ガクテン♪ソフト版   作:不定音高ふたつ

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【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
初心者向け楽譜の謎解きエンターテインメント。

● 登場人物(主要な、ハル、ミッツ、ステラ、ショージ、ヤッ子の5人)
♪ ハル:早坂春弥(はやさか・はるや)。中学1年生。男。主人公。ミッツの従弟。手品と謎解きが好き。声変わり前。

♪ ミッツ:蜜霧多岐(みつきり・たき)。中学2年生。女。ハルの従姉。活動的。幼少の頃からピアノを習う。口の表情が豊かで、口が顔の輪郭からはみ出すことが多い。

♪ ステラ:星山空見(ほしやま・くみ)。中学1年生。女。メルヘンが好き。転入して吹奏楽部に入部し、トロンボーン担当になる。老若男女の誰からも、一見して好かれる、無邪気な可愛らしさ。

♪ ショージ:東海林翔児(しょうじ・しょうじ)。中学2年生。男。吹奏楽部でクラリネット担当。恰幅は良いが、デブではない。会話の始まりは紳士っぽいが、話しているうちに、下品な饒舌になる。

この4人の背の高さは、高い方からショージ、ミッツ、ステラ、ハルの順。小学生の高学年から、中学1年生までは、女子の方が平均身長が高いため。

♪ ヤッ子:鍵宮靖子(かぎみや・やすこ)。理科教師(専門は化学)。年齢は30代前半。女。白衣で、すらりとした黒のパンツ姿。プライベートではジャズピアニスト。姉のことが大きく影響。



この作品は、web小説閲覧サイト「小説を読もう」にも投稿しています。

楽譜の読み方「楽典」を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
「再放送や、Blu-rayの、長期的な繰り返し需要の視点から、web小説よりも、アニメで説明したい」という気持ちが強いです。




絶対音感の都市伝説。借り物のピアノを大切にするのは、貸した靴で泥遊びをされたくない。ステラが吹奏楽部に入部。専門家でも意見が分かれている。白鍵を隠したら、白と黒の縞模様。

├ ●●第1話 Aパート ( 3 / 3 ) 絶対音感の都市伝説。借り物のピアノを大切にするのは、貸した靴で泥遊びをされたくない。ステラが吹奏楽部に入部。専門家でも意見が分かれている。白鍵を隠したら、白と黒の縞模様。

 

ここは、第1話ということもあり、「定義」「評価の基準」「初心者への気遣い」の話題が多い。楽典の質問は、第2話から始まる。アニメのテンポに合わせ、大幅に情報の取捨選択や、各話構成を行う。

 

ハル「いわば、温度計だったり、ヒーターだったりかな」

 

ミッツ「設定温度の機能があるエアコンは、温度計で計測しながら、冷暖房をするでしょ」

 

ハル「歌が下手なら、自分の歌声を聞きながら調整するのが下手なのかな? まあ、人間の感覚だから、絶対じゃないだろ?」

 

ミッツ「それが、かなり正確だって」

 

ヤッ子「私は絶対音感を持っていないが、相対音感がある。まあ、感覚だから、「有るか無いか」の二択ではなく、「どんな状況で、どれだけあるか」のグラデーションだな」

 

ミッツ「絶対音感があると、日常の音もドレミに聞こえて、生活が辛いって本当ですか?」

 

ヤッ子「絶対音感には、色んな都市伝説があるんだ。確かに、そのような人もいるらしいが、そうでもない人もいる。都市伝説になっているのは、人それぞれの感覚を、絶対音感を持っていない人達が伝聞するからだとも考えられる」

 

ヤッ子「私の知り合いは、街中の音は耳に入るが、絶対音感として聞こうと思えば「ドレミ」に聞こえ、そうでなければ、ただの環境音だそうだ」

 

ハル「看板の文字みたいですね。読もうと思えば文字だけど、そうでなければ、ただの彩りです」

 

