、第3話のスロットマシンを表示する。「根音」「和音の種類」「補足の数字」のうち、「根音」が明るく点滅。

 

ハル「根音から数え始めて、音符の玉を積み上げるんだ」ここで思い浮かべるのは、音符の玉が3つ、積み重なったもの。

 

ヤッ子「その通り。よく思い出せたな。頼もしい」

 

ヤッ子。ピアノを弾いて説明。ハ長調の音階を1オクターブ。ドを鳴らして、主和音を鳴らす。ドレミファのファで止まって下属和音。ドレミファソのソで止まって属和音。

 

ヤッ子。主和音、下属和音、属和音の順に、2回鳴らす。

 

ヤッ子。『きらきら星』を、左手で和音だけ演奏。右手のメロディを加えて演奏。

 

ここまで、背景に楽譜。

 

ミッツ。黒板に、ハ長調でダイアトニックコードを書き、主要三和音をそれぞれ四角で囲む。

 

ミッツ「ハルが理解しやすいように、音階スライドを、ハ長調に合わせたつもりで説明するよ」

 

ハル「ハ長調って、「C」の鍵盤に、音階スライドの「ド」を合わせるものだな」

 

画面に、「ハ長調」を、日本語、英語、ドイツ語で、並べて表示。英語とドイツ語には、カタカナでフリガナを添える。日本語、英語、ドイツ語の、「ハ」「C」「C」を囲み、単語が同じ意味だとわかるようにする。

 

ミッツ。黒板に追加。「ド」に差し棒で「主音」、「ファ」に「下属音」、「ソ」に「属音」と書く。主要三和音に、それぞれ差し棒で「主和音」「下属和音」「属和音」と書く。

 

ミッツ「これって、見たことが無い? ダイアトニックコードっていうんだよ」背景に「ダイアトニックコード」の文字を表示する。

 

ハル「ああ、どっかで見たことがあるが、単に音階があって、その上に和音になるように積み重ねているだけだろう。何の謎解きにもなっていない」

 





次回は …… 「協和・音」「不協和・音」「協和・和音」「不協和・和音」の言い方。和音のツナ缶効果。形式のせいで似たり寄ったり。シャッフル記号。「sfz」は「f」と比べて。アクセントの有無で表現豊かに。



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