ミッツ「そうなのかなあ」

 

ヤッ子「実在する人を都市伝説と呼ぶのもおかしいが、都市伝説だから、どこまで本当なのかは人によるし、絶対音感がある人は「必ずこうだ」とも言えない。グラデーションであるから、ひとりひとり、個別だな」

 

ミッツ「特定の楽器の、特定の高さにだけ反応する人もいるらしいね」

 

ハル「へえ、そうなんだ。って、それも都市伝説」

 

ミッツ「テレビで本人が言ってたから、本当だと思うけど」

 

ヤッ子「でも、私にとっては、「テレビで見た」という人が言っていたという立場だ」

 

ハル「僕がヤッ子先生から聞いたら、もう都市伝説ですね」

 

ヤッ子「ジェンダーの話と似ているが、人に対して都市伝説があるように、個人の人数と同じだけ、絶対音感の種類がある」

 

ミッツ「いつでも倍音を出せるように、もう、ギターに倍音用の指を固定しちゃえば?」背景に想像図。指盤に貼り付けた突起が、弦を触る。ネックの裏から「U」の字のアームが、弦を触る。

 

ハル。ミッツの背景の図を見て。「取り付けて固定したら、駄目だろう。弦の長さの半分だから、弦の長さが変われば、半分の位置も変わるから」

 

この辺りでは、弦の長さを変える場面が多い。視聴者の混乱を減らすために、弦が左右方向の場合、右側を弾き、左側が長さを変えるという向きに統一しておく。

 

ハル。ヤッ子が持っているギターで説明。左手で弦を押さえて、右手で弾く。「こうして、弦の長さが変わるから、半分の位置も変わる」

 

ハル。左手の位置を変えて、それに合わせて、右手の「半分の位置」も変わる。左手の位置により、補足図「弦の長さ」も伸縮する。右手の移動に合わせて、指し棒「半分の位置」もずれる。

 

ヤッ子「ギターはピアノより、弦の数が少ないから、ギターでは毎回、弦の長さを変える。ピアノは、たくさんの長さの弦が用意されている」

 

ハル「ピアノなら、さっきのミッツのアイディアが使えるな」

 

ミッツ「アイディアって、固定するってこと?」

 

ハル「そう。ヨイショ……」ピアノの蓋を開けて、弦を指す。「……ここに、弦を触るものを固定して」ピアノの蓋が重くて、支えながらの説明に苦心している。

 

ヤッ子「ピアノの蓋は、こうすると、固定できるぞ」支え棒を出す。この時、ハルがうっかり蓋を離すことを懸念し、蓋を上げる補佐をする。

 

ハル「あっ、こんな所に」

 

ヤッ子「こうして、弦を剥き出しにすると、弦に細工ができる。ただし、蓋を開けた内部は、触ってはいかんぞ。ピアノはデリケートだからな、唾が飛ばないように、マスクをしてほしいくらいだ」

 

ハル「そんなにデリケートなんですか?」

 

ヤッ子「少し、大袈裟な言い方をしたが、それ程のものだと、覚えておいてくれ」

 

ミッツ「弦に細工?!」

 

ヤッ子「弦に、消しゴムを挟んだり、洗濯バサミを付けたり、磁石を付けたりする。弦を直接、指ではじいたり、叩いたりすることもある」

 

ハル「面白そうですね」

 

ミッツ「そんな、ピアノがかわいそうです」

 

ハルは面白がり、ミッツは心配そう。

 

ヤッ子「これは、「内部奏法(内部演奏)」とか、「プリペアド」とか言われているな」

 

ハル。ミッツの胸ポケットから、勝手にボールペンを抜き取る。ボールペンは、尻をノックすると、ペン先が出たり引っ込んだりするタイプ。

 

ミッツ。驚く。「何、勝手に取ってんの! スケベ、変態!」

 

ハル。ミッツの抗議を無視する。ペンの尻をノックし、ペン先を出したり引っ込めたりする。

 

ハル「こんな感じに、引っ込んだり、出っ張ったりが、交互になるように、倍音になったり、ならなかったりが、交互になったり、2倍音や3倍音といった、いくつもの箇所にスイッチがあったり」

 

ハル「他には、重みのある鉄球を置いて、ピアノを弾いたらボールが転がって、戻って来る。ああ、それなら、戻って来るように、ピアノを少し傾けていて」

 

背景に説明。ピアノの中にたくさん並べられた鉄球が、演奏された順番に転がり、戻って来る様子。

 

ハル「アップライトピアノなら、鉄球をぶら下げておいて、ハンマーの動きに反応してブラブラ揺れて、エコーのようになったり」背景に説明。

 

ミッツ「あたしは、ピアノをデリケートだとは思わないけど、ピアノの調律を見ていたら、あたしが愛着を持っているピアノは、大切にしたいな」

 

ハル「「内部奏法」って名前が付いて、市民権を得ているのだから、きちんとピアノのことを理解して、慎重に、大切に、仕掛けをしているんじゃないかな」

 

ヤッ子「私もそう思う。ところで、昔のピアノでは、早坂君のアイディアのようなものも、あったらしい」

 

ハル「本当ですか?!」

 

ヤッ子「そう。ペダルがもっと多くて、太鼓を叩くものもあったらしい」

 

ミッツ「大道芸人みたい」背景に想像図。映画『メリー・ポピンズ』(1964年、ジュリー・アンドリュース)の、大道芸人のバート(ディック・ヴァン・ダイク)が、いくつもの楽器を演奏する姿。

 

ヤッ子「現代では、ピアノでそのようなものは少ないが、様々な楽器を搭載している鍵盤楽器と言えば」

 

ハル「電子オルガンかな?」エレクトーン(ヤマハの商品名)を思い浮かべる。全体図と、いくつかのボタンのアップ。ボタンには、それぞれ楽器の名前、または、番号やアルファベットが記されている。

 

ヤッ子「惜しいな。答えは、パイプオルガンだ」

 

ミッツ「え? パイプオルガンって、要するに、リコーダーをたくさん使っているものでしょ?」

 

ヤッ子「実は、いくつかの打楽器や、鳥の声のような音を出す水笛など、現代でもあるんだ」

 

ハル「へえー。だったら、ピアノだって、色んな遊びの音があっても、面白そうですね」

 

ヤッ子「そうだな。ピアノに、通常のピアノ以外の音色が出るのも、面白い」

 

ヤッ子「ただし、それらのカラクリを施すのは、自分のピアノでするものだ」

 

ハル「どういうことですか?」

 

ヤッ子「ピアノという、デリケートな楽器を、過酷な扱いをするからな。レンタルピアノなど、借り物のピアノでは、やるべきではない」

 

ヤッ子「ピアノの演奏で、拳で鍵盤をガンガン叩いたり、膝で鍵盤を弾いたりといったことも、借り物のピアノでは、やるべきではない」

 

ハル「プロの演奏で、プロがしているのを見ますよ」

 

ヤッ子「プロが行っているのは、肘で弾いているように見えるが、目的は「強く叩く」ではなく、「たくさんの弦を、同時に鳴らす」だ。決して、ピアノを乱暴に扱ってはいない」

 

ヤッ子「プロがピアノに、カラクリを施すのも、自分のピアノに行う。もしかすると、持ち主から依頼されてカラクリを施すこともありえるが、持ち主の許可も無く、勝手にはしない」

 

ハル「そうですか? 「内部奏法」とか、ちゃんと名前が付くほどだから、ちゃんと認められたことですよね」

 

ヤッ子「だったら、早坂君が大切にしている自転車があったとして、他人が勝手にデコレーションしたら、どう思う?」背景に、ハルが「デコチャリ」に驚く姿。デコチャリに、指し棒で「デコチャリ・派手に飾り付け(デコレーション)した自転車」を添える。

 

または、サッカーボールを貸したら、ボールの上に乗って(ボールを両足で踏んで)ジャンプする。文房具の直線定規で、何かを弾き飛ばす遊び。

 

ヤッ子「過酷な扱い、乱暴な扱い、本来の想定から外れた扱いは、借り物でするのは避けるものだ」

 

ミッツ「ハルに靴を借りる時、「泥遊びをするから」って言ったら、断るでしょ」

 

ハル「当たり前だ。汚すんなら、「自分の靴で泥水で遊べ」って言いたい」

 

ミッツ「でも、靴は履くものだから、本来の使い方だよ。ちゃんと「泥遊び」って名前もあるし」

 

ヤッ子「そういうことだ。借り物は大切にするもんだ」

 

ハル「だったら……」机上の電池を見る。「……電池を使ってギターで遊ぶのは、いけないんですね」

 

ヤッ子「私は、そう思う。しかし、音楽の先生は、早坂君が楽しんでいるのを、尊重していた」回想。先刻の、廊下での、音楽の先生の言葉を思い出す。

 

廊下での、音楽の先生のセリフ。「面白いことをしていますね」「面白いからいいでしょう」「2人以上いたら、そのうちに悪ふざけが過ぎることもあるでしょう。でも、あの子は、試行錯誤しながら音を楽しんでいます」

 

廊下での、音楽の先生のセリフ。「鍵宮先生、音楽は、学校の科目の中で、唯一「楽しい」という文字が入っています」「楽しみを邪魔するのは、無粋ですよ」

 

ヤッ子。気分を変えるように。「ところで、さっきの紛らわしい「フレット」と「フラット」の話をしよう」

 

ヤッ子「ギターには、ピアノと違って、白と黒の色分けは無い。けれど、この「フレット」と呼ばれる刻みは、ピアノと同じだ。蜜霧君、私と一緒に、中央ドから順に半音ずつ上に、ソまで鳴らしてくれないか」

 

ハル。割り込む。「「中央ド」って、何ですか?」

 

ミッツ「もうっ、割り込まないでよ。「ド」って、たくさんあるでしょ」

 

ハル「ああ、さっきの倍音の話で、振動数が「2倍の2倍の」の関係は、同じ名前だな」

 

ミッツ「ピアノにも「ド」はたくさんあるから、この「ド」にだけ「中央ド」って名前を付けたの」

 

ハル「じゃあ、ヤッ子先生は、この「中央ド」を鳴らしてくれって、言ったんだ」背景に「「中央C」「中央ハ」も、同じ意味です」と表示する。

 

ミッツ「そういうこと」

 

ヤッ子。この2人の遣り取りを、微笑みながら見ている。

 

ミッツ。ヤッ子の方を見る。「じゃあ、鳴らします。半音進行ですね」

 

ヤッ子「早坂君は、私の手元と、蜜霧君の手元を、交互に見て確認するのがいい」

 

ヤッ子。ピアノの近くに移動し、ピアノとギターが、ハルの視野内にする。生徒用の椅子も移動し、その上に腰掛ける。

 

ヤッ子。第2弦だけで、1フレット目から順にソまで、ゆっくり鳴らす。

 

ヤッ子。ミッツに、一瞬だけ遅れて鳴らす。

 

ハル。視線を、ヤッ子の手元、ミッツの手元の順に見る。画面には、ヤッ子の手元、ミッツの手元、ハルの目の向きの、3つを1画面に入れる。

 

弾き終わる。

 

ヤッ子「もしも、ギターも白と黒に色分けしたら、ごちゃごちゃするんだろうな」

 

ヤッ子「ギターのフレットはこのように、どのフレットも平等だが、ピアノは「よく使う音」を白く手前に配置しただけだ」

 

ハル「ヤッ子先生の演奏は、ピアノではこうなるのかな?」紙を出して、ピアノの鍵盤の、手前側を隠す。鍵盤の手前の、白鍵だけの部分が隠れ、白鍵と黒鍵の縞模様のように見える。紙の色は、薄い青が良さそう。

 

鍵盤の、先端から奥までの、全部が見えている状態。鍵盤の先端の手前側から、紙が近寄り、先端から徐々に紙で隠す。鍵盤が少し透けて見えているが、縞模様の状態になったところで、透けない状態にし、縞模様だけにする。

 

ヤッ子「それが、ギターとピアノの関係だ。もうちょっと言うなら、ピアノっぽい見え方を、弦が1本だけのギターっぽい見え方にした」

 

ヤッ子「よく使う鍵盤と、それ以外の鍵盤は、色は白と黒だが、平等に並んでいるのがギターっぽいな」

 

ハル「よく使うって、何か理由がありそう」

 

ヤッ子「「ハ長調」という言葉を、聞いたことは無いか?」

 

ハル「うわっ、そういった単語、大嫌い」

 

ミッツ「ハ長調って、音楽の基本だよ」

 

ヤッ子「「金管楽器」という言葉からは、楽器の成り立ちとか、知らないと減点されるような気分になるが、「ラッパ」という言葉なら、楽しそうだろう?」

 

ハル「そうですね」

 

ヤッ子「なぜ、簡単な「ラッパ」という言い方と、面倒な「金管楽器」という言い方があるのか。「金管楽器」という言い方の意味は何か」

 

これ以外の例では、簡単な「バイク」の呼称と、「原動機付自転車」「大型二輪車」など。エンジンがあるから「バイク」と呼んだのに、「自転車」なのは、意味があるなど。

 

ハル「知りたいです」

 

ヤッ子「楽譜にも謎が多くて、その謎解きをするのが、楽典だ」

 

ハル「じゃあ、ハ長調って言葉にも、意味はあるんですか?」

 

ヤッ子「もちろんだ。テストではないんだから、知らなくても減点は無い。謎解きができた喜びがあるが、人生がどれだけ豊かになるかは、まあ、人それぞれってことだな」

 

ミッツ「よく使う鍵盤っていうのはね、この鍵盤だけでも、曲を作れるってこと」

 

ヤッ子「ああ、フレットとフラットの話だったな。弦の、振動する部分の長さが、短くなると高い音、長くなると低い音だ」第1弦で、あちこちのフレットを飛び回りながら鳴らすと、振動する部分が色変わりする。

 

ヤッ子「このフレットという刻みがあり、ギターでは、この刻みに従って、音の高さが変わる」ギターのフレットが、一斉に、赤くなって点滅する。

 

ハル「電池を使って、フレットとフレットの中間の高さを鳴らすという話は、今の話題とは別な話しですね」

 

ヤッ子「このフレットの、1つ分、低くするのが「フラットにする」で、高くするのが「シャープにする」だ」

 

ハル「フレットとフラットは、偶然、似ているってだけで、語源の繋がりは無いんですね」

 

ヤッ子「語源は知らないが、偶然似ていると思っていても、いいじゃないか。学者じゃないんだから」

 

ハル。不満気に。「ええーっ」

 

ヤッ子「興味があって、あれこれ知りたい、調べたいという気持ちは大切だ。しかし、すぐに完全解決できないこともある」

 

背景に、トランプをめくって、マークと数を確認する。「この場で、すぐに確認できた」

 

背景に、クイズの書籍のページをめくって、答えを見る。「この場で、すぐに確認できた」

 

ヤッ子「過剰な期待をされても、こっちは困るんだ。私自身も、このアニメも、音楽のあらゆる事柄が解決できるという期待は、荷が重いぞ。ついでに言えば、専門家でも意見が分かれることに、ここで決着するのも無理だな」

 

ヤッ子「そもそも、楽典の説明は、例えば音名の説明を始めたら、それに関連することも説明しないと中途半端だ、だからと、関連することに踏み込むと焦点がボケるとか。説明アニメが、万人に高評価されるのは、無理ってもんだ」

 

ヤッ子「学校では、「教科書の内容」は教えても、「教科書の内容に関連する、あらゆる事柄」を教える義務は無い。教科書から逸脱した話は、「余談っぽいな」「サービスだ」と思ってくれ」

 

ヤッ子「患者に病状を説明する医者は、医学や解剖学の全部ではなく、病状に関する部分だけ説明するだろう」

 

ヤッ子「私だって、生身の人間だ。アニメには、時間制約がある。世にある、音楽関連の情報の全部を網羅するなど、不可能だ。過剰な期待は困る」

 

ヤッ子「生身の人間である私が、これまで時間を掛けて、少しずつ集めた情報にも限界はあり、君達は私とは違った縁をもって、私の知らない情報を得ることはある。その手助けをするだけで、勘弁してくれないか」

 

ミッツ「ついでに補足すると、余談が好きなハルのために、楽典をメインとしながら、多くの余談を入れてますよね。もし、余談が無ければ、昭和のSFの宇宙旅行の味気ない食事みたいな「栄養満点の錠剤1つ」のような楽典になります」

 

ヤッ子「楽譜の読み方を、大胆な「要するに」で言うと、「高さと時間」の2次元だけだ」

 

ハル「2次元? 折れ線グラフのようなものですか? 僕達は3次元の世界で生きているとか」

 

ヤッ子「そうだ。楽譜を見ると、「高い、低い」は、見てわかる。それを「どれだけ高いか」を知ること。右に進むのはわかる。それを「どのタイミングか」を知ること。たった、それだけだ」

 

ハル「う……、うん。そうですね」

 

ヤッ子「楽譜を読むのが「難しい」と言われるのは、高さを、無味乾燥でつまらないのなら、覚えられないからと、あれこれ便利な「調(キー)」「コード」などがあるからだ。便利な道具の使い方を覚えるのが、面倒に感じる理由だ」

 

ヤッ子「なぜ便利なのかの前に、不便だな、面倒だな、この規則性なら、まとめたら簡単だと、そうすれば納得できる」

 

ハル「教室で、出席番号の偶数と奇数で分けたら簡単とか、サッカーやバスケットボールの試合で、ユニフォームがあればチーム分けがわかりやすいとか」

 

ヤッ子「そう! そんなんだよ! そこで、「偶数と奇数とは何か」の説明が難しく、ああ、本当の「偶数と奇数」だけなら簡単だが、音楽の「調(キー)」「コード」なら、説明も理解も難しいということだ」

 

ミッツ「入学式や卒業式で、椅子をどのように配置するか」背景に、横6列に配置した場合と、横10列に配置した場合を表示する。

 

ヤッ子。少し考えて。「うん、そうだ。その場合は、割り算の「余り」を理解する、その前に掛け算の「九九」を理解する」

 

ヤッ子「愚直に並べても良くて、椅子が余った。慣れたら、椅子がいくつあって、何列に並べたら、何行になって、いくつ余るか。人数との関係など、実際に並べる前に知りたくなる」

 

ヤッ子「そこで、便利な道具としての「九九と割り算と余り」があるのだが、「先にそれを知らないと駄目」なら、うんざりする」

 

ヤッ子「楽典もそうだ。「どれだけ高いか」「どのタイミングか」だけで、楽器を鳴らしてみて、誤ったら自分でわかる。遊びや練習の時期に、たったの一度でも、誤った音を出してはいけないという制約も無い」

 

ヤッ子「それなのに、便利な道具の「調(キー)」「コード」を先に知るべきというから、難しいという気持ちになる」

 

ヤッ子「カラオケで、軽い気持ちで、ちょっと歌いたいから、歌詞を読むのと似ている。ちょっと歌いたいだけだから、「韻を踏む」「2つの意味を持つ」「同音異義語」を知らなくても、いいだろう」

 

ヤッ子「様々な場面で「こうすれば簡単だ」がある。いきなり「便利な方法を教える」より、「何か、便利な方法が無いかなぁ」という、余談を発端とする。余談で彩る」

 

ヤッ子「このアニメも、「縦軸と横軸」だけに特化したなら、30分間で終わるだろう。そこに、早坂君という、余談が好きなキャラ、ふと疑問が浮かぶキャラに合わせて、「便利な道具」も共に教えるから、こんなに長くなった」

 

ヤッ子「この脚本は、30分間の12話として書かれているが、アニメに相応しく、適切な情報の取捨選択をしなければ、とても時間内におさまらないだろう」

 

ハル「余談があるのは嬉しいけれど、余談ばかりで食べ過ぎの肥満にならないか、心配だな」

 

 

 

▼ CM明け。

 

CM明けの定型。他の登場人物は知らない、自宅などの場面。

 

今回は例外で、吹奏楽部の練習。

 

吹奏楽部の練習。

 

転校でステラが入部。

 

背景に人物紹介。「ステラ」「星山空見(ほしやま・くみ)」「中学1年生」。既に人物紹介はしたが、改めて行う。

 

ステラ。部室の正面(黒板の前)に立ち、自己紹介をする。「今日、転校して来た、1年生の、星山空見(ほしやま・くみ)です」

 

ステラ「えっと、前の学校では、星山の「星」のイタリア語で「ステラ」と呼ばれていました。ここでも、そう呼ばれたら、嬉しいです」

 

ステラ。周囲の反応を見る。心の声。「(「ステラ」って呼んでほしいなんて、自分から言うのは恥ずかしいな。前の学校で呼ばれていたってのは嘘だけど、信じてくれたらいいな)」

 

ショージ。心の声。「(昨日、学校の近くを歩いていた子だ。同じ部活に入ってくれた。神様、ありがとう)」鼻から、大量の花(花びらではなく、花そのもの)が吹き出す。

 

背景に人物紹介。「ショージ」「東海林翔児(しょうじ・しょうじ)」「中学2年生」。

 

吹奏楽の先生「こら、東海林君、花を撒き散らさないでくれ。後で、ちゃんと掃除しなさい」

 

ステラ「楽器は初めてですが、よろしくお願いします」お辞儀。

 

ステラ。ショージの花を見て、心の声。「(歓迎してくれてるんだよね、きっと)」

 

拍手。

 

ステラ。トロンボーン担当になる。席に着く。

 

ステラの目の前が、クラリネット担当のショージ。

 

ステラ。軽く見渡すと、ホルンが、ベルに手を入れている。

 

ステラ「あの楽器、ラッパのところに手を入れていますね」

 

トロンボーン先輩「ラッパって? ああ、ホルンはベルに手を入れるんだ」

 

ステラの前に座っているショージが、話に割り込む「ベルって言うんだよ。朝顔とも言う」ショージの鼻が、朝顔になる。

 

ステラ「朝顔ですか」

 

ショージ。自分のクラリネットを指して「クラリネットのここも朝顔。トロンボーンもここが朝顔」

 

ステラ「朝顔が多くて、素敵ですね」

 

ショージ「でも、サックスだけは、ウツボカズラ」

 

サックスを持った生徒を表示する。背景に、ウツボカズラの絵と、「ウツボカズラ」の文字と、「食虫植物」の文字。

 

サックスの生徒「これも朝顔だよ」

 





次回は …… 新聞紙は10回折れない。「ガクテン」の始まり。楽譜で完全再現は無理。知らない専門用語は、すぐに覚えられない。トロンボーンも倍音を利用。倍音でドミソの和音。



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